リスク管理マニュアル(詳細版) 2015年7月.

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リスク管理マニュアル(詳細版) 2015年7月

目次 はじめに 主旨 想定される主な価格変動リスク リスクヘッジをしていなかったために倒産した事例 リスクヘッジの意義 リスクマネジメントの重要性 価格ヘッジリスクのマネジメント 東京商品取引所商品ラインナップ リスクヘッジ手段の概要 留意事項 TOCOMの主な利用方法 概観 (P16) クラック・スプレッド (P18) 限月間スプレッド (P42) 在庫ヘッジ (P50) 現物調達 (P57) 現物売却 (P62) ・・・・・・ 2 3 4 5 6 7 8 10 11 13 16 ヘッジ取引実施ステップ ヘッジ取引に必要となる社内体制 ヘッジ会計 TOCOMの参加方法 (参考)TOCOMの実績 ・・・・・・ 69 70 71 72 75

はじめに 株式会社東京商品取引所(TOCOM)は、1999年に石油市場、2010年に中京石油市場を開設し、価格変動リスク・ヘッジ手段、価格指標、現物の受渡機能の提供といった原油や石油製品の産業インフラとしての重要な役割を担ってまいりました。 本資料は、ヘッジ取引、現物の調達・売却について焦点を当て、石油当業者の皆様 が、TOCOM市場を活用するに当たって参考となるような代表的な活用事例を纏めた ものです。

主旨 近年、原油及び、石油製品の価格変動が激しさを増しており、企業の収益に大きな影響を及ぼしている。 当該リスク管理マニュアルでは、価格変動リスクを理解し、管理することで、リスクを回避または軽減させ、企業の収益を安定化させることを目的としている。 石油商品におけるリスクと対応 価格変動リスク マーケット価格が変動することで、調達価格と販売価格がそれぞれ時間の経過とともに変動するため、調達時点と販売時点の時差により、当初期待していた収益が得られなくなる可能性がある。 つまり、石油商品は損益の不確実性を含む特性を持っており、調達した直後から価格変動リスクにさらされ、販売されるまでの間、在庫についても評価益または評価損が発生することになる。 リスクヘッジ 商品先物取引が持つ最も大きな役割は、価格変動リスクに対する保険機能である。商品先物市場を利用し、現物とは逆のポジションの商品先物を持つことで、将来起こり得る現物価格の変動リスクに対してヘッジを掛けることができる。このように、リスクを回避または軽減させ、収益の安定化を図ることがヘッジ取引の目的である。 商品先物取引 における 主なヘッジ手段 調達コストの固定化 将来、調達コストが上昇するリスクをヘッジするために、現時点の価格で将来の商品の調達コストを固定化するための取引。 販売価格の固定化 将来、マーケット価格が下落するリスクをヘッジするために、現時点の価格で将来の商品の売却収入を固定化するための取引。 在庫評価損益の固定化 将来、マーケット価格が下落するリスクをヘッジするために、現物の損失を商品先物の利益で相殺するための取引。

想定される主な価格変動リスク 石油関連商品における価格変動リスクの発生事象は、「調達コストの上昇」「マーケット価格の下落」の2つの局面が挙げられる。 石油商品におけるリスク 発生事象 発生リスク 調達コストの上昇 仕入れ価格上昇 仕入れ価格上昇により採算確保が困難となり、経常収支が逼迫する。 場合によっては製品確保が困難となる。 マーケット価格の下落 販売価格下落 単価の減少による売上高の減少および採算確保が困難となり、経常収支が逼迫する。 在庫評価損発生 在庫評価損により債務超過に陥ると、与信の低下により資金繰りが悪化する。 場合によっては上場廃止となる。

リスクヘッジをしていなかったために倒産した事例 調達コスト上昇、在庫評価損により倒産に至った石油関連業界の事例は以下である。 業界 企業概要 倒産事由 詳細 倒産時期 流通 Y社 【事業内容】 LPG、石油製品、住宅設備機器の販売 【売上高】 約50億円 (2008年3月期) 在庫評価損 2009年、仕入れ価格から乖離した採算割れの在庫を多く抱え、在庫評価損計上から約4億円の赤字に転落。 その後、不採算部門の譲渡などにより効率化を進めるも、2013年3月期に再び在庫評価損計上から債務超過に陥ると資金繰りが破綻。 2013年10月 負債総額 約19億円 小売 K社 【事業内容】 ガソリンスタンドを中心に、フィットネスクラブなどを経営 【売上高】 約150億円 (2008年7月期) 調達コスト上昇 固定資産偏重の財務内容だったため、燃料価格の高止まりにより採算確保が苦しくなると資金繰りが逼迫し、燃料の確保が困難となった。 2008年10月 負債総額 約103億円 S社 【事業内容】 ガソリンスタンド経営 【売上高】 約50億円 (2008年3月期) 調達コスト上昇 最盛時には15店舗を設けていたが、原油市場の高騰から粗利益率が低下し、2010年3月期の売上高が約30億円にまで落ち込んだこともあり、経常赤字に転落。 過年度の累積損失により債務超過に陥る中、関係会社への資金負担も重く、厳しい資金状況が続いていた。 2013年10月 負債総額 約35億円

リスクヘッジの意義 リスクヘッジの意義は、原油やガソリン、灯油の価格変動による利益の減少や在庫評価損などの企業の収益を圧迫するリスクに対して予めヘッジ手段を講じることである。 リスクによる損失の発生イメージ リスクヘッジ手段 先物買建による調達コストの固定化を実施 固定販売価格契約締結時に、該当の現物と値動きが相関する先物商品を買いポジションで保有 現物販売時に、保有しているポジションの「①売り戻し」をして商品先物取引の売買益を現物の売買の損失に充てる。または、「②受渡」で現物の受け取りを行ない契約締結時の先物価格を調達コストとする 先物買建と先物売建の組み合わせによる調達コストの固定化を実施 将来販売を予定している商品の先物の売りポジションと、異なる商品(主に原油)先物の買いポジションを組み合わせて保有 現物販売時に、保有しているポジションの「買い戻し」「売り戻し」をした先物取引の売買益を、現物の精製コストの損失に充てる 仕入れ価格上昇 (価格) 調達コスト上昇による損失の発生 販売時点の 調達コスト 固定価格 調達コスト上昇 当初 調達コスト 契約によって締結した固定販売価格 販売契約 締結時の 調達コスト 仕入れ 販売 マーケット価格下落 販売価格下落 (価格) マーケット価格下落による損失の発生 販売時点の マーケット価格 下落幅 先物売建による販売価格の固定化を実施 仕入れ時に、在庫と値動きが相関する先物商品を売りポジションで保有 現物販売時に、保有しているポジションの「①買い戻し」をして商品先物取引の売買益を現物の売買の損失に充てる。または、「②受渡」で現物を引き渡すことで仕入れ時の先物価格を販売価格とする 在庫価格 調達済み 在庫額 マーケット価格 当初仕入れ時のマーケット価格 仕入れ 販売 マーケット価格下落による評価損の発生 在庫評価損発生 (価格) 期末時点の マーケット価格下落による評価損幅 先物売建による在庫評価損益の固定化を実施 仕入れ時に、在庫と値動きが相関する先物商品を売りポジションで保有 現物販売または、期末評価時に、「買い戻し」をした商品先物取引の売買益と現物の評価損または、商品先物の「時価評価差益」と現物の評価損を相殺する 在庫 (取得原価) 調達時点の在庫額 在庫 (評価額) 期末時点の 在庫評価額 仕入れ 期末評価

リスクマネジメントの重要性 リスクマネジメントに関する法令の整備 ・会社法  2006年5月に施行された会社法により、リスクマネジメントに関する内部統制システムの構築が取締役(会)の 専決事項とされ(会社法348条3項4号、362条4項6号)、大会社(資本金5億円以上もしくは負債総額200億円 以上の株式会社)については、 内部統制システムに関する体制の整備ついて決議を行うことが義務づけられた (会社法348条4項、362条5項)。 ※なお、委員会設置会社(社外取締役を中心として構成される3つの委員会(指名、監査、報酬)を設け、これらの委員会に会社経営の意思決定を行わせる組織形態を持つ会社)については、大会社ではない場合にも内部統制システムに関する体制の整備について取締役会で決定することが義務づけられている(416条1項1号ホ・2号)。 ・金融商品取引法  2008年4月1日以降に開始する事業年度から、上場会社に対して、財務報告の適正性を確保するために必要な体制が会社に整っているかを評価した内部統制報告書を提出することが義務づけられ(金商法24条の4の4第1項)、この報告書は監査証明を受けなければならないとしている(金商法193条の2第2項)。 内部統制システムに関する体制の一つとして 「損失の危険の管理に関する規程その他 の体制(会社法施行規則第98条ほか)」の 整備 会社法 金商法 ⇒ つまり、企業がビジネス上、取扱っている原材料やエネルギー等の価格変動によってもたらされる損失の危険の管理に関する内部統制(=リスク管理体制)の整備も対象となる。 リスクマネジメントに係る ・内部統制システムに関する体制の整備 ・内部統制報告書の提出義務

価格ヘッジリスクのマネジメント(1/2) 取扱商品の価格変動による企業収益への影響 期待される将来の企業収益の値が同じであっても株式市場では企業価値としてはA社の方が高く評価される傾向にある。 なぜなら、投資家は危険回避的であるため、同じ期待値であってもより確実性の高い投資先を選好するから。 したがって、経営者としては適切にリスク管理を行うことで、収益のブレを小さくして安定的な収益を確保することが求められる。 (求められる収益構造:B社型からA社型へ)

価格ヘッジリスクのマネジメント(2/2) リスク・ヘッジとは? 企業の収益を安定化する事により、企業 価値を向上させる リスク・ヘッジの効果 リスク・ヘッジとは? 企業の収益を安定化する事により、企業 価値を向上させる   ⇒収益期待値は同じでもより安定性をヘッジ により高める(危険回避的な投資家に対応) 安定的な事業環境を提供する   ⇒ダウンサイド・リスク*を低減(収益期待値は ヘッジ有がヘッジ無を上回る) ・財務的倒産状態の確率を下げることで回収不能 原価の発生を回避 ・企業の債務の借入れ可能額を増やすことができる ・取引先に対して事業の安定性を提供する ・雇用者に対して安定的な雇用環境を提供する 確率分布 企業収益 期待収益 リスク・ヘッジを行った後の事業収益の期待曲線 リスク・ヘッジを行う前の 事業収益の期待曲線 Debt 財務的倒産状態 ダウン・サイドの確率を最小化 アップ・サイドの利益を安定化 ダウンサイドリスク ダウンサイドリスクの発生を 考慮すると実際の損失は想定よ り大きくなるので、収益期待値は ヘッジ有りがヘッジ無を上回る (*)ダウンサイド・リスクにより発生する付加的なコストの例   ・格付け低下による借入金利上昇   ・業績不振による取引先との取引条件の悪化   ・業績不振による人材の流失・従業員のモラールの低下 など

