ロボット工学 第7回 ロボット用センサ 福岡工業大学 工学部 知能機械工学科 木野 仁

Slides:



Advertisements
Similar presentations
第2回:力・つりあい 知能システム工学科 井上 康介 日立キャンパス E2 棟 801 号室 工業力学 補足スライド Industrial Mechanics.
Advertisements

第10章 マイコン機器とマイコンプロ グラム ● マイコン回路とプログラミン グ ● サーボモータ,直流モータ制 御以外のプログラム マイコンでどのようなことができるのか? モータのマイコン制御を使いこなす!
磁歪素子を用いた3軸球面モータの 駆動原理と特性評価
メカトロニクス 11/17 センサ(その3) メカトロニクス 11/17.
電磁気学C Electromagnetics C 7/27講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
アナログとディジタル 五感 視覚、聴覚、味覚、臭覚、触覚 埼玉県立越ヶ谷高等学校・情報科.
近傍磁界を用いた廉価なモーションキャプチャ装置の試作評価
第2回 真理値表,基本ゲート, 組合せ回路の設計
減衰自由振動の測定 実験装置と実験方法.
本時の目標 エネルギーを有効に活用するにはエネルギー変換効率を髙める必要があることを知る。
本時の目標 電気エネルギーの変換のしくみを理解し、適切な利用方法が選択できる。
デジタル信号処理①
28 梁の振動制御系における移動可能なアクチュエータの検討
赤外線センサを用いた回路の設計及びそのシミュレーション
C 情報に関する技術 プログラムによる計測・制御
計測工学14 第6章 機械的測定 2010年10月18日.
ディジタル回路 1. アナログ と ディジタル 五島 正裕.
1. アナログ と ディジタル 五島 正裕.
ー 第1日目 ー 確率過程について 抵抗の熱雑音の測定実験
サーボ機構製作 ~マイコンカーのステアリング機構~
直流電圧計,直流電流計 例えば,電流Iを測定したい E R I E R A 電流計の読みが 電流 I を示すだろうか 電気電子基礎実験.
前回の内容 結晶工学特論 第5回目 Braggの式とLaue関数 実格子と逆格子 回折(結晶による波の散乱) Ewald球
2003年度 データベース論 安藤 友晴.
京大岡山 3.8m 望遠鏡 分割鏡制御に用いる アクチュエータの特性評価
機械創造工学課程 08104288 鈴木翔 担当教員 小林泰秀 准教授
ステッピングモータを用いた 移動ロボットの制御
計測工学 ブリッジ・フィルタ・ノイズ・AD変換
情報電子実験Ⅰ-説明 測定器の使い方.
アルゴリズムとチューリングマシン 「もの」(商品)としてのコンピュータ 「こと」(思想)としてのコンピュータ アルゴリズム
・コンピュータのアナログデータの 扱いについて ・制御
パワーラボの使い方.
肩たたきロボットの試作 T21R009 工学部 ロボット工学科  松下 拓矢 棒読みにならず話しかけるようにやる。
2013/05/18 主鏡制御の進捗状況 京都大学 木野 勝、 長友 竣.
ロボット工学 第1回 マニピュレータを制御しよう
トリガー用プラスチックシンチレータ、観測用シンチレータ、光学系、IITとCCDカメラからなる装置である。(図1) プラスチックシンチレータ
桐蔭横浜大学 工学部 ロボット学科 T21R004 清水 健多
ロボット工学 第6回 ロボット用アクチュエータ
電力 P ( Power ) 単位 ワット W = J / sec
コイルのはたらき コイルの5つのはたらきについて説明.
製造技術者のためのディジタル技術 組み込み型制御入門(2) 中京大学情報理工学部  伊藤 誠.
電磁気学C Electromagnetics C 7/17講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
モデルに基づいた PID コントローラの設計 MBD とは モータ駆動系のモデリング モデルマッチング 5.1 節 出力を角速度とした場合
26ロバスト制御に基づく片持ち梁の外乱抑制制御系の設計
信号の取り込み.
Simulink で NXT を 動かしてみよう Simulink で NXT を動かす 微分値算出とフィルタ処理 ノーマルモード
AIを用いたドローンの 新たな姿勢制御方法に関する研究
LEGOを用いた倒立振子の 制御系設計に関する研究
ディジタル信号処理 Digital Signal Processing
電気回路学Ⅱ コミュニケーションネットワークコース 5セメ 山田 博仁.
桐蔭横浜大学工学部ロボット工学科 箱木研究室 T20R022 山下 晃
PIC実習 ~PICを用いた電子工作~.
アナログ と ディジタル アナログ,ディジタル: 情報処理の過程: 記録/伝送 と 処理 において, 媒体(メディア)の持つ物理量 と
ロボット工学 第15回 まとめ 福岡工業大学 工学部 知能機械工学科 木野 仁
倒立振子の制御 T22R007 山岡 由尚.
技術 3年 計測・制御の基本 本時のねらい 「コンピュータ制御の機器が目的の仕事をするためには、状況を知る機能、判断する機能、仕事をする機能が必要であることを理解する。」 「人の行動と対応させながら、それぞれの機能を説明できる。」 「身の回りにある制御・計測システムの例を挙げ、働きの3つの部分について考えることができる。」
ロボット工学 第10回 力制御と作業座標系PD制御
アナログとデジタル.
マイコンプログラムの実際.
創造実習 (自由課題成果発表会) 障害物回避ロボット 10S6001 青森 太郎 10S6002 弘前 弘子.
ねらい わたしたちが利用している電源の種類を知り、どのように使い分ければよいかを考える。
現状報告 2015/1/13 M1 宮本 昂拓.
センサの基礎知識 メカトロニクス機械を作り上げるには,センサについての幅広い知識と経験が必要!.
チョコッと知っとこ 有れば便利な簡易電界強度計 noー17
ロボット工学 第14回 インピーダンス制御 福岡工業大学 工学部 知能機械工学科 木野 仁
トキのカタチ 2016 Arduino講習会 原田隆尚.
長岡技術科学大学 大学院 工学研究科 機械創造工学専攻 髙山 誠 指導教員 小林 泰秀 准教授
桐蔭横浜大学工学部ロボット工学科 T20R022 山下 晃
アナログ と ディジタル アナログ,ディジタル: 情報処理の過程: 記録/伝送 と 処理 において, 媒体(メディア)の持つ物理量 と
情報処理 ADコンバータの基礎 アナログ電圧値をディジタル・データとして取 り込む
シンチレーションファイバーを 用いた宇宙線の観測
Presentation transcript:

ロボット工学 第7回 ロボット用センサ 福岡工業大学 工学部 知能機械工学科 木野 仁 ロボット工学 第7回 ロボット用センサ 福岡工業大学 工学部 知能機械工学科 木野 仁 本サイトで提供されるコンテンツの著作権は,木野仁,谷口忠大,峰岸桃,(株)講談社にある. 非営利目的に限り,ファイルのダウンロード,印刷,複製,大量の印刷を自由に行ってよい. 講義や勉強会などで配布し,利用していただくのも大歓迎である.ただし,そうして作ったものを無断で販売することを禁止する. つねに最新版を配布したいので,ファイルのネット上での再配布も禁止する.

Information このスライドは「イラストで学ぶロボット工学」を講義で活用したり,勉強会で利用したりするために提供されているスライドです. 「イラストで学ぶロボット工学」をご購入頂けていない方は,必ずご購入いただいてからご利用ください.

STORY ロボット用センサ ある日の夕方,博士と助手は3 杯目の紅茶を飲み終えながら,工場長の話を聞いていた.工場長「…というわけだ.わかったかな」 助手「は…はい.よくわかりました!」助手は目を輝かせて話す 工場長の情熱に圧倒されながらも,とても勉強になったと思っていた.ただのティータイムのつもりだったが,別の意味でもお腹いっぱいになっていた.ティータイムが2 時間以上になってしまった.仕事に戻らないといけない.工場長も休憩時間終了とばかりにドアの方向へと歩いていった. 博士「アクチュエータはわかったけど,センサのほうはどうなってるんだっけー?」そのとき,ドアの手前で立ち止まった工場長が振り向き,せい精かん悍な顔に満面の笑みを浮かべてこういった.工場長「センサのことなら俺に話させろ!」 助手「……!!!!」研究所のティータイムは続く.

Contents 7.1 ロボット用センサの種類 7.2 角度センサ 7.3 角速度センサ 7.4 力センサ 7.1 ロボット用センサの種類 7.2 角度センサ 7.3 角速度センサ 7.4 力センサ 7.5 AD変換器(ADコンバータ)

センサとは「距離や力,温度などの物理量を計測する装置」である. 多くのロボット用センサの中で代表的なセンサとして以下がある.    ・角度センサ  ・角速度センサ  ・力センサ    ・距離センサ  ・加速度センサ  ・温度センサ 使用するセンサの測定可能な物理量や測定精度,測定可能な周波数帯域などを知っておく必要がある. ロボット用センサとして特に利用頻度が高い角度センサ,角速度センサ,力センサの3つについて,容易にその仕組みが理解できる代表的なものを紹介する.

