電気通信大学 2016年度前期 水曜5限 社会思想史A (新C303教室) 担当講師:庄司 俊之 受講者:あなた 1
本年度の講義における主人公 哲学者、政治学者ハンナ・アーレント (1906~1975) 本年度の講義における主人公 哲学者、政治学者ハンナ・アーレント (1906~1975) ユダヤ系ドイツ人女性 第2次世界大戦前後から戦後にかけて活動 最初の亡命先フランスで収容所を体験 その後アメリカに亡命し、没するまで言論活動をつづけた ウーマン・オブ・センチュリーに選出されたことも。 2
アーレントとヒトラー 3
代表作、そして今年の講義で扱う著作 『全体主義の起源』 原題:エレメンツ・オブ・トータリアニズム 代表作、そして今年の講義で扱う著作 『全体主義の起源』 原題:エレメンツ・オブ・トータリアニズム 第1巻:反ユダヤ主義 第2巻:帝国主義 第3巻:全体主義 自分が経験した「ナチスの恐怖」とは何だったのか? (単なる差別意識であれだけの虐殺ができるのか?) 「あの恐怖」はどこからきたのか? 「あの悪」の本質は何か? 克服できるのか、するにはどうしたらいいのか? 4
社会思想史とは・・・ ●社会とは何か? ●思想の諸レベル・・・哲学者/民衆/語られぬもの ●「すべての歴史は個性的な存在である」 →コミュニケーションの束。では、どんなコミュニケーション? →その問いに対し、あれではなくまさにこれ、というかたちで一定の答えを示す。 →<「現代日本社会」とは「アメリカ社会」でもなく「伝統日本」でもなく、まさに○○である> ●思想の諸レベル・・・哲学者/民衆/語られぬもの ●「すべての歴史は個性的な存在である」 ↑ (「普遍的な歴史」など存在するか?) 5
差別することは悪だが、その先にそれ以上の悪がありうる。 殺すことは悪だが、殺すこと以上の悪がありうる。 本年度の講義のテーマ 「悪の諸類型」 差別することは悪だが、その先にそれ以上の悪がありうる。 殺すことは悪だが、殺すこと以上の悪がありうる。 過剰な権力は恐しいが、権力の空白にも別種の恐しさがある。 他人の自由を侵害することは悪だが、そもそも自由が成立しない、自由を根こそぎにする悪がありうる。 6
7.日本の場合、戦後世界、そして現在について 授業計画 1.授業のテーマとすすめかた 2.映画「シンドラーのリスト」 3.映画「モダンタイムス」 4.映画「もののけ姫」 5~12.アーレント「全体主義の起源」を読む 6.小説「すばらしい新世界」と「1984」 7.日本の場合、戦後世界、そして現在について 7
テキスト/参考資料 ●川崎修『アレント 公共性の復権(現代思想の冒険者たちシリーズ)』講談社 太田哲男『ハンナ=アーレント(Century Books-人と思想)』清水書院 ・・・など その他、必要に応じて資料を配布する (シラバスに書いてある参考URLから各自ダウンロードしてください) ※ 川崎修の本は、後期「社会思想史B」の参考書にも指定している。 8
成績評価の仕方 1.出席はとりません。 2.試験期間中にテストを実施します。 3.任意のレポート 出題内容については授業内で説明します。 (穴埋め問題および文章題、ノート持ち込み不可) 3.任意のレポート (試験後1週間程度を〆切りとし、平常点として加算します) 出題内容については授業内で説明します。 9
映画「シンドラーのリスト」 (1993) 監督・S.スピルバーグ ナチス党員シンドラーがユダヤ人を救う物語 この映画監督のライフワークのひとつ ナチスがやったことを克明に、かつわかりやすく多面的に描く ※ これを歴史的事実と思って鵜呑みにするのでなく、あくまでイメージをつかむためのイントロダクションとして見る。 10
■なぜ映画か? → 映画は20世紀とともに歩んできた。 それは時代を映すとともに、時代に対して創造的にはたらきかける (→後日、映画「モダンタイムス」のところで再度説明) ■スピルバーグとは何者か? → ユダヤ系アメリカ人 娯楽色の濃い作品を多くつくってきたが、そのなかにもユダヤ文化が影を落としている (→後日、「全体主義の起源」第1巻のところで再度説明) 11
みどころ ●シンドラーとは何者か? ●ユダヤ人弾圧の諸段階 ●映画のドラマツルギー ●この映画に足りないものは何か? ・・・その心理が変化していく描写がみどころのひとつ ●ユダヤ人弾圧の諸段階 ・・・アウシュヴィッツにいたるまでにはいくつものステップがある ●映画のドラマツルギー ・・・冒頭と末尾の対照、祈る場面が意味するものは?など ●この映画に足りないものは何か? 12