情報教育論 電子化教材 第1回 メディア・リテラシーとは何か

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情報教育論 電子化教材 第1回 メディア・リテラシーとは何か 情報教育論 電子化教材 第1回 メディア・リテラシーとは何か 斎藤 俊則 慶應義塾大学 環境情報学部 非常勤講師

今回の講義 メディア・リテラシーとは何か 情報教育とメディア・リテラシー メディアテクストを読み解く(シンボルとは何か)

メディア・リテラシーとは何か

メディア・リテラシーとは何か メディア・リテラシーとは... そのような能力を育むための教育活動も指す 元来はマスメディアが想定されていた メディアを/で読み書きする能力 そのような能力を育むための教育活動も指す 元来はマスメディアが想定されていた 現在は様々な電子メディアが想定される

メディア・リテラシーとはどのような能力か(1) メディアを読む能力 情報の検索・収集・解釈についての教育 メディアを活用して書き表す能力 情報の生産・表現についての教育 メディアにアクセスする メディアの入手・操作についての教育 メディアの活用をコントロールする能力 自己とメディアの距離についての教育

メディア・リテラシーとはどのような能力か(2) メディアとの“つき合い方”を主体的に選択する能 力 メディアに対する批判的な自律性(critical autonomy)を育むことが教育のテーマ Len Masterman, “Teaching the Media”, Commedia Publishing Group, 1985, p.24

メディア・リテラシーとはどのような能力か(2) critical: MAKING CAREFUL JUDGEMENTS involving making fair, careful judgements about the good and bad qualities of something (OXFORD Advanced Learner’s Dictionary) メディアと接しつつも批判的な距離を保つにはど うしたらいいか

参考:メディア・リテラシーの定義(1) メディア・リテラシーとは、市民がメディアを社会的文脈でクリティカルに分析し、評価し、メディアにアクセスし、多様な形態でコミュニケーションを創り出す力を指す。また、そのような力の獲得を目指す取り組みもメディア・リテラシーという。 鈴木みどり、『メディア・リテラシーを学ぶ人のために』 、世界思想社、1997、p.8

参考:メディア・リテラシーの定義(2) メディア・リテラシーとは、「私にとってメディアとはいかな る存在か」という根源的な問いを通して各個人のなかに 確立されるメディア観であり、また、そのようなメディア観 に基づいてそれぞれにふさわしいメディアとの距離や接 し方を主体的に選択する能力であり、さらに、必要に応じ てメディアの向こう側にいる他者との関係を構築する能 力である。 斎藤俊則、『情報がひらく新しい世界9 メディア・リテラシー』、共 立出版、2002、p.3

情報教育とメディア・リテラシー

なぜ情報教育にメディア・リテラシーの観点が必要か 情報教育は「情報(化)社会に対応する」だけで いいのか? 一方で、もちろん現在の社会のあり方に対応で きなければならない

なぜ情報教育にメディア・リテラシーの観点が必要か 情報教育がすべきなのは情報社会に自律的に参画する ために必要な技術・知識・能力の育成 ITを活用するスキル ITを実現する原理・概念の理解 情報の価値に対する判断力 情報生産のプロセスに関与することへの自己了解

情報社会における価値判断の難しさ 価値基準の多様化、断片化 変容のスピードの速い価値基準とそうでないもの との混在 情報の価値は自明ではない 文化のlow context化 変容のスピードの速い価値基準とそうでないもの との混在 情報の価値は自明ではない コミュニケーションにおける自明性の低下 矛盾する価値基準のどちらを優先すべきかという問題 たとえば「10MBの添付メールを送るべきかどうか」というケース

メディア・情報に対する価値判断の教育の必要性 自分の力で妥当かつ注意深い判断を下す力 (受け取る/送り出す)情報に対する価値判断 メディアを活用する行為に対する価値判断 これらはMastermanの言うところのCritical Autonomyに属する 今後、情報教育とメディア・リテラシーは相互侵入する

メディアテクストを読み解く (シンボルとは何か)

メディアテクストを読み解く 私たちはどのようにメディアが送り出す表現(メディアテクスト)から「情報」を読み取るのか 情報の持つ「価値」はどのように見いだされるのか

シンボルとは何か メディアテクストは様々なシンボルによって構成されてい る シンボル(記号)とは...自分以外の何かを意味するする (表す、象徴する、代表する)何か(→ソシュールの記号 学) プロジェクターに示された文字、私の発する言葉、私の服装... 私たちが意味を読み取ってしまうあらゆる物事 私たちの生活環境(あるいは人生)を構成するありとあらゆるモ ノ・コト

シンボルとは何か メディアテクストはシンボルの宝庫で ある テレビドラマ、CM、新聞・雑誌の記事、小説、 電子掲示板、WebLog、電子メールの私信、 etc.

シンボルという考え方の基本(1) 私たちは世界をありのままに見ているのだろうか? 私たちの主観はありのままの「客観世界」を映し出す鏡なのか? 訓練や教化をへることで、私たちの主観はいつか「客観世界」と一致する可能性があるのか?

演習1 今、この教室で、あなたの気を引くシンボ ルを三つあげ、それぞれの象徴する意味 を書きなさい。

シンボルという考え方の基本(2) たとえば <赤色> は、私たちにとっては単なる物理現象としてのみ捉えられるのか? 情熱、危険、血液、薔薇の花、隣の男... そもそも自然光を<赤色>として捉えること自体、すでにシンボルによる把握が介在している

演習2 次の雑誌広告からはどのようなシンボルが見い だされるか。見いだされたシンボルとそれが象徴 する内容を、見いだされた順に記述しなさい。

次の雑誌広告からは どのようなシンボル が見いだされるか。 見いだされたシンボ ルとそれが象徴する 内容を、見いだされ た順に記述しなさい。 デルコンピュータ株式会社の雑誌広告(一部抜粋)、『日経PC21 2003年5月号』、日経BP社、2003年5月1日発行、P.55