安井 至 東京大学名誉教授 国際連合大学元副学長

Slides:



Advertisements
Similar presentations
IBMユーザ研究会九州研T3 3.Web2.0を実際に使ってみた. Web2.0を実際に使ってみました 研究会をプロジェクトに見立 てて “ Google SpreadSheet ” で会議を開く “ SNS ” でコミュニケーションを補助する “ Wiki ” で成果物を共有する.
Advertisements

「成功体験」の思い出しシート ★シート作成の方法 1ハロウィンパーティや戦略企画、地域活動などの取組で、あなたが何らか の行為を行った結果、自分なりに大きな満足感を得たり、成し遂げたと思え る事柄 ( これをここでは「成功体験」と呼びます ) を3つ思い出して、その概 要を下のA,B,Cの欄に記入してください。場面を選び出す時の注意とし.
CMU2005 海外エンジニアリングワークショップ参加報告書 1 「真の要求を見極めろ!」: teamB 要求定義をどう捉えるか ● 要求定義とは何か? 製品には、顧客の望むことを正しく反映させる必要がある。 そのために必要なものが要求仕様である。 すなわち、要求仕様とは、顧客と製品を結ぶものであり、これを作ることが要求定義である。
言語教師としての 役割と認知 平成 21 年度教員免許状更新講習 3 共立女子大学 02/08/2009 笹島茂 1.
プレゼンテーション - 技能が必要な理由 - 神奈川大学経済学部 経済情報処理 I 平成 18 年度 第 4 回.
仲間モニタリングと集団随伴性を組み合わせた介入による社会的スキルと仲間同士の相互干渉の促進
ロジカルライティング研修カリキュラム(例)
人間中心設計の 開発プロセスにおける ユーザビリティ評価の実践とその課題
先進技術の社会影響評価(テクノロジー アセスメント)手法の開発と社会への定着
テキストベースの会議における議論の効率化に関する研究
H17年度授業評価アンケート報告 教務WG:山澤一誠.
1日目 10:25 【演習】 情報の収集とチームプレイの基本 -オリエンテーション- 松本 亜希子 障害者支援施設 虹の家.
 授業を設計する(その4) 情報科教育法 後期5回 2004/11/6 太田 剛.
研修の目的(教材の狙い) 現場の負担軽減を図る 放射線の専門家になる必要はない 気持ちの負担に配慮
ビジネスパターンに基づく クラウドシステムのサービスレベル設計
ちょこっと 視点を変えてみよう!.
「ICT社会におけるコミュニケーション力の育成」 研修モジュール C-1:パネルディスカッション
研修者のための 研修セミナーへ ようこそ
子どもたちが発達段階に応じて獲得することが望ましい事柄
社会心理学のStudy -集団を媒介とする適応- (仮)
「できることから今すぐやろう!」シート 書き出したものを全て実行することが難しい場合、 社長が判断し、できることからやろう! 前提
調査の企画2: 質問項目の選定と質問紙の作成

