化学生命理工学実験 II アフィニティークロマトグラフィー (3)

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化学生命理工学実験 II アフィニティークロマトグラフィー (3) 藤原+砂長 担当

1.mCherry タンパク質の精製

2 日めの実験の概要 目的のタンパク質が,特定の物質と結合する性質を利用して 精製する方法をアフィニティークロマトグラフィーという 目的のタンパク質が,特定の物質と結合する性質を利用して 精製する方法をアフィニティークロマトグラフィーという 刺胞動物由来の蛍光タンパク質 mCherry を精製する 青〜緑の光(励起光)を当てるとオレンジ〜ピンク色の蛍光 を発する この実習で使う mCherry は,N 末端に 6 個の連続したヒスチ ジン(His)を人為的に付加してある 連続した His 残基が Ni2+-NTA と特異的に結合する性質を利用し て mCherry を精製する

アフィニティークロマトグラフィーの原理 ヒスチジン (His) と Ni2+-NTA の特異的結合

アフィニティークロマトグラフィーの原理 ヒスチジンとイミダゾールの構造の類似性

2 日めの作業 Ni2+-NTA ビーズと混ぜ合わせたタンパク質溶液を簡易カラムに 移す。 mCherry タンパク質はビーズに結合した状態(のはず) それ以外のタンパク質はビーズに結合していない(はず) ビーズに結合していないタンパク質を Wash Buffer で洗い落と す。 高濃度のイミダゾールを含む Elution Buffer で,ビーズから mCherry タンパク質をはがす …落ちてくる mCherry タンパク質 を受け取る。 これで純粋に mCherry だけを含む水溶液が取れた(はず)

 STEP 1.タンパク質とビーズをカラムへ 新しい 2 ml チューブを 3 本用意して,グループ番号と,B,C, D という記号を書いておく。 簡易カラムの下に,フタを開けたチューブ B を置く。 一晩ビーズに結合させたタンパク質溶液をカラムに全部注ぐ。 カラムから落ちる液を,チューブ B に受け取る(全部落ちる まで)。 液が落ちない場合はピペットニップルで弱く圧力をかける。 チューブ B の溶液から 50 μl を別の 1.5 ml チューブに移し, 等量(50 μl)の 2x SDS サンプルバッファー (注 9)と混ぜる (試料 b: グループ名を書いて提出)

 STEP 2.ビーズの洗浄 最初にカラムから落ちたタンパク質溶液(チューブ B)を回収 した後,カラムの下に,フタを開けたチューブ C を置く。 2 ml の Wash Buffer を静かにカラムに注ぎ,カラムから落ちる 液をチューブ C に受け取る(全部落ちるまで)。 チューブ C の溶液から 50 μl を別の 1.5 ml チューブに移し, 等量(50 μl)の 2x SDS サンプルバッファー (注 9)と混ぜる (試料 c: グループ名を書いて提出)

STEP 3.mCherry の溶出 チューブ C を回収した後,カラムの下に,フタを開けた チューブ D を置く。 0.5 ml の Elution Buffer を静かにカラムに注ぎ,カラムから落ち る液をチューブ D に受け取る(全部落ちるまで)。 ビーズに注目! Elution Buffer が染み込み,流れ出るのに合 わせて,ビーズの赤い色が下に落ちるのが見えるはず。 チューブ D の溶液から 50 μl を別の 1.5 ml チューブに移し, 等量(50 μl)の 2x SDS サンプルバッファー (注 9)と混ぜる (試料 d: グループ名を書いて提出) チューブ D が精製した mCherry(グループ名を書き提出)

サンプルの提出 チューブ D と,試料 b,c,d を提出。  サンプルの提出 チューブ D と,試料 b,c,d を提出。 チューブ D は,初日に見た赤いタンパク質溶液と似ています が,中味は全然違います。 初日の赤い溶液は千種類以上のタンパク質を含みますが, チューブ D は mCherry しか含んでいないはずです。 本当に精製ができたかチェックしたい? チューブ D の中のタンパク質濃度を測定します(砂長先生 担当)。 SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で,試料 a〜d を分 析します(杉山先生担当)。