新城市民病院 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 小野田ちえ H30.11.19 ➇ 脳血管患者のケア 【急性期~回復期】 新城市民病院 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 小野田ちえ H30.11.19 ➇
急性期:脳血管患者の看護 脳卒中急性期の中でも、特に重篤かつ濃厚な治療が必要な段階を超急性期といいます。 超急性期や急性期の病態は通常意識障害やなんらかの高次脳機能障害を伴い、さらに全身状態は不安定であって、必要な場合には緊急で手術が行われる時期です。 ①病巣を拡大あるいは再発させないための重篤化回避のモニタリング ②脳卒中の合併症を起こさないための管理 ③廃用症候群を起こさないための管理 脳卒中患者の意思決定支援においては、患者の意思を正しく聞くことが困難な状況が多くある。 ①患者の意識レベルが低下していることが多い。 ②失語や高次脳機能障害でコミュニケーションが図れないことが多い ③症状の発現が急激で、治療選択を短時間のうちの迫られることが多い。
事例 1(急性期) 【年齢・性別】Nさん、59歳、男、右利き 【家族背景】 妻54歳(専業主婦)、娘27歳(会社員)、の3人暮らし 【職業】会社員(営業) 【既往歴】高血圧(約10年前から指摘を受け、5年前からブロプレス服用中) 検診において、心房細動を指摘されたがことがあるが、特に治療していなかった。 【入院時診断名】脳梗塞(右麻痺)、右利き 【入院直後までの概要】 20××年、4月1日、朝10時迄は普段と変わらず会社で仕事いていたが、10時30分ごろ、急に右半身 に脱力感が出現し、ペンがうまく握れず立ち上がれなくなっているところを同僚に発見され、11時に救急 車で搬送された。来院時の意識レベルはGCS:E3V4M6、傾眠傾向がみられるものの会話は可能であっ た。右半身麻痺が認められ、BRS:Ⅲ-Ⅱ-Ⅲであった。 バイタルサインは血圧150/70mmHg、脈拍88回/分(不整)、体温36.8であった。救急外来においてCT・ MRI施行し、左中大脳動脈領域に脳梗塞所見が認められた。心電図上は心房細動であり、心原性脳梗 塞と診断された。無事が確認されている最終発症時刻である10時を発症時刻とし、発症から4.5時間以 内であるためrt-PA療法適応と判断された。
脳卒中急性期の意識レベル 見当識 今はいつなのか 【時】 ここはどこなのか 【場所】 この人は誰なのか 【人】 今はいつなのか 【時】 ここはどこなのか 【場所】 この人は誰なのか 【人】 ここはどこ? この人は誰? 今、何月? (自分の名前・生年月日)
GCS:E3V4M6 反応 【除皮質硬直】 開眼反応 (E) 言語反応 (V) 【除脳硬直】 運動反応 (M) グラスゴー・コーマ・スケール(glasgow coma scale:GCS) 観察する項目 反応 スコア 開眼反応 (E) 自発的に開眼する 4 呼びかけで開眼する 3 痛み刺激によって開眼する 2 まったく開眼しない 1 言語反応 (V) 見当識良好 5 会話が混乱する(会話可、返答は不正解) 言語が混乱する(会話不能、叫び) 理解不明な音声(うめき、うなり) 発語しない 運動反応 (M) 指示に従う 6 疼痛部位の認識可能(払いのける) 屈曲反応、迅速逃避反応 異常屈曲(除皮質硬直様) 四肢伸展(除脳硬直様) 全く動かさない 【除皮質硬直】 【除脳硬直】
