健診における携帯心電計使用 の有効性の検討 医療法人社団 新虎の門会 新浦安虎の門クリニック1 埼玉医科大学国際医療センター 心臓内科2 〇水嶋 裕美1)、小宮山 伸之2)、大前 利道1)、 堀内 純1)、沼本 美由紀1)、大前 由美1) 健診における携帯心電計使用の有効性について検討しましたので報告致します。
はじめに 健診受検者の中には動悸や息苦しさなどの胸部 症状を有する方もいるが受検時に症状が出ること は少なく、安静時心電図にて「異常なし」と診断さ れる方もある。 受検者の不安 はじめに、健診受検者の中には動悸や息苦しさなどの胸部症状を有する方もいるが、受検時に症状が出ていることは少なく、安静時心電図にて「異常なし」と診断される方もあり、受検者の不安につながっている事もあります。 そこで私達は有症状時に自己記録出来る携帯心電計を導入し健診に活用することは出来ないかと考えました。
目的 健診受検者に携帯心電計を用いて 有症状時の心電図を記録してもらい その有効性を検討した 健診受検者に携帯心電計を用いて 有症状時の心電図を記録してもらい その有効性を検討した 目的は健診受検者に携帯心電計を用いて有症状時の心電図を記録してもらいその有効性を検討しました。
対象 ・5242名(2007年4月~9月受検者数) ・携帯心電計記録者数:46名 (内訳 男性27名・平均49.1歳 (内訳 男性27名・平均49.1歳 女性19名・平均46.7歳) 【不整脈なし4603名の内訳】 【5242名の内訳】 症状なし 3779名(82.1%) 不整脈なし 4603名(87.8%) 対象は2007年4月から9月に当施設を受検した5242名のうち、安静時心電図に不整脈がみられず、問診および診察にて動悸や息苦しさなどの胸部症状を訴えた方のうち検査を希望された46名です。内訳は男性27名・平均49.1歳、女性19名・平均46.7歳です。 症状あり 824名(17.9%) 不整脈あり 639名(12.2%)
方法 携帯心電計を用いて無症状時に1日 最低2回以上(定時)および有症状時に 自己記録を約1週間したものを循環器専 門医にて解析した 携帯心電計を用いて無症状時に1日 最低2回以上(定時)および有症状時に 自己記録を約1週間したものを循環器専 門医にて解析した 方法は携帯心電計を用いて無症状時に1日最低2回以上および有症状時に自己記録を約1週間したものを循環器専門医にて解析しました。
使用機器 ・携帯心電計 (オムロンヘルスケア社製 HCG-801) 誘導方式 :双極1チャンネル 心拍計数範囲:2~200拍/分 ・携帯心電計 (オムロンヘルスケア社製 HCG-801) 誘導方式 :双極1チャンネル 心拍計数範囲:2~200拍/分 表示 :グラフィック液晶表示 メモリー :(本体内部5回+SDカード) 最大300回 電源 :単4形アルカリ乾電池2本 本体質量 :約130g(電池を含む) 外形寸法 :幅121×高さ67×奥行き24mm 携帯心電計の写真を入れる予定 使用機器はオムロン社製・HCG-801を使用しました。
記録方法 ・電極位置:左胸(V4相当) ・1回で約30秒間の心電図が記録される ・記録とともに心電図手帳に記録時の症状や 行動などを記載 1回で約30秒間の心電図が記録されます。記録とともに心電図手帳に記録時の症状や行動などを記載してもらいました。
結果 心室性期外収縮 7例 上室性期外収縮 1例 異型狭心症 1例 発作性上室性頻拍 2例 携帯心電計使用者46名 所見なし 所見あり 心室性期外収縮 7例 所見なし 35例 (76.1%) 上室性期外収縮 1例 所見あり 11例 (23.9%) 異型狭心症 1例 結果です。 携帯心電計を使用した46名中所見が検出されたのは11例の23.9%でした。内訳は心室性期外収縮7例、上室性期外収縮1例、(いけい)異型狭心症1例、発作性上室性頻拍2例でした。 次に実際に携帯心電計にて検出された心電図波形を示します。 発作性上室性頻拍 2例
Aさん 65才 男性 安静時12誘導 心電図(健診時) 携帯心電計による 有症状時心電図 次に携帯心電計による心電図波形のみを示します。
