形質転換 実施:2011年12月.

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形質転換・組み換えDNA によるタンパク産生 担当教員: 花田 耕介 担当技術職員: 修行 美恵 TA: 鳥居 怜平 手伝い1: 武田 智之
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形質転換 実施:2011年12月

目的 細胞が外部にある特定のDNAを取り込み,そのDNAの遺 伝子が発現することを確認する。大腸菌を用いて観察する 教材 BIO-RAD「Biotechnology Explorerキット」を使用  目的

準備 器具 ウオーターバス(42℃) インキュベーター(37℃) 氷  器具  ウオーターバス(42℃) インキュベーター(37℃)  氷 ピペット 植付け用ループ 緑と青のチューブ チューブ立て(キッドに同包) 油性ペン  薬品  大腸菌スタータープレート(LB)1枚  pGLOプラスミド溶液 1本 寒天培地(LB×1 LB/ amp×2 LB/amp/ara×1) 計4枚 形質転換用溶液(Bu) 1本 LB培地(液体) 1本

遺伝子組み換えの原理(1)

遺伝子組み換えの原理(2)

実験材料 材料は氷冷しておく。

寒天培地 (A) +DNA LB/amp (B) +DNA LB/amp/ara (C) -DNA LB/amp (D) -DNA LB 寒天培地は事前に準備しておく

実験器具(1) マーカー以外の器具は,実験キッドに同包されたものを使用する。

実験器具(2)

遺伝子組み換えの基本 1 導入したい遺伝子を含むDNAを手に入れる。 2 導入したい遺伝子をベクターに組み込む。 2 導入したい遺伝子をベクターに組み込む。 3 ベクターを細胞に導入する。 4 遺伝子組み換えに成功した細胞の選別。

実験手順(1) 1 緑チューブのフタに 「+DNA」 ,青チューブの フタに 「-DNA」 と記入する。 2 緑と青チューブに形質転換溶液(Bu)を250μℓず つ加え,冷却する。 ここでのDNAはプラスミドのことです。 両方同じピペットを使用できる。

実験手順(2) 3 形質転換される大腸菌を緑と青チューブに溶解 させ,氷冷する。 大腸菌を溶かし入れたら,液層に触らないこと。 3 形質転換される大腸菌を緑と青チューブに溶解 させ,氷冷する。 大腸菌スタータープレート(LB)のコロニーを植付け用ループですくい取り,緑チューブに溶かし入れる。 青いチューブも同様に行う。 大腸菌を溶かし入れたら,液層に触らないこと。 温めないようにする。

実験手順(3) 4 pGLOプラスミド溶液を緑(+)チューブのみに加 える。

実験手順(4) 5 緑と青チューブを10分間氷冷する。 6 寒天培地4枚のフタに次のサンプル名を記入す る。 それぞれに 5 緑と青チューブを10分間氷冷する。 6 寒天培地4枚のフタに次のサンプル名を記入す る。 それぞれに A+ B+ C- D-と記入する。

実験手順(5) 7 ヒートショック:冷却による遺伝子の導入 DNAの細胞膜を通り抜ける割合を増加させている。 7 ヒートショック:冷却による遺伝子の導入 緑・青チューブをチューブ立てに立て,ウオーターバス(42℃)に,50秒浸ける。 50秒後すぐに,氷に戻し2分間冷やす。温度変化により,DNAを閉じ込める。 DNAの細胞膜を通り抜ける割合を増加させている。

実験手順(6) 8 氷中から緑・青チューブを取り出し,LB培地(液 体)をそれぞれ250μLずつ加える。 9 10分間室温で放置する。 9 10分間室温で放置する。   緑・青チューブの中身は全く異なるものになっている。 LB培地を加えるときは別々のピペットを使用する。 ヒートショックで弱った大腸菌に栄養を与える。

実験手順(7) 10 形質転換した大腸菌を培地に移し,培養する。 緑・青チューブをタッピングして溶液を混合する。 10 形質転換した大腸菌を培地に移し,培養する。  緑・青チューブをタッピングして溶液を混合する。 (大腸菌がチューブ内に沈んでいるため) 各チューブの大腸菌を以下のように各培地に滴下する。 【緑チューブ(+DNA)】   LB/amp     (A) LB/amp/ara   (B) 【青チューブ(-DNA)】   LB    (C)   LB/amp (D)

実験手順(8) 11 滴下した大腸菌の塗布。 操作はプレート1枚ずつ行い,新しいプレート毎に,新しいループを使用すること。 11 滴下した大腸菌の塗布。  新しい植付け用ループを使い大腸菌サンプルを広げます。ループの輪の部分を培地表面と平行に滑らせるように、手早く、プレート表面にできるだけ広い範囲に広げたら、蓋を閉めます。 操作はプレート1枚ずつ行い,新しいプレート毎に,新しいループを使用すること。

