第3章 消費関数.

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家計の保険需要分析 京都大学大学院 小林研究室 関川 裕己. 研究の背景 家計の地震保険加入率 (2005 年度末 ) 火災保険への付帯率(%) 出典 : 損害保険料率算出機構.
公的年金 (2) 賦課方式と積立方式 公共政策論 II No.8 麻生良文. 公的年金制度の経済効果 公的年金の財政方式 2 期間モデルによる分析 – 保険料,給付の比較 – 生涯での純負担 賦課方式にもたらす世代間所得移転の性 質 賦課方式の年金制度の経済効果 – 資本蓄積 – 租税としての保険料.
公的年金 (3) 公共政策論 II No.9 麻生良文. 公的年金制度改革 公的年金バランスシートと通時的予算制 約 年金純債務と暗黙の租税 年金制度改革をめぐる誤解 – 積立方式の優位性 – 「二重の負担」 – 財源調達:税と社会保険料の最適な配分? – 賦課方式も積立方式も output をどう分配する.
フリードマンも消費の平準化に注目して、 恒常所得仮説を提唱した。 消費の平準化を行う各個人は、消費が現在 の所得よりもむしろ、好調な年と不調な年 を 平均した生涯の全所得 ( 恒常所得と呼ばれ る ) に強く依存する。したがって、フリードマ ンは人々は一時所得と恒常所得を区別でき ると主張した。 好調な年と不調な年の間で、消費を平準化.
第 2 章 国民所得決定理論. 1. 有効需要の理論 Jhon Maynard Keynes: 有効需要の原理 「経済全体の活動水準は経済全体でど れだ けの需要があるかによって決まる」
2004/11/18hiroyuki moriya1 早稲田大学教育学部社会科学専修 現代社会研究4 ( マネー) 伝統的資産運用とオルタナティブ投 資 森谷博之 住商キャピタルマネジメント チーフストラテジスト オックスフォードファイナンシャルエデュケーション.
消費者行動の理論 (3) 貯蓄・労働供給の決定 貯蓄の決定理論 – 2 期間モデル – 割引価値,生涯の予算制約 – 貯蓄の決定 – 利子率の変化 労働供給の決定理論 – 基本モデル – 後方屈曲的労働供給曲線 – コーナー解 – 所得再分配政策.
09bc053j 新井友海 デフレの正体第 9 講 ではどうすればいいのか① -高齢富裕層から若者への所得移転を.
資産運用の考え方 08bc172k 村杉な つみ. ポートフォリオのリスクと管 理 ポートフォリオ:個人や企業が保有する トータル の資産。中身は株式、 債券 投資信託、外貨金、 外国株式 など様々なもので 組み立てられている。 分散投資によって.
短期均衡 (2) IS-LM モデル 財市場 IS 曲線 – 財市場の均衡 – 政府支出の増加,減税 貨幣市場 LM 曲線 – 貨幣需要,貨幣市場の均衡 – マネーサプライの増加 IS-LM モデル – 財政政策の効果,金融政策の効果 – 流動性の罠 – 実質利子率と名目利子率の区別 貨幣供給.
QE 出口戦略 利上げ先行型. 前提 主張 1 超過準備対策として利上げは有効である 主張 主張 1 超過準備対策として利上げは有効である 主張 2 保有資産の売却は経済に悪影響を与える 主張 3 利上げは経済の安定に寄与する 以上三点により、 QE 出口戦略利上げ先行 型を主張します.
IS-LM 分析 マクロ経済分析 畑農鋭矢. 貨幣の範囲 通貨対象 M1M2M3 広義流動性 現金通貨(日銀券 +補助通貨) 預金通貨 (普通預金・当座 預金など) 主要銀行・信 用金庫など ゆうちょ銀 行・信用組合 など 準通貨 (定期預金など) 主要銀行・信 金など ゆうちょ銀 行・信用組合 など.
経済の仕組みと経済学. 経済学とは 「経世済民」経済 世の中を治め、民の苦しみを救うこと 人々が幸せに暮らすためのしくみでありその活動 = 経済学とは: 「希少な資源を競合する目的のために, 選択・配分 を考える学問」 2.
金融経済論(小川英治) 1 貨幣の機能と貨幣需要. 金融経済論(小川英治) 2 貨幣の機能 計算単位(価値尺度) 交換される商品の価値をある貨幣の数量で 一元的に表示する機能 交換手段 貨幣がすべての商品と交換され、すべての 商品の交換の媒介となる機能 価値貯蔵手段 貨幣が一定の価値を少なくとも一時的に蓄.
ケインズ型「短期消費関数」とクズネッツ 型 「長期消費関数」を矛盾なく説明する理論 フランク・モジリアニとアルバート・ア ンドウは ライフ・サイクル仮説を提唱した。 個人の消費行動は、今期の所得によって 決めれると言うよりも、貯蓄を通じて、そ の個人が一生の間に消費することのできる 所得の総額 ( 生涯所得.
第1章 金融の基本的要素 Q.4~Q /5/6 棚倉 彩香.
まとめ ケインズの消費関数 消費=f(現在所得) ライフ・サイクル仮説や恒常所得仮説 消費 =f(現在所得・富・期待将来所得・利子率) +
