環境の把握 H20.7.17.

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環境の把握 H20.7.17

自立活動とは? ここの生徒が自立を目指し、障害に基づく種々の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を培う。 内容   1、健康の保持   2、心理的な安定   3、環境の把握   4、身体の動き   5、コミュニケーション

3 環境の把握 (1) 保有する感覚の活用に関すること。 (2) 感覚の補助及び代行手段の活用に関 すること。 (2) 感覚の補助及び代行手段の活用に関 すること。 (3) 感覚を総合的に活用した周囲の状況の把握に関すること。 (4) 認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関すること。 ※文科省 平成20年 「脳科学研究戦略推進プロジェクト」をスタート

感覚の種類 視覚(電磁波・光) 聴覚(音波) 嗅覚(化学的刺激) 味覚(五味:酸苦甘辛鹹 ) 皮膚覚(温冷圧※触※痛) ※さらに分かれる 皮膚覚(温冷圧※触※痛)  ※さらに分かれる 前庭覚(加速度、平衡覚) 固有受容覚(筋覚、腱覚)=運動感覚 内臓覚(渇き感、空腹感、満腹感・・・)

感覚の分類 特殊感覚:   体性神経系によって伝えられる感覚のうち,受容器が一つの臓器(目,耳など)にまで発達しているものをいう.味覚(味蕾),嗅覚(嗅細胞),聴覚(蝸牛),平衡感覚(前庭器,三半規管),視覚(網膜)の 5種類がある. 体性感覚:    体性神経によって伝えられる感覚のうち,上記以外のもの.受容器が一つの臓器を形成するほど発達してはおらず,皮膚や筋などのなかにある.   ・皮膚感覚:皮膚にある受容器によってひき起こされる感覚.   ・深部感覚:筋,腱,関節にある受容器によってひき起こされる感覚. 内臓感覚:    自律神経によって伝えられる感覚である.臓器感覚,内臓痛,関連痛に分類される.

感覚・知覚・認知 認知cognition 知識を獲得し,組織立て,それを利用する事 知覚perception 認知cognition   知識を獲得し,組織立て,それを利用する事 知覚perception  物理的世界のたんなるこピーではなく,外界・自己を知るための仮設と推論に基づく能動的な判断過程 感覚sensation                          物理的刺激にたいする感覚受容器(目・耳等)での情報処理を始点とする神経生理的情報処理過程

感覚器 成熟の順序性 内受容器(内臓、固有受容覚<筋、腱>前庭覚) 近接受容器(皮膚覚、嗅覚、味覚) 遠隔受容器(視覚、聴覚)

「感覚は脳の栄養である」 一切の感覚を断ち切った生活実験では、健康な人は数時間で幻覚が生じ、体調の復元にかなりの時間がかかる。 動物の脳は感覚を多く与えた脳は少ない脳より重かった。 (刺激量の問題)            閾値の問題 刺激量が多すぎると痛みとして感じる 情報量の内、視覚からが70%~80%

感覚遮断の実験 感覚器が何も感じていない状態を刺激が無い状態とする。アイソレーション・タンク。 感覚遮断状態を続けると自分で刺激を作り出すようになる。口が使える状態であれば、独り言が多くなったり歌を歌い出したりするようになる。この状態を過ぎると幻覚を見る場合があり、被験者は根をあげる。感覚遮断から解放した後に計算や方向感覚や論理などのテストをしてみると、著しく能力を低下。この事により刺激は精神を健全に保つのに必要不可欠なものであると推測

感覚の統合(感覚統合療法ではない) 日常生活での感覚はふつう合成ないし統合された感覚として体験(「味わう」) =味+視+嗅+触 等  日常生活での感覚はふつう合成ないし統合された感覚として体験(「味わう」)   =味+視+嗅+触 等                 感覚の統合の際、視覚優位で統合する場合が多い     マガーク効果  (例:「ダ」の発音に、「バ」の口の動きを同時に見せると、「バ」に聞こえる)

自閉症児の感覚 過敏 鈍感 (テンプル・グランディン)風船の破裂音は死ぬほど怖かった。それは鼓膜を破らんばかりに響いたからである。普通の人が無視できるような低いノイズでも、たやすく気が散った。・・・もちろん、その反応は人それぞれによって違う。私にとって苦痛な音が、ほかの自閉症児には快感をもたらすこともある。ある自閉症児が好む掃除機の音は、ほかの自閉症児には恐怖であるかもしれない。自閉症者によってはあまりにも鋭敏な聴覚を持っているために、日常の騒音にさえ耐えられない。雨音が銃声のように響いて、とても我慢できない。また、自分の血流のサーッという音や、学校全体の音が耳につく者もいる。こうした人々は音の阿鼻叫喚の中にいるのだ。

関わり(刺激)にラポートが大切な理由 感覚入力に普通のルート以外に 扁桃体経由のルートあり ↓ 同じ関わり(刺激)でも、扁桃体の判断により   感覚入力に普通のルート以外に   扁桃体経由のルートあり      ↓  同じ関わり(刺激)でも、扁桃体の判断により  快にも不快にもなる(特に触覚・前庭覚など) ・日頃から、楽しい遊びを一緒にすることにより  担任=楽しい・快の条件反射を作っておく (「遊びきる」ことの脳科学的意味のひとつはここにある) ・視覚優位の自閉症では笑顔を見せる場面を多くする

参考資料① P300とは     事象関連脳電位/脳指紋 定位反応(反射)とは、別名「おや何だ反射」と呼ばれる生体反応の一つ。人間とその生きる環境とのかかわりにおいて、最も早期に出現する選択的、能動的反応であり、発達初期におけるより高次な認知活動を形成する基盤をなすもの(片桐) ネコの実験(縦縞と横縞の部屋で育った場合の脳神経の発達とその行動) ※能動的関わりの大切さ

子ネコを出生直後から数ヶ月縦縞模様だけしか見えない環境で飼育→横縞に反応する細胞がほとんど無くなる。このような環境で育てたネコは縦棒を見せるとじゃれついてくるが、横棒を見せてもじゃれついてこない。

参考資料② 情動と記憶(扁桃体経由の刺激は残りやすい) 臨界期の問題:例(視覚・言語) 脳幹網様体賦活系への働きかけ(覚醒水準を保つ) 愛情遮断症候群 ハーローのアカゲザルの実験 触覚では、軽く触る方が刺激量の多いことがある 選択的注意アテンションと環境把握  (ゲーム) 共感覚  ミラーニューロン   キキとブーバの課題 (98%は即答/自閉症児では・・・、角回との関連?)

ハーローのアカゲザルの実験

ブーバとキキ

神経系と感覚器

脳のホムンクルス

シナプスの構造