小反芻獣疫 (PPR: peste des petits ruminants)

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小反芻獣疫 (PPR: peste des petits ruminants) 病原体: 小反芻獣疫ウイルス (PPRV) は、モ-ビリウイルス属のパラミクソウイルス科に属する。遺伝子型による分類によって PPR ウイルス株は 4 グループに分けられている: アフリカ由来が 3 グループ、アジア由来の 1 グループである。 感受性動物:  臨床症状は羊と山羊に認められる、動物園の野生小型反芻動物 (ラリスタン羊、ドルカス種のガゼル、ゲムズボック、ヌビア・アイベックス) の発生例もある。牛、水牛、ラクダ、豚は感染することはあるが、症状をほとんど示さない。 伝播と拡大: 流涙、鼻漏、流涎、軟便には多量のウイルスが含まれる。細かい感染性の小滴がそれらの分泌・排泄により大気中に放出され、特に感染動物が咳やくしゃみをする際に著しい。他の動物はこの小滴を吸い込み感染する。接触感染が最も重要な感染経路ではあるものの、感染性のものにより汚染された水や餌場や敷藁も感染源となることが疑われている。 予防法: 防除は、移動制限(検疫) と重点的 (包囲)ワクチン接種、高リスク群の予防免疫の組み合わせによって行う。ワクチン接種により少なくとも3年間、小型反芻動物を PPR から守ることができる。かつては牛疫ワクチンを代用していたが、現在では、全世界牛疫撲滅計画を遂行する際の牛疫抗体調査を混乱させるため使用禁止となっている。 動衛研 JICA

山羊の小反芻獣疫(PPR) ↓ 眼と鼻から分泌される粘稠物質: 感染が進むと鼻と眼から分泌物が出る:被毛が濡れており、乾いた粘稠性分泌物によって両眼瞼が接着、鼻孔は部分的に閉塞している。 ↑ 眼の粘膜の炎症(発赤): 感染初期に眼の粘膜(結膜)が赤くなっているところ。粘稠性の分泌物に注目。

↓ 鼻炎と結膜炎による、鼻口部と眼瞼部の乾燥した浸出物 ↓ 鼻炎と結膜炎による、鼻口部と眼瞼部の乾燥した浸出物 Dried exudate on the muzzle and around the eye resulting from rhinitis and conjunctivitis. ↑ 舌と咽頭の上皮の壊死(白色部分) Necrosis (whitish areas) of the epithelium on the tongue and pharynx.

↓ 口部病変の後期: 口内の粘膜表面は厚いチーズ様の物質で完全に覆われている。表面の死んだ細胞の下には浅い糜爛が認められる。 ↑ 口部病変の初期: 死んだ細胞の付着が認められる。初期の、褪色した灰色っぽい死んだ細胞が歯茎を覆っている。

↓ 口部周辺の腫瘤状の病変: 感染後期に頻繁に認められる腫瘤 ↑ 腫脹しただれた唇: 唇が腫脹し、浮腫状で、糜爛も認められる。

小反芻獣疫の主要徴候 突然の発熱(潜伏期:4~7日) 流涙、鼻漏、流涎、口周辺の痂皮や腫瘤を伴う口部のただれ 肺炎 下痢 かなりの死亡率 下痢症状: 後肢・臀部が液状の便で汚れている。 便は始めは軟便で、次第に水様となり、悪臭を放ち、縞状に血液が混じったり、壊死した消化管組織が混じっていたりすることがある。

剖検時の所見 大腸の「シマウマ模様」: 出血が線状に盲腸及び結腸内壁の襞の尾根部分の線状出血に注目。後に個々の出血が合体し、死後には黒くなる。

RECOGNIZING PESTE DES PETITS RUMINANTS: ↓ 羊のPPR:進行した肺炎の例: 後葉および心臓葉の著しく暗赤色/紫色に変化した、触ると硬い部分に注目。2次感染によるものであり、Pasteurella haemolyticaによる場合が多い。 ↑ 肺炎の初期病変: 肺組織の小型の赤く硬くなった部分に注意。 RECOGNIZING PESTE DES PETITS RUMINANTS: A field manual

アフリカとアジアの小型反芻動物が重要な食料生産要素となっている地域で重要度の増している疾病である。本病は、新たに侵入した地域においては、より重篤な症状をもたらすものと思われる。 PPR ウイルス感染分布推定図 2007 1-6 2007 7-12