~企画~ GO,桑田,ヒルズ.
「21世紀型コミュニケーション力の育成」研修モジュール
ヘルスプロモーションのための ヘルスリテラシーと 聖路加看護大学『看護ネット』
基礎看護の授業を通して思考力,判断力,表現力,技能を育成する指導方法の工夫改善についての研究
管理的側面 管理者に必要な経営知識 経営学の基本 ①マネジメントと組織.
オリエンテーション 【演習】 ー情報の収集とチームプレイの基本ー 1日目 10:25
社内イベント 段取りチェックシート 社内イベント(社員総会、社内パーティー、周年イベントetc)をご検討の方にオススメです。
XP Extreme Programming.
ワークショップ型研修の進め方 .
遺伝子導入効率No.1を目指す ナノ・ニードル基板デバイスの開発
ポジティブな行動支援実践の流れ 個人 小集団 クラスワイド スクールワイド 指導すること(目標)を決める 指導の仕方を決める
第3回 浜松市交通安全計画の パブリック・コメント制度 担当 吉田
発表内容の例(5S/小カイゼン発表) 活動から学んだこと . 職場とメンバー紹介 グループの思い テーマと目標 お勧めの改善事例
後手にまわると 費用も労力もかさむ 増加予想 既存研究に基づき,生命表と初期値から 個体数(左軸)と分布面積(右軸)を推定
平成24年度国立大学法人等若手職員勉強会 分科会2 全体会発表
火山災害シナリオ シュミレーションの開発と試行
平成19年度青年部会「第2回~第4回研修会」(人材育成研修会)実施計画書
女性活用の「組織」「自分」へのメリットを理解する
ワーク1 気づき・仮説をことばにする 気づき・仮説 現状把握の方法や内容 相談や「つぶやき」の蓄積から 気付いたことを整理してみましょう。
品質リスクマネジメント ICH Q9 付属書Ⅰ:リスクマネジメントの方法と手法
“SFC SUBWAY Maniacs” プロジェクト計画書
探究科スライド 教材No.12(K2).
【演習4】研修の振り返り(60分)   <ねらい>  サービス種別毎の演習から統合的な演習に転換し実施した本研修を受講した上で、各分野別のグループにて意見・感想等の発散および集約を行う。 No 項目 内容 留意事項 時間 グルーピング 分野別のグループに分かれる ※演習2の終了時にグルーピングをお願いします。
日本の高校における英語の授業は 英語がベストか?
●●先生 ●●先生●●先生 本日は、ありがとうございます。 下記の表のご自分のお名前が書かれた グループ名のテーブルにお座りください。
その他 手法の組合せ.
NetMeeting ~ドイツ語授業形態としての提案
学修する科目やプログラムの内容 名門ボーディングスクールプログラム in Lawrenceville
学修する科目やプログラムの内容 世界の留学生と交流学習プログラム in New York
信頼の構造 原 謙治 2004/10/13.
一人ひとりの避難計画(前編) 資料4 それでは、一人ひとりの避難計画をつくっていきます。
経営計画策定の心得.
美保飛行場周辺まちづくり計画 第1回市民ワークショップ (平成27年8月27日(木)午後7時~市民会館大会議室)
1日目 10:25 テキストp.◯ 【演習】 情報の収集とチームプレイの基本 -オリエンテーション- 松本 亜希子 障害者支援施設 虹の家.
Othelloのプログラム 班長:佐々木 悠二 班員:石黒 護     井上 雄滋     齊藤 良裕     清水 裕亮.
演習 グループワーク②-2 住民啓発事業の企画案の検討
【事前課題】研修企画案の提出 チームで研修企画案を作成し必ずご提出ください。 提出期限:6月19日(水)17:00
シカゴ国際体験プログラム in DeKalb
広報・PR論入門 -岐阜大学をケーススタディに-
Copyright © 2017 Benesse Corporation All Rights Reserved.
チームワークによる成功 第二副地区ガバナー研修.
情報処理技法(リテラシ)II 第1回:オリエンテーション 産業技術大学院大学 情報アーキテクチャ専攻 助教  柴田 淳司 パソコンの基本操作.
第2回実務者会議の議論を受けた検討(データWG関係)
第2回実務者会議の議論を受けた検討 資料14 1 第2回実務者会議での議論の概要 (○:有識者意見、●:関係府省意見) 1
【1 事業の内容及び実施方法】 1.1. 事業内容(実施方法を含む) 1.1.1実規模試験計画立案に関わる技術役務
探究科スライド 教材No.12.
部活動の特徴と学校教育における意義について
Presentation transcript:

安井 至 東京大学名誉教授 国際連合大学元副学長 リスク・コミュニケーション道場 安井 至 東京大学名誉教授 国際連合大学元副学長

『道場』とは何か スキルを向上させるために、仲間同士が仮想的に対戦相手を勤める場 スキルの内容 リスク・コミュニケーションの相手は、一般市民であるから、使う技(言葉、ロジック)などは、市民に理解可能であること。 しかし、出し手のもつ知識の量・質は、市民レベルをかなり超えている必要がある。 専門性は高く、しかし、専門用語は『禁句』。 向上させるべきスキルとは、失敗しないスキル =相手の立場を想定できるというスキルである。

リスコミが難しい理由 正反対の目的をもった人間と人間がコミュニケーションをすることだから 合意を目指すことはもともと不可能 知識のレベル・量ともに大きく異る両者が目指すものは何か(=到達点)が不明確だと、そもそも成立しない

リスク・コミュニケーションの到達点 リスク・コミュニケーションは、『レベル2を到達可能な最高レベルとして行う双方向のプロセス』と定義する 到達点は以下のように色々ある レベル0:相互理解の(若干の)向上・改善 レベル1:不完全な納得感の実現 レベル2:異なった意見を受け入れる状況の実現=受容性の実現 レベル3:補償を含めた合意を形成する

