ノニ果汁の摂食量、飲水量及び体重に対する影響 脳卒中易発症動物モデルにおけるノニ(Morinda citriflolia)の延命効果に関する研究 1 2 1 ○吉富久恵,Ingrid SURONO, 西垣敏明, 高 明 2 ( 武庫川女子大薬、 東京ノニ研) 1 2 Introduction Results Tab. 1 ノニ果汁の摂食量、飲水量及び体重に対する影響 体 重(g) 投与0週 投与2週 投与4週 138.6±8.2 139.0±11.1 201.0±6.9 202.4±9.0 235.7±4.4 241.6±7.7 平均摂食量 (g/匹/日) 平均摂水量 (CL/日) Groups 15.10±0.6 Cont 30.2±2.1 NONI 15.55±0.4 30.4±1.0 Fig. 2 ノニ果汁の収縮期血圧に対する影響 Fig. 3 ノニ果汁の拡張期血圧に対する影響 (各群n=10) (各群n=10) ノニ(Morinda citriflolia)はインドネシアのモロッカ諸島原産のアカネ科(Rubiaceae)の薬用植物で、その果実は栄養成分を豊富に含んでおり、これまでに抗菌作用や血漿板凝集抑制作用、抗酸化作用といった薬理作用があることがわかっている。今回我々はノニ果汁が血圧や脳卒中発症に対しての効果があるか否かを検討するため、若年期より高血圧を発症し、かつ急激な血圧上昇に伴い、ほぼ100%脳卒中を発症して死亡するモデル動物である脳卒中易発症高血圧発症ラット(SHRSP)を用いて検討を行った。 50 100 150 200 250 0-W 2-W 4-W 収縮期血圧(mmHg) * * Weeks 250 * 200 150 拡張期血圧(mmHg) 100 50 0-W 2-W 4-W Weeks * *:P<0.005 *:P<0.01 Fig. 4 ノニ果汁の生存率に対する影響効果 Fig. 5 生存日数の比較 脳卒中易発症系高血圧自然発症ラット 1 P<0.005 Days .8 150 cont 累積生存率 脳卒中未発症 120 .6 Noni 90 .4 60 脳卒中発症 したラット .2 30 Cont Noni 20 40 60 80 100 120 140 Groups Methods 時間(日) Fig. 6 死亡したSHRSPラットの脳像 Animals 6週齢のSHRSPラットを、コントロール群とノニ果汁投与群の2 群に分け、2群ともに脳卒中易誘導餌(SP, 船橋農場) で飼育し た(各N=10)。 ノニ果汁投与群には10%のノニ果汁添加した飲水を、コン トロール群には普通水道水を自由摂取させた。 脳像写真 Measurement of Blood Pressure and Heart Rate ノニ果汁投与開始から2週間毎に無麻酔下で非観血式自動 血圧測定装置 (UR-1000,ウエダ製作所)を用いて,tail-cuff 法 により収縮期血圧と心拍数を測定した. 脳梗塞 脳出血 脳浮腫(出血合併) 1.ノニ果汁の投与は、ラットの摂食量、飲水量や体重の成長に影響がなかった。(表1) 2.ノニ果汁投与開始後2週間の時点で、ノニ群の収縮期血圧及び拡張期血圧は有意に低下していた(P<0.005、P<0.01)。ノニの血圧上昇抑制作用が証明された。 (Fig. 1、2) Observation on Crisis of stroke and mortality rate 投与150日目までの脳卒中発症情況と生存率を観察し、分析し た。死亡したラットを当日解剖し、脳卒中病変の有無を病理検査 した。 3.ノニ投与群は、コントロール群に比べ、平均生存日数が有意に遅延された(P<0.005、Fig.5)。累積生存率は明らかに高かった。(Fig.4) 死亡したラットは解剖肉眼的所見は大脳皮質下と大脳基底核に梗塞巣とその周囲の彌慢性脳浮腫および出血巣を認めた。(Fig.6) Discussion ノニ果実は、昔からインドネシアのモロッカ諸島で民間薬として使用されていた。 近年、免疫力増強、抗癌及び糖尿病・高血圧・肥満などの予防と治療に代替医薬品として用いられているが、それのエビテンスに関する研究が多くない。今回、我々は高血圧自然発症脳卒中易発症動物モデルSHR-SPを用いてノニ果汁の血圧上昇を抑制、脳卒中発症による死亡率を低下させる効果が証明された。そのメカニズムについてはノニのNO活性や活性酸素種消去能の増強(文献)に関与すると考えられるが、詳細は、まだはっきり分からない。今後、SHRSPラットを用いてノ二果汁の降血圧、脳卒中予防メカニズムを明らかにする予定である。 Reference