財務管理論 前期第8回 借入についての論点整理。leveraged lease, LBO。購入かリー スか問題。COVENANTSと期限の利益。実質償還。 RECOURSE, NONRECOURSE。CONTINGENT CAPITAL or DEBT, BAIL-IN。事業業会社からみた論点整理。 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
借り入れについて 債務には、すでに述べたメリットのほかに以下のメリットもある。 弾力性flexibility モニタリングによる経営効率改善 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
借り入れについての論点整理 レバレッジ効果leverage effect:ROAがプラスならこの効果が働く 節税効果tax shield effect, tax savings effect:企業はこの効果がある ので誘惑される 資金コスト:資金コストを下げると考えられている 弾力性:ほかの手段にくらべて増減しやすい モニタリングmonitoring:借り入れている企業は金融機関に見張ら れている。 借り入れのシグナル効果(外部の人に情報を発信す る ) ・・・・借入することが有利な状況にある(通常の貸付で は? 社債発行 協調融資 など。公的金融の先導:ベル効果) To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
Leveraged lease 借入の節税効果を考えるうえで レバレッジドリースはとてもい い題材になる。 借入の節税効果を考えるうえで レバレッジドリースはとてもい い題材になる。 これはリース業者が、主として借入によって、リース物件を取得 してリースを行ったときに、リース業者は減価償却と利息の支払 いで経費を大きく立てる節税効果が大きくなることを指している。 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
LBO: leveraged buyout 買収先企業の資産や将来の利益を担保 買収資金を借り入れるも の leveraged buyout 買収額の上限がなくなる側面(かつては企業規模の大きさが買収 を妨げると考えられていた。LBOの一般化で状況は変化した) 高い金利 手数料 借入により参加者の利益率は上がっている。 マイナスの側面としては、高い金利負担が買収先企業をその後長 期間苦しめる。 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
投資 収益性の判断が重要に 設備投資 (借入 → リースの活用) リース 中国語 融资 租贷 企業買収 設備投資 (借入 → リースの活用) リース 中国語 融资 租贷 企業買収 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
新規設備導入:リースの選択問題 購入する場合 購入時点で購入額の支出が必要。手元にCFはあるか。 予算あるいはCFに余裕がある場合(自己資金購入の場合)は購入す ると初年度(CFが資産に変換)。その後 減価償却費(借入の場合 は利子)が発生する。 リースであれば毎年リース料(内容はリース業者の減価償却+利子 +手数料)固定で必要。 資金に余裕がある、あるいは金利コストが低い優良企業ではリース に進む理由は少ない(なお借入資金購入とリースの比較だと、リー スにはかつてはオフバランスシート効果があった)。 予算制約がある場合、CFに余裕がない場合、借入不可のときリース は選択肢になる。導入後リース料を払い続けることができるか。 維持管理や減価償却会計を負担とみるかどうか。自社でやるメリッ ト。リース業者に任せるメリット。維持管理が負担になる・・・ リース業者に任せる選択あり。契約期間での更新をどうみるか(早 い・遅い・適切)。 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
リース リース事業者の資金調達力を利用して実質的な販売促進手段と なっており、契約開始は借入に比べて容易。 リースのコストには リース事業者が支払う金利 手数料(収 益)が入っている。 Operating lease 契約期間で減価償却おわらないもの Financing lease 契約期間で減価償却おわるもの リース契約で初期投資額を抑えることはできるので、予算制約が あり借り入れの制約があればリースは選択肢。 原価償却会計はリース事業者側。 しかしリース料には業者の利益が入っているから、論理的には総 経費でリースは割高になる。 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
借入の増加 資本コストからみた最適債務比率の存在 借入の増加 資本コストからみた最適債務比率の存在 デフォルトリスク(破綻リスク)を増加させて、債務コストを上 昇させる。レバレッジ効果や、節税効果のメリットより、デフォ ルトリスク増加のデメリットが大きくなる点が存在する。 逆に言えば 最適財務比率 もっとも資本コストが低くなる点が 存在する。 前提になるのはtrade offという考え方。Trade off:プラス面ととも にマイナス面が増える。その構成が変化するという考え方。つま りこの場合は債務比率の上昇とともに資本コストは当初は減少。 しかしやがて上昇する。つまり極小にする点が存在するというこ と。 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
事業CFの安定性からみた 最適債務比率 借入に頼るかは稼得所得の安定性が決定する、事業の性格が決定 するという解釈もある。借入に対する支払は固定経費になるの で・・・ 安定している場合・・・借り入れ比率高い。 安定していない場合・・・借り入れ比率低い。 事業の性格で最適債務比率には違いが存在する また一般論では事業初期は事業モデル・稼動所得ともに不安定 借入比率低くならざるを得ない 同時に資本調達範囲は 限定 (私募増資)され 外部からの資金調達がもっとも困難 事業が安定してくると 借入拡大できる To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
