B:赤色巨星モデルの建設 単位名 大学院:恒星物理学特論II 教官名 中田 好一 授業の内容は下のHPに掲載される。 B:赤色巨星モデルの建設 2008年10月 20日 単位名 大学院:恒星物理学特論II 教官名 中田 好一 授業の内容は下のHPに掲載される。 http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/STAFF/nakada/intro-j.html 成績は出席とレポートの双方により決めます。 B: 赤色巨星構造の建設
授業タイトル A: 赤色巨星をめぐって 2008年10月 6日 B: 赤色巨星構造の追究 2008年10月20日 授業タイトル A: 赤色巨星をめぐって 2008年10月 6日 B: 赤色巨星構造の追究 2008年10月20日 C: ハヤシライン 2008年10月27日 D: スペクトル分類 2008年11月10日 E: 色等級図 2008年11月 17日 F: ダスト 2008年12月 1日 G: ダストシェル 2008年12月15日 H: 変光 2008年12月22日 I: 銀河系の赤色巨星 2008年 1月19日 J: 系外銀河のの赤色巨星 2008年 1月26日 D: スペクトル分類
前回の復習 (1) Schonberg-Chandrasekhar Limit M.Schonberg, S.Chandrasekhar 1942, Astrophysical Journal 96, 161-172 主系列星の中心部で、H+HHe の反応が進むと、He核ができる。 核のまわりのH燃焼により、核内部の温度は一定となる。 H殻燃焼により、等温He核が成長する。 He等温核+H外層の2重組成の構造? A 0.1 0.08 外層 V 境界 等温核 0 3 U フィットさせていくと、中心核質量に上限存在 ーー> H殻燃焼が進むとHe等温核が維持できない! 0.1 0.06 0.08 B: 赤色巨星構造の建設
等温核の質量上限の背後には等温自己重力系のエントロピーという問題がある。 (2) 自己重力系のエントロピー極大問題 等温核の質量上限の背後には等温自己重力系のエントロピーという問題がある。 ロシアの天体力学者 V.A.Antonov は壁に囲まれた質点系のエントロピーの性質を研究した。 V.A..Antonov (1962 Vestnik Leningradskogo Universiteta,7,135) f(r、v)=質点の位置速度分布関数 とし、 M=一定、E=一定、R=一定 という拘束条件の下で S=-∬f(r,v)・ln f(r,v) drdv = エントロピー の変分δS を調べる。 δS1=0、 δS2<0 がS極大の条件である。 一次の変分δS1=0から、まず等温分布が導かれ、問題は力学平衡にある等温 分布( δS1=0 )のδS2に絞られた。 二次の変分δS2 を調べた結果、中心(C)と壁(W)との密度比 ( ρC / ρW)<709 常にδS2<0 Sが極大 ( ρC / ρW)>709 δS2>0になるモードが出現 Sの極大でない つまり、温度一定の自己重力系は中心集中度が大きくなると、等温状態がエントロピー極大状態に対応しなくなる。 このような状態の等温系は揺らぎが成長して自発的に非等温な方向に進化するであろう。 B: 赤色巨星構造の建設
D. Lynden-Bell, R.Wood 1968, Mon.Not.R.astr.Soc.138.495-525 (3) 熱重力 カタストロフィー D. Lynden-Bell, R.Wood 1968, Mon.Not.R.astr.Soc.138.495-525 リンデンベルも半径=Rの球壁に囲まれ、総エネルギー=Eの等温自己重力系 の平衡状態を考えた。総エネルギーEを変化させていくと、系の等温平衡状態もゆっくりと変化していく。 彼はこの平衡状態の系列を調べた。 E>0に対しては等温平衡状態が一つしかないが、Eが十分に下がると複数の等温平衡状態が存在することが分かる。これらはそれぞれがEの変化に対して平衡状態の系列を作る。 第1系列では、どの微小変化に対してもδS2<0. 第2系列では、 δS2>0となる微小変化モードが出現。 第2系列はS極大ではない。 図を見ると分かるように、平衡系列のラインが水平になる点Aが新しい系列の出現点である。 第1系列 0 S高 E S低 第3系列 第2系列 A 0 500 709 1000 ρC/ ρW B: 赤色巨星構造の建設