東京商品取引所商品ラインナップ 東京商品取引所では、以下の石油関連商品を取り扱っている。 ■東京商品取引所上場商品(石油関連商品) 限月 取引単位 受渡単位 現物受渡 納会日 清算・決済 原油 ドバイ原油 6限月制 50kl/枚 100kl(2枚) 不可 当月限の前月25日 (当日が休業日に当たる時は、順次繰り上げ) 非当業者による取引は、前月15日迄 日本商品精算機構 ガソリン 東京バージガソリン 可 中京ローリーガソリン 10kl/枚 灯油 東京バージ灯油 中京ローリー灯油 軽油 東京バージ軽油 ■商品間スプレッド(クラック・スプレッド)シリーズ 組み合わせ ドバイ原油 東京バージ ガソリン 灯油 軽油 中京ローリー 番限 - ● × 同一の番限同士の組み合わせのみ可 (e.g. 1番限-1番限、2番限-2番限など、各組合せで6シリーズを提供)

異なる商品間価格差(一方は買い、もう一方は売りポジション)保有 リスクヘッジ手段の概要(1/2) 主なリスクヘッジ手段は、買いポジションから入る「調達コストの固定化」と、売りポジションから入る「販売価格の固定化」「在庫評価損益の固定化」がある。 リスクヘッジ手段 オペレーション概要 調達コスト の固定化 先物買建 買いポジション保有 →売り戻して決済 3ヶ月後にガソリンを購入する予定の時、将来の製品市況の予測が上昇または現状維持の場合、先物取引で3ヶ月後の限月の買いポジションを保有し、3ヶ月後にガソリンを購入すると同時に、保有している先物取引のポジションを売り戻して、先物取引を終了する。 買いポジション保有 →現物の受け取り 3ヶ月後に灯油を固定価格で販売する時、将来の製品市況の予測が上昇または現状維持の場合、灯油の先物取引で3ヶ月後の限月の買いポジションを保有し、3ヶ月後に納会を迎えた時に、現物の灯油に交換することで先物価格で現物を調達し、終了する。 先物買建と 先物売建の 組み合わせ 異なる商品間価格差(一方は買い、もう一方は売りポジション)保有 →それぞれ売り戻し、買戻しをして決済 5ヶ月後にガソリンを販売する時、将来のマーケットの原油とガソリン間の価格差(クラック・スプレッド)が縮小することで、相対的に自社のガソリン精製コストが上昇すると予測される場合、販売時点の先物限月の原油を買いポジションで保有すると共に、ガソリンを売りポジションで保有し、5ヶ月後にそれぞれ反対売買をして、先物取引を終了する。

リスクヘッジ手段の概要(2/2) (つづき) リスクヘッジ手段 オペレーション概要 販売価格 の固定化 先物売建 売りポジション保有 →買い戻して決済 3ヶ月後に灯油を販売する予定の時、将来の製品市況の予測が下落または現状維持の場合、先物取引で3ヶ月後の限月の売りポジションを保有し、3ヶ月後に灯油を販売すると同時に、保有している先物取引のポジションを買い戻して、先物取引を終了する。 売りポジション保有 →現物の引き渡し 3ヶ月後にガソリンを固定価格で購入する時、将来の製品市況の予測が下落または現状維持の場合、ガソリンの先物取引で3ヶ月後の限月の売りポジションを保有し、3ヶ月後に納会を迎えた時に、現物のガソリンを引き渡すことで先物価格で現物を販売し、終了する。 在庫評価損益の固定化 先物売建 売りポジション保有 →買い戻して決済 6ヶ月後の灯油の販売に向け、事前に在庫を積み増しする時、将来の製品市況の予測が下落または現状維持の場合、先物取引で6ヶ月後の限月の売りポジションを保有し、6ヶ月後に灯油を販売すると同時に、保有している先物取引のポジションを買い戻して、先物取引を終了する。

留意事項 ヘッジオペレーションでは、現物市場の損益と先物市場の損益以外に、支払条件や金利などの要因を考慮する必要があります。 買いヘッジの事例 現物市場しか存在しなければ当初から現物を購入しておかなければならないところ、先物市場 で買いポジションを建てたことにより、実際の現物の購入を先延ばしすることができます。 買いヘッジを行う側は、この期間の金利の支払いが済んだことになります。 この金利収入などの持ち越し費用がベーシスの縮小による損失によって補われていると考える ことができます。 売りヘッジの事例 現物市場しか存在しなければ当初の段階で現物を売却して代金が入金されているはずのとこ ろ、先物市場で売りポジションを建てたことにより、実際の現物の売却は先延ばしになります。 売りヘッジを行う側は、この期間の金利を取得できないことになります。 この金利分などの持ち越し費用がベーシスの縮小による利益によって補われていると考えるこ とができます。

買いヘッジの具体例 調達価格を固定化するため買いポジション保有によるヘッジを行なうことで、その後の現物価格が変動しても、ヘッジ時点に見込んだ収益を確保することが可能になる。 東京商品取引所での取引 ヘッジ結果 ガソリン価格が 値上り ガソリン 調達価格等 石油販売会社A社は、3ヶ月後にガソリンを購入する計画がある。現時点の現物価格(52,000円/kl)であれば、利益は充分に確保できるため、A社はガソリン価格が値下がりして収益が増加する機会を犠牲にしても、値上がりによる損失を回避することを決定し、TOCOM石油市場で3ヶ月後の限月(56,000円/kl)の取引を利用してリスクヘッジを実施。 現物取引 2014年 10月 52,000円/kl 2015年 1月 64,000円/kl 調達価格   ▲64,000円/kl TOCOM 2014年 10月 1月限(買い) 56,000円/kl 2015年 1月 1月限(売り)  64,000円/kl 損益         8,000円/kl 2014年 10月 ガソリンの 購入計画 3ヶ月後にガソリンを購入する予定 通算ガソリン調達価格 56,000円/kl ガソリン 先物取引で ポジションの保有 TOCOMのガソリン先物取引で2015年1月限を56,000円で新規買い 買いのポジションを保有 ガソリン価格が 値下り ガソリン 調達価格等 現物取引 2014年 10月 52,000円/kl 2015年 1月 44,000円/kl 調達価格   ▲44,000円/kl 2015年 1月 ガソリンの 購入 2015年1月にガソリンを購入 TOCOM 2014年 10月 1月限(買い) 56,000円/kl ガソリン 先物取引の ポジションの解消 TOCOMで保有した2015年1月限のガソリン先物取引のポジションを売り戻して、先物取引の終了 2015年 1月 1月限(売り)  44,000円/kl 損益       ▲12,000円/kl 通算ガソリン調達価格 56,000円/kl

売りヘッジの具体例 販売価格の固定化、在庫評価損の回避のため売りポジション保有によるヘッジを行なうことで、ポジションを解消するまで、現物価格が変動しても、損益を固定することが可能になる。 東京商品取引所での取引 ヘッジ結果 灯油 価格が 値下り 灯油 損益等 2014年9月、燃料商社であるD社は、TOCOMの灯油先物価格が期近から期先にかけて高くなる状態(順鞘)であったことから、冬場の需要期に向けて灯油を在庫することにした。ただし、需要期に向けて灯油価格が下落するような状況になると、在庫した灯油に評価損が生じてしまうため、損益を固定化する目的で、TOCOMの先物取引を利用してリスクヘッジを実施。 現物取引 2014年 9月 在庫       56,000円/kl (保管コスト(月) 500円/kl) 2014年 12月 販売       49,000円/kl 損益       ▲7,000円/kl 保管コスト   ▲2,000円/kl TOCOM 2014年 9月 1月限(売り)  62,000円/kl 2014年 9月 灯油の購入 ・在庫 灯油を56,000円/klで購入し、油槽所で在庫 油槽所の保管コストは、月間500円/kl 2014年 12月 1月限(買い)  49,000円/kl 損益        13,000円/kl 通算損益 4,000円/kl 灯油 先物取引で ポジションの保有 TOCOMの灯油先物取引で2015年1月限(期先)を62,000円で新規売り 売りのポジションを保有 灯油 価格が 値上り 灯油 損益等 現物取引 2014年 9月 在庫       56,000円/kl (保管コスト(月) 500円/kl) 2014年 12月 在庫灯油 の販売 2014年12月に在庫していた灯油を全て売却 販売価格は売却時の現物価格を勘案して設定 2014年 12月 販売       70,000円/kl 損益       14,000円/kl 保管コスト   ▲2,000円/kl TOCOM 2014年 9月 1月限(売り)  62,000円/kl 灯油 先物取引の ポジションの解消 TOCOMで保有した2015年1月限の灯油先物取引のポジションを買い戻して、先物取引を終了 2014年 12月 1月限(買い)  70,000円/kl 損益        ▲8,000円/kl 通算損益 4,000円/kl

TOCOMの主な利用方法概観(1/2) オペレーション 元売 商社 販売業者 特約 SS ヘッジ ● 受渡 クラック・スプレッド ① 原油買いー石油製品売り ② 原油売りー石油製品買い P19 P34 ● 限月間スプレッド ① 期近買いー期先売り ② 期近売りー期先買い P42 石油製品の輸入のヘッジ MOPS買い-TOCOM製品売り 石油製品の輸出のヘッジ ① MOPS売り-TOCOM原油買い ② MOPS売り-TOCOM製品買い 在庫ヘッジ 期先売り P50 受渡 石油製品の調達 石油製品買い P57 石油製品の売却 石油製品売り P62

