経済情報入門Ⅱ(三井) 公共事業と社会保障
1 費用便益分析-公共事業の評価方法- <私的プロジェクトと公的プロジェクト> プロジェクトの採否の基準 = 『便益>費用 ⇒ 採択』 1 費用便益分析-公共事業の評価方法- <私的プロジェクトと公的プロジェクト> プロジェクトの採否の基準 = 『便益>費用 ⇒ 採択』 & 『便益<費用 ⇒ 不採択』 私的(な財の供給)プロジェクト ⇒ 市場メカニズム 公的(な財の供給)プロジェクト ⇒ 政治的プロセス
1 費用便益分析-公共事業の評価方法- <政治的プロセスと費用便益分析> 費用便益分析 = 公的プロジェクトの便益と費用を評価 1 費用便益分析-公共事業の評価方法- <政治的プロセスと費用便益分析> 費用便益分析 = 公的プロジェクトの便益と費用を評価 ⇒ その政治的プロセスに参考情報を提供 費用の評価=相対的に容易 便益の評価=相対的に困難
1 費用便益分析-公共事業の評価方法- <道路整備の例-費用と便益の評価方法-> 道路建設の「費用」 1 費用便益分析-公共事業の評価方法- <道路整備の例-費用と便益の評価方法-> 道路建設の「費用」 ⇒ コンクリートの市場価格などを用いて評価 時間節約や安全性向上の「便益」 ⇒ 「市場類似法」などの間接的な方法で評価
市場類似法の2つの例 <時間節約の価値> 道路や鉄道の整備により移動時間を短縮できることにより経済主体が得る便益 <人命の価値> 安全性を高める事業が死亡確率を低下させることの便益
<時間節約の価値> 新しい道路整備のもたらす2つの便益 ⇒ その道路利用による移動時間短縮の便益 既存道路利用による移動時間短縮の便益 ← 交通需要のシフト
問題1 1時間30分 個人2の時給=3000円 2時間 道路A 個人2 個人1の時給=2000円 1時間 2時間 個人1 道路B
問題1(続き) <個人1について> 節約時間=1時間 時給=2000円 ⇒ 時間節約の便益=?円
問題1(続き) <個人1について> 節約時間=1時間 時給=2000円 ⇒ 時間節約の便益=2000円×1=2000円
問題1(続き) <個人1について> 節約時間=1時間 時給=2000円 ⇒ 時間節約の便益=2000円×1=2000円 <個人2について> ⇒ 時間節約の便益=2000円×1=2000円 <個人2について> 節約時間=0.5時間 時給=3000円 ⇒ 時間節約の便益=?円
問題1(続き) <個人1について> 節約時間=1時間 時給=2000円 ⇒ 時間節約の便益=2000円×1=2000円 <個人2について> ⇒ 時間節約の便益=2000円×1=2000円 <個人2について> 節約時間=0.5時間 時給=3000円 ⇒ 時間節約の便益=3000円×0.5=1500円
<人命の価値> 逸失所得法(forgone earning method) ⇒ 将来所得の割引現在価値 ⇒ 将来所得の割引現在価値 消費者購買調査(consumer purchase studies) ⇒ エアバック価格と死亡確率の低下との関係 労働市場調査(labor market studies) ⇒ 死亡リスクが大きい仕事に要求される代償
<人命の価値> 逸失所得法(forgone earning method) ⇒ 将来所得の割引現在価値 ⇒ 将来所得の割引現在価値 消費者購買調査(consumer purchase studies) ⇒ エアバック価格と死亡確率の低下との関係 労働市場調査(labor market studies) ⇒ 死亡リスクが大きい仕事に要求される代償
問題2 <交通事故で死亡する確率> エアバックなし=1,000万分の1 (1kmあたり) エアバックなしのときの死亡確率=1,000分の1 エアバックありのときの死亡確率=10,000分の1 エアバックの価格= 9万円 (エアバックの耐用年数=1年) <死亡確率が低下することの便益> 1年の間に自動車運転中に死亡する確率が 1,000分の1から10,000分の1に低下することの便益 =(少なくとも)?円
問題2 <交通事故で死亡する確率> エアバックなし=1,000万分の1 (1kmあたり) エアバックなしのときの死亡確率=1,000分の1 エアバックありのときの死亡確率=10,000分の1 エアバックの価格= 9万円 (エアバックの耐用年数=1年) <死亡確率が低下することの便益> 1年の間に自動車運転中に死亡する確率が 1,000分の1から10,000分の1に低下することの便益 =(少なくとも)9万円