だいたい意識清明だが、今一つはっきりしない JCS(3-3-9度方式) 意識区分 レベル 意識状態 0 意識清明 Ⅰ.刺激しないでも覚醒している状態 1 だいたい意識清明だが、今一つはっきりしない 2 見当識障害がある(ここはどこ?今何月?この人誰?) 3 自分の名前、生年月日が言えない Ⅱ.刺激すると覚醒する状態 10 普通の呼びかけで容易に開眼する 20 大きな声または体をゆさぶることにより開眼する 30 痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと辛うじて開眼する Ⅲ.刺激しても覚醒しない状態 100 痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする 200 痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる 300 痛み刺激に反応しない
BRS:Ⅲ-Ⅱ-Ⅲ 【ブルンストロームステージ(Brs)】 ステージ 上肢(肩・肘) 体幹・下肢 手指 Ⅰ 弛緩性麻痺(随意運動なし) Ⅱ 上肢筋の連合反応 わずかな随意収縮 下肢筋連合反応 わずかな随意筋収縮 自動的に手指屈曲がわずかに可能 Ⅲ 屈筋協働運動 伸筋協働運動 前指同時に握り、鉤形握り可能だが離すことができない 随意的手指伸展不能 反射による伸展は可能 Ⅳ 腰の後ろに手を回す 前方水平位に腕を挙上 肘屈曲位で回内・回外運動 座位で膝を90度以上に屈曲し足部を床の後方へ滑らす 座位で踵を床から離さず随意的に足背運動 横つまみと拇指を動かして離すことは可能 随意的手指伸展は小範囲で可能である Ⅴ 肘伸展位で腕を側方水平位に挙上 腕を前方又は側方へ挙上 肘伸展位で前腕回・内回外運動 立位、股関節伸展位で膝屈曲 立位、膝伸展位で足を少し前方に踏み出して足背屈 対抗つまみ、筒握り、球握りはだいたいできる 動きは不器用、機能的使用は制限 随意的な手指伸展は可能だが、その範囲は一定しない Ⅵ ほぼ正常に近い状態 立位で股外転が骨盤挙上による範囲を超えて可能 座位で内外側膝屈筋群の交互運動による下腿の内外旋が足の内外反を伴って可能 すべての種類の握りが可能になり、巧緻性も改善し全可動域伸展可能 個別の手指運動が健側に比して正確さは劣るが可能
例えば こんな感じ 例えばこんな感じ
【優位半球】~ほとんどの人が左側~ ・大脳半球の働きには左右差があり、言語的、理論的思考を司る側を優位半球、その反対側を劣位半球という。 ・左半球が優位半球であることが多く、右利きの人のほとんど、また左利きの人でも2/3は優位半球が左にあると言われている。 ・一般に左半球(優位半球)では、言語的思考や計算などに右半球(劣位半球)では空間的能力、音楽的能力などに特化している。 ・左右の半球は脳梁で連絡し情報をやりとりすることにより、連携して機能することができる。
・バイタルサイン ・神経学的検査 ・血液検査 ・病歴確認 tPA適応項目確認 禁忌・慎重投与
治療は 治療が遅れると・・・・・・
脳梗塞 急性期の治療 急で重篤な意識障害・神経症状を生じて救急搬送されるか、急な頭痛・軽 微な神経症状を生じて救急外来を受診する。来院してから再出血、再梗塞 を起こすことがないよう、迅速かつ適切に対応する。 脳梗塞の治療は血圧をはじめとした全身管理が必須である。 梗塞を起こした血管領域の脳細胞が虚血に陥る状態である。しかし、早期 に血流が再開することで、脳細胞の壊死を免れる。 治療は、この脳細胞の虚血の原因となっている血栓を溶解させる。条件が 揃えば、rt-PA治療が第一選択として行われる。いずれの治療も血栓を溶 解するため血液凝固能を抑制することによる出血がデメリットをしてあげら れる。
