日本語の自動詞・他動詞・受身 の選択(日韓ウ中比較) 名古屋大学 杉村 泰
はじめに このたび私は結婚することになりました。(自動詞) ?このたび私は結婚することにしました。(他動詞) ↓ このたび私は結婚することになりました。(自動詞) ?このたび私は結婚することにしました。(他動詞) ↓ 日本語では自動詞が好まれる。 自動詞、他動詞、受身の使い分けはなんだろう?
アンケート (例) 家に帰ったら、窓ガラス(が/を)(割れて/割って/割られて)いました。
被験者 日本語母語話者 名古屋大学学部生114人 日本語学習者 韓国語話者:国際大学N1合格7人 中国語話者:湖南大学日語系3年生58人 名古屋大学学部生114人 日本語学習者 韓国語話者:国際大学N1合格7人 中国語話者:湖南大学日語系3年生58人 ウズベク語話者:タシケント国立法科大学N1合格6人
対象の内発的変化(自発) 典型的な自動詞文
対象の内発的変化(自発) 1
対象の内発的変化(自発) 2
対象の内発的変化(自発) 3
対象の内発的変化(自発) 4
対象の内発的変化(自発) 5
無情物の非意図的な作用 自動詞文
無情物の作用1
無情物の作用2
無情物の作用3
無情物の作用4
無情物の作用5
被害や迷惑の意味(非人為的) 自動詞文
迷惑の意味(非人為的) 1
迷惑の意味(非人為的) 2
迷惑の意味(非人為的) 3
迷惑の意味(非人為的) 4
迷惑の意味(非人為的) 5
対象の状態描写(動作主不特定) 自動詞文
対象の状態描写(動作主不特定) 1
対象の状態描写(動作主不特定) 2
対象の状態描写(動作主不特定) 3
対象の状態描写(動作主不特定) 4
対象の状態描写(動作主特定) 自動詞文
対象の状態描写(動作主特定) 1
対象の状態描写(動作主特定) 2
対象の状態描写(動作主特定) 3
対象の状態描写(動作主特定) 4
★対象の変化(人為的) 自動詞文または他動詞文
対象の変化(人為的) 1
対象の変化(人為的) 2
対象の変化(人為的) 3
対象の変化(人為的) 4
対象の変化(人為的) 5
対象の変化(人為的) 6
対象の変化(人為的) 7
韓国人と日本人の感覚の違い 韓国人:肉を焼いた (他動詞) 日本人:肉が焼けた (自動詞) ・肉を火にかける → 火による肉の化学変化 ・肉を火にかける → 火による肉の化学変化 (人為作用) (自然作用) 韓国人:お茶を入れた (他動詞) 日本人:お茶を入れた (他動詞)、お茶が入った (自動詞) ・茶葉をお湯に浸す → お湯によるお茶エキスの抽出 (人為作用) (自然作用) 動作主の意図性が強い (誰か/何かのために) 動作主の意図性が弱い (動作主を背景化)
韓国人と日本人の感覚の違い ※次の場合は韓日とも他動詞が選ばれる 韓国人:ケーキを切った (他動詞) 日本人:ケーキを切った (他動詞) ・ケーキを切る → ? (人為作用) (自然作用) この場合、「ケーキが切れた」は自動詞ではなく可能の意味になる。
韓国人と日本人の感覚の違い 韓国人:問題を解く (他動詞) 日本人:問題が解ける (自動詞) ・問題の思考 → 思考の熟成 ・問題の思考 → 思考の熟成 (人為作用) (自然作用) 韓国人:メニューを決める (他動詞) 日本人:メニューが決まる (自動詞) ・意見表出 → 意見統一までの成り行き 「結婚することになりました」 も同じ 動作主の意図性が強い (独断的な感じがする) 動作主の意図性が弱い (独断的ではない)
被害や迷惑の意味(人為的) 自動詞文または受身文
被害や迷惑の意味(人為的) 1
被害や迷惑の意味(人為的) 2
被害や迷惑の意味(人為的) 3
被害や迷惑の意味(人為的) 4
被害や迷惑の意味(人為的) 5
動作主の意図的行為 典型的な他動詞文
動作主の意図的行為1
動作主の意図的行為2
動作主の意図的行為3
動作主の意図的行為4
動作主の意図的行為5
動作主の意図的行為6
動作主の意図的行為7
ありがとうございました。 ソウル女子大学校講演会 2013年4月9日(火) 於ソウル女子大学 「日本語の自動詞・他動詞・受身の選択 (日韓ウ中比較)」 杉村 泰