TOCOMの主な利用方法概観(2/2) スプレッドの予想(将来) ①拡大 ②現状維持 ③縮小 ヘッジ 石油製品の市況予想(将来) クラック・スプレッド* 原油売りー石油製品買い P34 原油買いー石油製品売り P19 限月間スプレッド 期近売り-期先買い 不要 - 期近買い-期先売り P42 石油製品の市況予想(将来) ①上昇(需要増加等) ③下落(供給過多等) 石油製品の輸入のヘッジ MOPS買い-TOCOM売り           (製品) 石油製品の輸出のヘッジ MOPS売り-TOCOM買い         (原油、製品) 在庫ヘッジ 期先売り P50 受渡 石油製品の調達 TOCOM買い P57 石油製品の売却 TOCOM売り P62 *クラック・スプレッド取引は、原油及び石油製品の市況予想に基づき取引を行うケースもある。

クラック・スプレッド 原油先物市場で買い(又は売り)、同時に、石油製品先物市場で売り(又は買い)の取引を行うことで、それらの間のスプレッドを固定します。 基本的な考え方 先物市場でクラック・スプレッドを行う際には、先物市場でのクラック・スプレッド価格(「石油製品価格」ー 「原油価格」)と精製コスト等※の状況に応じて、以下のオペレーションを行います。       ※精製コスト等=石油石炭税(2,540円/㎘)+精製費+販売管理費+マージン クラック・スプレッドは、原油リンクで石油製品を購入する際のヘッジにも利用します。 オペレーション クラック売り 元売りの精製コスト等の固定の他、供給過剰等により、石油製品価格が値下がりすると思われるとき(リバース・クラック・スプレッド)。 クラック買い 石油製品の需給がタイトになり、石油製品価格が値上がりすると思われるとき。 取引数量 原油から各石油製品が精製される割合(得率)によって、先物市場での取引数量を設定します。 原油 石油製品 備考 クラック・スプレッド価格>精製コスト等 買い 売り クラック売り 商流と同じ順方向 クラック・スプレッド価格<精製コスト等 クラック買い 商流とは逆方向

クラック・スプレッドの事例1 前提条件 2013年6月、石油元売りであるA社は、原油を精製して石油製品を販売するに当たり、精製コスト等を固定することで安定した企業収益を確保するため、その一部についてTOCOMにおいて先物取引を行いました。 2013年6月 精製コスト A社の精製コストは、石油石炭税、精製費、販売管理費、マージンを合算すると11,000円/㎘ クラック・スプレッドのポジション保有 TOCOMにおいて、原油2013年11月の買い、ガソリン2013年12月限の売り、灯油2013年12月限の売りのポジションを保有。 2013年12月 石油製品の販売 2013年12月に原油を精製して石油製品を販売。 クラック・スプレッドのポジションの解消 TOCOMにおいて保有したクラック・スプレッドのポジションを全て解消。

クラック・スプレッドの事例1 先物市場でのオペレーションを決定する クラック・スプレッドの事例1 先物市場でのオペレーションを決定する TOCOMの「クラック・スプレッド価格」を確認する 2013年6月21日、TOCOMの原油2013年11月限と石油製品の2013年12月限のクラック・スプレッド価格を確認しました(以下)。 先物市場でのオペレーションを決定する TOCOMのクラック・スプレッド価格は、「原油-ガソリン」、「原油ー灯油」の組合せともにA社の精製コストを上回っていました。 そこで、A社は、「原油2013年11月限買い-ガソリン2013年12月限売り」、「原油2013年11月限買い -灯油2013年12月限売り」のクラック・スプレッドを行うことにしました。 TOCOMでは、クラック・スプレッド価格を発注し、2商品が決まったスプレッドで同時に約定できる「スタン ダード・コンビネーション注文(SCO注文)」を利用すると便利です。 クラック・スプレッドのオペレーションでは、原油と石油製品を別々に注文を発注することもできますが、この場合、どちらか一方が約定しないリスクがあります。 SCO注文が約定した際には、原油と石油製品間のクラック・スプレッド価格が維持された状態で、原油と石油製品のポジションがそれぞれ建ちます。 原油先物価格 石油製品の先物価格 クラック・スプレッド価格 2013年11月限 60,390円/㎘ ガソリン 2013年12月限 71,850円/㎘ 11,460円/㎘ 灯油 2013年12月限 74,490円/㎘ 14,100円/㎘

クラック・スプレッドの事例1 SCO注文を確認する(1/2) (Standard Combination Order) 石油市場において、異なる商品の同一番限(シリーズ)を組み合わせて1つの注文として発注できる注文です(商品間スプレッド)。約定した場合には、対象商品の限月においてポジションが建ちます。 また、同一商品の異なる2つの限月の鞘価格を指定して、1注文として発注することもできます(限月間ス プレッド)。 取引の対象となる組合せ (石油市場の場合) SCO注文では、クラック・スプレッドの取引の対象となる組合せは、便宜上、「石油製品ー原油」としています。 取引の対象となる商品の組合せにおけるシリーズ クラック・スプレッドであれば、同一の番限同士となります(1番限ー1番限、2番限ー2番限など) 2013年6月であれば、ガソリンー原油のシリーズは以下のとおりです。 ガソリン シリーズ 原油 1番限 7月限 → ガソリン7月限 - 原油6月限 ← 6月限 2番限 8月限 ガソリン8月限 原油7月限 3番限 9月限 ガソリン9月限 原油8月限 4番限 10月限 ガソリン10月限 原油9月限 5番限 11月限 ガソリン11月限 原油10月限 6番限 12月限 ガソリン12月限 原油11月限

クラック・スプレッドの事例1 SCO注文を確認する(2/2) 発注時の売りと買いの意味するもの SCO注文の「売り」、「買い」は以下の組み合わせとなります。 スプレッド価格 SCO注文によるクラック・スプレッドでは、スプレッド価格は以下のとおりです。 取引開始日・取引最終日 SCO注文は、シリーズごとに取引開始日、取引最終日を設定しています。 SCO注文(売り) SCO注文(買い) ガソリン(売り) - 原油(買い) ガソリン(買い) 原油(売り) 灯油(売り) 灯油(買い) 軽油(売り) 軽油(買い) スプレッド価格 = 石油製品の先物価格 ー 原油の先物価格(同一の番限同士) 取引開始日 取引最終日 クラック・スプレッド 原油の新甫発会日 石油製品の納会日の 前営業日 (参考) 商品間スプレッド 石油市場 石油製品の新甫発会日 中京石油市場

クラック・スプレッドの事例1 先物市場に注文を発注する(1/2) クラック・スプレッドの事例1 先物市場に注文を発注する(1/2) 注文の発注、約定 (ポジションの保有) 原油2013年11月限とガソリン2013年12月限の注文状況を確認し、「ガソリン2013年12月限ー2013年 原油11月限」の組み合わせで、11,460円で売りのSCO注文を10枚発注したところ、全量が約定しました。 【原油 2013年11月限】  【ガソリン 2013年12月限】 売 価格 買 スプレッド 60,410 71,870 60,400 71,860 60,390 11,460 71,850 60,380 71,840 60,370 71,830 SCO注文* スプレッド価格 11,460円 注文枚数 10枚(500㎘) 売り・買いの区分 売り *SCO注文(売り)= 灯油(売り)-原油(買い)

クラック・スプレッドの事例1 先物市場に注文を発注する(2/2) クラック・スプレッドの事例1 先物市場に注文を発注する(2/2) 注文の発注、約定 (ポジションの保有) 次に、原油2013年11月限と灯油2013年12月限の注文状況を確認し、「灯油2013年12月限ー原油 2013年11月限」の組み合わせで、14,100円の売りのSCO注文を10枚発注したところ、全量が約定しま した。 【原油 2013年11月限】  【灯油 2013年12月限】 売 価格 買 スプレッド 60,410 74,510 60,400 74,500 60,390 14,100 74,490 60,380 74,480 60,370 74,470 SCO注文* スプレッド価格 14,100円 注文枚数 10枚(500㎘) 売り・買いの区分 売り *SCO注文(売り)= ガソリン(売り)-原油(買い)

クラック・スプレッドの事例1 先物取引のポジションを解消する(1/2) クラック・スプレッドの事例1 先物取引のポジションを解消する(1/2) 注文の発注、約定 (ポジションの解消) 2013年11月1日、TOCOMのクラック・スプレッドのポジションが、1番限となったことから、ポジションを解 消することとします。 そこで、TOCOMの原油2013年11月限とガソリン2013年12月限の注文状況を確認し、「ガソリン12月 限ー原油11月限」の組み合わせで、9,000円の買いのSCO注文を10枚発注したところ、全量が約定しまし た。 【原油 2013年11月限】  【ガソリン 2013年12月限】 売 価格 買 スプレッド 65,930 74,930 65,920 74,920 65,910 9,000 74,910 65,900 74,900 65,890 74,890 SCO注文* スプレッド価格 9,000円 注文枚数 10枚(500㎘) 売り・買いの区分 買い *SCO注文(買い)= ガソリン(買い)-原油(売り)

クラック・スプレッドの事例1 先物取引のポジションを解消する(2/2) クラック・スプレッドの事例1 先物取引のポジションを解消する(2/2) 注文の発注、約定 (ポジションの解消) 原油と灯油のクラック・スプレッドのポジションも解消します。 そこで、TOCOMの原油2013年11月限と灯油2013年12月限の注文状況を確認し、「灯油12月限ー原油 11月限」の組み合わせで、14,590円の買いのSCO注文を10枚発注したところ、全量が約定しました。 これにより、クラック・スプレッドのポジションは全て解消されました。 【原油 2013年11月限】  【灯油 2013年12月限】 売 価格 買 スプレッド 65,930 80,520 65,920 80,510 65,910 14,590 80,500 65,900 80,490 65,890 80,480 SCO注文* スプレッド価格 14,590円 注文枚数 10枚(500㎘) 売り・買いの区分 買い *SCO注文(買い)= 灯油(買い)-原油(売り)

