情報モラル指導の実際 ~生徒への指導は,こんなふうに進めてみよう~ 平成23年度 ICT活用推進委員会 平成23年度 ICT活用推進委員会 情報モラル指導の実際 ~生徒への指導は,こんなふうに進めてみよう~ 「情報モラル指導」というと,二の足を踏む方もいるかと思いますが,「社会生活をしていく上で必要なルールやマナーの一部」としてとらえると,先生方もその必要性を実感できるのではないでしょうか。今回の研修では,生徒に指導していくために,「どのような内容を,どのようにして指導していけばよいのか」ということを一緒に確認していきたいと考えています。
情報モラル教育とは? 1 児童生徒に情報モラル教育を ☆新学習指導要領の総則において, 情報モラル を指導することが明示された 情報モラル : 情報社会で適切な活動を行うための 基になる考え方と態度 1 児童生徒に情報モラル教育を ☆新学習指導要領の総則において, 情報モラル を指導することが明示された 情報モラルとは「情報社会で適切な活動を行うための基になる考え方と態度」されています。 そして,今回の学習指導要領の改訂では,児童生徒に情報モラル教育を身に付けさせることが明示されました。
2 背 景 ☆ネット上での誹謗中傷やいじめ,犯罪や違法・ 有害情報などの問題が発生している現状 ☆情報社会に積極的に参画する態度を育てる ことの重要性が増している現状 3 目 標 ☆情報手段をいかに上手に賢く使っていくか,そ のための判断力や心構えを身に付ける ☆情報社会の特性の一側面である影の部分を 理解する その背景には,☆印で示しているようにネットを介した問題の発生や,子どもたちが,今後ますます進展する情報社会に対応していく必要があることなどがあります。 以上のことから,情報モラル教育では,インターネットや携帯電話などの便利なコミュニケーションツールの使い方やマナーを身に付けること,そこから発信・受信する情報を正しく活用することをねらって,目標が設定されています。もちろん,情報モラルは生徒に限らず,大人も身に付けるべきものであり,情報社会の「交通ルール」と言ってもいいでしょう。
4 内容及び指導上の留意点 ☆具体的には2領域5分野の内容をもれなく扱う ☆各教科等の目標と情報モラル教育の目標との 関係を明確にする ☆学校の教育活動全体を通して適切に情報モラ ルを身に付けるための学習活動を位置付ける 情報モラルの指導はすべての教員が行う。 では,学校ではどのように指導するかという点ですが, まず,情報モラル教育には「2領域5分野」の内容がありますので,その内容を小学校から中学校までをとおして,もれなく扱うことが大切です。 また,各教科等の目標と情報モラル教育の目標との関係を明確にして,各教科等のどの単元で何を指導するのかなどを明らかにする必要があります。 そして,各教科,道徳・学活はもちろんのこと,全教育活動を通じて,情報モラル教育を行います。したがって,情報モラル教育の指導は,全ての教員が連携して行うことが重要になります。
2分野5領域とは? これは国立教育政策研究所から発行されている「情報モラル教育実践ガイダンス」から引用したものです。 「情報モラル教育」の内容を大まかに表したもので,先ほど出てきた「2領域5分野」が示されています。2領域のうち,1つは「心を磨く領域」で,「情報社会の倫理」,「法の理解と遵守」という分野があります。(~簡単に説明する~) もう1つは「知恵を磨く領域」で,「安全への知恵」,「情報セキュリティ」という分野があります。(~簡単に説明する~) また,2領域にまたがる形で「公共的なネットワーク社会の構築」という分野があります。
実際の指導の流れ 次に,実際に指導するにあたっての手順や準備です。まずは,生徒の観察やアンケートをもとにした「実態の把握,整理」,それをもとに,各校,各学年に応じた「年間指導計画の作成」をします。ただし,計画については,ゼロからの作成では大変ですので,文科省関連のホームページや,市教委のICT活用推進委員会で作成したものが参考になりますので,ぜひ活用ください。 これが,ICT活用推進委員会で作成したものです。(次ページへ) ○「情報モラル教育実践ガイダンス」(H23) 【文部科学省国立教育政策研究所】 http://www.nier.go.jp/kaihatsu/jouhoumoral/index.html
年間指導計画(小学校用) これは,小学校用の「年間指導計画」です。各学年ごとに行事等に合わせて指導事項は変わると思いますが,参考にしてください。
