Evidence-based Practice とは何か 東京医科歯科大学 医学部保健衛生学科 阿部俊子
EBPとは何か? EBM Evidence-based Medicine 科学的根拠に基づいた医療 EBP(Evidence-based Practice)は経験、直感で行ってきて、病態生理からの推論である仮説に依存していた臨床を、科学的根拠に基づいて行おうというもの
EBMとEBN(Nursing)そしてEBP -焦点となる問題がやや異なる -診断Diagnosisは看護診断や問題 -治療Treatmentは看護治療やセラピー EBP 科学的根拠に基づいた臨床
EBMとは EBM・EBPとは、以下の3つの統合 1.研究におけるベストプラクティス 2.臨床者の専門性(知識、技術、さらには患者の個別性ー価値観も含めてーを見出して、それを臨床適応できること) 3.患者の価値観(好み、心配、期待などの個別的なもの)をとりいれる
誰のための医療か 従来の医療の質 1.医療者にとっての医療の質 2.患者にとっての医療の質 3.医療費支払い者にとっての医療の質
EBMのプロセス 1.患者の問題を明確にする 患者の問題の分類 どんな患者に何をするとどうなる 2.情報(文献)収集:情報源は何か 患者の問題の分類 どんな患者に何をするとどうなる 2.情報(文献)収集:情報源は何か 専門家のコンセンサス、研究結果か 3.情報の吟味:文献の信頼性評価 一般化できる研究結果か、研究方法か 4.患者への適応、応用の妥当性 5.評価
「エビデンスの水準」 AHCPR Ⅰa 複数のランダム化比較試験のメタ分析 Ⅰb 少なくとも1つのランダム化比較試験 Ⅲ 比較研究や相関研究,症例対象研究など, よくデザインされた非実験的研究 Ⅳ 専門家委員会の報告や意見,あるいは 権威者の臨床経験
Evidenceとしての科学的根拠となる 研究情報の選択基準selection criteria 「Evidence-based Nursing」 1.ヘルスケアの構造やそのプロセス の理解を促すもの (患者の姿勢、意向など) 2.個人の疾病や治療への理解を促す もの 3.定量的な研究からその実際の臨床 への適用を促すもの
質的研究の方法論 -情報源の査定項目 1.研究質問の定義 2.方法論 3.研究対象者、被験者の抽出方法、 被験者の属性 4.データ解析方法 質的研究の方法論 -情報源の査定項目 1.研究質問の定義 2.方法論 3.研究対象者、被験者の抽出方法、 被験者の属性 4.データ解析方法 などが明確であることが条件
現在の臨床が根拠に基づいたものかどうかをチェックするモデル McClareyら、1997) 1)研究の有無の確認 2)研究に基づいた臨床を行っているか? 3)臨床に用いている研究の信頼性 4)臨床で行っていることにガイドライン(科 学的根拠に基づいた)があるか? 標準化はされているか? 5)臨床を改善するために何をなすべきか (啓蒙、普及、教育など) 6)臨床としての科学的根拠の実際効果、 ケアの質の査定
「エビデンスに基づいた 臨床上の意思決定モデル」 1.研究成果 2.患者の意向 3.臨床の専門性 4.資源 (Kessenichら1997)
EBM・EBP 「探す」 「使う」 「つくる」
臨床でのEBM・EBP JCAHO2000 EBM/EBPは効果 効率はでていない ケアの質は アウトカム=ストラクチャー+プロセス
臨床で行っていくことの課題 1. 臨床でのプロトコールやガイドラ インの修正。エビデンスを明確に。 1. 臨床でのプロトコールやガイドラ インの修正。エビデンスを明確に。 2. エビデンスを検索できるシステム 環境 3. 臨床を変えていくための、組織的 変革(プロトコール委員会、 情報検索委員などの設置) 4. 研究成果を実践に応用する継続的 な教育