(参考)クラック・スプレッドの事例1 売買注文の発注方法(1/2) (参考)クラック・スプレッドの事例1 売買注文の発注方法(1/2) 前ページでの事例では、SCO注文を活用したケースを紹介していますが、大量のポジションを保有するような場合には、立会外取引の「帳入値段取引」又は「ブロック取引」を利用するとスリッページに晒されるリスクが解消されます。 立会取引 商品別に売買注文を発注 原油を買い(又は売り)、石油製品を売り(又は買い)の注文をそれぞれ発注。 SCO注文の発注 原油と石油製品のスプレッド価格を発注。約定すればスプレッド価格を維持した上で、原油と石油製品のそれぞれにポジションが建つ。 立会外取引 帳入値段取引 TOCOMに申出ることによって、立会外にて帳入値段で取引を成立することができる取引(スリッページの回避が可能)。 ただし、当月限の申出ができるのは納会日の2営業日前まで。 ブロック取引 TOCOMに申出ることによって、TOCOMが定めた一定レンジの枠内で立会外にて取引を成立することができる取引(スリッページの回避が可能)。 ただし、当月限の申出ができるのは納会日の2営業日前まで(新規の場合は同5 営業日前まで)。

(参考)クラック・スプレッドの事例1 売買注文の発注方法(2/2) (参考)クラック・スプレッドの事例1 売買注文の発注方法(2/2) 立会外取引の制度概要 帳入値段取引 ブロック取引 申出可能者 全ての市場参加者 当業者、金融機関、商先業者等 ※個人投資家は不可 申出値段 帳入値段 ①同一計算区域の帳入値段 ②同一計算区域の高値と安値の範囲 ③取引状況を勘案した適性かつ合理的な値段   (例えば、気配値等) 最低申出数量 1枚から可能 ①石油市場    :20枚 ②中京石油市場 :20枚 申出時間 9:00~15:25 16:30~翌日15:30(4:15~8:30除く) 事前登録 不要 必要

クラック・スプレッドの事例1 値動き

クラック・スプレッドの事例1 ガソリンのまとめ(1/2) クラック・スプレッドの事例1 ガソリンのまとめ(1/2) クラック・スプレッドの取引では、ポジションを解消するまでのスプレッド価格の変動にもかかわらず、原油の調達価格とガソリンの販売価格が固定され、精製コスト等を確定することができます。 クラック・スプレッド価格が縮小した場合(P8~P15の事例) 原油 ガソリン スプレッド価格等 TOCOM 2013年6月21日 11月限(買い)60,390円/㎘ 12月限(売り)71,850円/㎘ スプレッド(売り)11,460円/㎘ 2013年11月1日 11月限(売り)65,910円/㎘ 12月限(買い)74,910円/㎘ スプレッド(買い)9,000円/㎘ 損益:5,520円/㎘ 損益: ▲3,060円/㎘ 損益: 2,460円/㎘ 現物取引(精製コスト等) 65,910円/㎘ 74,910円/㎘ スプレッド : 9,000円/㎘ 精製コスト: 11,000円/㎘ 損益 :▲2,000円/㎘ TOCOMのスプレッド価格+精製コスト等: 2,460円/㎘+▲2,000円/㎘=460円/㎘

クラック・スプレッドの事例1 ガソリンのまとめ(2/2) クラック・スプレッドの事例1 ガソリンのまとめ(2/2) クラック・スプレッド価格が拡大した場合(別の事例) 原油 ガソリン スプレッド価格等 TOCOM 2013年6月21日 11月限(買い)60,390円/㎘ 12月限(売り)71,850円/㎘ スプレッド(売り)11,460円/㎘ 2013年11月1日 11月限(売り)66,910円/㎘ 12月限(買い)80,210円/㎘ スプレッド(買い)13,300円/㎘ 損益:6,520円/㎘ 損益: ▲8,360円/㎘ 損益: ▲1,840円/㎘ 現物取引(精製コスト等) 66,910円/㎘ 80,210円/㎘ スプレッド :13,300円/㎘ 精製コスト:11,000円/㎘ 損益 : 2,300円/㎘ TOCOMのクラック・スプレッド価格+精製コスト等: ▲1,840円/㎘+2,300円/㎘=460円/㎘

クラック・スプレッドの事例1 灯油のまとめ(1/2) クラック・スプレッドの事例1 灯油のまとめ(1/2) クラック・スプレッドの取引では、ポジションを解消するまでのスプレッド価格の変動にもかかわらず、原油の調達価格と灯油の販売価格が固定され、精製コスト等を確定することができます。 クラック・スプレッド価格が拡大した場合(P8~P14の事例) 原油 ガソリン スプレッド価格等 TOCOM 2013年6月21日 11月限(買い)60,390円/㎘ 12月限(売り)74,490円/㎘ スプレッド(売り)14,100円/㎘ 2013年11月1日 11月限(売り)65,910円/㎘ 12月限(買い)80,500円/㎘ スプレッド(買い)14,590円/㎘ 損益:5,520円/㎘ 損益: ▲6,010円/㎘ 損益: ▲490円/㎘ 現物取引(精製コスト等) 65,910円/㎘ 80,500円/㎘ スプレッド :14,590円/㎘ 精製コスト:11,000円/㎘ 損益 : 3,590円/㎘ TOCOMのクラック・スプレッド価格+精製コスト等: ▲490円/㎘+3,590円/㎘=3,100円/㎘

クラック・スプレッドの事例1 灯油のまとめ(2/2) クラック・スプレッドの事例1 灯油のまとめ(2/2) クラック・スプレッド価格が縮小した場合(別の事例) 原油 ガソリン スプレッド価格等 TOCOM 2013年6月21日 11月限(買い)60,390円/㎘ 12月限(売り)74,490円/㎘ スプレッド(売り)14,100円/㎘ 2013年11月1日 11月限(売り)65,210円/㎘ 12月限(買い)78,400円/㎘ スプレッド(買い)13,190円/㎘ 損益:4,820円/㎘ 損益: ▲3,910円/㎘ 損益: 910円/㎘ 現物取引(精製コスト等) 65,210円/㎘ 78,400円/㎘ スプレッド :13,190円/㎘ 精製コスト:11,000円/㎘ 損益 : 2,190円/㎘ TOCOMのスプレッド価格+精製コスト等: 910円/㎘+2,190円/㎘=3,100円/㎘

クラック・スプレッドの事例2 前提条件 2014年8月、燃料商社であるB社は、冬場の需要期に調達する灯油のヘッジを行おうと計画しています。現時点では、冬場は厳冬の見通しですが、足元の原油価格は軟調に推移しており、このような状況がしばらく続くものと予想しています。 そこで、B社は、灯油を単品で買いヘッジするのはリスクがあるものと考え、TOCOMにおいて原油の売りのポジションを持つと同時に、灯油の買いのポジションを持つオペレーションを行いました(リバース・クラック・スプレッド)。 2014年8月 灯油の調達時期 2015年1月 リバース・クラック・スプレッドのポジション保有 TOCOMにおいて、原油2014年12月限の売り、灯油2015年1月限の買いのポジションを保有。 2014年12月 リバース・クラック・スプレッドのポジション解消 TOCOMにおいて保有したリバース・クラック・スプレッドのポジションを全て解消。 灯油の調達 調達数量は1万㎘(200枚相当)。 調達価格は、TOCOMの灯油2015年1月限の帳入値段の月間平均価格。

クラック・スプレッドの事例2 先物市場でのオペレーションを決定する クラック・スプレッドの事例2 先物市場でのオペレーションを決定する TOCOMの「クラック・スプレッド価格」を確認する 2014年8月5日、TOCOMの原油2014年12月限と灯油2015年1月限のクラック・スプレッド価格を確認しました(以下)。 先物市場でのオペレーションを決定する 2014年8月7日、B社は「原油2014年12月限売り-灯油2015年1月限買い」のリバース・クラック・スプレッドを行うことにしました。 TOCOMでは、クラック・スプレッド価格を発注し、2商品が決まったスプレッドで同時に約定できる「スタン ダード・コンビネーション注文(SCO注文)」を利用すると便利です。 クラック・スプレッドのオペレーションでは、原油と灯油を別々に注文を発注することもできますが、この場合、どちらか一方が約定しないリスクがあります。 SCO注文が約定した際には、原油と灯油間のクラック・スプレッド価格が維持された状態で、原油と灯油のポジションがそれぞれ建ちます。 原油先物価格 灯油の先物価格 クラック・スプレッド価格 2014年12月限 66,790円/㎘ 2015年1月限 82,970円/㎘ 16,180円/㎘

クラック・スプレッドの事例2 先物市場に注文を発注する クラック・スプレッドの事例2 先物市場に注文を発注する 注文の発注、約定 (ポジションの保有) そこで、原油2014年12月限と灯油2015年1月限の注文状況を確認し、「灯油2015年1月限ー2014年 原油12月限」の組み合わせで、16,290円の買いのSCO注文を10枚発注したところ、全量が約定しました。 【原油 2014年12月限】  【灯油 2015年1月限】 売 価格 買 スプレッド 66,360 82,650 66,350 82,640 66,340 16,290 82,630 66,330 82,620 66,320 82,610 SCO注文* スプレッド価格 16,290円 注文枚数 10枚(500㎘) 売り・買いの区分 買い *SCO注文(買い)= 灯油(買い)-原油(売り)

クラック・スプレッドの事例2 先物取引のポジションを解消する クラック・スプレッドの事例2 先物取引のポジションを解消する 注文の発注、約定 (ポジションの解消) 原油と灯油のクラック・スプレッドのポジションも解消します。 2014年12月10日、TOCOMの原油2014年12月限と灯油2015年1月限の注文状況を確認し、「灯油 2015年1月限ー原油2014年12月限」の組み合わせで、売りのSCO注文を10枚発注したところ、全量が 約定しました。 これにより、クラック・スプレッドのポジションは全て解消されました。 【原油 2014年12月限】  【灯油 2015年1月限】 売 価格 買 スプレッド 59,160円 76,510円 59,150円 76,500円 59,140円 17,350 76,490円 59,130円 76,480円 59,120円 76,470円 SCO注文* スプレッド価格 17,350円 注文枚数 10枚(500㎘) 売り・買いの区分 売り *SCO注文(売り)= 灯油(売り)-原油(買い)

(参考)クラック・スプレッドの事例2 売買注文の発注方法 (参考)クラック・スプレッドの事例2 売買注文の発注方法 前ページでの事例では、SCO注文を活用したケースを紹介していますが、大量のポジションを保有するような場合には、立会外取引の「帳入値段取引」又は「ブロック取引」を利用するとスリッページに晒されるリスクが解消されます。 立会取引 商品別に売買注文を発注 原油を買い(又は売り)、灯油を売り(又は買い)の注文をそれぞれ発注。 SCO注文の発注 原油と灯油のスプレッド価格を発注。約定すればスプレッド価格を維持した上で、原油と石油製品のそれぞれにポジションが建つ。 立会外取引 帳入値段取引 TOCOMに申出ることによって、立会外にて帳入値段で取引を成立することができる取引(スリッページの回避が可能)。 ただし、当月限の申出ができるのは納会日の2営業日前まで。 ブロック取引 TOCOMに申出ることによって、TOCOMが定めた一定レンジの枠内で立会外にて取引を成立することができる取引(スリッページの回避が可能)。 ただし、当月限の申出ができるのは納会日の2営業日前まで(新規の場合は同5 営業日前まで)。