Shonberg/Chandrasekhar, Antonov, Lynden-Bell/Woodらの Shonberg/Chandrasekhar, Antonov, Lynden-Bell/Woodらの 仕事は、HHeに伴うHe核の大きさに限界があり、H殻燃焼の結果He核が成長していくと星の内部構造は熱的に不安定になることを示した。 またこの現象の背後には、等温重力系が大きくなると、δS2>0モードが出現するという重力熱力学的な理由があることが示された。 では、実際に大きくなった中心核を抱えた星の進化はどうなるのであろうか? B: 赤色巨星構造の建設
ここで、星の構造式の無次元化と(U,V)について簡単にまとめておこう。 星の構造は次の4つの方程式で記述される(輻射平衡の場合)。 無次元化のための変換は、(L=一定を仮定すると最後の式は無視でき、) B: 赤色巨星構造の建設
輻射層では、無次元量(小文字)を使うと、星の構造式は以下のようになる。 ポリトロープ 圧力 P と密度 ρの間に P=K・ ρ1+1/n という(ポリトロピック)関係 がある時は 前ページとは異なる無次元量θ, ξが便利である。定義は 無次元化した星の構造方程式は次のエムデン方程式にまとめられる。 B: 赤色巨星構造の建設
(U,V)も星の構造を表現するのによlく使われる無次元量である。 これらは先の無次元質量 q 等では以下のように表わされる。 これらは先の無次元質量 q 等では以下のように表わされる。 B: 赤色巨星構造の建設
B.1.Red Giant Structure を 探る試み B.1.Red Giant Structure を 探る試み 先に述べたようにShonberg-Chandrasekhar 1942 の論文で等温核が成長すると不安定となることが示された。その後の進化が赤色巨星の出現に至るであろうことは多くの研究者が予想していた。また、赤色巨星の構造が核と外層とで化学組成が異なることと密接に関連していることも共通認識としてあったらしい。 B.1.1.低水素対流核+輻射外層 組成の変化に注目した例として、 J.B.Oke, M.Schwartzschild 1952, Ap.J. 116, 317-330 “Inhomogeneous Stellar Models I.Models with a Convective Core and a Discontinuity in the Chemical Composition” 前回のShonberg/Chandrasekhar(1942)では、水素殻燃焼による等温He中心核の成長が論じられた。 この論文では、むしろそれ以前の水素中心燃焼による低水素対流核の成長をモデル化している。 そこでは、主にHeからなる低水素中心核を、対流部分+輻射平衡層に分け、その外側の高水素外層とで合計3つの成分からなる星の構造を調べた。 B: 赤色巨星構造の建設
(境界2) (境界2) (i)低H輻射 (c) 低水素対流核。 中心でH+H ―-> He (e) 高H輻射 (c) 低H対流 (c) 低水素対流核。 中心でH+H ―-> He (e) 高H輻射 (c) 低H対流 対流核の構造は n=1.5 のポリトロープで表わされる。 境界1 境界2 対流核の境界の無次元半径 ξ=ξ1 (境界2) ここで平均分子量μがジャンプする。 C=C(ξ1) ξ=ξ1(境界1) ( i ) 低水素輻射核 境界1から接続させると、Cが一意に決まる。 終点の境界2はフィット条件で決まる。 (境界2) 中心 B: 赤色巨星構造の建設
ジャンプの条件が上のように3つなので、ξ1から伸びる輻射層(i)の境界2i は勝手な値は取れないことに注意。 ξ1 境界2でのジャンプはU-V平面上で 右図のように表わされる。式では、 logC(e) ジャンプの条件が上のように3つなので、ξ1から伸びる輻射層(i)の境界2i は勝手な値は取れないことに注意。 ξ1 外層解の底。 系列をなしている。 B: 赤色巨星構造の建設
右グリッド下の%は中心核の大きさ、グリッド左の数字4,2,1は星質量。 一方、一様なモデルの水素量と質量で作ったのが左グリッドである。 こうして、 ξ1 を変化させると非一様モデルの1連の無次元解の系列が得られる。赤、緑、青線はそこにM=1,2,4Moを与えて、実際の物理量にした結果。 右グリッド下の%は中心核の大きさ、グリッド左の数字4,2,1は星質量。 一方、一様なモデルの水素量と質量で作ったのが左グリッドである。 B: 赤色巨星構造の建設
