親子鑑定に見る尤度比を 角度を変えて眺めてみる 法数学勉強会(京大法医学講座) 2012/02/18 京都大学 統計遺伝学 山田
尤度比の閾値?
尤度 「もし●●だったら××が起きる確率」 「××が起きたときに」 尤度 尤度比 「●●だったら××が起きる確率~尤度」 「○○だったら××が起きる確率~尤度」 尤度比 「●●だったら」と「○○だったらい」との尤度の比」
尤度比における判断と 臨床検査
臨床検査で知りたいこと 病気X なのか そうでないのか 「診断X」と「確定」しました 「診断Xではない」と「確定しました」 病気X なのか そうでないのか 「診断X」と「確定」しました 「診断Xではない」と「確定しました」 「診断X」とも「診断Xではない」とも言い難い、グレーゾーンです
検査値が高いと「病気である」と診断 検査値が低いと「病気ではない」と診断
検査値が高いと「病気である」と診断 検査値が低いと「病気ではない」と診断 どこを閾値にするか
考える時間
確率的に考える 黒面積 赤面積 ともに等しい
尤度的に考える 検査結果を知っている
尤度的に考える 検査結果を知っている
尤度的に考える 尤度比は 黒棒と赤棒の長さの比
尤度比をみるために 表示法に少し工夫を Ncase<-50000 Ncont<-50000 mean.case<-38 sd.case<-3 mean.cont<-35 sd.cont<-2 Case<-rnorm(Ncase,mean.case,sd.case) Cont<-rnorm(Ncont,mean.cont,sd.cont) ra<-range(c(Case,Cont)) breaks<-seq(from=floor(ra[1]),to=ceiling(ra[2]),by=0.5) h.cont<-hist(Cont,breaks=breaks,density=20) h.case<-hist(Case,breaks=breaks,col=2,density=30) ylim<-c(0,max(h.cont$counts,h.case$counts)) par(ask=TRUE) plot(h.cont,ylim=ylim,density=20) par(new=TRUE) plot(h.case,ylim=ylim,col=2,density=30) J<-cbind(h.cont$counts,h.case$counts) barplot(t(J),col=c(1,2)) plot(breaks[2:length(breaks)],J[,1]/apply(J,1,sum),type="l",ylim=c(0,1)) plot(breaks[2:length(breaks)],J[,2]/apply(J,1,sum),type="l",col=2,ylim=c(0,1)) LR<-J[,2]/J[,1] plot(breaks[2:length(breaks)],LR,type="l",col=3)
尤度比の閾値を決めたいとは 黒・赤の分布から緑の線を引いて、検査値の「カットオフ値」を決めたい、ということ
R でシミュレーション
臨床検査で知りたいこと 「診断X」と「確定」しました 「診断Xではない」と「確定しました」
親子鑑定 「親子なの?」という質問に答える 「親子であると『確定』しました」 「親子ではないと『確定』しました」 「親子であるとも、親子でもないとも、確定しない『グレーゾーン』です」
「モデル生物集団」 無性生殖 倍倍で増える 不死身 増えるたびに変異が入って、DNA配列の差が広がっていく
ペア間の親等の分布 8親等差が一番多い
DNAの塩基の違い箇所数の分布(集団全体) 30-40箇所違いのペアが一番多い
親等が近いほど、DNAの違い箇所数は少ない
親子 vs. non-親子(比率)
親子 vs. non-親子(比率) どこで区別する?
比率を比べてよいのか?
親子 vs non-親子(実数)
親子 vs non-親子(実数) どこで区別する?
尤度比 感度・特異度 検査前の比率を考慮 事前確率を考慮 PPV・NPV
「DNA多型」の一致・不一致の確率・尤度から 尤度のグラフ(このグラフ を作ろう 計算方法はすでにある 作った「確率・尤度のグラフ」から、 事前確率を考慮して(このグラフ を作ろう 事前確率はある程度「恣意性」を持つ
グラフが描ければ、 臨床検査学的な扱いが可能 事前確率はどうする?
事前確率が同じなら 尤度比に閾値を決めれば使えそう 事前確率が違うなら 尤度比に閾値を決めても仕方なさそう
尤度比と事前確率をセットで 尤度の計算は簡単 尤度比の計算も簡単 では、事前確率は
事前確率のこと 病院での話 『ニューモノウルトラマイクロスコーピックシリコヴォルケーノコニオシス』という病気の検査 「烏丸四条クリニック」での検査 「京大病院」での検査
いくつかの考慮事項
検査値の閾値問題、再び 閾値は必要なのか? 検査値が高ければ、「病気の可能性が高く」 検査値が低ければ、「病気の可能性が低い」 検査値が曖昧なら「どっちとも言えない」
検査値が高いと「病気」と診断 検査値が低いと「病気ではない」と診断 どこを閾値にするか
ROCカーブ 感度を上げれば特異度が下がる 特異度を上げれば感度が下がる
臨床検査の特性評価 感度・特異度 PPV/NPV ROC