初級ミクロ経済学 -消費者行動理論- 2014年9月29日 古川徹也 2014年9月29日 初級ミクロ経済学.
入門 計量経済学 第02回 ―本日の講義― ・マクロ経済理論(消費関数を中心として) ・経済データの取得(分析準備) ・消費関数の推定
マクロ経済学初級I 第6回.
マクロ経済学 II 第7章 久松佳彰.
第16章 総需要に対する 金融・財政政策の影響 1.総需要曲線は三つの理由によって右下がりである 資産効果 利子率効果 為替相場効果
(第8週) 先週のおさらいとキーワード ◆ 有効需要原理(J.M.ケインズ[1936]) ◆ 短期モデルにおける国民所得の決定
<キーワード> 景気循環 総需要・総供給モデル
第8章 家計部門でいま起こっていること.
現代の経済学B 伊東光晴「ケインズ」第3回 一般理論の骨組み(ii) 現代資本主義とケインズ経済学 京大 経済学研究科 依田高典.
ミクロ経済学II 第18回 要素価格と所得分配 2 所得分配率 現在割引価値と土地の価格決定.
現代の経済学B 橘木俊詔「ライフサイクルの経済学」第3回 第5章 消費と貯蓄 第6章 引退後の生活 京大 経済学研究科 依田高典.
7: 新古典派マクロ経済学 合理的期待学派とリアル・ビジネス・サイクル理論
マクロ経済学 II 第9章 久松佳彰.
慶應義塾大学経済学部 土居 丈朗 政府債務の持続可能性 と今後の財政運営 慶應義塾大学経済学部 土居 丈朗
(景気が良くなり)ハンバーガーの需要が拡大すると
第4章 IS-LMモデル 労働市場との関係 IS・LMの交点(Y0, i0)は財市場と貨幣市場において,それぞれ需給均衡が達成しているが,労働市場において需給均衡を保証していない。 例えば,賃金の硬直性などの理由により,非自発的失業者が存在する可能性は十分にある。 完全雇用GDPがYFであるとすると,この経済にはY0YFに相当する所得不足が存在することになる。この不足は有効需要の不足によって発生したものである。
短期均衡モデル(3) AD-ASモデル ケインジアン・モデルにおける物価水準の決定 AD曲線 AS曲線 AD-ASモデル
マクロ経済学初級II タイプIIクラス 白井義昌
III 長期の実物経済.
財政赤字 マクロ経済分析 畑農鋭矢.
第8章 開放マクロ経済学.
硬直価格マネタリー・アプローチ MBA国際金融2016.
<キーワード> 景気循環 総需要・総供給モデル
政府の勘定 プライマリー・バランス ドーマー条件
マクロ経済学 II 第8章 久松佳彰.
マクロ経済学初級I 第4回.
第4章 投資関数.
III 長期の実物経済.
水害被災時の家計の 流動性制約に関する一考察
バブル崩壊後の日本経済の 貯蓄率低下について
60歳台になった団塊世代の経済行動 長谷川 正 学籍番号 
2008年までの好景気がつづいた 世界経済が現在同時不況 日本経済?
貨幣の流通速度 貨幣が平均して1年間にいくつの経済主体 の間を移動するのかを表わす MV=取引総額(年間) Vは流通速度あるいは平均回転率.
VI 短期の経済変動.
マクロ経済学初級II タイプIIクラス 白井義昌
第8回講義 マクロ経済学初級I .
マクロ経済学体系のフローチャート 財 市 場 (IS曲線) IS・LM モデル 総需要 曲 線 所 得 と 物価水準 の 決 定 インフレと
第5章 貨幣と金融市場.
7: 新古典派マクロ経済学 生産要素の完全雇用 ケインズ経済学の中心的な考え方(需要サイド,4章と5章のIS/LMモデル) ↑ ↓
第3章補足2 多変量データの記述 統計学基礎 2010年度.
第7章 単回帰で「消費関数」を計測する 1.所得の定義 1.1 国民純生産 国内総生産(GDP) ⇔ 所得
マクロ経済学初級I タイプIIクラス 白井義昌
古典派モデル(1) 基本モデル 生産要素市場の均衡(労働市場,資本市場) 生産関数 消費関数,投資関数 財市場の均衡 政策の効果
第9回講義 マクロ経済学初級I タイプIIクラス.
重回帰分析入門 (第5章補足) 統計学 2007年度.
経済学(第7週) 前回のおさらい 前回学習したこと(テキストp.16,19) ◆ マクロ経済学における短期と長期 ◆ 完全雇用とはなにか ◆ 短期のマクロ経済モデルの背後にある考え方 (不況の経済学/有効需要原理) ◆ 民間部門はどのように消費や投資を決定するか ◆ ケインズ型消費関数とはなにか ◆
第6章 デフレの鍵は賃金 ー「なぜ日本だけが?」の答え
企業ファイナンス 2009年10月28日 資本コスト 名古屋市立大学 佐々木 隆文.
マクロ経済学初級I 第12回 今学期のまとめ.
事業法人分析 九州大学ビジネススクール 村藤 功 2014年10月22日.
経済学入門 ミクロ経済学とマクロ経済学 ケインズ経済学と古典派マクロ経済学 経済学の特徴 経済学の基礎概念 部分均衡分析の応用.
第5回講義 文、法 経済学 白井義昌.
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第3章 消費関数