前ページの非一様モデルは赤色巨星の占める領域をカバーしている。 B.1.2.He収縮核+H輻射外層 前ページの非一様モデルは赤色巨星の占める領域をカバーしている。 しかし、一定の質量で見たとき、光度があまり上がらず、温度だけがどんどん下がっていくので、赤色巨星枝を再現するには相当無理な仮定が必要となる。 続いて発表されたシリーズ第2論文は (1)中心核の周囲でHHe燃焼 (2) He 中心核を収縮させる。 点でShonberg/Chandrasekhar1942のその後を扱っていると言える。 A.R.Sandage, M.Schwartzschild 1952, Ap.J. 116, 463ー476 “Inhomogeneous Stellar Models II.Models with Exhausted Cores in Gravitational Contraction“ (1)進化の粗筋 中心核H燃焼 中心でH欠乏 H殻燃焼 核の成長 S-C Limit ? 中心核は収縮し、重力ポテンシャルエネルギーを解放するだろう。 中心核の縁がH殻燃焼により温度=ほぼ一定なので、この過程はLynden- Bell,Wood 1968 が考察した等温壁に囲まれた自己重力系のgravothermal catastrophe に相当する。 (2)星の構造 輻射外層: X=0.596、Y=0.384、Z=0.02 Kramers Opacity または電子散乱 B: 赤色巨星構造の建設
ここで、添字の e=外層、 1=外層と核の境界、C=中心、 S=Kramersと電子散乱の移行点を指す。 ジャンプの条件は H燃焼殻: T=3×107K、質量=0 収縮核 : X=0, Y=0.98, Z=0.02 重力エネルギー解放率/質量=一定 と変数を無次元化すると、無次元解のパラメターは以下のCとC*である。 外層 核 ここで、添字の e=外層、 1=外層と核の境界、C=中心、 S=Kramersと電子散乱の移行点を指す。 ジャンプの条件は B: 赤色巨星構造の建設
S-C限界を超えたHe核は中心部が収縮を開始する。 H輻射外層 V H燃焼殻 H輻射外層 2 He収縮核 S-C限界を超えたHe核は中心部が収縮を開始する。 H輻射外層 V H燃焼殻 H輻射外層 2 He収縮核 He収縮核 0 0 U 3 星内部の点の移動 収縮核 膨張外層 B: 赤色巨星構造の建設
左のモデルに星の質量Mを与えて、無次元量物理量に戻す。 I(q=Mcore/M=0.12)から VII(q=0.133)までを UV面での外層解と核解。 左のモデルに星の質量Mを与えて、無次元量物理量に戻す。 I(q=Mcore/M=0.12)から VII(q=0.133)までを 下のHR図上に描いた。 赤線=主系列 logC 核の端 C* M(Mo) ジャンプ q=0.12 0.13 外層の下端 B: 赤色巨星構造の建設
前ページ右側のHR図は、定性的にはOke/Schwartzschild 1952と似ている。 前ページ右側のHR図は、定性的にはOke/Schwartzschild 1952と似ている。 下の観測HR図と比較すると、中心核と輻射外層の間に平均分子量のジャンプがあるモデルは、大体準巨星を再現する進化を示すようである。しかし、これらのモデルは光度Lが上がらないまま極端に低い表面温度領域に突っ込んでいく。 著者らは、He燃焼が非常に低い温度T=1×108Kでおきると仮定して、右図の太い実線のような進化経路を計算している。 しかしこの仮定は強引であり受け入れ難い。 結局、 (1)非一様な組成モデルは赤 色巨星の存在領域をカバー するが、 (2)赤色巨星のHR図は再現 できず、 (3)進化が非常に低温な領域 へ突っ込んでいく という問題が残った。 B: 赤色巨星構造の建設
準巨星モデルが低温になり過ぎる問題を解決し、赤色巨星のモデルが作り挙げられたのはそれから3年後の1955年であった。 B.1.3.He収縮核+H輻射外層 準巨星モデルが低温になり過ぎる問題を解決し、赤色巨星のモデルが作り挙げられたのはそれから3年後の1955年であった。 F.Hoyle, M.Schwartzschild 1955, Ap.J.Suppl. 2, 1ー40 “On the Evolution of Type II Stars ” この論文では球状星団のHR図と比較するために X=0.9,Y=0.1の 重元素をほとんど含まないM=1.1Moの星の進化を追った。 OpacityとしてはHとHeのフリーフリー吸収と電子散乱のみを考える。 (1) LからMまでの進化 (準巨星) この部分は前に述べた A.R.Sandage, M.Schwartzschild 1952と同じステージである。そこでは、中心部でH燃焼が止まると、中心核は収縮して重力エネルギーを解放し、中心核内に温度勾配を生じさせるとした。 しかし、ここでは前論文の収縮は速すぎ、また縮退電子の熱伝導を考えていないことを批判し、等温の部分的縮退核を考えた。 B: 赤色巨星構造の建設