実験手順(9) 12 37℃のインキュベーターで1週間培養する。 12 37℃のインキュベーターで1週間培養する。  ラップで包んだ状態で30分程度置いておきます。その間に,培地に大腸菌がなじみます。 プレートは上下逆にして,インキュベーターにいれます。 上下逆にすることで,蓋からの菌や水滴の落下によるコンタミネーションを防ぐことができます。

結果(可視光線)

結果(UV照射)

結果 結果の一例を表示します。 培養条件 37℃ 培養期間 3~4日 (A) +DNA LB/amp (B) +DNA LB/amp/ara  培養条件 37℃  培養期間 3~4日 (A)  +DNA  LB/amp (B)  +DNA   LB/amp/ara   コロニ- 346個     蛍光  無   コロニ- 440個   蛍光  有 (C)  -DNA  LB/amp  (D)  -DNA  LB   コロニ- 0個   コロニ-  ∞個 

ポイントやトラブルシューティング 実験前後には,手を70%エタノールで消毒する。この時 実験台も拭き,それが乾いてから実験を開始する。 チューブの持ち方,ループやピペットの取り出し方など, 器具の取扱いに気をつける。 各実験段階で,大腸菌の状態を把握しておく。 使用した使い捨て器具・試薬は机の上などに置かず, 所定のゴミバックに入れる。大腸菌に触れなかったもの は普通ゴミとして処分する。 皮膚や衣類が,万が一大腸菌に触れた場合は70%エタ ノールで殺菌して,水で洗い流す。 実験室の扉・窓は閉じておく。 白衣の着用。

実験を成功させるための留意点 実験前 実験中 実験後 ・形質転換用溶液(Bu),LB培地,プラスミド溶液は氷冷しておく。 ・植付け用ループやピペットの取り換えに注意する。 ・ヒートショックの時間を厳密に計る。 ・大腸菌の状態を考え,タッピングをむやみに行わない。 実験後 ・使用した器具・試薬の処理。 ・実験終了後は,手・机上をアルコール消毒する。

実験に出てくる用語解説(1) pGLO:GFP遺伝子とアンピシリン耐性であるβ-ラクタマ-ゼ遺伝 子を含むプラスミド。 DNAリガーゼ:組み込んだDNAを組み込まれたDNAと結合させる酵素。 Green Fluorescent Protein:Green Fluorescent Protein(GFP)は生 物蛍光を発するオワンクラゲ、Aequreavictoriaから単離されたタンパク質 です。GFP遺伝子は最近になってクローン化されました。特徴的な構造ゆえ に、紫外線を照射するとそのエネルギーを吸収し、吸収されたエネルギーは 緑色のきれいな光となって放出されます。 pGLO:GFP遺伝子とアンピシリン耐性であるβ-ラクタマ-ゼ遺伝 子を含むプラスミド。 アラビノース:甘味料の1種。バクテリアが通常食物として利用する。 アンピシリン:抗生物質の1種。 形質転換用緩衝液 :形質転換用緩衝液 (50mM CaCl2、 pH7.4)中のCa2+イオンがDNA(plasmid)の負電荷(リン酸基を 持つため)を中和し、同じく負電荷を持つ、細胞膜のリン脂質との 静電的反発をやわらげます。そして、DNAは細胞膜の外側から内 側に通り抜けることができるのです。

実験に出てくる用語解説(2) コロニー:寒天培地上で生育した、同じ遺伝子を持つ細胞の凝集 塊。一つのコロニーにあるすべての細胞は同じ遺伝子を持つので、 クローンと呼ばれます。 培地:液体や寒天(LB)培地は,バクテリアの生育をサポートする 固形物質。炭水化物やアミノ酸、ヌクレオチド、無機塩類、ビタミン を含みます。 ヒートショック:ヒートショックを与えることにより、DNAの細胞膜を通り 抜ける割合が増加します。細胞の種類により異なります。 プラスミド:細菌などに存在する主のDNAとは別のDNA。環状の DNAで、自己複製ができます。抗生物質耐性タンパク質やGFPの ようなクローン化された他の生物の遺伝子を組み込むことがでま す。 ベクター:運び屋DNA。今回のプラスミドのように、他の生物からの DNA断片を組み込まれ、宿主となる細胞に導入される、自己複製す るDNA分子。

器具の説明 ピペット:使い捨てピペットは,減菌した状態で1本ず つ袋に入っている。直前に袋から出し使用する。 100μL~1mLを採集できる。

ループの使い方 ループは,減菌した状態で袋に入っている。直前に袋 から出し使用する。 菌を塗布するときは,ループ先の輪の部分を培地表 面と平衡に滑らせるように,手早くプレート表面をでき るだけ広範囲に広げる(右図)。

コロニーの数え方 裏返して数える。 コロニー数が多い場合,4等分(8等分)してサインペンでマークして いく。それぞれ30~50個までは数えられ,4倍(8倍)する。 右端図のように全面に生えている場合は∞とする。