クラック・スプレッドの事例2 値動き

クラック・スプレッドの事例2 まとめ(1/2) 原油、灯油ともに価格が下落した場合(P23~P26の事例) 原油 ガソリン スプレッド価格等 クラック・スプレッドの事例2 まとめ(1/2) 原油、灯油ともに価格が下落した場合(P23~P26の事例) 原油 ガソリン スプレッド価格等 TOCOM 2014年8月7日 11月限(売り)66,340円/㎘ 12月限(買い)82,630円/㎘ スプレッド(買い)16,290円/㎘ 2014年12月10日 11月限(買い)59,140円/㎘ 12月限(売り)76,490円/㎘ スプレッド(売り)17,350円/㎘ 損益:7,200円/㎘ 損益: ▲6,140円/㎘ 損益: 1,060円/㎘

クラック・スプレッドの事例2 まとめ(2/2) 原油価格が下落し、灯油価格が上昇した場合(別の事例) 原油 ガソリン スプレッド価格等 クラック・スプレッドの事例2 まとめ(2/2) 原油価格が下落し、灯油価格が上昇した場合(別の事例) 原油 ガソリン スプレッド価格等 TOCOM 2014年8月7日 11月限(売り)66,340円/㎘ 12月限(買い)82,630円/㎘ スプレッド(買い)16,290円/㎘ 2014年12月10日 11月限(買い)65,140円/㎘ 12月限(売り)83,490円/㎘ スプレッド(売り)18,350円/㎘ 損益:1,200円/㎘ 損益: 860円/㎘ 損益: 2,060円/㎘ 原油、灯油ともに価格が上昇した場合(別の事例) 原油 ガソリン スプレッド価格等 TOCOM 2014年8月7日 11月限(売り)66,340円/㎘ 12月限(買い)82,630円/㎘ スプレッド(買い)16,290円/㎘ 2014年12月10日 11月限(買い)68,140円/㎘ 12月限(売り)85,490円/㎘ スプレッド(売り)17,350円/㎘ 損益:▲1,800円/㎘ 損益: 2,860円/㎘ 損益: 1,060円/㎘

限月間スプレッド 石油製品は、ガソリンであれば夏場のドライブシーズン、灯油であれば冬場に需要が高まるなど、季節により需要が変動する傾向があります。このような傾向を踏まえ、将来の市況を予想して期近を買い(又は売り)、同時に、期先を売り(又は買い)の取引を行うことで、限月間の価格差(スプレッド)が思惑通りに変化した場合には利益を得ることができます。 基本的な考え方 限月間のスプレッドが広がると予想すれば、スプレッド取引の買い、縮小すると予想すればスプレッド取引の 売りという売買戦略をとることになります。 具体的には、相対的に割安と思われる方を買い、割高と思われる方を売ることで、その値ザヤが思惑通り に変化した場合には利益を得ることができます。 TOCOMでは、限月間スプレッド取引をSCO注文で発注することができます。この場合のスプレッドは、期近 限月から期先限月の先物価格を減じて算出します。 SCO注文の売り、買いは以下を意味します。 オペレーション 売り 限月間のスプレッドが縮小すると予想されるときや、足元の需給が緩くなり、将来の石油製品の価格よりも現時点の価格が安いと思われるときなど。 買い 限月間のスプレッドが拡大すると予想されるときや、足元の需給がタイトになり、足元の石油製品の価格が将来よりも高くなると思われるときなど。 SCO注文(売り) SCO注文(買い) 期近(売り) - 期先(買い) 期近(買い) 期先(売り)

限月間スプレッドの事例 前提条件 2013年2月、燃料商社であるC社は、足元の需給が緩和されると見ており、TOCOMガソリンの4月限と5月限のスプレッドが縮小するものと予想しています。 そこで、C社は、TOCOMのガソリン先物市場において、4月限を売り、同時に、5月限の買いのポジションを持つオペレーションを行いました。 2013年2月 限月間スプレッドのポジション保有 TOCOMにおいて、ガソリン2013年4月限の売り、ガソリン2013年5月限の買いのポジションを保有。 2013年3月 限月間スプレッドのポジション解消 TOCOMにおいて保有した限月間スプレッドのポジションを全て解消。

限月間スプレッドの事例 先物市場でのオペレーションを決定する 限月間スプレッドの事例 先物市場でのオペレーションを決定する TOCOMの「限月間スプレッド価格」を確認する 2013年2月5日、TOCOMのガソリン2013年4月限と2013年5月限のスプレッド価格を確認しました(以下)。 先物市場でのオペレーションを決定する 2013年2月6日、C社は「ガソリン2013年4月限売り-ガソリン2014年5月限買い」の限月間スプレッドを行うことにしました。 TOCOMでは、限月間スプレッド価格を発注し、2商品が決まったスプレッドで同時に約定できる「スタンダー ド・コンビネーション注文(SCO注文)」を利用すると便利です。 限月間スプレッドのオペレーションでは、それぞれの限月を別々に注文を発注することもできますが、この場合、どちらか一方が約定しないリスクがあります。 SCO注文が約定した際には、限月間のスプレッド価格が維持された状態で、該当する限月のポジションがそれぞれ建ちます。 2013年4月限 2013年5月限 スプレッド価格 79,010円/㎘ 78,810円/㎘ 200円/㎘

限月間スプレッドの事例 先物市場に注文を発注する 限月間スプレッドの事例 先物市場に注文を発注する 注文の発注、約定 (ポジションの保有) そこで、ガソリン2013年4月限と2013年5月限の注文状況を確認し、「ガソリン2013年4月限ー2013年ガ ソリン5月限」の組み合わせで、210円の売りのSCO注文を10枚発注したところ、全量が約定しました。 【ガソリン 2013年4月限】  【ガソリン 2014年5月限】 売 価格 買 スプレッド 80,650 80,440 80,640 80,430 80,630 210 80,420 80,620 80,410 80,610 80,400 SCO注文* スプレッド価格 210円 注文枚数 10枚(500㎘) 売り・買いの区分 売り *SCO注文(売り)= 期近(売り)-期先(買い)

限月間スプレッドの事例 先物取引のポジションを解消する 限月間スプレッドの事例 先物取引のポジションを解消する 注文の発注、約定 (ポジションの解消) ガソリンの限月間スプレッドのポジションを解消します。 2013年3月11日、TOCOMのガソリン2013年4月限と2013年5月限の注文状況を確認し、「ガソリン 2013年4月限ーガソリン2013年5月限」の組み合わせで、110円の買いのSCO注文を10枚発注したとこ ろ、全量が約定しました。 これにより、クラック・スプレッドのポジションは全て解消されました。 【ガソリン 2013年4月限】  【ガソリン 2013年5月限】 売 価格 買 スプレッド 80,120 78,010 80,110 78,000 80,100 110 79,990 80,090 79,980 80,080 79,970 SCO注文* スプレッド価格 110円 注文枚数 10枚(500㎘) 売り・買いの区分 買い *SCO注文(買い)= 期近(買い)-期先(売り)

(参考)限月間スプレッドの事例 売買注文の発注方法 (参考)限月間スプレッドの事例 売買注文の発注方法 前ページでの事例では、SCO注文を活用したケースを紹介していますが、大量のポジションを保有するような場合には、立会外取引の「帳入値段取引」又は「ブロック取引」を利用するとスリッページに晒されるリスクが解消されます。 立会取引 商品別に売買注文を発注 期近を買い(又は売り)、期先を売り(又は買い)の注文をそれぞれ発注。 SCO注文の発注 期近と期先のスプレッド価格を発注。約定すればスプレッド価格を維持した上で、それぞれの限月にポジションが建つ。 立会外取引 帳入値段取引 TOCOMに申出ることによって、立会外にて帳入値段で取引を成立することができる取引(スリッページの回避が可能)。 ただし、当月限の申出ができるのは納会日の2営業日前まで。 ブロック取引 TOCOMに申出ることによって、TOCOMが定めた一定レンジの枠内で立会外にて取引を成立することができる取引(スリッページの回避が可能)。 ただし、当月限の申出ができるのは納会日の2営業日前まで(新規の場合は同5 営業日前まで)。

限月間スプレッドの事例 値動き

限月間スプレッドの事例 まとめ スプレッドが縮小した場合(P31~P34の事例) 期近 期先 スプレッド価格 TOCOM 限月間スプレッドの事例 まとめ スプレッドが縮小した場合(P31~P34の事例) 期近 期先 スプレッド価格 TOCOM 2013年2月4日 4月限(売り)80,630円/㎘ 5月限(買い)80,420円/㎘ スプレッド(売り)210円/㎘ 2013年3月11日 4月限(買い)80,100円/㎘ 5月限(売り)79,990円/㎘ スプレッド(買い)110円/㎘ 損益:530円/㎘ 損益: ▲430円/㎘ 損益: 100円/㎘ スプレッドが拡大した場合(別の事例) 期近 期先 スプレッド価格 TOCOM 2013年2月4日 4月限(売り)80,630円/㎘ 5月限(買い)80,420円/㎘ スプレッド(売り)210円/㎘ 2013年3月11日 4月限(買い)78,100円/㎘ 5月限(売り)77,700円/㎘ スプレッド(買い)400円/㎘ 損益:2,530円/㎘ 損益: ▲2,720円/㎘ 損益: ▲190円/㎘ ※思惑が外れると損失が発生することがある。

在庫ヘッジ 先物市場の期先限月にポジションを保有することで、在庫することとなる原油や石油製品の評価損益を固定します。 基本的な考え方 価格が下落した場合には、現物取引では損失が発生しますが、先物取引では利益が生じるので、 先物取引の利益で現物取引のコスト増を相殺できます。 反対に、価格が上昇した場合には、先物取引では損失が発生しますが、現物取引では利益が生 ずるので、先物取引の損失は現物取引の利益で相殺できます。 先物市場で売りポジションを保有した後は、在庫の売却時期が確定していなければ、期先限月が 新甫発会するごとに新しい限月にポジションを乗り換えるオペレーション(ロールオーバー)をとるこ ともあります。 オペレーション 石油製品価格の下落に伴う在庫の評価損をヘッジするため、先物市場では売りのポジションを保有します。