情報モラル指導カリキュラムチェックリスト また,さきほどの年間指導計画は,この「情報モラル指導カリキュラムチェックリスト」をもとに作成しています。 「2領域5分野」の指導事項が,発達段階に応じて系統的に体系的に一覧できるようになっています。各学年での,扱いやすい単元や題材,参考となる資料やサイトが掲載されているので,すぐにでも活用できる内容となっています。 (今日の研修ではじめに配布した資料です。) 8
実際の指導の流れ さて,「年間指導計画の作成」に続いては,「具体的な指導方法」の検討です。 実践をもとに評価・反省をして,次の指導へとつなげていくことになります。この図のステップ1から4までを毎年繰り返し続けていくことで,情報モラル 指導を軌道に載せていくことができます。そこで,本日の研修では,皆さんが最も関心のある,また不安にも思っているであろう「具体的な場面での指導例」を紹介したいと思います。 ○「情報モラル教育実践ガイダンス」(H23) 【文部科学省国立教育政策研究所】 http://www.nier.go.jp/kaihatsu/jouhoumoral/index.html 9
各教科では… まずはじめに各教科での指導ですが,先ほどの「情報モラル教育実践ガイダンス」から,ここでは,美術と保健体育を例に挙げています。 美術では(~簡単にスライドを説明する~) 10
『法の理解と遵守』 ~著作権などの知的財産権の尊重~ 『法の理解と遵守』 ~著作権などの知的財産権の尊重~ 著作権に関しては,他人の著作物を「個人で楽しむこと」以外の目的で利用することは,法に触れる可能性が高いので,その点を授業を通して生徒に伝える必要があります。また,他人の著作物という点では,生徒作品を校外の作品展等に出品する際にも,生徒本人に了解を得ることを忘れてはいけません。 このように,「鑑賞し,表現を感じ取り味わう」授業の中で,著作権を取り上げるという例を紹介しました。 11
また,保健体育では(~簡単に説明する~) 12
『安全への知恵』 ~自他の安全や健康を害する行動の抑制~ 『安全への知恵』 ~自他の安全や健康を害する行動の抑制~ コンピュータ等を通しての問題としては,他者とのトラブルだけでなく,自分自身の健康への影響が心配される場合もあります。先生方も,パソコンの画面を見過ぎて目が疲れたり,頭痛を起こしたりという人もいることと思います。このような,コンピュータや携帯電話等の使い方を考えさせることも情報モラル指導のひとつです。 13
道徳・学級活動では… 次に,道徳と学級活動での実践例です。 道徳では(~簡単に説明する~) 14
『情報社会の倫理』 ~情報に関する個人の権利の尊重~ 『情報社会の倫理』 ~情報に関する個人の権利の尊重~ 県教委調査の「携帯電話,インターネットの利用状況調査」によりますと,秋田市におけるネットトラブルも多くはメールによるものです。顔の見えない相手 とコミュニケーションをとる上で気をつけるべき点を,考えさせることが大切です。 15
学級活動では(~簡単に説明する~) 16
『情報社会の倫理』 ~情報社会における責任と義務~ 『情報社会の倫理』 ~情報社会における責任と義務~ メールやブログ等を使ってのコミュニケーションが,今では中学生でも当たり前となっています。匿名性だから何をしてもよいというわけではないので,使用する上での責任や義務を考えさせることが大切です。また,自分や他人の個人情報を安易に書き込むことで,犯罪に巻き込まれる例があることを伝えていかなければなりません。 17
○「ここからはじめる情報モラル指導者研修ハン ドブック」(H22) 【(財)コンピュータ教育開発センター】 http://www. cec ○「ここからはじめる情報モラル指導者研修ハン ドブック」(H22) 【(財)コンピュータ教育開発センター】 http://www.cec.or.jp/monbu/pdf/h21jmoral/ その他にも,参考になる事例がweb上にはたくさんありますので,いくつか紹介します。 まずはじめに,平成22年作成された「ここからはじめる情報モラル指導者研修ハンドブック」から紹介します。
生徒が日常で体験しそうな事についての,具体的な指導例があります。 これは「迷惑メール」についての指導例です。 19
(簡単に内容を説明する) このサイトの特徴は,一番下の部分に「教材例」として,関連したサイトや資料を列記してくれているので,先生方の教材研究にも役立てられる内容となっています。 20