Event summary: Peste des petits ruminants, China (People's Rep. of) Start of event Confirmation Report date Submission date Reason This event pertains to Number of outbreaks Date resolved Continuing Species 20/07/2007 25/07/2007 27/07/2007 First occurrence a defined zone within the country 4 Continuing Goats China (People's Rep. of) has submitted the following immediate notification and follow-up report (s) to OIE. View Report Date Date submitted to OIE Report Type Full report 27/07/2007 27/07/2007 Immediate Notification Full report 16/08/2007 17/08/2007 Follow-up Report 1 Full report 24/08/2007 24/08/2007 Follow-up Report 2 Full report 13/09/2007 13/09/2007 Follow-up Report 3 Full report 25/09/2007 25/09/2007 Follow-up Report 4 Full report 17/10/2007 17/10/2007 Follow-up Report 5

Cases Deaths Destroyed fatality rate Immediate notification Follow-up report No. 1 Follow-up report No. 2 Follow-up report No. 3 Follow-up report No. 4 Follow-up report No. 5 821 3290 1444 196 292 778 489 67 2494 6379 955 129 35.57% 23.65% 33.86% 34.18% There are no new outbreaks in this report Source of the outbreak(s) or origin of infection Unknown or inconclusive Measures applied Control of wildlife reservoirs Stamping out Movement control inside the country Screening Zoning Disinfection of infected premises/establishment(s) No vaccination No treatment of affected animals Measures to be applied Vaccination in response to the outbreak (s)

チベットでは、ヤクの乳から取ったバターを灯明に用いたり、塩とともに茶に溶かしたバター茶が飲まれている。また、チーズも作られている。 2008 1-6 チベットでは、ヤクの乳から取ったバターを灯明に用いたり、塩とともに茶に溶かしたバター茶が飲まれている。また、チーズも作られている。

ヤクは、中国のチベット自治区のほか、青海省、四川省、雲南省でも多数飼育されている。国境地帯で封じ込めることに、全力を注いでいると思われる・・・・・。 国境地帯において国境警備軍とともに活動する獣医師・・・・。あなたは、国を護る意識がありますか? 国境警備を十分に果たせない発展途上国が多いことから、国際機関による伝染病防圧の協力が欠かせない。その一員に加わった鹿大の先輩もいる。

特集 高病原性鳥インフルエンザ(HPAI) 予防法: 防除は、移動制限(検疫)と重点的 (包囲)ワクチン接種、高リスク群の予防免疫の組み合わせによって行う。 Control of PPR outbreaks relies on movement control (quarantine) combined with the use of focused ("ring") vaccination and prophylactic immunization in high-risk populations. Ring vaccination: The vaccination of all susceptible individuals in a prescribed area around an outbreak of an infectious disease. Ring vaccination controls an outbreak by vaccinating and monitoring a ring of people around each infected individual. The idea is to form a buffer of immune individuals to prevent the spread of the disease. 国連による痘瘡撲滅計画 続インフルエンザ時計(PPT) 続インフルエンザ時計(文章) 特集 高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)

established by FAO’s Director General in 1994 非常事態阻止システム(EMPRES)の四つの主要な役割 早期警戒: 主として疫学的広域調査に基づいた全ての病気に対する率先した取り組みであり、病気や感染症の分布に関する警戒と知識を深めることになり、発生の更なる進展を予測できる可能性がある。 初期対応:  迅速かつ効果的な封じ込めに的を絞り、病気の発生の排除に導き、その結果として、深刻な流行に発展するのを阻止するあらゆる活動を意味する。これには、不測の事態への計画と非常事態への準備が含まれる。 連携:  たとえば、牛疫などの特定された動物疾病の世界的な撲滅、すなわち、「牛疫撲滅世界計画(Global Rinderpest Eradication Programme)」を通した連携、あるいは、国境を越えて流行する疾病の撲滅のための地域における率先した取り組みの奨励を含む。 研究推進:  問題解決に向けた直接的な研究活動におけるFAOと中核的研究機関との間の協力を強化するためのEMPRESの主要な要素である。 Emergency Prevention System (EMPRES) for Transboundary Animal and Plant Pests and Diseases: established by FAO’s Director General in 1994

EMPRES INFORMATION RESOURCES Diseases... EMPRES INFORMATION RESOURCES African Swine Fever (ASF) Anthrax Bluetongue Brucellosis Classical Swine Fever (CSF) Contagious Bovine Pleuropneumonia (CBPP) Contagious Caprine Pleuropneumonia (CCPP) Foot and Mouth Disease (FMD) Haemorrhagic Septicaemia Highly Pathogenic Avian Influenza (VAI) (Fowl plague) Lumpy Skin Disease (LSD) Peste des Petits Ruminants (PPR) Porcine reproductive and respiratory syndrome (PRRS) Rift Valley fever (RVF) Rinderpest

International Portal on Food Safety, Animal & Plant Health Major outbreak of African Swine Fever threatens food security in Cape Verde International Portal on Food Safety, Animal & Plant Health MANUAL ON THE PREPARATION OF AFRICAN SWINE FEVER CONTINGENCY PLANS

2006 1-6 2006 7-12 2007 1-6 2007 7-12 2008 1-6