在庫ヘッジの事例(灯油のケース) 前提条件 在庫ヘッジの事例(灯油のケース) 前提条件 2013年7月、燃料商社であるD社は、TOCOMの灯油先物価格が期近から期先にかけて高くなる状態(順鞘)であったことから、冬場の需要期に向けて灯油を在庫することにしました。 ただ、需要期に向けて灯油価格が下落するような状況になると、在庫した灯油は評価損が生じることも考えられます。 このため、D社は、在庫用の灯油を購入した際に、その一部をTOCOMで灯油先物取引を行うことで値下がりのリスクをヘッジし、在庫評価損益を固定しました。 2013年7月 灯油の購入・在庫 灯油を76,000円/㎘で10,000kl購入し、油槽所で在庫。 油槽所の保管コストは、月間で400円/㎘。 灯油先物取引でポジションの保有 TOCOMの灯油先物取引で2014年1月限(期先)を新規売り。 TOCOMで保有するポジションは500㎘(10枚)。 2014年1月 在庫灯油の販売 2014年1月に在庫していた灯油を全て売却。 販売価格は、売却時の現物価格を勘案して設定。 灯油先物取引のポジションの解消 TOCOMで保有した2014年1月限の灯油先物取引のポジションを買戻し。 ヘッジポジションの解消

在庫ヘッジの事例(灯油のケース) 先物市場でのオペレーションを決定する 在庫ヘッジの事例(灯油のケース)  先物市場でのオペレーションを決定する 売却するまでのコストと先物価格を確認する 2013年7月8日、在庫する灯油の購入価格、売却までの保管料(7カ月分)を算出するとともに、売却を予定する2014年1月限の先物価格を確認したところ、以下のとおりでした。 先物市場でのオペレーションを決定する 売りポジションを保有する限月は、売却を予定している2014年1月限としました。 在庫のコスト 購入価格 : 76,000円/㎘ 保管料  :  2,800円/㎘(7カ月分) 合計   : 78,800円/㎘ 先物価格 2014年1月限        79,000円/㎘前後で推移

在庫ヘッジの事例(灯油のケース) 先物市場に注文を発注する 在庫ヘッジの事例(灯油のケース)  先物市場に注文を発注する 注文の発注、約定 (ポジションの保有) TOCOMでは、「リミット注文(LO注文)」といって、値段を指定して注文を発注して取引の成立を待つことが できます。 2013年7月9日、2014年1月限の注文状況を確認し、売却予定の1月までの在庫コスト(78,800円/㎘) を勘案し、79,000円の売りのLO注文を発注したところ、全量が約定しました。 【灯油 2014年1月限】  売 価格 買 79,020 79,010 79,000 78,990 78,980 LO注文 指定価格 79,000円 注文枚数 10枚(500㎘) 売り・買いの区分 売り

在庫ヘッジの事例(灯油のケース) 先物取引のポジションを解消する 在庫ヘッジの事例(灯油のケース)  先物取引のポジションを解消する 注文の発注、約定 (ポジションの解消) 2013年12月、灯油2014年1月限が1番限となったことから、売りポジションを解消することとします。 2013年12月5日、2014年1月限の注文状況を確認し、85,000円で買いのLO注文を10枚発注したとこ ろ、全量が約定しました(買戻し)。 これにより、売りヘッジのポジションは全て解消されました。 【灯油 2014年1月限】  売 価格 買 85,020 85,010 85,000 84,990 84,980 LO注文 指定価格 85,000円 注文枚数 10枚(500㎘) 売り・買いの区分 買い

在庫ヘッジの事例(灯油のケース) まとめ(1/2) 在庫ヘッジの事例(灯油のケース)  まとめ(1/2) 石油製品の在庫を先物市場で売りヘッジすることにより、ポジションを解消するまでに石油製品の価格がどのように変動したとしても、在庫の評価損益は固定されます。 灯油価格が値上がりした場合(P39~P42の事例) 現物取引 先物取引 2013年7月9日 灯油在庫を保有 :76,000円/㎘×500㎘ 保管コスト(月) :  400円/㎘ 灯油1月限(売り) :79,000円/㎘×10枚 2013年12月5日 灯油の販売    :85,000円/㎘×500㎘ 保管コスト合計  : 2,400円/㎘ 灯油1月限(買い) :85,000円/㎘×10枚 損益 6,600円/㎘(3,300万円/500㎘) ▲6,000円/㎘(3,000万円/500㎘) 合計損益 600円/㎘(300万円/500㎘)

在庫ヘッジの事例(灯油のケース) まとめ(2/2) 在庫ヘッジの事例(灯油のケース)  まとめ(2/2) 灯油価格が値下がりした場合(別の事例) 現物取引 先物取引 2013年7月9日 灯油在庫を保有 :76,000円/㎘×500㎘ 保管コスト(月) : 400円/㎘ 灯油1月限(売り):79,000円/㎘×10枚 2013年12月5日 灯油の販売    :68,000円/㎘×500㎘ 保管コスト合計  : 2,400円/㎘ 灯油1月限(買い):68,000円/㎘×10枚 損益 ▲10,400円/㎘(5,200万円/500㎘) 11,000円/㎘(5,500万円/500㎘) 合計損益 600円/㎘(300万円/500㎘)

現物調達 前提条件 2013年9月、石油SS業者であるE社は、寒冬予報を受け、その冬の灯油価格の上昇及び需要増を予想し、灯油の一部をTOCOMの先物市場から調達しようとしました。 基本的な考え方 取引手法 灯油を調達したい月に希望する購入価格(1㎘あたりの値段)で買注文を発注します。 買注文が約定(成立)すれば、約定した値段で灯油を調達することができます。そ の後、灯油価格が上昇したとしても、TOCOMで調達する灯油の価格は約定価格 で固定されます。 取引数量 石油市場は取引単位1枚50㎘で受渡単位1枚100㎘です。    ※受渡しを行うには2枚の取引を行う必要があります。 中京石油市場では取引単位と受渡単位はともに1枚10㎘です。    ※商品先物取引では1取引単位を1枚といいます。 取引証拠金 取引開始時には取引の担保となる「取引証拠金」、納会日以降には「受渡証拠金」を預けます。(取引終了後に返還されます。) E社の場合 必要数量 100㎘を80,000円/㎘以下で調達したいと考えています。 受渡希望月 2013年12月

現物調達 先物市場でのオペレーションを決定する 現物調達 先物市場でのオペレーションを決定する TOCOMの「石油市場の灯油価格」を確認する 2013年9月10日、TOCOMの石油市場の灯油2013年12月限(受渡月を12月とする先物取引のシリーズ)の価格を確認しました。 先物市場でのオペレーションを決定する 2013年9月11日、TOCOMの石油市場の灯油2013年12月限の現在値は、E社が仕入れたい値段を上回っていました。 この日の安値は79,600円/㎘であり、E社の希望する値段の80,000円/㎘を下回っていたため、この日の 安値である79,600円/㎘で買い注文を発注することとしました。 値段を指定して発注するには「リミット注文(LO注文)」を利用します。 発注値段を決定するには過去にさかのぼって値段の流れを確認することも大切です。 高値 安値 現在値   80,850円/㎘    79,530円/㎘ 80,600円/㎘ 高値  :取引日の中で最も高くついた値段 安値  :取引日の中で最も安くついた値段 現在値:直近(現在)の値段

現物調達 先物市場に注文を発注する→注文の約定 現物調達 先物市場に注文を発注する→注文の約定 注文の発注 E社は取引証拠金を預け、実際に取引を開始しました。この時点での取引証拠金は1枚(50㎘)あたり105,000円なので2枚分(100㎘)の210,000円を商品先物業者に預けました。 E社は値段を指定する「リミット注文(LO注文)」を使用して、79,600円/㎘の買い注文2枚を発注し、取引 の約定(成立)を待つこととしました。 受渡しを行うためには受渡単位である100㎘分の取引を行う必要がありますが1枚ずつ発注することもできます。 注文の有効期限は選ぶことができます。 注文の約定 しばらくして、発注していた買い注文2枚が79,600円/㎘で約定しました。 1枚ずつ約定することや発注していた値段よりも有利な値段(=安く)で約定することもあります。 注文の有効期限内に約定しないこともあります。 売り・買いの 区分 注文枚数 発注値段 約定枚数 約定値段 買い 2枚 79,600円

現物調達 納会日を迎える→現物受渡し 受渡条件の調整を行う 購入代金を支払い、受渡しを行う 現物調達 納会日を迎える→現物受渡し 受渡条件の調整を行う 2013年12月25日、TOCOMの石油市場の灯油2013年12月限が納会日(取引の最終日)を迎え、受渡しを行います(受渡決済)。 納会後にE社の相手方となる灯油の渡し方が決まります。 受渡しを行うために、受渡日、受渡場所、数量(分割可能)を渡方と調整を行い、受渡条件を決定します。 交渉は商品先物取引業者の担当者が行います。 購入代金を支払い、受渡しを行う 受渡日の前日までに購入代金を支払います。 受渡日に灯油を受け取り、2営業日以内に完了通知書をTOCOMに提出して取引が終了します。 納会日 毎月25日(休日の場合は前倒し) 当時者決定 毎月最終日の前日(休日の場合は前倒し) 灯油代金 79,600円/㎘×100㎘=7,960,000円 その他代金(注) 手数料、運搬費用、地域間格差、出荷格差、消費税 (注)委託先の商品先物取引業者が個別で調整いたします