Contents 7.1 ロボット用センサの種類 7.2 角度センサ 7.3 角速度センサ 7.4 力センサ 7.1 ロボット用センサの種類 7.2 角度センサ 7.3 角速度センサ 7.4 力センサ 7.5 AD変換器(ADコンバータ)

7.2.1 ポテンショメータの仕組み ポテンショメータは電気抵抗をもつ直流回路を利用した角度センサである. 直流回路の電気抵抗線を丸めて円状にし,点B は時計の針のように回転する部品の先端に取り付ける AB 間の電圧を計測することで,軸角度を計測することができる. 「構造が簡単」「安価」などの長所が存在するが,「寿命が短い」ことや「ノイズが生じやすい」などの短所がある.

7.2.2 エンコータの仕組み エンコーダは,回転軸に一定の間隔でスリットが刻まれた薄い円盤を接続する.内部には発光体が存在し,そこから出た光は円盤のスリットを通過し,受光部で感知する. 軸が回転すると,受光部での受光回数が増加する.この光のパルスの回数をカウンタと呼ばれる装置で計測する 「寿命が長い」,「ノイズが生じない」という長所がある.一方で「構造が複雑」「価格が高い」などの短所も存在する.

Contents 7.1 ロボット用センサの種類 7.2 角度センサ 7.3 角速度センサ 7.4 力センサ 7.1 ロボット用センサの種類 7.2 角度センサ 7.3 角速度センサ 7.4 力センサ 7.5 AD変換器(ADコンバータ)

7.3.1 角速度センサの仕組み 直流モータでは外側から軸を回転させることで,コイルに電圧を生じる.直流モータは単にアクチュエータとしての機能だけでなく,発電機としての機能を併せ持つ. 発電機として使用するとき,モータ軸の角速度に比例した電圧を生じる.この電圧を計測することで,角速度センサとして用いることができる.

7.3.2 角速度センサを利用した間接的な角速度計測 コンピュータを用いてセンサ計測を行う場合には,計測は極めて短い周期で行われている.この間隔のことをサンプリング周期とかサンプリング時間と呼ぶ. サンプリング時間における.角度センサの回転軸の角度変化を計測し,角度の時間変化における傾きを求めることで,平均角速度が計算できる.

Contents 7.1 ロボット用センサの種類 7.2 角度センサ 7.3 角速度センサ 7.4 力センサ 7.1 ロボット用センサの種類 7.2 角度センサ 7.3 角速度センサ 7.4 力センサ 7.5 AD変換器(ADコンバータ)

7.4.1 歪ゲージを使った力センサ 歪ゲージは,薄いフィルムの中に1 本の電気抵抗線を何重にも往復して束ねて入れてある.薄い金属板などの表面部に歪ゲージを接着する.この金属板が外部から力を受ける. 金属板に対して引張り力を与えると,歪ゲージ内の電気抵抗線が引張り方向に伸ばされる.加えられた力により,歪ゲージ内部の電気抵抗値が比例で変化する.

7.4.2 ホイートストンブリッジ回路を用いた電圧計測 金属板に加えられた力は,歪ゲージの電気抵抗値の変化として現れる.しかし,電気抵抗はコンピュータなどに値をそのまま取り込むことができない.そこでホイートストンブリッジ回路を用いる. 歪ゲージの抵抗変化と電圧VCDは,比例関係であると見なせる.この電圧を計測することで,金属板にかかる力を計測できる.

Contents 7.1 ロボット用センサの種類 7.2 角度センサ 7.3 角速度センサ 7.4 力センサ 7.1 ロボット用センサの種類 7.2 角度センサ 7.3 角速度センサ 7.4 力センサ 7.5 AD変換器(ADコンバータ)

7.5.1  AD変換器の仕組み センサから出力された電圧値をロボット内部のコンピュータに取り込むことができれば,その電圧値を逆算することで計測した元の物理量を知ることができる. AD変換器とは,センサから出力された電圧値を,コンピュータプログラム上の数値として使えるように変換する機器である.

7.5.2 DA/AD変換器を用いたロボットのシステム制御

章末問題

第7章のまとめ