薬品分析学3 第1回:概論.

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薬品分析学3 第1回:概論

逆相と順相(まとめ) 逆の逆は順 順相 逆相 担体 未修飾シリカゲル 修飾シリカゲル(ODS化) 歴史 古い 順相より後にできた 固定相 (表面) 高極性 低極性 特徴 乾燥剤(水を結合) 疎水性 化合物 親水性 > 疎水性 化合物 親水性 < 親和性 移動相 低極性溶媒 ヘキサン, 酢酸エチル, クロロホルム 高極性溶媒 水、メタノール、アセトニトリル

ビデオ鑑賞 ガスクロマトグラフィー(GC) 移動相の違いに基づくクロマトグラフィーの分類 移動相 液体 液体クロマトグラフィー 気体 気体クロマトグラフィー 分析対象 気化する化合物 学生実習の実習項目:ガスクロマトグラフィー ビデオ鑑賞

ガスクロマトグラフィー(GC) 移動相 液体 液体クロマトグラフィー(LC) 気体 ガスクロマトグラフィー(GC) 超臨界流体 超臨界流体クロマトグラフィー 固定相 固体 吸着クロマトグラフィー 液体 分配クロマトグラフィー 移動相-固定相 気体-固体 気-固クロマトグラフィー (GC) 気体-液体 気-液クロマトグラフィー 液体-固体 液-固クロマトグラフィー (LC) 液体-液体 液-液クロマトグラフィー

ガスクロマトグラフィー:分配モード 充填剤(担体) 充填剤(担体) シリカゲル 珪藻土: SiO2 活性炭 気-固クロマトグラフィー(吸着型) 気-液クロマトグラフィー(分配型) 充填剤(担体) 充填剤(担体) シリカゲル 珪藻土: SiO2 活性炭 ポリエチレングリコール Polyethylene glycol 液体 活性アルミナ (PEG) モレキュラーシーブ H O H O H O H O Ethylene glycol Si Si 固体 O O O Polyethylene glycol Si Si O O O 物理的に液体が固体に塗布

問題 ◯ × ガスクロマトグラフィーでは、溶出順は移動相(ガス)の種類によらない × 気化できる物質に限られるのは、ガスクロマトグラフィー 次の文章の正誤を答えなさい。間違っている場合は、何が間違っているかも答えること。 ◯ × ガスクロマトグラフィーでは、溶出順は移動相(ガス)の種類によらない × 気化できる物質に限られるのは、ガスクロマトグラフィー

宿題 シリカゲル(順相)とオクタデシルシリル(ODS)化シリカゲル(逆相)以外の順相および逆相の担体の例を挙げなさい。 順相クロマトグラフィーと逆相クロマトグラフィーで用いられる溶媒の特性をまとめなさい(ヒント:極性に着目)。 通常、水を移動相に用いることができるのは、順相クロマトグラフィーと逆相クロマトグラフィーのいずれか。 逆相クロマトグラフィーの担体に結合した化合物が溶離してこない時、どうすれば化合物を担体から溶離させることができるか、その方法を考えなさい。その方法が良い理由も答えなさい。

宿題 シリカゲル(順相)とオクタデシルシリル(ODS)化シリカゲル(逆相)以外の順相および逆相の充填剤(担体+固定相)の例を挙げなさい。 吸着 分配 順相 シリカゲル アミノプロピル シリル化シリカゲル アルミナ 活性炭 セルロース(担体)+ ろ紙中の水(固定相) ペーパークロマト 表面/固定相液体が高極性 珪藻土(担体)+PEG(固定相) ガスクロマトグラフィー オクタデシルシリル (ODS)化シリカゲル 逆相 ポリスチレン 表面/固定相液体が低極性 シリカゲル(順相)とオクタデシルシリル(ODS)化シリカゲル(逆相)以外もある ことを頭に留めておいて下さい。

宿題 順相クロマトグラフィーと逆相クロマトグラフィーで用いられる溶媒の特性をまとめなさい(ヒント:極性に着目)。 通常、水を移動相に用いることができるのは、順相クロマトグラフィーと逆相クロマトグラフィーのいずれか。 固定相 移動相 親水的 (高極性) 疎水的 (低極性) 順相 疎水的 (低極性) 親水的 (高極性) 逆相 水も移動相として使用可 (典型的移動相) カラム内を流れる溶媒やガスは「移動相」

宿題 逆相クロマトグラフィーの担体に結合した化合物が溶離してこない時、どうすれば化合物を担体から溶離させることができるか、その方法を考えなさい。その方法が良い理由も答えなさい。 固定相 固定相の親和性の源 逆相 疎水的 疎水性相互作用 逆相カラムに強く結合する化合物は疎水性化合物! 移動相の溶媒の疎水性を上げると移動相側への親和性が上がる 極性溶媒と低極性溶媒の比率を徐々に変化させる (低極性溶媒の比率を上げる) 移動相側に化合物が溶出してくる

オクタデシルシリル(ODS)化シリカゲル (C18) 液体クロマトグラフィー:分配モード オクタデシルシリル(ODS)化シリカゲル (C18) シリカゲル: SiO2 マリモの毛のような液体(的) 液体的炭化水素に化合物が解けたり、また溶媒に戻ったり OSiR2(CH2)17CH3 OSiR2(CH2)17CH3 分液操作の油水分配に類似 H O H O H O H O R O R O Si Si Si Si 固体 O O O O O O Si Si Si Si O O O O O O 化学的に液体が固体に固定

