統計学 11/19(月) 担当:鈴木智也.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
ホーエル『初等統計学』 第7章4節~5節 推定 (2) 寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部 atsushi [at] si.aoyama.ac.jp 青山学院大学社会情報学部 「統計入門」第 12 回.
Advertisements

統計解析第 11 回 第 15 章 有意性検定. 今日学ぶこと 仮説の設定 – 帰無仮説、対立仮説 検定 – 棄却域、有意水準 – 片側検定、両側検定 過誤 – 第 1 種の過誤、第 2 種の過誤、検出力.
Lesson 9. 頻度と分布 §D. 正規分布. 正規分布 Normal Distribution 最もよく使われる連続確率分布 釣り鐘形の曲線 -∽から+ ∽までの値を取る 平均 mean =中央値 median =最頻値 mode 曲線より下の面積は1に等しい.
土木計画学 第3回:10月19日 調査データの統計処理と分析2 担当:榊原 弘之. 標本調査において,母集団の平均や分散などを直接知ることは できない. 母集団の平均値(母平均) 母集団の分散(母分散) 母集団中のある値の比率(母比率) p Sample 標本平均 標本分散(不偏分散) 標本中の比率.
1 統計学 第2週 10/01 (月) 担当:鈴木智也. 2 前回のポイント 「記述統計」と「推測統計」。 データ自体の規則性を記述するのが 「記述統計」、データを生み出した背 景を推測するのが「推測統計」である。 推測統計は記述統計に基づくので、ま ずは記述統計から学ぶ。 以下、データの観測値をX.
統計学 第3回 西山. 第2回のまとめ 確率分布=決まっている分布の 形 期待値とは平均計算 平均=合計 ÷ 個数から卒業! 平均=割合 × 値の合計 同じ平均値でも 同じ分散や標準偏差でも.
放射線の計算や測定における統計誤 差 「平均の誤差」とその応用( 1H) 2 項分布、ポアソン分布、ガウス分布 ( 1H ) 最小二乗法( 1H )
●母集団と標本 母集団 標本 母数 母平均、母分散 無作為抽出 標本データの分析(記述統計学) 母集団における状態の推測(推測統計学)
第4回 関連2群と一標本t検定 問題例1 6人の高血圧の患者に降圧剤(A薬)を投与し、前後の収縮期血圧 を測定した結果である。
数理統計学(第ニ回) 期待値と分散 浜田知久馬 数理統計学第2回.
第1回 確率変数、確率分布 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均 確率変数の分散
回答と解説.
疫学概論 ポアソン分布 Lesson 9.頻度と分布 §C. ポアソン分布 S.Harano,MD,PhD,MPH.
経済統計学 第2回 4/24 Business Statistics
数理統計学(第四回) 分散の性質と重要な法則
確率と統計 平成23年12月8日 (徐々に統計へ戻ります).
数理統計学 西 山.
統計解析 第7回 第6章 離散確率分布.
確率・統計Ⅰ 第12回 統計学の基礎1 ここです! 確率論とは 確率変数、確率分布 確率変数の独立性 / 確率変数の平均
統計学 10/25(木) 鈴木智也.
確率・統計Ⅰ 第11回 i.i.d.の和と大数の法則 ここです! 確率論とは 確率変数、確率分布 確率変数の独立性 / 確率変数の平均
統計学  第7回 西 山.
統計学 12/3(月).
統計学 11/13(月) 担当:鈴木智也.
ホーエル『初等統計学』 第5章 主要な確率分布
統計解析 第9回 第9章 正規分布、第11章 理論分布.
確率の考え方の基礎 二項分布と正規分布 2006年1月25日 作成:本間聡.
寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部 atsushi [at] si.aoyama.ac.jp
経済統計 第三回 5/1 Business Statistics
統計学 11/30(木).
寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部 atsushi [at] si.aoyama.ac.jp
