トピック6 臨床におけるリスクの理解と マネジメント 1 1
患者安全にとって臨床的リスクが 重要となるのはなぜか 臨床におけるリスクマネジメントでは,医療サービスの質と安 全の改善が特に重要視され,これらは患者に害をもたらす危 険性の高い環境や状況を特定し,それらのリスクを防止又は 制御するための措置を講じることによって実現される。 2 2
臨床におけるリスクマネジメント を構成する四つの段階 リスクを特定する リスクの発生頻度と重大性を評価する リスクを低減又は排除する リスクによる費用を算定する 3 3
学習目標 職場における危険や潜在的リスクを特定,評価,報告す ることによって,リスクマネジメントの原則を適用する方 法を学ぶ 4 4
習得すべき知識 リスクに関する情報収集の方法 診療適性(fitness-to-practise)の要件 臨床におけるリスクマネジメントに関する個人的な説明責任 5 5
習得すべき行動内容 正確かつ完全な医療記録を残す リスクマネジメントと患者安全を検討する会議に参加する 有害事象の発生後に患者とその家族に適切に対応する 苦情に適切に対処する 自身の健康と幸福を維持する 6 6
リスクに関する情報収集 インシデントモニタリング 警鐘事象 医療の改善における苦情の役割 個人に責任がある場合の苦情及び懸念 検死 7 7
警鐘事象 患者の死や重篤な身体的又は精神的傷害を招く予想外の 出来事であり,再発のプロセスはさまざまであるが,もし再 発すれば深刻な結果に至る可能性が高いと考えられるも の Source: Joint Commission on Accreditation of Healthcare Organizations, 1999 8 8
苦情 医療行為の水準を維持するのに役立つ 訴訟の頻度を減らす 職務上の信頼を維持するのに役立つ 自己評価を促す 国民を保護する 9 9
診療適性(fitness-to-practise)の要件 資格認定(credentialing) 認証(accreditation) 登録 10 10
職業人としての成長と自己評価 疲労の影響と診療適性 ストレスと精神的な健康問題 業務環境と組織 教育と指導 コミュニケーション 11 11
臨床的リスクを理解して管理する方法 職場にあるリスクや危険を報告する方法を把握しておく 正確かつ完全な医療記録を残す 教員,指導者又は地位の高い適切な医療専門職に支援を求め るタイミングとその方法を知っておく リスクマネジメントと患者安全について議論するための会議に参 加する 有害事象の発生後に患者と家族に適切に対応する 苦情に適切に対応する 12 12
要約 すべての医療専門職に次のことが求められる: 担当する患者について責任を負う ― 地位の高いスタッフだ けが責任を負うわけではない 害の防止について各個人が説明責任を負う エラーが発生しやすい領域を特定する 自身の健康状態に気を配り,患者や同僚からの懸念に適切 に対応することによって,安全な職務環境の維持に努める 13 13