16 列MDCT による心臓CT の撮影技術 2005.1.30日本放射線技術学会中国・四国部会セミナー 名古屋市立大学病院 中央放射線部 名古屋市立大学病院 中央放射線部 市川勝弘
・16列マルチスライスCTによる 冠動脈CTの画像 ・心電図同期再構成法 ・撮影手技 撮影条件,造影条件 ・画質特性 解像度,ノイズ ・シミュレーションによる描出能の検討
16列マルチスライスCTによる 冠動脈CTの画像
・16列マルチスライスCT装置 Philips社 IDT16 0.42sec/rot. ・造影剤注入器 根本 デュアルショット ・造影剤 イオパミロン370 100mlシリンジ オムニパーク300 100mlシリンジ (クジで選択) ・3Dワークステーション ZIOM900 Quadra
症例1 リハビリ中に1分程度VT : CX末梢途絶が原因か?HR64
症例2 狭心症: 明らかな狭窄なし,HR64
症例3 ゴルフ中に胸痛:明らかな狭窄なし,HR60 冠動脈れん縮狭心症
症例4 狭心症: 左主幹部90%狭窄 負荷シンチ回避 HR66
症例5 OMI: 血行問題なく,他疾患のためのOPE施行可に HR85
冠動脈評価ソフトによる評価画面
心電図同期再構成法
マルチセグメント再構成法 慶應義塾大学,心臓血管画像研究室ホームページより
1セグメント=ハーフ再構成 0.42sec/rot. ・時間分解能 0.21秒 ・1心拍中の比率 心拍57 20% 心拍78 27% (簡単のため180度で説明)
2セグメントによる再構成 0.42sec/rot. ・時間分解能 0.105秒 ・1心拍中の比率 心拍63 11% 3セグメントによる再構成 0.42sec/rot. ・時間分解能 0.69秒 ・1心拍中の比率 心拍78 9% (簡単のため180度で説明)
時間分解能の変化(IDT16の場合) 250 200 150 時間分解能 (msec) 100 50 00 50 60 70 80 90 Hart rate (bpm)
IDT16のBeat to Beat Delay アルゴリズム 75%と40%に設定した時の実際の位置 (%) 90 80 70 75% 60 40% 50 40 30 フィリップスメディカルホームページより 40 50 60 70 80 90 100 110 120 (bpm) ・R波だけを利用するのは他と変わらない (波形の他の部分は利用しない) ・心拍数に応じて,Delay timeを微調節する,単純な アルゴリズム
撮影手技 (撮影条件,造影条件)
撮影手技(手順) ※名市大病院では,前処置等を全く行っていない. 1. 寝台に寝て,両手を挙上下で心電図電極を貼る. 2. 同時に患者様に説明 3. 位置決め画像,低線量(120kv50mAs)による 5mm厚画像の撮影→造影の撮影範囲の決定目的 4.血管確保(20G留置針) 5.造影剤モニタリングの準備,再度説明(体動防止) 6.撮影 1検査時間=10分+再構成4分(2位相:40,75%)
撮影条件,造影条件 ・撮影条件 120kv 400mA 16x0.75mm Pitch:0.2 1mm厚再構成(isotropic voxel) (電流値は最高値を使用←ノイズ低減,3D画質) (心拍によらずPitchは固定← 確実性のため) ●左室で造影剤モニタリング,4sec後に撮影開始 ・造影条件 1)イオパミロン370 100ml 5ml/sec+生食30ml 2)オムニパーク300 100ml 5ml/sec+生食30ml ●今のところ有意差は認められていない.
