物理学Ⅰ - 第 7 回 - アナウンス 中間試験 第8回講義(6/16)終了前30分間 第7回講義(本日)(運動量)までの内容 期末試験 物理学Ⅰ - 第 7 回 - アナウンス 中間試験 第8回講義(6/16)終了前30分間 第7回講義(本日)(運動量)までの内容 期末試験 8/4(授業最終日)に実施予定
前回のまとめ エネルギーの概念的理解 運動方程式の積分⇒エネルギー エネルギーは仕事をする能力 保存力ではポテンシャルエネルギーが便利 状態を変える能力・・・物理学Ⅱで理解を深める 運動方程式の積分⇒エネルギー 力学的エネルギー保存の法則は問題解決に便利 エネルギーは仕事をする能力 力学の中での理解 正の仕事をされればエネルギーは増える 保存力ではポテンシャルエネルギーが便利 力学的エネルギーの総和の変化 =非保存力のする仕事
今日の内容 第6章 力積と運動量 1.イントロダクション 2.力積と運動量 3.運動量保存の法則と質量中心の運動 4.衝突の物理
第6章 力積と運動量 §1 運動量・・・イントロダクション ☆エネルギーの導入で学んだこと 運動方程式から の形を作る 第6章 力積と運動量 §1 運動量・・・イントロダクション ☆エネルギーの導入で学んだこと 運動方程式から の形を作る ⇒ (*)は時間に依らない定数 ⇒ 保存の法則が使えて便利(d/dt=0) エネルギーはスカラー量 利点:扱いやすい(足し算が容易) 欠点:ベクトルの情報を失う 運動方程式は3つの成分の情報
☆次節からのポイント 運動方程式をうまく積分したい そのために使う工夫は? 利点は? ベクトルの式として の形を作る ベクトルの式として の形を作る ⇒ (*)はベクトルの保存量となる そのために使う工夫は? 作用・反作用の法則を使うと内力は相殺できる c.f. エネルギーでは速度との内積が工夫 利点は? 複雑な力、不明な力、多体問題のどれに? 運動の変化から力の情報を得る 内力が不明な場合に有益な情報・・・衝突など 多体問題でも役立つ(内力の情報不要)
§2 力積と運動量(6-1、2) ☆運動方程式を積分 今回は一般形のまま積分・・・あとで利用法を考える ベクトルの式のまま積分 §2 力積と運動量(6-1、2) ☆運動方程式を積分 今回は一般形のまま積分・・・あとで利用法を考える ベクトルの式のまま積分 時間で積分( から まで) ⇒
運動方程式:瞬間の情報・・・加速度は変化率 得られた関係式の意味 運動(速度)の変化 ti からtf までの間、力を加え続ける 運動方程式:瞬間の情報・・・加速度は変化率 変化率を積分すると変化量・・・変化の総量 運動量 を運動量と定義する(運動を記述する量) 質量が大きいほど、速度が大きいほど止めにくい ⇒ 運動量は「運動の勢い」というイメージ
結果のまとめ 力積 を力積と定義する 1.運動量の変化は物体が受けた力積に等しい 2.ニュートンの第二法則の運動量を用いた表現 運動方程式 仕事 力積 を力積と定義する 結果のまとめ 1.運動量の変化は物体が受けた力積に等しい 2.ニュートンの第二法則の運動量を用いた表現 因果関係 力を加えると運動が変化する 運動方程式
隕石を回避するには? m m F f v v 大きな力を 瞬間的にあてる (Δt:小) 小さな力を 継続的にあてる (Δt:大)
☆関係式の利用法 1.力積が与えられる ⇒ 運動量の変化が求まる 2.運動量の変化 ⇒ 働いた力の情報を得る 1.力積が与えられる ⇒ 運動量の変化が求まる 2.運動量の変化 ⇒ 働いた力の情報を得る から までの時間のうち、実際に力が働いた時間 を見積もる ずっと力が働いていれば 衝突などでは短時間だけ力が働くので 衝撃力(撃力) 間の平均の力を とすると 運動方程式から力を 求める利用法の応用版 ⇒ ⇔ 第二法則