MM理論 最適債務比率の不存在 すでにみたMM理論は、資本市場についてやや極端な仮定をおい たうえで、最適債務比率の存在を否定している。 MM理論 最適債務比率の不存在 すでにみたMM理論は、資本市場についてやや極端な仮定をおい たうえで、最適債務比率の存在を否定している。 前提になるのは 市場は完全競争に向かっているという市場を信 頼する考え方。 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
債務比率についてのまとめ 債務の偏好を説明するさまざまな「理屈」がある 他方で最適比率は存在しない:MM理論 という考え方がある。 最適比率は存在する コストのもっとも低くなる点が存在するこ とを主張するのは もう一つ trade offという考え方が前提に なっている To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
貸付判断の壁としての Agency Cost 貸付のリスク 債務不履行リスク 违约危险 信用危险 デフォルトリスク default risk, credit risk 私(貸付者)は貴方(借入者)ではない。だからあなた(貴方)の ことは貴方ほどはわからない。このために発生する情報発見のコス トのこと。なお情報の不足を補うものとして 担保 collateral(中国語では抵押di3ya1) とくに 不動産担保はmortgage 質pledgeは担保財産を債権者が差し押さえているものをいいます。 pledge or pawn(中国語では典当dian3dang3) 保証 guarantee(中国語では 担保dan3bao3) To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
リスク判断が変わった場合 分類を変更してそれに応じた引当金を手当てする(一部 全額) 貸付条件を変更する 追加の説明書類を求める 分類を変更してそれに応じた引当金を手当てする(一部 全額) 貸付条件を変更する 追加の説明書類を求める 担保を追加させる 保証を追加させる 金利を引き上げる 金額を引き下げる 貸付を更新しない To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
期限の利益 債務者の期限の利益(期限まで返済を猶予されること)の喪失 → 返済期限前に直ちに返済を求められることを指す → 返済期限前に直ちに返済を求められることを指す 債権者は担保権を執行できる 倒産・破産 担保価値の喪失 など 債務契約で該当する事項(期限の利 益を喪失させる事項)を定める To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
実質償還 現在の借入比率を引き下げを求められることがある。 借入契約(社債発行)は、相手方の都合もあって急に繰り上げ返 済(償還)はできない。 そこで取られる手法が実質償還。償還額に見合う金額を確保して、 実質繰り上げの効果を上げる方法がある。この金額は、通常は国 債など信用格付けの高い資産で運用される。 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
注目される コベナンツ付き融資 一定の条件に該当すると期限の利益を喪失させるコベナンツ付き 融資契約(社債などでもみられる) 担保 保証 とともにコベナンツ(財務制限条項)が重要に。 支配権の異動など(CoC)が問題になることもある(CoC条項)。 change of control 金融機関は自身を守れるが、融資契約の安定性が失われる側面。 第三者としては、企業がそうした契約を結んでいるか(企業の存 続にかかわるので)の把握が重要に。→ 開示制度の整備 課題 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
協調融資 企業買収 プロジェクト融資など 大きなお金が動くケースで一般化 している。 企業買収 プロジェクト融資など 大きなお金が動くケースで一般化 している。 多数行で同一条件で融資する。債務者の信用リスクを反映した金 利となる。入札などの形をとることもある。融資枠の設定の場合、 ただちに実行される場合のいずれもある。 銀行側 リスクを減らせる 市場条件で貸せる 手数料を稼げる 取り引き関係がない先にも食い込める 審査プロセスを減らせる 借入側 大きな金額を調達できる 融資枠の設定によりムダな借 入を節約できる To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
融資枠の利用 融資枠 融資枠まで借り入れできる契約になっている 融資枠 融資枠まで借り入れできる契約になっている To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
Contingent Debt (開始)条件付き負債 ある条件が生じたときに実行できるもの をいう。たとえば、震災が発生したときに借入ができる。など。 バックアップラインback up line of credit CPの償還原資を担 保する融資枠 企業なり金融機関によるCP発行の信用を補完す る 発行されるCPに比べて少ない金額とされる。 バックアップラインが途切れる あるいはつかないと信用力が低 下する CPの発行が困難になる このような金融機関の融資契 約が、信用の仕組みを支えていることがわかる。 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
