プレストレス(Prestress)のロス(Loss)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
「設計論」 というほどのものではないが・・・ コンクリート工学研究室 岩城 一郎. 設計とは? (広辞苑) せっ‐けい【設計】 (plan; design) ある目的を具体化する作業.製作・工事 などに当り,工費・敷地・材料および構 造上の諸点などの計画を立て図面その他 の方式で明示すること.「ビルの.
Advertisements

鉄筋コンクリート構造、:2011版 旧:鉄筋コンクリート(1)
5章 許容応力度 本文 pp8-14 解説 pp 構造用鋼材 : 許容曲げ応力度式の変更等
配合設計 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
RC構造の破壊形態 コンクリート工学研究室 岩城 一郎 このサイバーキャンパスをご覧の皆さん,こんにちは.
せん断力を受ける 鉄筋コンクリート部材 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
化学的侵食 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
硬化コンクリートの性質 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
構造材料学の 開講にあたって コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
高流動コンクリート コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
コンクリート構造物のひび割れ コンクリート工学研究室 岩城一郎.
セラミックス 第9回 6月18日(水) セラミックスの物性.
回数 月日 内 容 4/14 【休講】 16 6/10 弾性体はりのせん断に対する検討 1 4/15
トラス部材の変形シミュレーション ~フィンクトラスに対する変形シミュレーション~
PCの特徴と分類 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
化学的侵食 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
配合とは?配合設計とは? コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
コンクリートと鉄筋の性質 コンクリート工学研究室 岩城一郎.
凍害 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
コンクリートの強度 (構造材料学の復習も兼ねて)
耐熱改良オレフィン系シール材 CP-3SHR(開発品)ご紹介
① (a) 早強 (b) 低熱 (c) 中庸熱 (d) 耐硫酸塩 ② (a) 早強 (b) 耐硫酸塩 (c) 低熱 (d) 中庸熱
問題13(耐久性)    コンクリートに劣化現象に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
使用限界状態 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
コンクリートの強度 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
配合設計 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
硬化コンクリートの性質 弾性係数,収縮・クリープ
応力-ひずみ関係 断面積A,長さLの物体に,(軸)力Pが作用した際,ΔLだけ伸びた(あるいは縮んだ).
4章:曲げモーメントを受ける部材 キーワード:非線形挙動、断面解析、終局耐力、 等価応力ブロックによる塑性解析、
構造材料学の開講にあたって コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
硬化コンクリートの性質 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
化学的侵食 コンクリート工学研究室 岩城一郎.
材料強度学の目的 機械とは… 材料強度学 外部から力を加えて、人に有益な仕事をするシステム 環境 力 材料 材料の破壊までを考える。
トンネル栽培における 水消費メカニズムの解明
プレストレストコンクリートに関するまとめ
化学工学基礎 −後半の後半− 第1回目講義 (2009年7月10日) 1 担当 二又裕之 物質工学1号館別館253ー3号室
応力(stress, s, t ) 自由物体図(free-body diagram)において、外力として負荷荷重P が作用したとき、任意の切断面で力の釣り合いを考慮すると、面における単位面積あたりの内力が存在する、それを応力といい、単位は、Pa(N/m2) で表す。面に垂直に働く垂直応力、s と平行に働くせん断応力、
鉄骨構造の特徴 Steel Frame Structure
FEM勉強会 (第3回).
プレストレス(Prestress)のロス(Loss)
プレストレストコンクリートに関する復習 プレストレストコンクリート(prestressed concrete:PC)構造とは?
鉄筋コンクリートの成立条件・特徴 コンクリート工学研究室 岩城一郎.
鉄筋コンクリート構造の材料(2) ・図解「建築の構造と構法」     93~97ページ ・必携「建築資料」   材料:78~81ページ.
第1回、平成22年6月30日 ー FEM解析のための連続体力学入門 - 応力とひずみ 解説者:園田 恵一郎.
4章:曲げモーメントを受ける部材 キーワード:非線形挙動、断面解析、終局耐力、 等価応力ブロックによる塑性解析、
コンクリート構造物の設計法 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
疲労 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
回数 月日 内 容 1 4/10 ガイダンス,鉄筋コンクリート(RC)とは? 18 6/12 中間試験1及び解説 (曲げ) 2 4/16
コンクリートの応力-ひずみ関係のモデル化
配合設計 コンクリート工学研究室 岩城一郎.
高流動コンクリート(補足) コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
鉄筋コンクリートとは? 鉄筋とコンクリートという異なる2種類の材料が双方の短所を補うことにより,一体となって外力に抵抗するもの.
曲げを受ける鉄筋コンクリート部材 (状態III)
フレッシュコンクリートの性質 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
乗用車用スチールホイールディスクの 多段プレス成形における加工条件の決定
1.5層スペースフレームの 接合方法に関する研究
第22回講義の要点 断面諸量 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
回数 月日 内 容 1 4/10 ガイダンス,鉄筋コンクリート(RC)とは? 16 6/6 中間試験1及び解説 (曲げ) 2 4/11
回数 月日 内 容 1 4/10 ガイダンス,鉄筋コンクリート(RC)とは? 18 6/12 中間試験1及び解説 (曲げ) 2 4/16
鉄筋コンクリートはりの 曲げ耐力の算出 コンクリート工学研究室 岩城一郎.
塑性加工 第2回 今日のテーマ ・応力ーひずみ線図の正しい見方 (ヤング率はなぜ異なるのか?) (引張と圧縮は同じ?)
コンクリート構造物の 力学を学ぶために コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
各種コンクリート コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
トルクレンチを用いたPC鋼棒緊張の数値モデル
問題13(フレッシュコンクリート)  フレッシュコンクリートに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
問題14(11.曲げモーメントを受ける部材):  次の図は,曲げモーメントを受ける鉄筋コンクリート断面(単鉄筋長方形断面)の仮定を示したものである.この図の記述について,間違っているものを解答群から一つ選べ. a. 図中のうち,Ⅰ:弾性解析(全断面有効)では,ひび割れ前の純弾性状態に対して,用いられる断面仮定であり, 
エンジニアリングデザイン教育 コンクリート製体重計の作製 愛知工業大学 都市環境学科.
骨組の静定 ・不静定 まとめ ・構造物全体に対して判定式 2k<=>n+s+r (k: 節点数,n: 支持力数,s: 部材数,
問14(第1回):鉄筋コンクリートに関する次の記述のうち、正しいものの数を数字で答えよ. a
混和材料について コンクリート工学研究室 岩城一郎.
Presentation transcript:

プレストレス(Prestress)のロス(Loss) コンクリート工学研究室 岩城 一郎

プレストレスのロス プレストレス(PC鋼材の引張力)は緊張作業中および直後,あるいは経時的に失われる.→このことを考慮し,PC構造物の設計しなければいけない.       P(x)=Pi-〔ΔPi(x)+ΔPt(x)〕   ここで,   P(x):断面xにおけるプレストレスト力   Pi:緊張材端部に与えた引張力:Initial Prestress   ΔPi(x):緊張作業中及び直後に生じるプレストレス力の減少量   ΔPt(x):プレストレス力の経時的減少量 プレテンション方式とポストテンション方式によりロスを考慮すべき項目および減少量が変わる. Pi x P(x)

プレテンション方式と ポストテンション方式 プレテンション方式と           ポストテンション方式 主として現場施工 主として工場製作 プレテンション方式:PC鋼材をあらかじめ緊張しておき,その後,コンクリートを打込み,硬化後,鋼材を切断する方法(コンクリートと鋼材の付着により定着) 例 JIS桁,枕木等 ポストテンション方式:コンクリート硬化後PC鋼材を緊張する方法(定着具により定着,ダクト,グラウトが必要) 例 一般のPC桁

緊張作業中及び直後に生じるプレストレスのロス-1 コンクリートの弾性変形(プレテン,ポステン両方) プレストレス力により,コンクリートが圧縮力を受けて縮むことにより,プレストレスがロスする現象 緊張材とダクトとの摩擦(ポステンのみ) 緊張材とダクト(シース)との間の摩擦により,引張端からの距離,曲がりに応じてプレストレスがロスする現象

緊張作業中及び直後に生じるプレストレスのロス-2 緊張材を定着する際のセット(ポステンのみ) 緊張材を定着具に定着する時に緊張材が定着具に引き込まれる現象 ネジ式<<クサビ式 その他 プレキャストブロックの継ぎ目の変形

プレストレスの経時的ロス-1 以下,プレテン,ポステンともに考慮 PC鋼材のリラクセーション(Relaxation) リラクセーションによる張力減少 時間経過 初期張力

プレストレスの経時的ロス-2 コンクリートのクリープ(Creep)  応力によって生じたひずみが時間とともに増加する現象→プレストレスにより持続的に作用する圧縮応力によりコンクリートが徐々に縮む現象(鋼材には見られない,コンクリート特有の現象) コンクリートの収縮(Shrinkage)(主として乾燥収縮)  コンクリート中の水分が主として乾燥により失われ(蒸発し),コンクリートが縮む(収縮する)現象 時間経過

プレストレスのロスの評価方法 プレストレス導入直後のPC鋼材の引張応力σpt 有効プレストレスσpe=σpt-Δσpr-Δσpcs