1. 消費関数のパラドックス 前章での消費関数 C Y

消費関数のパラドックス ケインズ型の消費関数 平均消費性向 クズネッツの消費関数

2.相対所得仮説 Modigliani – Dusenberry 「消費者は一定の消費慣習を持っており、現在の消費水準は現在の所得水準のみならず 過去の最大の所得水準にも依存する」

歯止め効果 C Y

3. 恒常所得仮説 Milton Friedman 「人々は消費行動を考えるとき、一時的な所得 によるのではなく、恒常的に入ってくるのではなく恒常的に入ってくると考えられる所得によって 消費計画を立てる」 恒常所得 雇用者所得、利子所得などほぼ安定して 得られると期待できる所得 変動所得 消費者が安定して得られると期待できない 一時的な所得

恒常所得仮説 恒常所得 短期の消費関数 長期の消費関数

恒常所得仮説と消費関数のパラドックス C Y

4. ライフ・サイクル仮説 Modigliani-Brunberg 「人々の消費行動は、短期的な視野に基づいて行われるものではなく、これから将来何年 働くか、退職後何年間生活するか、資産をどのように保有するか等を考慮して、より長期的な視野に基づいて行われる」

モデル 現在 T年 N年働く L年生きる 現在の資産 A 労働期間中の年賃金率 w 毎年の消費 C 利子率 ゼロ

生涯予算制約式 毎年の消費 労働期間中の年貯蓄 退職後の貯蓄

ライフ・サイクル仮説:消費と貯蓄 C, S t

ライフ・サイクル仮説:資産 資産 t

ライフ・サイクル仮説と消費関数のパラドックス 消費関数 平均消費性向

[ライフ・サイクル仮説:例題]   各世代の消費者は、前期と後期の2期間にわたって生き、所得は前期においてのみ稼ぎ後期の消費は前期の貯蓄によってまかなわれるとする。また消費者は前期と後期に同額の消費を行うものとする。    毎期新たに生まれてくる世代の消費者人口の増加率はnであり、消費者一人当たりの所得の増加率はgである場合、マクロの平均消費性向はいくらか。ただし、利子率はゼロであり、消費者は次世代に遺産を残さないとする。    nとgの変化は、マクロの平均消費性向にどのような影響を与えるか。  

4. 実証研究 長期と短期の消費関数 長期の消費関数 1955-1987年次データ 推定結果 短期の消費関数 1983-1987年次データ 推定結果

ライフサイクル仮説の検証 推定式 NWR:純正味資産

純正味資産 資産残高ー負債残高 資産:在庫、純固定資産、 再生不可能有形資産(土地、森林、漁場) 金融資産(株式、預金、債券、生命保険) 負債:市中借入金、政府借入金

推定結果