神戸周辺沿岸海域における 有機フッ素化合物の分布と推移 パネルディスカッション「有機ハロゲン化合物汚染の現状と課題」 神戸周辺沿岸海域における 有機フッ素化合物の分布と推移 神戸市環境保健研究所 八木正博 水環境学会・MS技術研究委員会e-シンポ 20090801
ポイント はじめに 大阪湾の紹介 分析法 精度管理 フッ素樹脂メーカーからの情報発信 削減計画 調査結果 はじめに 大阪湾の紹介 分析法 精度管理 フッ素樹脂メーカーからの情報発信 削減計画 調査結果 (1)冷凍保存海水を用いて2004年4月~2009年5月の神戸海域のPFCs濃度を調査し、その挙動を調べた。 (2)調査したのは、水平分布、鉛直分布、経年変化。 (3)分析法はLC/MS/MS法 今後の予定
出典 国土交通省近畿整備局:大阪湾データベース 大阪湾の集水域 出典 国土交通省近畿整備局:大阪湾データベース
大阪湾に流れ込む河川の流量 出典 国土交通省近畿整備局:大阪湾データベース
分析法 試験溶液の調製
分析法 LC/MS/MS条件
分析法 標準液のクロマトグラム例
分析法 採用した分析法のポイント 環境省化学物質分析法開発調査報告書での方法(佐々木らの方法)を参考にし、次に示したような一部改良した方法を用いた。なお、様々な汚染を受け易いと考えられるため、さらに可能な限り操作の簡略化等を図った。すなわち、 (1) 固相からの溶出液は濃縮しない (2) 固相抽出においてはチューブ等にテフロンの使われていない ペリスタリックポンプを用いる (3) 異性体や妨害物を考慮し長めのカラム(250mm))を用いる (4) 妨害物質の影響を除くためSIR法ではなくSRM法を採用する。 (5) 定量性を高めるためシリンジスパイクやサンプルスパイクを用いる
精度管理(下水放流水及び流入水を利用) 兵庫県が主導、神戸市の他、周辺自治体及び民間検査機関が参加
PFOA排出量の削減活動 ふっ素樹脂製造メーカーが情報発信 (EPA長官の呼び掛けに対応して) 2004年12月版 2006年までにPFOA排出量の最低50%削減(対2000年) 2006年11月版 2010年までにPFOA、PFOAを発生する前駆体物質及びこれらより炭素数の多い類縁物質の排出量の95%削減(対2000年) 2015年までにPFOA、PFOAを発生する前駆体物質及びこれらより炭素数の多い類縁物質を全廃
神戸海域表層水中のPFOA濃度の水平分布 調査結果 神戸海域表層水中のPFOA濃度の水平分布
神戸海域5ヶ所の深度別PFOA濃度 ---2004年7月--- 調査結果 鉛直分布・PFOA 神戸海域5ヶ所の深度別PFOA濃度 ---2004年7月---
神戸海域4ヶ所の深度別PFOA濃度分布 -- 2007年8月,11月, 単位:ng/L -- 神戸市環境保健研究所の八木です。 -- 2007年8月,11月, 単位:ng/L -- 神戸市環境保健研究所の八木です。 「アニオン交換カラム-LC/MSによるグルホシネート等の分析」について、話題提供させていただきます。 神戸市は、昨年度より、環境省・エコ調査の分析法開発・LC/MSに参加しています。 今日、お話するのは、初めに私が携わった分析法開発・グルホシネートが中心です。
冷凍保存海水を用いた神戸海域地点No.76表層水中の PFOA、PFOS濃度の経年変化 調査結果 経年変化・PFOA (67) (78) (88) (58) (84) (88) (67) (67) (57) (95) (94) (85) (98) (99) (95) (93) (海水割合:塩素量/18.0×100) 矢印はふっ素樹脂メーカーのPFOA削減に向けた情報発信の年月 冷凍保存海水を用いた神戸海域地点No.76表層水中の PFOA、PFOS濃度の経年変化
大阪湾におけるPFOA・PFOS濃度(2002-2004) 単位:ng/L Norimitsu Saito et al. J.Occup.Health,2004,46,49-59 2003年4月採水 エコ調査 2002年10月採水 冷凍海水を用いた調査2004年7月採水 画像提供 藤原建紀:大阪湾の渦 大阪湾におけるPFOA・PFOS濃度(2002-2004)
大阪湾におけるPFOA・PFOS濃度(2007) 単位:ng/L 大阪府記者発表資料 2007年7月採水 兵庫県記者発表資料 2007年7月採水 神戸市調査2007年6月採水 大阪湾におけるPFOA・PFOS濃度(2007)
まとめ 冷凍保存海水を用いて2004年4月~2009年5月の神戸海域の有機フッ素化合物濃度を調査し、その挙動を調べた。 2005年1月に神戸海域で最も大阪湾湾奥の地点No.76の表層水からPFOAが920ng/L検出された。 その後、急激に減少し、最近は10~20ng/L程度で推移している。 2009年に入るとPFHxAが急上昇し、2004年当時のPFOA濃度に近づいている。 企業の対策による効果であると思われるが、引き続き確認していくことが必要である。