問1 同じ高さからガラス球を落とすとき、 1. 2. 3. 4. 次のうち最も割れにくいのは? 静かに金属の床に落とす 問1 同じ高さからガラス球を落とすとき、 次のうち最も割れにくいのは? 1. 2. 3. 4. 静かに金属の床に落とす 静かにゴムの床に落とす 軽く投げ上げて金属の床に落とす 軽く投げ上げてゴムの床に落とす
答 衝撃吸収 簡単のため跳ね返らずに止まるとすると 運動量の変化=撃力×力が働いた時間 1)柔らかいとめり込むので が長くなる 撃力の大きさ 2)投げ上げると高いところから 落とすのと同じ 割れやすさ 跳ね返るときも一瞬止まるまでを考えれば同じ
応用例 車の衝撃吸収構造 エアバッグ キャビンは変形しないよう硬く 前部は衝撃を吸収する柔らかさ クッションで体に かかる力を弱くする 応用例 車の衝撃吸収構造 エアバッグ キャビンは変形しないよう硬く 前部は衝撃を吸収する柔らかさ クッションで体に 側面衝突やオフセット衝突(前方右半分だけ等)なども含めた総合安全性の 追求は複雑 かかる力を弱くする
考察例 飛行機が飛ぶ仕組み (揚力) 簡単のため一定の高度を 等速度で飛んでいる場合を考える 飛行機が受ける力 考察例 飛行機が飛ぶ仕組み (揚力) 空気からの力 簡単のため一定の高度を 推進力 等速度で飛んでいる場合を考える 重力 飛行機が受ける力 重力、エンジンの推進力、空気から受ける力 等速度運動 ⇒ 飛行機が受ける合力は0 ⇒ 空気から受ける力は図のようになるはず
揚力と空気抵抗力 等速度で飛んでいるので飛行機から見て考える 翼の周りの空気の流れ 慣性力は働かない 後方の空気流の様子 運動量 運動量 空気から受ける力 運動量の変化 翼が空気から受ける力 揚力 作用・反作用の法則 空気抵抗 空気が翼から受ける力
問2 右図のように水流にスプーンをゆっくりと 問2 右図のように水流にスプーンをゆっくりと 近づける。スプーンが水と触れると 1. 2. 3. 水の勢いで下向きの力を受けるだけ 水の勢いで左へ反発する力も受ける 水に吸い込まれて右向きの力も受ける
運動量変化から力と運動の変化を考察できる 答 粘性でスプーンに沿って水が流れる スプーン上下での水の運動量変化 水の運動量の変化 運動量変化から力と運動の変化を考察できる
§3 運動量保存の法則と質量中心の運動(6-3、4、10) §3 運動量保存の法則と質量中心の運動(6-3、4、10) ☆作用反作用の法則による運動量の保存 運動量の変化と力積の関係式 二つの物体が力を及ぼしあう場合 (他の外力なし) ニュートンの第三法則 運動量が保存 ⇒ 作用・反作用 ⇒
☆運動量保存の法則の一般的導出 個の質点 ( 番目に注目) 互いの間に働く内力 外から働く外力 運動方程式 全運動量の変化に注目する 個の質点 ( 番目に注目) 互いの間に働く内力 外から働く外力 運動方程式 (i 番目の質点) 全運動量の変化に注目する 全運動量
全運動量の変化率は外部からの力の合力に等しい 内力 外力 ただし、ニュートンの第三法則より 全運動量の変化率は外部からの力の合力に等しい
特に、外部からの力の合力が0の場合(閉じた系) 目標達成 全運動量は時間的に変化しない・・・保存する 運動量保存の法則 閉じた系の全運動量は保存する 多体問題でも同じ 注意 運動量保存の法則は自然界の普遍的法則ということ ・・・すべての物体を考えれば必ず成立 (エネルギー保存則と似ている)