基 本! 1.技師が「冷静に」なること. 慣れと,検査の効率化を進める(プロトコルの確立) 2.要点をおさえた,わかりやすい説明. 基 本! 1.技師が「冷静に」なること. 慣れと,検査の効率化を進める(プロトコルの確立) 2.要点をおさえた,わかりやすい説明. 不安をあたえないように注意 3.撮影時の声かけ 体動の抑制,息止めの保持(16列でも20秒間)
画質特性 (解像度,ノイズ)
心臓再構成画像のMTF 心臓用の標準関数は腹部用関数と同等の解像度 Cardiac B M T F Standard(B) 1.0 0.8 0.6 M T F 0.4 Standard(B) 0.2 0.0 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 spatial frequency (LP/mm) 心臓用の標準関数は腹部用関数と同等の解像度
ノイズ特性 同期再構成 通常再構成 frequency (cycles/mm) 65 bpmの場合,通常の約1/5の線量利用効率
シミュレーションによる描出能の検討
●MTFより基本的な描出評価 ●心カテ画像の解析 ・冠動脈の動き(移動量)の解析 ・移動量カーブの作成(複数症例) ●移動量カーブを用いた仮想CTによる再構成 ・PSF画像によるMTFの変化(?) ・ステント模擬画像による評価
MTFから求めた血管断面画像 5mm 3mm 1mm 1mm径の血管は,CT値低下し,また,内腔の評価不可
●心カテ画像の解析 専用ソフトを作成,冠動脈の移動量を取得
移動距離の変化 HR=62 HR=60 HR=75 HR=78 HR=78 HR=82 右冠動脈 左冠動脈 50(mm) 100 (%) HR=78 HR=78 HR=82 頻脈では,RCAは50%付近が適している.左75%の停止傾向はなくなる.
仮想CTプログラム 得られた移動量曲線を反映させ,心臓マルチセグメント 再構成をシミュレートする.
移動量曲線を用いた仮想CTによる再構成 (PSFによるMTFの変化) RR50% 時間分解能の向上によりMTFが 向上する. 静止 spatial frequency (LP/mm) 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 RR50% 静止 1セグメント M T F 2セグメント 1セグメント 2セグメント 時間分解能の向上によりMTFが 向上する.
シミュレーションと実画像の比較 臨床画像でも同様のスター様画像が観察できる. →シミュレーションは妥当であると考えられる.
移動量曲線を用いた仮想CTによる再構成 (PSFによるMTFの変化) 静止 spatial freq. (LP/mm) 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 静止 MTF 1セグメント 1セグメント 2セグメント 2セグメント 僅かな差はMTFで評価するのは 困難であった.(アーチファクトとMTFの相関の問題)
ステント模擬画像による評価 この例(左冠動脈)では2セグメント(100msec程度)の 時間分解能が必要である. 静止 1セグメント
ステント模擬画像による評価 この例(右冠動脈)では2セグメント(100msec程度)の 時間分解能は不十分である. 静止 1セグメント
MTFとステント模擬画像 現行 MTF1 現行 MTF2 現行のMTFでは,ややボケが大きい. 心臓CTではMTF1程度の解像は必要 spatial freq. (LP/mm) 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 MTF MTF1 MTF1 MTF2 現行 MTF2 現行のMTFでは,ややボケが大きい. 心臓CTではMTF1程度の解像は必要 ではないか.
RCA RR50%では,3セグメントでなんとか容認できる画像に 1セグメント 2セグメント 3セグメント RCA RR50%では,3セグメントでなんとか容認できる画像に 10セグメント 3セグメント 動きの速い30%付近では, 10セグメント(20msec)は必要.
HR60 この例では,かなり動きが激しく,右冠動脈が描出できなかった. (時間分解能が不足)
16列マルチスライスCTによる心臓CT まとめ ・時間分解能の理解は重要 しかし,多列化&オートマチック化で解決 まとめ ・時間分解能の理解は重要 しかし,多列化&オートマチック化で解決 ・16列CTでは,やはりまだ不十分 時間分解能の向上 解像度の向上 64列マルチスライスCTの普及が必要である. 多列化だけでなく,解像度の向上もされるべき.
ご清聴ありがとうございました.