その結果、核の状態j方程式は縮退パラメターψを用いて その結果、核の状態j方程式は縮退パラメターψを用いて と表わされる。 その結果、無次元化方程式も古典理想気体の場合の でなく、 となる。 外層は以前と同じく輻射平衡を仮定して扱う。外層と中心核との間では平均分子量がμE=0.533からμi=1.333へとジャンプするのでフィッティング条件 で両者をつなぐ。星の表面での境界条件は T=0, P=0 である。 こうしてψCを進化パラメターとして準巨星の構造を追う。、 B: 赤色巨星構造の建設
? ψCを変え、M=1.1Moの場合のHR図に直したのが右の図の6つの点である。 数字は核の大きさ qi=Mi/M である。 数字は核の大きさ qi=Mi/M である。 斜線は球状星団M3,M92の 観測値。途中までは観測とよく一致するが、qi=0.22の点は観測と合わない。 qiがさらに大きくなると、モデルの点は図のはるか右側にはみ出てしまう。 ? B: 赤色巨星構造の建設
簡単には、He核にH外層をつけて、核質量を大きくしていくと、 半径増加、 表面温度低下 の準巨星コースを辿る。 B.1.1.低水素対流核+輻射外層 B.1.2.He収縮核+H輻射外層 B.1.3.He収縮核+H輻射外層 これまでのモデルの共通点は (1) 核と外層で分子量にジャンプ。 (2) 核質量の増加が進化を引き起こす。 簡単には、He核にH外層をつけて、核質量を大きくしていくと、 半径増加、 表面温度低下 の準巨星コースを辿る。 問題は、 そのまま超低温領域に突っ込んでいく。 B: 赤色巨星構造の建設
星の表面の条件 T=0, P=0 に問題があることが分かった。物理的には星の光球は光学的深さτ=2/3で定義されるから、 星の表面の条件 T=0, P=0 に問題があることが分かった。物理的には星の光球は光学的深さτ=2/3で定義されるから、 B: 赤色巨星構造の建設
モデルを調べると、q1≡Mi/M>0.20では表面よりずっと手前で ρ=ρPHOTに達することが分かる。つまり、温度Tが有効温度Teff まで下がらない内に密度の方はρPHOTになってしまうのである。 この場合T=Teffでの密度は正しいρPHOTより1-2桁低くなる。 ρ (Teff, ρPHOT) q1≡Mi/M>0.20 (Teff, ρPHOT) q1≡Mi/M<0.20 0 T つまり、q1>0.20では表面条件 T=Te, ρ=ρPHOTが満たされなくなるので 星の解として成立しない。 この問題は後に“HAYASHI LIMIT” という形で登場する。 B: 赤色巨星構造の建設
(2) M点からN点への進化 (赤色巨星) 準巨星では中心核が大きくなると、輻射外層の表面条件が満たされなくなった。 (2) M点からN点への進化 (赤色巨星) 準巨星では中心核が大きくなると、輻射外層の表面条件が満たされなくなった。 では、その先の進化はどこへむかうのであろうか? 実は輻射外層のモデルが表面条件を満たさなくなる時点から先の外層部は対流 に支配されている。したがって、星の構造は、 温度T1の等温部分縮退中心核(質量M1 )+対流外層(質量 M-M1) へと変化する。 赤色巨星の進化はM1の増加が決定する。 赤色巨星の構造 対流外層 等温縮退核 温度=水素燃焼温度T1が固定されてると、 ΨCで核の構造は決定される。 等温縮退核 ψC 水素燃焼殻 温度=T1、質量は無視できるほど小さい。 T1 対流外層 P=KT2.5 Kは星の表面条件から決まる PPHOT=KTe2.5 H燃焼殻 Te、PPHOT Te, g M, Te, L こうして、 HHe(水素燃焼殻)縮退核質量M1増加ψC増加フィット対流層 Te、PPHOTTe, L という過程で縮退核の増加が赤色巨星の進化を促すことが明らかにされた。 B: 赤色巨星構造の建設
質量Mの星についてはHR図の点、つまりTeffとLが与えられると、Rが決まり、対流層のKが決まる。結局、 中心からは ψC をパラメターに外側にM=M1まで、 表面からは (L,Teff)をパラメターにして内側にやはり、M=M1まで 解が伸びていく。 M=M1 T (外層解) 中心 r 表面 M=M1 P 中心解は1パラメターなのでM=M1はT-P-r空間で曲線をなし、一方表面解は2パラメターなので、M=M1は曲面をなす。両者の交点が求める星の構造である。 B: 赤色巨星構造の建設