出し手側が準備すべき手法と情報 手法としては、一部山岸俊男流「安心」を採用 日蝕型:現代人がなぜ日蝕を恐れないか 「安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方」 (中公新書) http://www.yasuienv.net/RiskCom2Kinds.htm 日蝕型:現代人がなぜ日蝕を恐れないか 歴史的経験 日蝕から戻らないことはない 予測可能性 正確に開始時間が分かるから終わる時間も分かっているだろう お化け屋敷型:イベントの深刻さとタイミング どのようなイベントがどのようなタイミングで起きるかが分かっている 悟り獲得型:全体リスク把握と生命の不確実性 安全係数型:

コミュニケーション課題の選定 コミュニケーション課題は、例えば チーム『紅』の課題: 「低線量被曝はどこまで安全か」 チーム『白』の課題: 「バイオレメディエーション技術はどこまで安全か」

チーム構成 チーム『紅』、チーム『白』を作る それぞれ5~6名 それぞれのチームに、キャプテン、記録係が必要 チーム『紅』、チーム『白』を作る それぞれ5~6名 それぞれのチームに、キャプテン、記録係が必要 キャプテンの持つべき特性=他人を観察する能力の高い人という観点から、チーム構成員が自分達で選定。キャプテンが記録係を依頼する。 それぞれのチーム内は、「出し手」と「受け手」に分ける。出し手の作業の方が多いので、多めの人数を要する。 課題についての専門性が高い順に「出し手」を選択、「受け手」は市民感覚の高い順に選択する。

紅白両チームの編成 『紅』 『白』 3~4名 コミュニケータ =出し手担当 3~4名 コミュニケータ =出し手担当 2~3名 3~4名   コミュニケータ  =出し手担当 3~4名   コミュニケータ  =出し手担当 2~3名 コミュニケーション の受け手担当 2~3名 コミュニケーション の受け手担当

時間割 1日半のコース 初日は 午後から開催 二日目は 朝から開始し、夕刻に終了 初日 13:30スタート 道場主からチーム分けの発表 時間割 1日半のコース 初日は 午後から開催 二日目は 朝から開始し、夕刻に終了 初日 13:30スタート 道場主からチーム分けの発表 プログラム全体の簡単な説明 チームに分かれて、キャプテン、記録係の選任

14:00~17:00 別室に分かれチーム作業開始 (1)市民からの想定質問作り(全員) (2)「出し手」グループ (3)「受け手」グループ 14:00~17:00 別室に分かれチーム作業開始 (1)市民からの想定質問作り(全員) 各人が30個程度を付箋紙に書き出す。記録係が整理、キャプテンがそれを選択すると同時に、メンバーに解答をもとめ、それを判定材料として、出し手、受け手を決める 出し手=テーマの専門性が高い人 3~4名 受け手=市民感覚に優れている人 2~3名 全員で、想定質問リストを作成 (2)「出し手」グループ 想定質問リストに対する回答案を作成する (3)「受け手」グループ 相手チームの課題について、想定質問リストを作成すると同時に、できれば、想定解答リストを作成し、その弱点を突く質問を追加。

これで解散だが、時間がかなり延長されることが想定されるので、場所の確保が必要かもしれない。 17:00~18:00 チーム全員で実施 (4)想定質問とその回答のチェック 回答案の最終チェック 以下の項目が適正か? 歴史的経緯の把握 予測可能性の理解 不都合なイベントへの対処法などの情報 出し手の回答案の最終まとめ 受け手の質問案の最終まとめ (5) 『リスコミ進行表』の作成 以上を反映させた時間割を作成し、それに基づく進行状況を簡単にシミュレーションする。 これで解散だが、時間がかなり延長されることが想定されるので、場所の確保が必要かもしれない。

二日目 実践と反省・評価会 9:30 集合 道場主による再確認 10:00 先攻チーム『紅』の実践開始 二日目 実践と反省・評価会 9:30 集合 道場主による再確認 10:00 先攻チーム『紅』の実践開始 12:15 終了して昼食休憩 反省と次への準備 13:30 後攻チーム『白』の実践開始 15:45 終了して休憩  16:00~18:00 反省・評価会開催 優良チーム、優良プラクティス、個人賞、努力賞などを決定して終了