著 作 権(3) まとめと補足 情報社会と情報倫理 第7回
著 作 物 著作物とは“思想又は感情を創作的に表現したもの” コンピュータのプログラムも含まれる 著作権法で保護されるものは表現
権利保護と著作物活用 創作意欲を高めるために“独占” 先人の業績の活用を図るために“期限” 一定期間の独占
著 作 権 の 全 体 像(再) 誰の権利 どんな権利
財産権と人格権 財産権 大雑把に複製権 譲渡可能(著作権者) 人格権 公表権・氏名表示件・同一性保持権 譲渡不可
ゴーストライターの権利は 佐村河内守 事件 一般にゴーストライターは 財産権は譲渡 人格権は不行使 +金銭 の約束をしているのであろう
映 画 ・ 放 送(1) 映画 俳優の了解を得て録画(撮影)された実演については,俳優の著作隣接権の財産権が消滅 映画をテレビで放映したり,DVD化しても俳優には(金銭的)権利がない 映画撮影の契約のときに,その分を含めて ギャラを決める(原則)
映 画 ・ 放 送(2) テレビ 同様に放送の了解を得ている場合は,放送局は無断で録画できる ただし,録画したものは放送の目的にしか使うことはできない
映 画 ・ 放 送(3) テレビドラマなどを,DVD化など再利用する場合には,関係者(俳優その他)全員の承諾が必要になる 映画と同じように,録画の了解を得ておけば不要 時間が経過すると困難 文化庁長官の裁定で利用可能になる 2009年改正で緩和
図 書 館(1) 図書館員による複製 非営利・無料の貸出し これらは著作権者の権利を制限している 同じ本を複数,貸出し用に購入している ことなどがあるので,権利者側から是正が求められている
図 書 館(2) 複製に関しては,著作権情報センターの著作権Q&A http://www.cric.or.jp/qa/cs03/index.html 図書館でコピーをした場合は,記録を残すことになっている! 本学図書館でも!!!
著 作 権 法 改 正 毎年改正されている 2009年改正については http://www.bunka.go.jp/chosakuken/21_houkaisei.html
2009年の改正(1)
2009年の改正(2) 日本国内に 検索サイトのサーバを 設置出来る
違法?合法?ダウンロードにご注意!〜著作権法改正 2009年の改正(3) 違法?合法?ダウンロードにご注意!〜著作権法改正 (政府インターネットテレビ) 2012年10月1日より 刑罰化
2012年の改正(1) 平成24年通常国会 著作権法改正について(文化庁) 平成24年通常国会 著作権法改正について(文化庁) (1)いわゆる「写り込み」(付随対象著作物の利用)等に係る規定の整備(“フェアユース”のこと) (2)国立国会図書館による図書館資料の自動公衆送信等に係る規定の整備 (3)公文書等の管理に関する法律等に基づく利用に係る規定の整備 …
2012年の改正(2) (4)著作権等の技術的保護手段に係る規定の整備 コピープロテクトされたDVDをリッピングする行為の違法化(罰則なし 条文は難解) (5)違法ダウンロードの刑事罰化に係る規定の整備 “違法”にアップロードされた音楽・映像を,“違法”と知っていてダウンロードする行為のうち, 有償の著作物の場合は,2年以下の懲役又は 200万円以下の罰金,あるいはその双方
2012年の改正(3) 改正著作権法が1月から全面施行、「写り込みOK」明確化http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20121227_580502.html 本誌記事で振り返る2012年の“ネットと著作権”http://internet.watch.impress.co.jp/docs/index/20121227_580351.html
著作権法改正の話題(1) 以下は,話題であって,正式に議論の対象になっていないものもある 保護期間の延長 50年 → 70年 映画だけでなく ただし,現行法でも,人格権については実質的に無限
著作権法改正の話題(2) 補償金制度の見直し 対象拡大 制度自体(廃止を含む) 前回のスライド
著作権法改正の話題(3) 親告罪 被害者が訴えないと摘発されない ファイル共有ソフトによる違法アップロード、長崎と神奈川で相次ぎ送致 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20131031_621596.html 非親告罪化 被害者(著作権者)の告発なしに摘発可能 どうなるか不明
フェアユース
フェアユース(1) 使用目的と性格 -商用か教育用か 著作物の性質 - 独創性 使用された部分の量 使用されたことによる影響 - 売れなくなるか フェアユース - 公正使用 日本の著作権法では,例外規定が定めてある 新しい状況に,すぐに対応しきれない アメリカの著作権法では,一定条件下で,著作物の無断使用が認められている 最終的には,裁判所で判断 日本の慣習になじまない?
フェアユース(2) フェアユースと認められた例 ソニー 対 ユニバーサル 家庭用ビデオによるテレビ番組の録画 タイムシフト(時間をずらして視聴する) 1984年アメリカ連邦最高裁判所 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/010/07101103/004/031.htm
フェアユース(3) 日本の“フェアユース”(2012年改正) かなり限定的
これから問題に なるかもしれないことのひとつ 歌詞つぶやいても大丈夫? RTは? Twitterと著作権を考える http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1003/19/news017.html 新しいメディアが出現すると,著作権法の想定外の事態が生じる
著 作 権 ビ ジ ネ ス 複製権だけがビジネスだけではない 著作権信託で初の映画ファンド,松竹「阿修羅城の瞳で」 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0503/28/news066.html
フ ォ ー ク ロ ア(1) 各国・各地・各民族で古くから伝わる音楽や踊りなど無形のものや絵など有形の フォークロア 不正に(先進国が)利用しているとの主張が途上国からなされている
フ ォ ー ク ロ ア(2) フォークロアは,その起源が古く作者が分からない(ものが多い) 現在の著作権法では保護されない “先人の業績を活用して”,新たな創作活動を展開 利用されている側からは不満
ま と め に 代 え て 今回はすべて“まとめ”である
著 作 権 は 誰 の も の(1) 文献11 p.226 著作権とはそもそも活版印刷術の普及時に,出版ギルドの既得権維持のために考案されたしくみであった 創作者のためではなかった
著 作 権 は 誰 の も の(2) 著作権の実質的な中心は人格権ではなく,経済権としての複製権である 要するにコピーライト そのコピーライトが著作者の本源的な権利としてのオーサーズ・ライトと結びついてしまった,というか,オーサーズ・ライトの衣をまとってしまったところに問題
著 作 権 は 誰 の も の(3) 文献10 p.302 アーティスト(そして,それをバックアップする音楽業界の人たち)が精魂込めて創った音楽が, 無料でじゃんじゃんコピーされて, 一切彼らにお金が入らないという状況を目の当たりにすると, やっぱり何とかしなきゃいけないんだろうな,と思う
今 後 の 著 作 権(1) これからの著作権制度は,利用の促進という観点を重視しないと,時代に乗り遅れ,反著作権思想が強まるであろうと想像される 中山信弘,知的情報の流通と学術・文化の発展に向けて,p.111, 第5回国立情報学研究所国際シンポジウム 2006(文献13)
今 後 の 著 作 権(2) コンテンツ作成者が,自分の作品を積極的に使ってもらうことを意思表示する CC(クリエィティブ・コモンズ) http://creativecommons.jp/ 文化庁、CCライセンスを支援へ 独自ライセンス構築は断念http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1303/27/news105.html
今 後 の 著 作 権(3) TPPの対象に含まれている