公共就業施設と雇用側の視点からみた高齢者就業促進 ~これからの超高齢社会に向けて~

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公共就業施設と雇用側の視点からみた高齢者就業促進 ~これからの超高齢社会に向けて~ 南山大学 寳多康弘研究会

動機・背景 高齢者大国である日本。 高齢化による社会へのマイナスの影響は多岐にわたる。 ・GDP成長率の低下 ・労働力不足 ・将来的に年金の破綻の恐れ ・高齢者雇用促進に携わる施設の不十分な活用 ・企業側も高齢者を雇いづらい現状 そこで 高齢者の雇用を促進する必要 しかし 施設側・企業側の問題を解決 高齢化に対するマイナスイメージをなくし、活気ある高齢社会を目指す

目的 公共就業施設 企業・地方自治体(雇用側)  2つの視点から、高齢者雇用を促進する政策  を提言し、活気ある高齢社会を目指す。

主な結果 ⇒再雇用制度の中身を充実させる必要がある ①公共就業施設 ・高齢者雇用促進の一番の責任がどこにあるか不明 ・数ある施設は、連携がとれていない ②企業・地方自治体 ・再雇用制度を使っている企業がほとんど ・地方自治体は再任用制度 ⇒再雇用制度の中身を充実させる必要がある

政策提言 ①ジョブ・ネットワーク・システムの導入 ②再雇用制度に関する管理制度充実助 成金の導入 ・・・公共就業促進施設の連携をはかる/ 第一の責任を決める/ワンストップサービス ②再雇用制度に関する管理制度充実助   成金の導入 ・・・良い条件の雇用管理制度を行う企業に助成する   例)高年齢者職域拡大等助成金

本稿の位置づけ 『高齢者就業における自治体の役割』 大隅俊弥氏(2009) 『日本における高齢者雇用の現状と課題』 岡眞人氏 (2009) 『高齢者就業における自治体の役割』  大隅俊弥氏(2009) 『日本における高齢者雇用の現状と課題』 岡眞人氏 (2009) 愛知県で高齢者雇用促進を担っている施設を調べ、 それぞれで行われている政策の効果、どのような役 割を担っているかを調査する 企業での高齢者雇用制度の実態を聞き取り調査によ り調査する

現状について

高齢者!! 少子高齢化による生産年齢の減少 総人口に占める労働力率の低下 GDP成長率の減少 経済成長率の低下 ・豊富な知識や技術 ★新たな労働力が必要               ・豊富な知識や技術                ・現役で働き続けたいという意欲  高齢者!!

日本の年金制度 年金受給者の6割が、年金のみで生活 ⇒わざわざ働こうという意欲を持てない高齢者が多い  ⇒わざわざ働こうという意欲を持てない高齢者が多い 現在は現役世代3人で年金受給者1人を支えている  ⇒2030年には現役世代2人で年金受給者1人を支え なければならなくなる     将来的には年金制度の崩壊の恐れ

改正高齢者雇用安定法(2006) 事業主は以下の3つのうちいずれかの措置をとらな ければならない。 (1)定年の引き上げ (2)継続雇用制度の導入 (3)定年の定めの廃止  ⇒60~64歳層の雇用率は以前よりも高くなった 労働人口は10年間で約440万人減少する見込み  ⇒生涯現役で働くことのできる社会を築く必要がある

制度を行っている公共施設 厚生労働省による政策 愛知県で政策を行っている施設  (1)定年の引き上げ、継続雇用制度の導入等による高齢者    の安定した雇用の確保の推進  (2)中高年齢者の再就職の援助・促進  (3)高年齢者の多様な就業・社会参加の促進 愛知県で政策を行っている施設   愛知労働局、公共職業安定所(ハローワーク)、愛知高齢・ 障害者雇用支援センター、シルバー人材センター、名古屋 市高齢者就業支援センター、愛知県庁、名古屋市役所

★継続雇用制度 現在就業している高齢者が希望する場合に定年後も 引き続き雇用される制度 ・勤務延長制度 定年年齢が設定されたまま、その定年に到達した高 齢者を退職させることなく引き続き雇用 ・再雇用制度 定年年齢に達した者を一度退職させたのちに再び雇 用 高齢者雇用の普及 ・年金問題、労働人口不足を解決 ・活気のある高齢社会に!