○「ここからはじめる情報モラル指導者研修ハンドブック」 (H22) 【(財)コンピュータ教育開発センター】 他にも,「高額請求されたら」や「チェーンメールが来たら」など,日常で起こりうるさまざまな事例を取り上げた指導例が載っており,対象が生徒だけでなく,PTAなどで保護者の啓発にも活用できる内容となっています。 ○「ここからはじめる情報モラル指導者研修ハンドブック」 (H22) 【(財)コンピュータ教育開発センター】 http://www.cec.or.jp/monbu/pdf/h21jmoral/ 21
さらに,別のサイトです。 「ネット社会の歩き方」というサイトには,動画で学習することのできる資料がたくさんあります。生徒たちには活用しやすい資料だと思われます。 22
○「ネット社会の歩き方」(H23) 【(財)コンピュータ教育開発センター】 http://www.cec.or.jp/net-walk/
また,教師が目的に合った資料を,探しやすいように工夫されていますので,ぜひ試してください。 24
最後に「やってみよう情報モラル教育」というサイトです。 25
○「やってみよう情報モラル教育」(H20) 【(社)日本教育工学振興会】 ここにも数多くの実践例が含まれており,参考になります。 ○「やってみよう情報モラル教育」(H20) 【(社)日本教育工学振興会】 http://kayoo.info/moral-guidebook-2007/ 26
Web上には,情報モラル教育を推進するために 様々な教材等が公開されています。 Web上には,情報モラル教育を推進するために 様々な教材等が公開されています。 ★「教育の情報化に関する手引」(平成22 年) 〔文部科学省〕http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1259413.htm ◎「情報モラル」指導実践キックオフガイド( 平成19 年) 〔(社)日本教育工学振興会〕 http://kayoo.info/moral-guidebook-2007/kickoff /index.html ◎情報モラル指導ポータルサイト『やってみよう情報モラル教育』( 平成20 年) 〔(社)日本教育工学振興会〕 http://kayoo.info/moral-guidebook-2007/ ◎情報モラル指導セミナー「5 分で分かる情報モラル」( 平成19 年) 〔(財)コンピュータ教育開発センター〕 http://sweb.nctd.go.jp/5min_moral/index.html 以上,いくつかの実践につながるサイトを紹介してきましたが,まだまだたくさんあります。 生徒のために,ちょっと頑張って,一度のぞいて見ましょう。 27
◎「親子のためのネット社会の歩き方セミナー」( 平成21 年) 〔(財)コンピュータ教育開発センター〕 http://www.cec.or.jp/jka/h21oyako_index.html ◎ここからはじめる情報モラル指導者研修ハンドブック( 平成22 年) 〔(財)コンピュータ教育開発センター〕 http://www.cec.or.jp/monbu/pdf/h21jmoral/ ◎情報モラル教材ポータルサイト「ネット社会の歩き方」( 平成23 年) 〔(財)コンピュータ教育開発センター〕http://www.cec.or.jp/net-walk/ ○これであなたも著作権何でも博士〈学校関係者向け著作権の教育情報〉 〔文化庁〕 http://www.bunka.go.jp/1tyosaku/chosaku_hakase.html
教材、指導データの蓄積を!! 実際の指導の流れ 最後になりますが,先生方が「まずはやってみる」という気持ちで準備をすることが大切だと思います。校内で情報交換をしながら,数多くの実践を積み重ねていってほしいと思います。 私も含め,みんなで取り組んでいきましょう。(おしまい) 29
《出典・参考資料》 ○「ここからはじめる情報モラル指導者研修ハンドブック」 (H22) 【(財)コンピュータ教育開発センター】 (H22) 【(財)コンピュータ教育開発センター】 http://www.cec.or.jp/monbu/pdf/h21jmoral/ ○「情報モラル教育実践ガイダンス」(H23) 【文部科学省国立教育政策研究所】 http://www.nier.go.jp/kaihatsu/jouhoumoral/index.html ○「ネット社会の歩き方」(H23) 【(財)コンピュータ教育開発センター】 http://www.cec.or.jp/net-walk/ ○「やってみよう情報モラル教育」(H20) 【(社)日本教育工学振興会】 http://kayoo.info/moral-guidebook-2007/