現物調達 まとめ TOCOMの石油先物市場では、ご自身の希望する価格で石油製品の購入価格を決定し、現物を調達することができます。 1 現物調達 まとめ TOCOMの石油先物市場では、ご自身の希望する価格で石油製品の購入価格を決定し、現物を調達することができます。 1 取引の開始 取引の担保となる証拠金を預託して注文を出します。 約定した価格が石油製品の購入価格になります。 2 納会日を迎える 約定したポジションの受渡決済を行う場合には、取引の最終日である納会日までポジションを保有し続けます。 受渡決済は、納会日後に受渡しを行う当事者が決定し、当事者間で受渡しの条 件(受渡日、受渡場所、受渡手段等)を調整します。 受渡日までの担保として「受渡証拠金(受渡総代金の10%)」を預託します(受渡 完了後に返却)。 3 購入代金の支払い 受渡日の前日までに購入代金(税金等含む)を支払います。 4 現物の受渡し 受渡日に灯油を受け取り、2営業日以内に完了通知書をTOCOMに提出して取引が終了します。

現物売却 前提条件 2013年9月、石油SS業者であるF社は、夏場の需要予想からガソリンを通常よりも多く仕入れましたが、石油価格の高騰によりガソリン購入を手控える顧客が多く、予想ほど販売することができなかったため、TOCOMの先物市場を通じてガソリンを売却する取引を始めました。 基本的な考え方 取引手法 ガソリンを売却したい月(限月といいます)に売却したい値段(1㎘あたりの値段)で売注文を発注します。 売り注文が約定(成立)すれば、約定した値段でガソリンを売却することができま す。その後、ガソリン価格が下落したとしても、TOCOMで売却するガソリンの価格 は約定値段で固定されます。 取引数量 石油市場は取引単位1枚50㎘で受渡単位1枚100㎘です。    ※受渡しを行うには2枚の取引を行う必要があります。 中京石油市場は取引単位と受渡単位はともに1枚10㎘です。 取引証拠金 取引開始時には取引の担保となる「取引証拠金」、納会日以降には「受渡証拠 金」を預けます。(取引終了後に返還されます。) F社の場合 必要数量 100㎘を79,000円/㎘以上で売りたいと考えています。 受渡希望月 2013年10月

現物売却 先物市場でのオペレーションを決定する 現物売却 先物市場でのオペレーションを決定する TOCOMの「石油市場のガソリン価格」を確認する 2013年9月4日、TOCOMの石油市場の灯油2013年10月限(受渡月を10月とする先物取引のシリーズ)の価格を確認しました。 先物市場でのオペレーションを決定する 2013年9月5日、TOCOMの石油市場の灯油2013年10月限の現在値は、F社が仕入れたい値段を上回っていました。 この日の高値は79,620円/㎘であり、現在値が79,300円/㎘であったため、79,000円/㎘で売り注文を 発注することとしました。 値段を指定して発注するには「リミット注文(LO注文)」を利用します。 発注値段を決定するには過去にさかのぼって値段の流れを確認することも大切です。 高値 安値 現在値   79,200円/㎘    77,980円/㎘ 79,000円/㎘ 高値  :取引日の中で最も高くついた値段 安値  :取引日の中で最も安くついた値段 現在値:直近(現在)の値段

現物売却 先物市場に注文を発注する→注文の約定 現物売却 先物市場に注文を発注する→注文の約定 注文の発注 F社は取引証拠金を預け、実際に取引を開始しました。この時点での取引証拠金は1枚(50㎘)あたり105,000円なので2枚分(100㎘)の210,000円を商品先物業者に預けました。 F社は値段を指定する「リミット注文(LO注文)」を使用して、79,000円/㎘の売り注文2枚を発注し、取引 の約定(成立)を待つこととしました。 受渡しを行うためには受渡単位である100㎘分の取引を行う必要がありますが1枚ずつ発注することもできます。 注文の有効期限は選ぶことができます。 注文の約定 しばらくして、発注していた売り注文2枚が79,000円/㎘で約定しました。 1枚ずつ約定することや発注していた値段よりも有利な値段(=高く)で約定することもあります。 注文の有効期限内に約定しないこともあります。 取引の最終日の前までに、受渡しすることの保証書等を差し入れます。 売り・買いの 区分 注文枚数 発注値段 約定枚数 約定値段 売り 2枚 79,000円

現物売却 納会日を迎える→現物受渡し 受渡条件の調整を行う 受渡しを行い、代金を受け取る 現物売却 納会日を迎える→現物受渡し 受渡条件の調整を行う 2013年9月25日、TOCOMの石油市場のガソリン2013年10月限が納会日(取引の最終日)を迎え、受渡しを行います(受渡決済) 納会後にF社の相手方となるガソリンの受方が決まります。 受渡しを行うために、受方と受渡日、受渡場所、数量(分割可能)を決定します。 上記の他、地域間格差、出荷格差等の交渉も商品先物取引業者の担当者が行います。 受渡しを行い、代金を受け取る 受渡日に合意した受渡場所でガソリンを引き渡します。 預託していた証拠金が返戻されます。 受渡しの完了が確認されると受渡代金を受取れます。 TOCOMは、受方から受渡日後2営業日以内に提出される受渡完了通知書をもって受渡しの完了を確認します。 納会日 毎月25日(休日の場合は前倒し) 当時者決定 毎月最終日の前日(休日の場合は前倒し) ガソリン代金 79,000円/㎘×100㎘=7,900,000円(ガソリン税別)

現物売却 まとめ TOCOMの石油先物市場では、ご自身の希望する価格で石油製品の売却価格を決定し、現物を引き渡すことができます。 1 現物売却 まとめ TOCOMの石油先物市場では、ご自身の希望する価格で石油製品の売却価格を決定し、現物を引き渡すことができます。 1 取引の開始 取引の担保となる証拠金を預託して注文を出します。 約定した価格が石油製品の売却価格になります。 2 納会日を迎える TOCOMで受渡決済を行う場合には、取引の最終日である納会日までポジションを保有し続けます。 受渡決済は、納会日後に受渡しを行う当事者が決定し、当事者間で受渡条件 (受渡日、受渡場所、受渡手段等)を調整します。 受渡日までの担保として「受渡証拠金(受渡総代金の10%)」を預託します(受渡 完了後に返却) 3 現物の受渡し 受渡日にガソリンを引き渡します。 4 受渡代金の受領 受渡し日から2営業日以内に、受方はTOCOMに受渡完了通知書を提出します。それをもって受渡代金が支払われます。

TOCOMの灯油価格の動き 納会日 3シリーズ平均 81,993円 新甫発会日 3シリーズ平均 74,907円 納会日      3シリーズ平均 81,993円 帳入値段(円/㎘) 新甫発会日   3シリーズ平均 74,907円 灯油の需要が高い12月、1月、2月に受渡しを行うシリーズの実際の値動きを表しています。 取引開始日である新甫発会日の3シリーズ平均は74,907円でしたが、納会日の3シリーズ平均は81,993円になっています。 →早めに購入希望価格を決定し、日々の値動きを確認しながら取引を始めるのが有効です。 1番限~6番限:常時期限が異なる6本のシリーズが取引され、1番期限が短いものを1番限、順に次に短いものが2番限となり、1番期限が長いものを6番限といいます。

TOCOMのガソリン価格の動き 高値と安値の差 最大値      4,290円 帳入値段(円/㎘) 平均値      1,171円 2013年のガソリンの1年間について、1日の高値と安値の差を表しています。 1日で最大4,290円の価格差が出る日もありますが平均して1,171円の差があります。 →価格の動きを見ながら取引することで安く買い、高く売ることができます。

ヘッジ取引実施ステップ ヘッジ取引の開始に当たり、ヘッジ取引がリスクヘッジとして機能するためには、現物取引内容とのバランスを見ながらヘッジ取引実施の判断をし、また、そのヘッジ取引が予め決められた自社のリスク管理方針から逸脱していないのか第三者が監視するプロセスが必要である。 シナリオ策定 ヘッジ取引実施判断 第三者による取引内容の チェック/管理 市況予測 価格リスク の計測 価格リスクへの対応方法の検討 リスク量 の把握 ヘッジ取引 内容の決定 事前承認 事後チェック 将来の価格の振れ幅の推定 市場コンセンサス(アナリスト予測)の活用による市況予測 過去(5年分)の価格の振れ幅を基に試算など 推定される市況が続くと思われる期間の予測 市況予測を基に、想定される仕入れコスト、販売価格等による損益のインパクトを試算 試算されたリスクをそのまま許容するのか 許容できない場合、どのように対応するのか 価格リスクを顧客に転嫁できるのか否か(価格転嫁した場合、販売量の減少リスクはあるか) 顧客に価格リスクを転嫁できない場合、ヘッジ取引によって対応するのか否か ヘッジ取引を実施するに当たり、現在の保有ポジションはどうなっているのか把握 既に保有している建玉と、新たにヘッジ取引を実施した際に必要となる証拠金の算出 試算された証拠金は許容できるか 何時から何時までリスクヘッジするのか (1ヶ月、半年、1年、3年…) どのような商品で、どのような手法でリスクヘッジを行なうのか ヘッジするボリューム(取引数量)はどの程度にするのか リスク管理方針に照らし合わせ、ヘッジ取引内容が妥当かチェック ヘッジ取引の対象となる現物の取引に関する情報(商品の種類、単価、数量、取引日時など) ヘッジ取引に関する情報(ヘッジ取引予定日、取引方法、取引内容(商品名、単価、期限、数量)、ヘッジ期間、ヘッジ割合など) 有効性判定結果 ヘッジ取引によって、当初意図したリスク管理方針通りの効果が得られているのか、継続してチェック ヘッジ取引の時価を把握し、ヘッジ対象である現物取引と高い相関が維持されているのか ヘッジ取引担当部門からの報告内容と相対取引先から送られてくる取引照合書類との整合性チェック 文書化されたリスク方針に基づきチェック ヘッジ取引の対象と 方法の選定における方針 取引内容の定期報告 内部監査方法 など

ヘッジ取引に必要となる社内体制 ヘッジ取引が、当初意図したリスク管理方針通りの効果が得られているのかチェックするためには、ヘッジ取引内容が適切に評価され、報告される仕組みが必要であり、第三者による監査体制を整えることが求められる。 ヘッジ取引実施に求められる社内体制整備 【チェック/管理項目】 フロントの実施取引に不正、間違いはないか 企業、または担当者毎に決められている取引高やリスク金額に収まっているか ヘッジ取引と現物取引との整合性/相関性 取引の時価評価管理(証拠金管理) 第三者による 取引内容の チェック/管理 ヘッジ計画の策定及び、実施判断 リスク管理方針に照らして適切な方法で取引を執行 ≪フロント≫ ≪ミドルバックオフィス≫ 内部監査組織 ヘッジ取引担当者 取引内容、 有効性の 報告 取引内容の 情報共有 【チェック/管理項目】 ヘッジ取引担当部門からの報告内容と相対取引先から送られてくる取引照合書類との整合性 フロントの実施取引における決済管理 ≪バックオフィス≫ 経理部 現物取引担当者 財務部 リスク管理方針 ・ -------- ・ --------- ・ ------- 月次決算報告など併せて報告 経営層