問題2 <交通事故で死亡する確率> エアバックなし=1,000万分の1 (1kmあたり) エアバックなしのときの死亡確率=1,000分の1 エアバックありのときの死亡確率=10,000分の1 エアバックの価格= 9万円 (エアバックの耐用年数=1年) <死亡確率が低下することの便益> 1年の間に自動車運転中に死亡する確率が 1,000分の1から10,000分の1に低下することの便益 =(少なくとも)9万円
問題3 個人=問題2のような購買行動 ある橋を毎日通過する個人の数=10,000人 <橋の中央分離帯を整備するプロジェクト> 個人が1年間に遭遇する死亡事故の確率が 1,000分の1から10,000分の1に低下 <この橋で1年間に生じる死亡事故の期待値> 中央分離帯整備前=?人
問題3 個人=問題2のような購買行動 ある橋を毎日通過する個人の数=10,000人 <橋の中央分離帯を整備するプロジェクト> 個人が1年間に遭遇する死亡事故の確率が 1,000分の1から10,000分の1に低下 <この橋で1年間に生じる死亡事故の期待値> 中央分離帯整備前=10人
問題3 個人=問題2のような購買行動 ある橋を毎日通過する個人の数=10,000人 <橋の中央分離帯を整備するプロジェクト> 個人が1年間に遭遇する死亡事故の確率が 1,000分の1から10,000分の1に低下 <この橋で1年間に生じる死亡事故の期待値> 中央分離帯整備前=10人 中央分離帯整備後=?人
問題3 個人=問題2のような購買行動 ある橋を毎日通過する個人の数=10,000人 <橋の中央分離帯を整備するプロジェクト> 個人が1年間に遭遇する死亡事故の確率が 1,000分の1から10,000分の1に低下 <この橋で1年間に生じる死亡事故の期待値> 中央分離帯整備前=10人 中央分離帯整備後= 1人
問題3 個人=問題2のような購買行動 ある橋を毎日通過する個人の数=10,000人 <橋の中央分離帯を整備するプロジェクト> 個人が1年間に遭遇する死亡事故の確率が 1,000分の1から10,000分の1に低下 <この橋で1年間に生じる死亡事故の期待値> 中央分離帯整備前=10人 中央分離帯整備後= 1人 <中央分離帯整備事業の効果> 中央分離帯の整備による個人の便益=?円
問題3 個人=問題2のような購買行動 ある橋を毎日通過する個人の数=10,000人 <橋の中央分離帯を整備するプロジェクト> 個人が1年間に遭遇する死亡事故の確率が 1,000分の1から10,000分の1に低下 <この橋で1年間に生じる死亡事故の期待値> 中央分離帯整備前=10人 中央分離帯整備後= 1人 <中央分離帯整備事業の効果> 中央分離帯の整備による個人の便益=?円
問題3 個人=問題2のような購買行動 ある橋を毎日通過する個人の数=10,000人 <橋の中央分離帯を整備するプロジェクト> 個人が1年間に遭遇する死亡事故の確率が 1,000分の1から10,000分の1に低下 <この橋で1年間に生じる死亡事故の期待値> 中央分離帯整備前=10人 中央分離帯整備後= 1人 <中央分離帯整備事業の効果> 中央分離帯の整備による個人の便益=9万円
問題3 個人=問題2のような購買行動 ある橋を毎日通過する個人の数=10,000人 <橋の中央分離帯を整備するプロジェクト> 個人が1年間に遭遇する死亡事故の確率が 1,000分の1から10,000分の1に低下 <この橋で1年間に生じる死亡事故の期待値> 中央分離帯整備前=10人 中央分離帯整備後= 1人 <中央分離帯整備事業の効果> 中央分離帯の整備による個人の便益=9万円 人命の価値=?円
問題3 個人=問題2のような購買行動 ある橋を毎日通過する個人の数=10,000人 <橋の中央分離帯を整備するプロジェクト> 個人が1年間に遭遇する死亡事故の確率が 1,000分の1から10,000分の1に低下 <この橋で1年間に生じる死亡事故の期待値> 中央分離帯整備前=10人 中央分離帯整備後= 1人 <中央分離帯整備事業の効果> 中央分離帯の整備による個人の便益=9万円 人命の価値=9万円×10,000人÷?人
問題3 個人=問題2のような購買行動 ある橋を毎日通過する個人の数=10,000人 <橋の中央分離帯を整備するプロジェクト> 個人が1年間に遭遇する死亡事故の確率が 1,000分の1から10,000分の1に低下 <この橋で1年間に生じる死亡事故の期待値> 中央分離帯整備前=10人 中央分離帯整備後= 1人 <中央分離帯整備事業の効果> 中央分離帯の整備による個人の便益=9万円 人命の価値=9万円×10,000人÷?人