こうして求めた、等温縮退核+対流外層(内側は輻射層だが) 構造を種族I(+印)とII(○印)でプロットしたのが下の図である。 構造を種族I(+印)とII(○印)でプロットしたのが下の図である。 数字は、qi≡Mi/M こうして、赤色巨星のモデルが得られた。 この論文で強調されたのは表面条件が星の半径を定めるという点であった。 この問題をさらに深く探ったのは林忠四郎である。 B: 赤色巨星構造の建設
B.2.赤色巨星の進化 UVカーブを用いて星の構造を求める手法は現在では行われていない。星の中心から表面までの構造をニュートン法で逐次近似して求めるHenyeの手法が専ら使われている。 このようにして求められた星の進化経路はWEBから取ってこられる。 最新の例は、 http://stev.oapd.inaf.it/cgi-bin/cmd である。 このサイトでは、0.0001<Z<0.03, 0<t<17Gyrの任意の値に対して内挿で得られた等時線を送り返してくれる。特に、便利なのは、出力に使われる等級として、現在使われている約30の測光システム中から好きなものを選べることである。 ただし、残念なことに「あかり」システムには古いフィルター関数が使われているので使えない。 B: 赤色巨星構造の建設
例: 左 メタル量Z=0.001 右 =0.019 のlog t(yr)=9,10等時線 B: 赤色巨星構造の建設
下の図はZ=0.019(太陽)、t=1Gyrの等時線である。 記号の意味は、 E=ヘリウム フラッシュ F=レッド クランプ IからJは炭素星 B: 赤色巨星構造の建設
「赤色巨星はなぜ大きいのか」 アンケート回答 2008年10月6日 「赤色巨星はなぜ大きいのか」 アンケート回答 2008年10月6日 ○ まず星の構造を大きく核(core)と外層(envelope)に分けて考える。主系列とはcoreで Hydrogenが燃焼している段階のことである。主系列の状態ではcoreが自分の重力でつぶ れそうになるのを核燃焼によってエネルギーを常に供給し続けることによって回避してい る。しかしcoreがHydrogenを使い果たすとそれまで保たれていたエネルギーバランスが崩 れ自己重力によって収縮する。その結果、coreは重力エネルギーを解放することになる。 一方、外層はcoreの収縮によって生まれたエネルギーを吸収する。外層ではエネルギー 保存を守るために膨張する。これは熱力学第1法則dU=dQ-dWにおいてdQ=0であり、dV が増加するために外部へ仕事をしなければならないからである。結果的に外層はうすくの びることで半径は増大し赤くなる。 ○ 赤色巨星は主系列より先の進化段階にある。核燃焼による熱によって星の外層が急速に 膨張するが故に大きいと思われる。詳しい原因についてはあまり考えたことがないの授業 を通じて学んでいきたい。で ○ 赤色巨星は超新星爆発を起こすほどの質量はないが大体10太陽質量の程度の質量の 恒星が主系列を経て膨張し肥大したものである。 ○ 主系列星時に星の中心で起こっていた水素の燃焼が終わり、星の中心にはヘリウムのコ アができる。するとこのヘリウムのコアのまわりのシェル部分で水素の燃焼が始まる。 こ の水素の燃焼によるエネルギーの流れによって星の対流層の重力と圧力の釣り合いの 関係が主系列の時とは変化するため外層が膨れ上がるので赤色巨星は大きい。 ○ 主系列時の中心核での水素燃焼が水素が枯渇することで終わってしまうと、中心核付近 では重力を支えることができなくなり収縮するが、外層部はその反動で膨らむ。 ○ 進化の過程で核燃焼により光度が大きくなるので輻射圧により膨張する? B: 赤色巨星構造の建設
○ 今まで天文のことは太陽以外勉強してこなかったので全く分からないので、想像で書 ○ 今まで天文のことは太陽以外勉強してこなかったので全く分からないので、想像で書 きます。考えた可能性は、1.元素構成が特徴的である。軽い元素が多い。そのため膨 らみやすい(イメージ)。スケールハイトを考えると、同じ温度なら平均分子量が小さ い方がスケールハイトが大きいので星の大気も厚そう。2.... ○水素殻燃焼が起こっている場所は熱的に安定であり、その状態はほとんど変化しない。燃 焼殻の内側は殻を通じて熱が逃げて行く分収縮し、外側は膨張する。下図のように質量座標 で密度勾配が発達(急になる)星全体が大きくなる。 水素燃焼殻 ρ m B: 赤色巨星構造の建設