ヘッジ会計 ヘッジ会計は、企業が利益を最大化するという見地からリスク管理活動として実施した活動と、財務諸表を一致させ、企業活動の実態を反映させたものである。 目的 ヘッジ取引は現物取引の価格変動を固定化するための取引である。そのヘッジ取引に係る損益計上を、現物取引が発生する時期と合わせることによって、経営におけるリスク管理の活動を財務にも反映させることを目的としている。 概要 ヘッジ会計の要件を満たすものについては例外として、ヘッジ対象の損益が計上されるタイミングに合わせて損益としてP/Lに計上するまで、評価差額を繰り延べ、B/Sに計上することができる ヘッジ会計に求められる要件 対象 取引 ヘッジ会計の対象となるのは、リスクヘッジ(損益の相殺)を目的としたデリバティブのみで、アービトラージ(裁定取引)やスペキュレーション(投機取引)は対象外である 商品 油種が異なる場合でも、2つの製品の価格変動の間に高い相関性があればヘッジ手段として認められる 予定取引 会計基準上は特に期間の制限も設けられていないが、金融商品会計Q&Aの例示にある事業計画の期間(3年)を反映し、現在は実質的に3年以内に制限されている 適用要件 (事前テスト) ヘッジ対象のリスクとヘッジ手段を明確化 ヘッジ有効性の評価方法を正式な文書で明示 ヘッジ手段の有効性を事前に予測 継続要件 (事後テスト) ヘッジ取引時以降も継続して高い有効性が保たれていることを確認 有効性の評価方法にはヘッジ開始時からの時価またはキャッシュ・フロー変動の比率分析等を適用 変動比率が80%~125%の範囲内であればヘッジ対象とヘッジ手段との間に高い相関関係が認められる ヘッジの有効性の評価は決算日には必ず行い、少なくとも6ヶ月に1度実施 運用体制 ヘッジ取引担当者のみならず、財務、経理担当者によるヘッジ手段とヘッジ対象の紐付けの把握 ヘッジ取引担当部門以外の第三者によるヘッジ会計の有効性をチェック、監査する体制の構築 ヘッジ会計開始に必要な事前テストにおける文書化作業などをサポートする部門の整備

TOCOMの参加方法 メンバーとなって参加 日本商品先物取引協会 加入 商品先物取引業者 日本商品委託者保護基金 1 取次者 受託取引参加者 日本商品先物振興協会 委託 委託者 (顧客) 委託及び 自己取引 一般取引参加者 委託 委託 日本商品清算機構 (クリアリング) 2 市場取引参加者 直接取引 ①一般取引参加者 : 商品先物取引業者への委託による取引のみ。 ②市場取引参加者 : 自己の計算による取引のみを直接行うことができる取引資格。    受託取引参加者 : 経産省・農水省の許可を受けた「商品先物取引業者」を対象とする当社の取引資格で、 顧客の注文の受託及び自己の計算による直接取引が可能。

TOCOMの参加方法 商品先物取引業者に委託 石油販売会社 商品先物取引業者 注文 注文 TOCOMのメンバーにならなくても、経済産業省・農林水産省の許可を受けた 「商品先物取引業者」に委託することでTOCOMの取引・受渡しができる。

TOCOMの参加方法 受渡実績のある商品先物取引業者 (2015年3月 現在) 部署名 連絡先 Tel. E-mail EVOLUTION JAPAN株式会社 法人営業部 03-5485-4070 hojin@evojapan.com 岡地株式会社 エネルギー部 03-3249-9041 info@okachi.co.jp 岡藤商事株式会社 法人事業部 03-3552-6731 corp@okato.co.jp 日産センチュリー証券株式会社 法人部 03-5623-5115 globalsales@nc-sec.co.jp 岡安商事株式会社 本社法人部 06-6227-5656 hojin-gyoumu@okayasu-shoji.co.jp 豊商事株式会社 03-3667-5262 hojin@yutaka-shoji.co.jp *上記の社は石油市場及び中京石油市場において受渡実績を有するTOCOMのメンバー

(参考)TOCOMの実績 出来高実績 2.02倍 2.33倍 0.28倍 TOCOMでの出来高と現物販売量の比較(2013年) ガソリン 灯油 原油 TOCOM 113百万㎘ TOCOM 46百万㎘ TOCOM 58百万㎘ 2.02倍 2.33倍 0.28倍 全国販売量 56百万㎘ 全国販売量 20百万㎘ 全国輸入量 212百万㎘ 出所:石油連盟・TOCOM

▶ 1.3% ▶ 3.8% ▶ 2.2% ▶ 7.2% 全国販売量のうち 関東地区販売量のうち ガソリン 灯油 70万㎘ 5,582万㎘ (参考)TOCOMの実績  受渡実績(1/2) TOCOMでの受渡量と現物販売量の比較 ガソリン 灯油 全国販売量のうち TOCOMでの受渡量が 占める割合  70万㎘ 5,582万㎘ ▶ 1.3% 75万㎘ 1,982万㎘ ▶ 3.8% 関東地区販売量のうち 51万㎘ 2,300万㎘ ▶ 2.2% 56万㎘ 781万㎘ ▶ 7.2% 注:全国販売量、関東地区販売量、受渡量は2013年のデータ    関東地区は、東京都、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬の各県の合計 出所:石油連盟・TOCOM

▶ 1.9% ▶ 6.2% 全国販売量のうち ガソリン 灯油 11万㎘ 583万㎘ 8万㎘ 129万㎘ (参考)TOCOMの実績  受渡実績(2/2) TOCOMでの受渡量と現物販売量の比較 ガソリン 灯油 全国販売量のうち TOCOMでの受渡量が 占める割合  11万㎘ 583万㎘ ▶ 1.9%  8万㎘  129万㎘ ▶ 6.2% 注:中京地区販売量、受渡量は2013年のデータ    中京地区は、愛知、三重、岐阜県の各県の合計 出所:石油連盟・TOCOM

(参考)TOCOMの受渡(1/4) ガソリンの受渡し対象物と受渡場所 受渡対象物 ガソリンの受渡し対象物(受渡供用品)は、レギュラーガソリンである。 ただし、 受渡当事者同士が合意することにより、ハイオクガソリンでの受渡しも可能。 受渡場所 ガソリンの受渡場所は、東京湾内(東京、神奈川、千葉)における当社指定の製油所または油槽所での受渡しが原則だが、受渡当事者同士が合意することにより、日本全国の製油所または油槽所で受渡しを行うことが可能。 ≫ ガソリン・灯油の都道府県別の受渡場所(2014年11月現在) 受渡実績のある場所(41都道府県) 受渡実績のない場所(6府県)   山梨、岐阜、滋賀、京都、奈良、島根

3つの方法から選択可能 バージ(内航船) タンクローリー インタンク トランスファー* (参考)TOCOMの受渡(2/4) TOCOMでの石油製品の受渡方法 3つの方法から選択可能 *現物の移動を伴わず、タンク内に蔵置したまま所有権のみを移転する受渡方法

(参考)TOCOMの受渡(3/4) TOCOM市場では現物を受け取る際には、「①一括して受け取る」または、「②分割して受け取る」の2通りから選択できる。 石油市場(100㎘単位)のガソリン1,000㎘(=10受渡単位)を一括で受け取る場合  ⇒ 受渡期間中に一括で受け取ることができる。 事例.1 1回で1,000㎘を受け取る 石油市場(100㎘単位)のガソリンを分割して受け取る場合  ⇒ 受渡期間中(1ヶ月)であれば何回でもいつでも分割して受け取れる。 事例.2 1回目 20 ㎘   2回目 15㎘   3回目 30 ㎘ 4回目 20 ㎘ 5回目 15 ㎘ = 100㎘

(参考)TOCOMの受渡(4/4) 受方(買い方) 渡方(売り方) 現物を調達したい月の先物取引の買い注文を成立させる。 取引の最終日の前までに、買い付け代金を商品先物取引業者に預託する。 受渡しの希望日に現物を受け取る。 受方(買い方) 現物を販売したい月の先物取引の売り注文を成立させる。 取引の最終日の前までに、受渡しすることの保証書等を商品先物取引業者に差し入れる。 受渡しの希望日に現物を渡す。 現物の販売代金を受け取る。 渡方(売り方) ※現物の受渡しの諸条件の設定方法については、商品先物取引業者にお問い合わせ下さい。

当月限の前月25日(当日が休業日に当たるときは、順次繰り上げる。) ガソリン・灯油・軽油の取引要綱 ミニサイズ 取引対象商品 ガソリン 灯油 軽油 中京ガソリン 中京灯油 標準品 日本工業規格のK2202の2号の品質基準に適合するレギュラーガソリン 日本工業規格のK2203の1号の品質基準に適合する灯油 日本工業規格のK2204 の品質基準(各限月毎に 以下に掲げる当該限月 に対応する種類について の品質基準)に適合する 軽油 ・2号 :1月~3月限、       12月限 ・1号 :4月~5月限、       10月~11月限 ・特1号:6月~9月限 取引単位 50キロリットル(1枚) 10キロリットル(1枚) 受渡単位 100キロリットル(1枚) 呼値とその値段 1キロリットルあたり10円刻み 取引の提示価格と税金 東京湾沿海の製油所又は油槽所の海上出荷価格で、消費税を除いた価格 (ガソリンにあってはガソリン税(揮発油税及び地方道路税)も除く) 愛知県名古屋市港区潮見町及び同県海部郡飛鳥村に所在する油槽所の陸上出荷価格で、消費税を除いた価格 (ガソリンにあってはガソリン税(揮発油税及び地方道路税)も除く) 納会日 当月限の前月25日(当日が休業日に当たるときは、順次繰り上げる。)

お問い合わせ先 株式会社 東京商品取引所 市場構造研究所 TEL 03-3661-7565/FAX 03-3664-6423 http://www.tocom.or.jp/jp/ rims@tocom.or.jp 作成日:2015年3月27日