第2回 ジャーナリズムとは何か (2015.4.23) 担当:野原仁(地域構造講座) ジャーナリズム論 第2回 ジャーナリズムとは何か (2015.4.23) 担当:野原仁(地域構造講座)
本日のテーマ ジャーナリズムとは? ジャーナリズムの必要性 マスメディア事業体(=テレビ局・新聞社など)とジャーナリズムの関係
ジャーナリズムとは何か①語源 journalism=journal+ism journal→もともとは、ラテン語のdiurnus(一日の)diurnal(日刊の官報)が起源 journal;①日記・日誌、②雑誌・定期刊行物・日刊新聞・機関誌、etc. ism;①主義・主張②行為・結果を示す ③典型的行動・状態④特徴⑤病的状態
ジャーナリズムとは何か②辞書的定義 The Concise Oxford Dictionary; the business or practice of writing and producing newspapers 広辞苑「新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどで時事的な問題の報道・解説・批評などを行う活動。また、その事業・組織」 日本大百科全書「マス・メディアが時事的な事実や問題に関する報道・論評を伝達する活動の総称。そのような活動を行うマス・メディア自身をさすことばとして使われることもある」
「ジャーナリズム」とは何か③私の定義 社会の主権者である市民に対して、民主的な社会の維持・発展のために必要な、世の中のさまざまな出来事や問題点を正確に伝え、その背景を説明するとともに、権力者の行いをチェックして報道する活動
ジャーナリズムの基本精神 批判精神 社会的真実の追求
ジャーナリズムと(マス)メディア&マスコミュニケーション 現在の社会の中では、ジャーナリズムを主に担当しているのは、テレビ局・新聞社などのマスメディア事業者 でも、たとえば自分の身近にあって、多くのほかの人にも関係のある問題を、インターネットの掲示板に書き込んだりすることもジャーナリズムのひとつ
ジャーナリズム:特定の理念や価値(何が望ましいのか?)を必要とする活動で、活動主体の精神面(実質)と深く関わる マスコミュニケーション:特定の理念や価値を必要としない活動で、活動主体の行為面(形態)と深く関わる
テレビ・新聞などマスメディア(事業者)による ジャーナリズム マスコミュニケーション ジャーナリズム
なぜ、ジャーナリズムが必要か? 同時代の正確な記録のため 民主主義の維持・発展のため 現代社会の特質のため
ジャーナリズムと歴史 ジャーナリズム:「いま、ここで起きている」ことを、未来に向けて記録する活動 歴史:「かつて、どこかで起きた」ことを、回想して記録し、その意味を解釈する活動
民主主義社会と情報 誰もが、自己に関係することを自分で決定することができる社会→正確な判断のためには、正確かつ自己が必要とする情報が必要であり、主権者はそうした情報を知る権利を有している 権力者が不当な権力の行使を行う危険性→権力者の行動に関する情報が必要
現代社会の特質 グローバル性 複雑性 自分の生活のさまざまな局面が、世界中の地域のヒト・モノ・情報から影響を受け、また与えている 自分の生活のさまざまな局面が、世界中の地域のヒト・モノ・情報から影響を受け、また与えている 複雑性 社会の仕組みが複雑になるとともに、人々の間の利害関係が錯綜している
現代社会の特質がもたらすもの 物理的(時間・距離・お金)に、自分が直接見たり聞いたりできない事柄で、自分の生命や生活・将来に直接関わることが増大してきている したがって、人々は多くの事柄を(マス)メディアを通じて知るしかできない=(マス)メディアなくして社会なし
マスメディアの社会的役割 編集・報道機能 論評機能 フォーラム機能 教育・教養機能 娯楽機能 広告機能
編集・報道機能=人々の目や耳の代わりとなって、人々が知らなければならないこと、知りたいことを取捨選択(=編集)して、正確に伝える 論評機能=複雑でわかりにくい出来事を、わかりやすく解説・評価するとともに、権力者の行いをチェックする
ウォッチドッグ(番犬)機能 取材・報道活動を通じて、権力者が不当な行いをしていないかどうかを、主権者である市民にかわって行うこと ジャーナリズムは、政府・自治体・企業などのPR機関であってはならず、市民の視点を踏まえて独自の立場から取材・報道・論評を行うべきである ジャーナリズム=編集・報道機能+論評機能+ウォッチドッグ機能
ここまでのおさらい ジャーナリズム=社会の主権者である市民に対して、平和で住みやすい社会をつくるために必要な、世の中のさまざまな出来事や問題点を正確に伝え、その背景を説明するとともに、権力者の行いをチェックして報道する活動
次回のテーマ ジャーナリズムの倫理について 具体的なケース・事件をもとに考えよう テレビや新聞などの報道や取材のしかたなどで、自分がオカシイと思ったことを答えてもらうよ!