宿題 逆相クロマトグラフィーの担体に結合した化合物が溶離してこない時、どうすれば化合物を担体から溶離させることができるか、その方法を考えなさい。その方法が良い理由も答えなさい。 既に化合物が吸着したカラム担体から化合物を引きはがす方法 を聞いているので、下記の解答は反則 固定相を変える 化合物を変える カラムを長くする(長くしても溶離しない場合には無力) 溶出力の高い溶媒を用いる(何が溶出力が高いかを聞いている) 担体の濃度を上げる(担体は溶媒に不溶なので濃度は定義不可) 固定相を化学結合させる(精製中に固定相を結合させることは 不可能。またODS化シリカゲル等では既に結合済)

宿題 逆相クロマトグラフィーの担体に結合した化合物が溶離してこない時、どうすれば化合物を担体から溶離させることができるか、その方法を考えなさい。その方法が良い理由も答えなさい。 別解として面白い解答 溶媒のpHを変えて、化合物をイオン型にして極性溶媒に 溶出しやすくする(プロトン化/脱プロトン化可能な官 能基を持つ化合物に適用可能)。 おしい解答 有機溶媒を入れる(これは水を溶媒としている場合に正 しいが、一般性がない。元々有機溶媒しか使っていな かったら、こうは解答できない。おしい!)

宿題 問いに対して答えていない解答がかなりの数ありました。 解答が見いだせなくて苦し紛れに解答している場合は、レポート中で最初に「解答が見いだせなかった」と書いて下さい。その上で、調べた内容を書いて下さい。 問題の意図を取り違えているのか、苦し紛れの解答かがわからないと、コメントがむずかしいです。

ガスクロマトグラフィーの構成 検出器は国試に頻出 ガス状物質なので取置き不可 カラム溶出直後その場検出 化合物を気化させる ため温度を上げる 移動相 化合物分離の場所 移動相ガスが変わっても GCの溶出順は不変 順相/逆相 吸着/分配

ガスクロマトグラフィー:カラム カラム 充てんカラム:担体表面に固定相(液体)でコーティング した充てん剤を詰めるタイプのカラム。カラムの容   した充てん剤を詰めるタイプのカラム。カラムの容   器にはガラス管、ステンレスチューブ等 キャピラリーカラム:キャピラリー内壁を固定相(液体)   でコーティングしたタイプのカラム 註:キャピラリーとは、毛細管現象を引き起こすくらい 細い管のこと 充てん剤 珪藻土(SiO2)+ポリエチレングリコール(PEG) 担体:珪藻土(SiO2)、耐火レンガ粒子等 固定相:PEG、飽和炭化水素類、シリコンオイル等

水素件イオン化検出器(FID)による有機化合物検出 ガスクロマトグラフィー:検出器 検出器(国家試験頻出項目) 教科書P209 表3-19 線源:3H, 63Ni (β線源) 学生実習 水素件イオン化検出器(FID)による有機化合物検出

ガスクロマトグラフィー:検出器特徴 熱伝導度検出器(TCD):化合物ごとに熱伝導度(比熱)が異なる   ことを利用して検出。信号強度は化合物量に比例。ただし   比例定数は化合物ごとに異なる。低感度な点が問題。   解析対象:大部分の有機・無機化合物 水素炎イオン化検出器(FID):C-H結合を解裂後イオン化させ、   イオン電流を計測して検出。信号強度は化合物量に比例。   ただし比例定数は化合物ごとに異なる。   解析対象:大部分の有機無機化合物 電子捕獲検出器(ECD):3H, 63Niに由来する放射線(β線源)により   化合物をイオン化させ、イオン電流を計測して検出。信号   強度は化合物量に比例。ただし比例定数は化合物ごとに異   なる。。   解析対象:有機ハロゲン化合物、ニトロ化合物

ガスクロマトグラフィー:検出器特徴2 アルカリ熱イオン化検出器(FTD):ケイ酸ルビジウムを使って イオン化させて検出。   イオン化させて検出。   解析対象:有機窒素化合物、有機リン化合物 炎光光度検出器(FPD):還元炎中にリン、イオウを含む化合物   が入ると元素固有の波長で発光する。その光を検出する。   解析対象:有機リン化合物、有機イオウ化合物 質量分析計(GC-MS):質量分析計でM/Z(質量数/電荷比)が得   られるので化合物の同定も可能。   解析対象:大部分の有機・無機化合物 赤外分光器(IR):化合物の赤外吸収スペクトルが得られる   ので化合物の同定も可能。   解析対象:大部分の有機・無機化合物

ガスクロマトグラフィー:その他 キャリアガス流量 分離能が最高(理論段数が最高、理論段高さが最低)になる 最適流量あり (HETPに関するvan Deamterプロットより) 理論段数・向流分配法の説明後に再度説明 ガス化しにくい化合物をGCにかける方法 化合物の誘導体化 ガス化しにくい化合物:    イオン性化合物(酸塩基を含む) エステル化、トリメチルシリル化による低極性化 沸点降下に伴いガス化しやすくなる

問題2 次の文章の正誤を答えなさい。間違っている場合は、何が間違っているかも答えること。

宿題 次の文章の正誤を答えなさい。間違っている場合は、何が間違っているかも答えること。

宿題 次の文章の正誤を答えなさい。間違っている場合は、何が間違っているかも答えること。

問題 ◯ × ガスクロマトグラフィーでは、溶出順は移動相(ガス)の種類によらない × 気化できる物質に限られるのは、ガスクロマトグラフィー 次の文章の正誤を答えなさい。間違っている場合は、何が間違っているかも答えること。 ◯ × ガスクロマトグラフィーでは、溶出順は移動相(ガス)の種類によらない × 気化できる物質に限られるのは、ガスクロマトグラフィー

問題2 次の文章の正誤を答えなさい。間違っている場合は、何が間違っているかも答えること。