Contingent Capital 劣後債だがある条件で株式に切り替わるというもの。 Contingent convertible capital instruments(CoCos) :ベイルイン条項 ともいう To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
Bail in条項 金融機関が破たんしたあと、監督者がステークホルダー(株主だ けでなく 債権者さらには預金者)に幅広く負担を求めること= bail in ベイルイン条項 付き債務 → 元本削減ないし株式転換するこ とがあらかじめ定められた債務 (こうしたことは実は企業の破たん後の再建でもみられる。債権 額の引き下げ 償還条件の変更など) 金融機関のベイルイン条項付は、自己資本規制上、補完的自己資 本にカウントする条件となっている 金融機関を公的機関が救済すること(破綻の影響が大きいことか ら破綻を防止すること)=bail out To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
資金構成(まとめ) 内部資金・・・・・・・内部金融 内部留保 減価償却 外部資金・・・・・・・外部金融 企業間信用 借入金 社債発行 増資 内部留保 減価償却 外部資金・・・・・・・外部金融 企業間信用 借入金 社債発行 増資 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
Key Words 基本用語 どこまで理解したか? 当座貸し越し 契約の範囲までは貸し越しできる 金利は割高 融資枠 契約で借り入れの権利の確保 確実に借り入れできる バッファーになる 金利は市場金利で割高 大きな資金調達も可能 リースと投資の選択問題 説明できるか? コンテンジェントデット とは? コンテンジェントキャピタル とは? 資本に転換できる(ベイルイン条項) 実質償還 とは? コベナンツ条項 → 期限の利益の喪失 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
通常の融資はリコース付き 金融機関は担保 保証 を要求 さらに遡及権(リコース)付 担保に依存しすぎでリスク判断を充分していないとの批判 金融機関は担保 保証 を要求 さらに遡及権(リコース)付 担保に依存しすぎでリスク判断を充分していないとの批判 優良融資先を取り合う側面もあり、優良企業に対しては低金利競争 ともなっている。→ 利ザヤ低下 十分な金利(リスクに見合った 金利) が取れていない。加えて最近の金融緩和政策下での低金利で、金融 機関は利ザヤ確保に苦しむ。 → 手数料ビジネスにシフト。個人客相手に投信や保険の販売。企 業は自己金融傾向強める。そこで法人客相手には協調融資やM&A。 このほか証券投資、不動産開発に絡む融資などを拡大している。 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
ノンリコース 返済原資を 特定事業の収益に限定するもの リスクに見合った金利をとれるメリット たとえば不動産事業など 非遡及型融資 返済原資を 特定事業の収益に限定するもの リスクに見合った金利をとれるメリット たとえば不動産事業など 非遡及型融資 リコース。ノンリコース。説明できるか。 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
事業会社側からの論点整理 事業会社は、自己金融化強める 自己資金で必要な資金を賄うこ とを自己金融化という。 事業会社は、自己金融化強める 自己資金で必要な資金を賄うこ とを自己金融化という。 また 資金を外部から取り入れるのではなく、企業内部から資金 を作り出す 資金の内製化に取り組むようになっている。その方 法として、証券化やさまざまな資金内製化手法がある。 また融資枠も、借り入れを圧縮する形で、資金効率を高めている と考えられる。 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
証券化 証券化の手法は、すでに存在する資産の証券化と、これから登場 する将来収入の証券化(事業証券化)と、大きく2つの方法があ る。 事業証券化について。特定の事業が生む出す将来の収入を裏付け に資金調達をすること。前提 将来CFが予測可能(確実性高い 安定している)。通信事業 介護事業 娯楽などエンタテイメン ト事業 再生エネルギー事業 など。本体の事業より この特定 事業の信用力高ければ 資金コストの引き下げも可能 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
資金内製化手法 資産証券化 運転資金の圧縮・効率化 運転資金=棚卸資産+売付債権ー買掛債務 節約 借りることを抑制 CMSの導入による資金効率化 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
借り入れ Commitment Line (コミライン)の活用 融資枠契約 無駄に借りることを抑制 借り入れのニーズにも対応 融資枠契約 無駄に借りることを抑制 借り入れのニーズにも対応 企業買収においてまずコミラインで資金を確保 その後 事業証 券化の手法などで長期資金に置き換えることも見られる。 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
以下については証券市場論で 転換社債における転換権行使の放棄 転換社債における転換価格の切り下げ → death spiral finance 他社株転換可能債における他社株での償還 To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
宿題 企業の債務比率はいかに決定されるかについ て、述べなさい。 債務の偏好について説明しなさい 最適債務比率の有無について論じなさい コベナンツについて To copy this presentation requires the author's permission Copyright: Hiroshi FUKUMITSU