発作性上室性頻拍 (Aさん) 携帯心電計を使用して3日後、胸が息苦しい・脈がふれていないように感じるという症状時にこちらの波形が検出されました。心拍数が約250/分の上室性頻拍が認められました。
Bさん 66才 男性 安静時12誘導 心電図(健診時) 携帯心電計による心電図 次に66歳男性Bさんの健診時の安静時心電図と携帯心電計による有症状時の心電図波形です。BさんもAさんと同様に安静時の心電図では不整脈などがみられませんでしたが、ご本人より頻度のはっきりしない5分ほど持続する、締め付けられるような胸の痛みがあるとの事で携帯心電計を使用することになりました。 次に携帯心電計による心電図波形のみを示します。 携帯心電計による心電図
異型狭心症 (Bさん) 携帯心電計を使用して7日後、早朝・掃除の後に胸が押さえつけられるという症状があり記録したところ、こちらの波形が検出されました。 記録当初からST部分の上昇が認められますが、STはしだいに基線に戻っていきます。非発作時の記録ではST上昇が認められないことから、ST上昇を伴う狭心症、異型狭心症の診断となり、精査医療機関へ紹介となりました。
考察 結果より、 ・健診時の安静時12誘導心電図では検出 されなかった不整脈などが23.9%検出された ・健診時の安静時12誘導心電図では検出 されなかった不整脈などが23.9%検出された ・明け方に症状が集中していて他の検査で は捉えにくい異型狭心症を検出することが 出来た 考察です。 結果より、健診時の安静時12誘導心電図では検出されなかった不整脈などが23.9%検出されました。 また、明け方に症状が集中していて他の検査では捉えにくい異型(いけい)狭心症を検出することが出来ました。
携帯心電計の有効性が示唆されたと思われる。 ・携帯心電計を使用した方の満足度も高い 以上のことから、 携帯心電計の有効性が示唆されたと思われる。 さらに、今回発作性上室性頻拍が検出された方は、今まで症状があり何度も病院を受診し、心電図・ホルター心電図検査を受けるも異常なしと言われ不安な思いをしていたが携帯心電計を使用することにより正しい診断がついたことで不安から解消されたと満足度の高い評価を得ています。逆に今回所見のみられなかった方も有症状時の心電図を示しながら説明することにより納得の度合いが高く、また不整脈の不安から解消されたとこちらも満足度の高い評価を得ています。 以上のことから、携帯心電計の有効性が示唆されましたと思われます。
考察 反省点として・・・ ・今回記録の期間を機械台数などの関係等により約1週間としたがこの期間では症状が出なかったとの受検者の声より記録期間の検討が必要と思われた 反省点として、 今回の記録期間を機械台数などの関係等により約1週間としたがこの期間では症状が出なかったとの受検者の声より記録期間の検討が必要と思われました。
まとめ 携帯心電計の特徴 ・症状時に即時に記録が出来る ・胸壁に電極を貼っておく煩わしいさがない ・記録誘導数が少ない 携帯心電計の特徴 ・症状時に即時に記録が出来る ・胸壁に電極を貼っておく煩わしいさがない ・記録誘導数が少ない ・間欠的記録のため不整脈発生前後の変化を 把握しにくい ・失神を伴う不整脈は記録できない まとめです。 携帯心電計の特徴として、有症状時に即時に記録出来るなどの利点がある反面・記録誘導数が少ない・間欠記録のため不整脈発生前後の変化を把握しにくいなどがあげられます。こちらを理解したうえで、私たち健診業務を行う立場としては携帯心電計を積極的に使用していきたいと思っています。
最後に 当施設外来診療では携帯心電計を導入 しているが、今後健診のオプションとして 導入することを検討している。 当施設外来診療では携帯心電計を導入 しているが、今後健診のオプションとして 導入することを検討している。 最後に当施設外来診療では携帯心電計を12誘導心電図・ホルター心電図の補充として導入しているが、今後健診のオプションとして携帯心電計を導入することを検討しています。 以上です。
ご清聴ありがとうございました。 ご清聴ありがとうございました。