社会保障制度 経済の持続性 中年 若年 現役世代 高齢者                                     高齢者 中年 若年 高齢者 中年 若年 現役世代 経済の持続性  経済成長の両輪である供給面と需要面に対して、高齢世代が働きかけるかどうかが日本経済全体の持続可能性の鍵となる

デメリット メリット 高齢者を雇うことのメリットとデメリット 体力的に厳しい 新しい技術への適応能力が低い 周囲との折り合いが悪い 若年者に技術を伝承できる 即戦力として働けるため効率が良い 現役世代の社会保障費負担増の緩和 健康保険支出の減少 メリット 体力的に厳しい 新しい技術への適応能力が低い 周囲との折り合いが悪い デメリット

分析

置き換え効果 高齢者雇用の若年者雇用への影響 技能レベルと関係なく賃金を支払っている場合… 中高年労働者を簡単に解雇できないとすれば 中高年者が多い企業→若年者への求人を減らす 中高年者が少ない企業→若年者への求人を増やす 置き換え効果

しかし 若年雇用のことだけを考えると… →企業が中高年を減らせば若年者雇用が増えるよう に見える。  若年雇用のことだけを考えると…  →企業が中高年を減らせば若年者雇用が増えるよう に見える。 中高年者をすぐ解雇してしまうような企業には、若年 者が応募しない可能性が高い。 若年者の技能形成にも時間がかかることから、このよ うに簡単に言うことはできない。 しかし

 企業が高年者と若者を競合関係と とらえているかが関係 企業における従業員の採用・ 育成方針によって決まる

即戦力のある従業員採用を優先する企業の場合                       給料同じ  再雇用高齢者        若者 一般的には高年者の経験に基づく技能の方が高い                 →若年者は雇わない               →若者を採用しようとする

定年などで退職までに時間がかかる中 高年者が多い場合 中長期的な人材育成を行う企業の場合  →相対的な賃金水準によらず、将来伸びる若 者を採用 定年などで退職までに時間がかかる中 高年者が多い場合  →若者は少ししか採用しない 高齢者の雇用が増えるからといって、若 年雇用が減るとは一概に言えない!

聞き取り調査を踏まえた分析結果 愛知労働局と愛知県庁 →再就職セミナーの業務内容が重複  →再就職セミナーの業務内容が重複 愛知高齢・障害者就業支援センターと名古屋市高 齢者就業支援センター  →名前がまぎらわしく、業務とは異なる方が訪れ る ハローワーク  →仕事と人のマッチングが目的のため、高齢者へ  の対策は特になされていない

高齢者雇用政策の 一番の責任がどこにあるのか 不明であるということ! 愛知県、名古屋市 問題点 →高齢者雇用を自分たちの管轄だと考えて  →高齢者雇用を自分たちの管轄だと考えて    いない 高齢者雇用政策の 一番の責任がどこにあるのか 不明であるということ! 問題点

考察 約8割の企業が再雇用制度を導入 定年延長、定年廃止には消極的  →再雇用制度をとることで法律条件を満たす より良い条件の再雇用制度の普及

まとめ フルタイムだけでなく、多様な働き方を用意 定年前と同じ仕事を基本 再雇用後に役職がなくなる場合、定年前に役 職定年を設けるなど、再雇用後の仕事に順 応できるように工夫 賃金水準を全体的に上げる 他にもアルバイトなど働き方の種類を増やす 定年を意識した長期的なセミナーの開催

