2013年春合宿資料 vol.1 『ぎっくり』されたあなたへ 自治医科大学医学部5年(予定) 奥山博仁
症例 【症例】 23歳男性 【現病歴】 2012年3月に急性腰痛のため整形外科通院歴のある男性。2013年2月、幅跳びの着地の際に腰部に激痛を自覚した。痛みのために1時間起立不能となった。
ぎっくり腰とは?
欧米では魔女の一撃 Hexenschussと呼ばれます
その瞬間、立ち上がれなくなる。 H.Okuyama 1989-
いろんなときになります
わたしは、幅跳びした時になりました。
ぎっくり腰は広い概念 急性腰痛 椎間板ヘルニア 脊椎圧迫骨折 腰部脊柱管狭窄症 脊椎すべり症 悪性腫瘍 化膿性脊椎炎 筋・筋膜性腰痛(非特異的腰痛) 腰椎椎間関節捻挫
ぎっくり腰 ・強烈なわりに予後が良好 ・1週間で約半数 ・2週間から1か月で約9割が回復 ・家庭医を受診した急性腰痛患者の70%が診断不能で 予後が良好(器質的異常を認めない) ・ヘルニアや圧迫骨折などの疾患が約15% ・癌や感染症が原因となるのは1%以下 ←筋・筋膜性腰痛が多いので What can the history and physical examination tell us about low back pain ? JAMA 268: 760‑765, 1992)
ぎっくり腰になったら 大阪市医師会より
急に起こったら 厚生労働省より
ぎっくり腰になったら 場所によっては立ち上がることが至上命題 グラウンドで起き上がれないと凍死する。
外で起こったら 厚生労働省より
少し楽になったら 厚生労働省より
あのときの僕を思い出してください。
症例 1時間ほど左側胸膝位の後、投擲ネットにつかまりながら起立することができた。すぐさまウインドブレーカーを腰部に巻きつけることで歩行が可能になった。
ポイント 腰にさらし・コルセット・上着などを巻きつけて腹圧をかけることで起立歩行が可能になります (H.Okuyama 2013.2)
立ち上がったら 頑張ってベッドに横になりましょう。
症例 受傷が土曜日午後であったこと、前回受傷時と似た症状であったため、アセトアミノフェンとアイシングのものベット上安静とし、経過を観察していた。 また、この時膀胱直腸障害や自覚的な神経障害(動かせない、感覚異常)は認められなかった。 神経学的所見が認められた場合、救急外来を受診しましょう。
横になったら基本はRICEですが とりあえずは冷やして、 2日程度は安静で、動けるようになったら整形外科へ。 ここら辺に興味がある方はおくやまが個別対応します。
ひやしかた 何で冷やす? 氷を利用するのがベスト(アイスバック)
ひやしかた (2) 冷やす時間は? 1回につき20分
ひやしかた (3) どうやって冷やす? アイスパックを直接肌にあてる方法が最も効果的です。
(4) いつ冷やすの? ひやしかた StageⅠ~Ⅱ(発生直後から72時間まで) StageⅢ(発生後3日~5日) いまでしょ StageⅠ~Ⅱ(発生直後から72時間まで) 90分から120分間隔で繰り返します。 StageⅢ(発生後3日~5日) 動いた後や入浴後、寝る前、腰に熱感を感じた時などに行うとよいでしょう。
起き上がらないといけないとき 1. ベッドから起き上がる ※ お腹に力を入れることは良いですが、腹筋や背筋を使わず起き上がるようにします (1) 横向きになります (2) 両腕でマットを押し、上半身を起こします (3) 同時にひざ下を床に降ろしていきます (4) 足が床に付いたら、ゆっくりおしりをマットから持ち上げます(膝に両手を置くと楽) (5) 最後に上体を起こします そんなこんなで、できるだけはやく整形外科に行って除外診断してもらいましょう
症例 日曜診療を行っている近医にて腰部Xp撮影し、腰椎すべり症や腰椎分離を否定された。ミオナール(筋弛緩薬)、カロナール(NSAIDs)処方され、疼痛が軽減してから再診となった。 また、かかりつけの鍼灸整骨院で鍼灸治療を併用し、2日に1回の割合で通院している。
整形外科では 簡単な検査(レントゲン程度)を行います。 ヘルニアはレントゲンではわかりません。 痛みが改善してから再診します。 痛みの具合 改善→経過観察 改善なし・悪化→MRI撮影等精査へ わかるorわからない
整骨院では 鍼治療を行ってくれるところが多いです。 急性腰痛に対する鍼治療には疼痛期間軽減のエビデンスがあるそうです。
ぎっくり腰を予防ポイント ゆがみ 筋緊張 腹筋力
ゆがみ
ゆがみ
ゆがみ
緊張度
緊張度
腹筋力
詳しいエクササイズについては 『介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ (厚生労働省)』 を参照してください。
Take Home Message ぎっくり腰は1週間程度で日常に戻れる 良性のものがほとんどである 初期治療は安静と冷却である 骨格的異常を含め整形外科を受診すること 疼痛に対しては鍼灸等東洋医学的アプローチを試してみる価値はある 予防法に関しては厚生労働省からでている
みなさん、よいお腰を。