大数の法則 平均 m の母集団から n 個のデータ xi をサンプリングする n 個のデータの平均 <x>
放射線の計算や測定における統計誤差 「平均の誤差」とその応用(1H) 2項分布、ポアソン分布、ガウス分布(1H) 最小二乗法(1H)
確率・統計Ⅱ 第7回.
第2章補足Ⅱ 2項分布と正規分布についての補足
第7回 二項分布(続き)、幾何分布 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均 確率変数の分散
統計学 12/13(木).
「データ学習アルゴリズム」 第2章 学習と統計的推測 報告者 佐々木 稔 2003年5月21日 2.1 データと学習
統計学 第3回 10/11 担当:鈴木智也.
第2章 確率と確率分布 統計学 2006年度.
確率・統計輪講資料 6-5 適合度と独立性の検定 6-6 最小2乗法と相関係数の推定・検定 M1 西澤.
応用統計学の内容 推測統計学(inferential statistics)   連続型の確率分布   標本分布   統計推定   統計的検定.
統計解析 第10回 12章 標本抽出、13章 標本分布.
統計学 11/08(木) 鈴木智也.
第11回 中心極限定理 と 大数の法則 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均
母集団と標本:基本概念 母集団パラメーターと標本統計量 標本比率の標本分布
相関分析.
第3回 確率変数の平均 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均 確率変数の分散
1.標本平均の特性値 2.母分散既知の標本平均の分布 3.大数法則と中心極限定理
確率・統計Ⅰ 第3回 確率変数の独立性 / 確率変数の平均 ここです! 確率論とは 確率変数、確率分布 確率変数の独立性 / 確率変数の平均
応用統計学の内容 推測統計学(inferential statistics)   連続型の確率分布   標本分布   統計推定   統計的検定.
正規分布確率密度関数.
確率論の基礎 「ロジスティクス工学」 第3章 鞭効果 第4章 確率的在庫モデル 補助資料
第2日目第1時限の学習目標 順列、組み合わせ、確率の入門的知識を学ぶ。 (1)順列とは? (2)組み合わせとは? (3)確率とは?
1.標本平均の特性値 2.母分散既知の標本平均の分布 3.大数法則と中心極限定理
標本分散の標本分布 標本分散の統計量   の定義    の性質 分布表の使い方    分布の信頼区間 
超幾何分布とポアソン分布 超幾何分布 ポアソン分布.
東北大学 大学院情報科学研究科 応用情報科学専攻 田中 和之(Kazuyuki Tanaka)
市場調査の手順 問題の設定 調査方法の決定 データ収集方法の決定 データ収集の実行 データ分析と解釈 報告書の作成 標本デザイン、データ収集
確率と統計 メディア学部2009年 2009年11月26日(木).
早稲田大学大学院商学研究科 2014年12月10日 大塚忠義
第8回 二項分布の近似、ポアソン分布、正規分布
最尤推定・最尤法 明治大学 理工学部 応用化学科 データ化学工学研究室 金子 弘昌.
第5回 確率変数の共分散 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均 確率変数の分散
疫学概論 ポアソン分布 Lesson 9.頻度と分布 §C. ポアソン分布 S.Harano,MD,PhD,MPH.
物理フラクチュオマティクス論 応用確率過程論 (2006年4月11日)
確率と統計2007(最終回) 平成20年1月17日(木) 東京工科大学 亀田弘之.
第8回 ポアソン分布 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均 確率変数の分散
第3章 統計的推定 (その2) 統計学 2006年度 <修正・補足版>.
第6回 ベルヌイ試行、二項分布 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均 確率変数の分散
Presentation transcript:

統計学 11/19(月) 担当:鈴木智也

講義の全体構成 第1部 記述統計:データの特性を記述 第2部 確率論:推測統計への橋渡し 確率論入門 確率変数と確率分布 第1部 記述統計:データの特性を記述 第2部 確率論:推測統計への橋渡し 確率論入門 確率変数と確率分布  主な確率分布 ←ここ! ☆中間試験はここまで 第3部 推測統計:データから全体像を推測

主な確率分布 二項分布(離散型) これが基本型。 ポアソン分布(離散型) 二項分布から導出できる。 正規分布(連続型) これも二項分布から導出できる。

二項分布とは ☆結果が二通り(例:SかF)しかない実験 結果がSとなる確率をpで表す。 結果がFとなる確率は、q(=1-p)である。 この実験をn回行い、結果がSとなる回数をXとする。 ⇒Xは確率変数であり、その分布は二項分布(n, p)に従う。

二項分布:例題 実験:じゃんけん その結果 S=勝つ F=勝たない(負け、あいこ) 勝つ確率:p=1/3 勝たない確率:q=2/3 (n=3、x=1)

二項分布:例題の答え ケースA:一回目に勝つ場合の確率 (1/3)×(2/3)×(2/3)=(1/3)×(2/3)2   (1/3)×(2/3)×(2/3)=(1/3)×(2/3)2 ケースB:二回目に勝つ場合の確率 (2/3)×(1/3)×(2/3)=(1/3)×(2/3)2 ケースC:三回目に勝つ場合の確率 (2/3)×(2/3)×(1/3)=(1/3)×(2/3)2 注:A、B、Cは互いに排反。 ⇒3回中1回だけ勝つ確率は、3×(1/3)×(2/3)2。

二項分布の公式 X=xjという値を取る確率は P(xj)=nCx px qn-x =for j=1,…,n. nCx は、n 個のものから x 個のものを選び出す公式であり、 nCx = n!/{x!(n-x)!}。 注:n! は n の階乗であり、 n!=n×(n-1) ×(n-2) ×…×2×1である。

二項分布:期待値と分散 確率変数Xが二項分布に従う場合、 期待値:E(X)=np 分散:V(X)=npq=np(1-p) (証明は省略) 例:3回のじゃんけんで勝つ回数の期待値は1回。

二項分布からポアソン分布へ ☆次のような例を考えよう。 不動産業界で大型契約が成立する確率は低い。→ p=0.001(=0.1%)とする。 1000人の顧客と商談を行った( n=1000 )ときに、5件の大型契約を成功させる確率はいくらか? ⇒理論上は、ポアソン分布で計算できる。 P(X=5) =1000C5 0.0015 0.99995。

二項分布からポアソン分布へ② しかし、現実には計算が煩雑すぎる。 (1000C5 がいくつになるか試算してみよ。) この例のように、n→∞、p→0の場合、 np→m(定数) なら、二項分布はポアソン分布で近似する。 注:“A→B”は「Aの値がBに近づく」と読む。

ポアソン分布の公式 二項分布において、n→∞、p→0の場合、 X=xjの確率は P(xj)=(mxe-m)/x! で近似的に計算できる。 (注)なお、eは指数であり、m= npである 。

ポアソン分布:期待値と分散 確率変数Xがポアソン分布に従う場合、 期待値:E(X)=m 分散:V(X)=m 証明:二項分布の場合、期待値がnpであることから、ポアソン分布での期待値はmとなる。分散も同様に証明できる。

正規分布 連続型の確率分布で中心となるのが「正規分布(Normal Distribution)である。 正規分布は、期待値μを挟んで左右対称で、釣鐘型(教科書P.163の図)。 ☆特徴:期待値μと分散σ2が分れば、正規分布の形状は把握できる。

標準正規分布 確率変数Xが、期待値μで分散σ2の正規分布に従うとする。 X~N(μ,σ2) このとき、Xは次のように「標準化」できる。 Z=(X-μ)/σ~ N(0,1) 期待値0で分散が1の正規分布を「標準正規分布」(←この分布は頻出)と呼ぶ。

標準正規分布N(0,1)の性質 どのような正規分布であっても、前頁の式によって、 N(0,1)に変換できる。 Z~ N(0,1)のとき、確率変数 Z が z という値を取る確率を P で表すと、 P(-1.96 < z < 1.96) = 0.95 P(z >1.96) =0.025, P(z<-1.96) =0.025 であることが知られている。

正規分布と二項分布の関係 ☆二項分布 Bi(n,p)で n→∞, p→0のとき、二項分布は ポアソン分布で近似できる。 正規分布で近似できる。

第3部にむけて 第3部で習う重要なことがらは、「t‐検定」であり、それを理論的に支えるのが「中心極限定理」と「t‐分布」である。  第3部で習う重要なことがらは、「t‐検定」であり、それを理論的に支えるのが「中心極限定理」と「t‐分布」である。 ①中心極限定理で「正規分布」を使う。 ②また、その正規分布は「標準正規分布」に変換された後、t‐分布で近似される。