問題3 個人=問題2のような購買行動 ある橋を毎日通過する個人の数=10,000人 <橋の中央分離帯を整備するプロジェクト> 個人が1年間に遭遇する死亡事故の確率が 1,000分の1から10,000分の1に低下 <この橋で1年間に生じる死亡事故の期待値> 中央分離帯整備前=10人 中央分離帯整備後= 1人 <中央分離帯整備事業の効果> 中央分離帯の整備による個人の便益=9万円 人命の価値=9万円×10,000人÷(10人-1人)=?円
問題3 個人=問題2のような購買行動 ある橋を毎日通過する個人の数=10,000人 <橋の中央分離帯を整備するプロジェクト> 個人が1年間に遭遇する死亡事故の確率が 1,000分の1から10,000分の1に低下 <この橋で1年間に生じる死亡事故の期待値> 中央分離帯整備前=10人 中央分離帯整備後= 1人 <中央分離帯整備事業の効果> 中央分離帯の整備による個人の便益=9万円 人命の価値=9万円×10,000人÷(10人-1人)=1億円
費用便益分析のまとめ 公共事業を民営化して市場メカニズムに任せることには限界があるので、その採否の決定は政治的プロセスに頼らざるを得ない。 政治的プロセスを支援する手段の一つとして費用便益分析の利用は、そのプロセスの透明性を高める観点からも増加するであろう。 費用便益分析における「市場類似法」などの間接的評価方法に対する理解の重要性も高まるであろう。
2 賦課方式の公的年金制度 -日本の社会保障制度- 2 賦課方式の公的年金制度 -日本の社会保障制度- 医療保険制度 介護保険制度 公的年金制度
2 賦課方式の公的年金制度 -日本の社会保障制度- 2 賦課方式の公的年金制度 -日本の社会保障制度- <社会保険制度の分類>
2 賦課方式の公的年金制度 -日本の社会保障制度- 2 賦課方式の公的年金制度 -日本の社会保障制度- <社会保険制度の分類>
<日本の公的年金制度> 時間が余ったら最後に詳しく説明
<確定給付型公的年金制度と人口変化モデル>
身近な賦課方式的な仕組の例 <高校サッカー部における賦課方式(3年生は引退) > 2年生は1年生からユニホームを週2回洗濯してもらう ⇒ 年金給付(確定給付型) 1年生が3年生のユニホーム洗濯する ⇒ 保険料の支払 1年生の毎週洗濯する回数: サッカー部の各学年の部員数が同じ場合の回数=?
身近な賦課方式的な仕組の例 <高校サッカー部における賦課方式(3年生は引退) > 2年生は1年生からユニホームを週2回洗濯してもらう ⇒ 年金給付(確定給付型) 1年生が3年生のユニホーム洗濯する ⇒ 保険料の支払 1年生の毎週洗濯する回数: サッカー部の各学年の部員数が同じ場合の回数=2回
身近な賦課方式的な仕組の例 <高校サッカー部における賦課方式(3年生は引退) > 2年生は1年生からユニホームを週2回洗濯してもらう ⇒ 年金給付(確定給付型) 1年生が3年生のユニホーム洗濯する ⇒ 保険料の支払 1年生の毎週洗濯する回数: サッカー部の各学年の部員数が同じ場合の回数=2回 サッカー部の各学年の部員数が倍増する場合の回数=?
身近な賦課方式的な仕組の例 <高校サッカー部における賦課方式(3年生は引退) > 2年生は1年生からユニホームを週2回洗濯してもらう ⇒ 年金給付(確定給付型) 1年生が3年生のユニホーム洗濯する ⇒ 保険料の支払 1年生の毎週洗濯する回数: サッカー部の各学年の部員数が同じ場合の回数=2回 サッカー部の各学年の部員数が倍増する場合の回数=1回
様々な賦課方式的な仕組 家計に受け継がれた親孝行の伝統 会社の年功序列制度(勤続年数⇒昇進) ねずみ講(無限連鎖講)=極端な賦課方式 自社株売却益の利益への計上(投資事業組合) 貨幣(シニョレッジ=貨幣発行益)
団塊の世代 皆さんの世代
賦課方式の公的年金制度のまとめ 賦課方式の年金制度では、世代間の人口分布に大きな差がある場合には、世代間で公的年金の収益率に格差を生じさせる。 前の世代より人口の多い世代は公的年金の収益率が高く( 団塊の世代)、前の世代より人口の少ない世代の公的年金の収益率は低くなる(若者世代)。 急激な少子高齢化 ⇒ 年金制度改革の必要性
<日本の公的年金制度> 時間が余ったら最後に詳しく説明