「ベトナムにおける協同組合とマイクロインシュアランスを活用した保険市場開拓の可能性」 日本保険学会関西部会 第2回報告会 「ベトナムにおける協同組合とマイクロインシュアランスを活用した保険市場開拓の可能性」 2016.11.12 滋賀大学経済学部 久保英也 (注) 当日は、このレジメを修正した報告資料を配布いたします。
本報告の背景と目的 (1)成長率が高く、親日的なベトナムは、日本企業進出希望先国トッ プである。一方で、中国の3分の1の国民所得と農村部の貧しさが 際立つ。当然、都市部の保険市場以上に人口の6割を占める農村 部の市場を先行的に押さえる長期戦略が重要。 (2)農村部の保障は弱小なマイクロインシュアランスのみであり、日 本で成功を収めた協同組合と共済のノウハウをベトナムに馴染ま せることが必要。 (3)都市部の少数の富裕層や高所得層を狙うのではなく、農村部の 保険市場開拓を通じたベトナム農民のリスクを移転こそ、保険、 共済(共に相互性)本来の国際的社会貢献。 (4)このため、①ベトナム保障市場の推計(まずは死亡保障)と ②協同組合という器の多様性、柔軟性を国際的に分析する中で、 ベトナムにふさわしい協同組合組織の在り方を考える。
ベトナムの保険市場の状況
ベトナムの長期的な市場見通し (生保個人保険+個人年金)
ベトナムの生保保障市場の可能性
死亡保障市場を考える マクロ保障倍率 = 個人保険死亡保険金額(含む個人年金) 名目GDP(自国通貨建て) 個人保険死亡保険金額(含む個人年金) マクロ保障倍率 = 名目GDP(自国通貨建て) (個人保険P+個人年金P) 個人保険金額 個人保険P = × × 個人可処分所得 個人保険P (個人保険P+個人年金P) 【消費者の保険選好】 【保障単価】 【個人保険比率】 個人可処分所得 × 名目GDP(自国通貨建て) 【家計割合】
マクロ保障倍率の要因分解(ベトナム)
マクロ保障倍率の推計結果
アジア5か国のマクロ保障倍率の推計
図G ベトナムマクロ保障倍率の推計
共同体組織の変遷と特徴
ベトナムの2つの共同体組織
ベトナム新農業合作社の生産効率(養豚)
協同組合の5つの本質
普遍性のある共同金融・保険
ベトナム非営利組織金融の比較
ベトナムのマイクロインシュアランス
ベトナムの少額共済の保険料の妥当性
結 論 (1)協同組合組織は非経済システムとして、達成する目的 に応じ柔軟に形を変えられる。現に、アジアの各国の協 同組合組織は社会、経済、文化・歴史により多様な展開。 (2)ベトナムにおいて、「新型合作社」と連携・支援すること により、信用業務、共済事業の展開の可能性が高い (3)その時、①婦人連合、②農業技術支援団体、③農産物 加工業者などと組んだ信用業務と共済型保険を提供 (4)今後の急速に進む高齢化に備え、①合理的な保険料 計算、②社会保障制度見直しへの対応、③リスク管理 の提供など保険会社の基本ノウハウも重要 (日本の保険会社や共済の貢献できる余地が大きい)。