☆質量中心の運動 全運動量の変化率=外部からの力の合力 この関係は第3章の重心運動の別の表現 番目の質点の質量を とすると 全質量 全運動量 番目の質点の質量を とすると 全質量 全運動量 質量中心は外力の合力で決まる運動をする
§4 衝突の物理(6-5~9、12、13) 運動量保存の法則の応用例 ☆衝突現象と運動量保存の法則 一般的な関係式 §4 衝突の物理(6-5~9、12、13) 運動量保存の法則の応用例 ☆衝突現象と運動量保存の法則 一般的な関係式 全運動量の変化率=外部からの力の合力 or 全運動量の変化=外部からの合力による力積 外力=0の場合:運動量保存則
☆完全非弾性衝突・・・衝突後合体(跳ね返り係数が0) 衝突の極端な典型例 質量 速度 の物体と質量 速度 の物体が衝突 ⇒ 合体して速度 衝突前 衝突後 運動量保存 ⇒ エネルギーが保存しないように見える
→変形という変化を起こすのにエネルギーが使われる 実際は、、、 衝突の際に物体が変形 →変形という変化を起こすのにエネルギーが使われる すべてのエネルギーを考えると保存するが、ミクロの原子・分子 の運動エネルギー・ポテンシャルエネルギーになってしまう ・・・物理学Ⅱ
変形が無視できる硬い物体の衝突の良い近似 ☆完全弾性衝突・・・エネルギーが保存する衝突 変形が無視できる硬い物体の衝突の良い近似 ↓ エネルギーも運動量も保存する 運動量保存の法則 エネルギー保存の法則
1.直線上での衝突(1次元の問題) 質量 の2個の物体 衝突前の速度 衝突後の速度 運動量保存の法則 エネルギー保存の法則 質量 の2個の物体 衝突前の速度 衝突後の速度 (正負で向きを表す) 運動量保存の法則 エネルギー保存の法則 未知数2個( )、方程式2個より解ける 役立つ
2.平面内での衝突(2次元の問題) 質量 の2個の物体 衝突前の速度 衝突後の速度 運動量保存の法則 エネルギー保存の法則 質量 の2個の物体 衝突前の速度 衝突後の速度 (2成分のベクトル) 運動量保存の法則 エネルギー保存の法則 未知数4個( )、方程式3個だけど? 運動が決まらない???
ビリヤード等の例を考える 質量 の2個の物体 衝突前の速度 という条件だけでは衝突後の運動は決まらない 正面衝突か、かするような衝突か 例えば が跳ね飛ばされる方向を指定 30°進行方向がそれるなど ⇒ 4つ目の条件が加わり衝突後の運動が求まる 一般的に扱うのは複雑で教科書でも省略
特に同じ質量で、衝突前に一方が静止している場合 v2=0 これより ドット(内積) 従って → が成り立つので 2つのボールは必ず 方向に跳んで行く
今日のまとめ 運動量の変化は力積に等しい 全運動量の変化率は外力の合力 運動量保存の法則 衝突の物理 運動方程式を積分したベクトルの関係式 運動方程式を積分したベクトルの関係式 全運動量の変化率は外力の合力 全運動量の変化は外力の合力による力積ということ 運動量保存の法則 外力の合力が0ならば全運動量は保存する すべての物体を考えるなら必ず成立する 一部に注目するときは成立する条件に気をつける 衝突の物理 運動量保存の法則を利用する典型例 完全非弾性衝突と完全弾性衝突は衝突の典型例
復習内容 必須範囲・・・6-1~13 講義で省略した部分は自習する 6-5、12、13により跳ね返り係数について 高校物理より理解が深まるので含めているが 講義としては範囲外の扱いなので 物理未履修者は省略してもよい