政策提言

政策提言① 「ジョブ・ネットワーク・システムの導入」 (例)京都ジョブパーク 京都府と労働団体・経営団体など多くの関係機関 が共同で求職者の支援を行う 主な役割:カウンセリング(ワンストップサービス) 「ジョブ・ネットワーク・システムの導入」 →高齢者雇用促進の責任を持つ機関を一つにし、事 業主、高齢者共に円滑に支援を受けることができる ようにする。

ジョブ・ネットワーク・システム ワンストップサービス 国 を導入 第一の責任を持たす リーダー 労働局 シルバー人材センター 愛知高齢・障害者雇用支援センター 名古屋市高齢者就業支援センター 愛知県庁 その他市役所 ハローワーク ジョブ・ネットワーク・システム 愛知労働局、公共職業安定所(ハローワーク)、愛知高齢・障害者雇用支援センター、シルバー人材センター、名古屋市高齢者就業支援センター、愛知県庁、名古屋市役所 第一の責任を持たす

例)高年齢者職域拡大助成金 (1)定年の引き上げ等の措置 (2)職域の拡大等の措置 ①新たに希望者全員が65歳まで働ける制度を導入すること ②新たに70歳まで働ける制度を導入する (2)職域の拡大等の措置 ①高年齢者の職域の拡大  高年齢者が働きやすい事業分野への進出/既存の職務内容のう ち高年齢者の就労に向く作業の切り出し/高年齢者が就労可能と なるような作業設備、作業環境、作業方法の改善等 ②高年齢者の雇用管理制度の整備  賃金制度、能力評価制度の構築/短時間勤務制度、在宅勤務制 度の導入/専門職制度の導入/研修等能力開発プログラムの開 発等

政策提言② 「再雇用に関する管理制度充実助成金」  の導入 →高年齢者の雇用管理制度の整備という点を独 立させ、新たな助成金として普及させる。

助成金の条件 (1)再雇用後の勤務形態 →フルタイムだけでなく、様々な働か方を用意 (2)再雇用後の仕事内容 →定年前と同じ仕事を基本とする   →フルタイムだけでなく、様々な働か方を用意 (2)再雇用後の仕事内容   →定年前と同じ仕事を基本とする (3)給料   →再雇用制度の水準を全体的に上げる (4)他の働き方   →再雇用制度以外にもアルバイトや臨時職員など働き 方の種類を増やす (5)その他の取組み   →定年を意識した長期的なセミナーを開催 (6)高年齢者職域拡大等助成金時にあった上記以外の条件   →能力評価制度の構築、専門職制度の導入等

まとめ 責任を一つに持たせ、 連携を取り合う ワンストップサービスを導入する ★公共就業施設 高齢者雇用促進の一番の責任がどこにあるか不明 施設同士の連携がとれていない 責任を一つに持たせ、 連携を取り合う ワンストップサービスを導入する

まとめ よりよい条件の再雇用制度の普及 ★民間企業X社 再雇用制度 ★地方自治体Y 再任用制度 フルタイムだけでなく、多様な働き方を用意 定年前と同じ仕事を基本 再雇用後に役職がなくなる場合、定年前に役職定年を設ける など、再雇用後の仕事に順応できるように工夫 賃金水準を全体的に上げる 他にもアルバイトなど働き方の種類を増やす 定年を意識した長期的なセミナーの開催 よりよい条件の再雇用制度の普及

まとめ③ 政策提言 ジョブ・ネットワーク・システムの導入 再雇用に関する管理制度充実助成金

今後の課題 雇用する側=企業と、就業支援施設との間により繋がりを持たせた政策 政策 雇用される側=高齢者 中小企業 民間就業支援施設 ヒアリング 再雇用制度以外にも適応できるか 高年齢者職域拡大等助成金の必要性 どこまで賃金水準をあげるか 助成金の条件 雇用する側=企業と、就業支援施設との間により繋がりを持たせた政策 政策

活気ある高齢社会! 年金制度の崩壊 高齢者に対するマイナスイメージ 労働不足 政策