事例 1(急性期) 【年齢・性別】Nさん、59歳、男、右利き 【家族背景】 妻54歳(専業主婦)、娘27歳(会社員)、の3人暮らし 【職業】会社員(営業) 【既往歴】高血圧(約10年前から指摘を受け、5年前からブロプレス服用中) 検診において、心房細動を指摘されたがことがあるが、特に治療していなかった。 【入院時診断名】脳梗塞(右麻痺)、右利き 【入院直後までの概要】 20××年、4月1日、朝10時迄は普段と変わらず会社で仕事いていたが、10時30分ごろ、急に右 半身に脱力感が出現し、ペンがうまく握れず立ち上がれなくなっているところ を同僚に発見され、11時に救急車で搬送された。来院時の意識レベルはGCS:E3V4M6、傾眠傾 向がみられるものの会話は可能であった。右半身麻痺が認められ、BRS:Ⅲ-Ⅱ-Ⅲであった。 バイタルサインは血圧150/70mmHg、脈拍88回/分(不整)、体温36.8であった。 救急外来においてCT・MRI施行し、左中大脳動脈領域に脳梗塞所見が認められた。心電図上は心 房細動であり、心原性脳塞栓症と診断された。無事が確認されている最終発症時刻である10時を発 症時刻とし、発症から4.5時間以内であるためrt-PA療法適応と判断された。
心原性脳塞栓症 治療 4.5時間以内
Nさんの診断まで 来院してから、診察、血液検査・ECG・CT・MRI検査・体重測定・病状説明(患者・家族)と同意 朝10時迄は普段と変わらず会社で仕事いていた 10時30分ごろ、急に右 半身に脱力感が出現し、ペンがうまく握れず立ち上がれなくなっているところを同僚に発見される 11時に救急車で搬送された 意識レベル・麻痺 バイタルサインは ECG・CT・MRI施行 心原性脳塞栓症と診断 rt-PA療法適応と判断
急性期の治療 4.5時間以内 4.5~8時間以内 8時間以上 あり 禁忌事項 神経機能改善の可能性 なし あり なし 無効 t-PA療法 血管内治療 保存的治療
rt-PA静脈注射後の管理 神経学的評価(NIHSS) 投与開始~1時間(投与中):15分毎 1~7時間:30分毎 7~24時間:1時間毎 血圧モニタリング 投与開始~2時間:15分毎 2~8時間:30分毎 8~24時間:1時間毎 投与開始後血圧管理 収縮期血圧<180㎜Hg 拡張期血圧<110㎜Hg 頭痛、悪心、嘔吐、急激な血圧上昇に注意
救急外来においてCT・MRI施行し、左中大脳動脈領域に脳梗塞所見が認められた。心電図上は心房細動であり、心原性脳塞栓症と診断された。無事が確認されている最終発症時刻である10時を発症時刻とし、発症から4.5時間以内であるためrt-PA療法適応と判断された。家族へ連絡をとると同時に、Nさんへ疾患およびrt-PA療法について説明し、入院治療の承諾をえた。SCUへ入室後、来院した家族へインフォームドコンセントを行った。 入院直後患者は「会社に連絡したい」「会議がある」と仕事を気にされていた。 妻は入院時から、夫の身体が動かないことや、今後の生活について「お父さんが入院しちゃったから、生活できない」と、不安を訴えている。娘は会社員で仕事をしているが、一家の主な生計はNさんが支えている。自宅の住宅ローンの返済が残っている。 当日rt-PA投与後、右半身麻痺はBRS:Ⅳ-Ⅲ-Ⅳ、意識レベルはGCS:E4V5M6まで改善、皮下出血や粘膜からの出血はなし。CT上脳出血の所見なし。 収縮期血圧110~140mmHg、拡張期血圧60~70mmHg、脈拍60~70回/分(不整あり)点滴を持続しモニタリングしている。 2日目、体動時に、麻痺側の手が体の下になっていたり、ベッド柵から足を落としてしまうことに気付かない。BRS:Ⅴ-Ⅲ-Ⅴ FIM評価項目:運動項目32点、認知項目31点、合計63点、入院二日目からOT,PTによる訓練を開始した。起き上がりは自力でできるが、自力歩行は困難である。
Nさんのアセスメント(入院時から1日目) t-PA投与後24時間は、麻痺の改善がみられ、GCS15点、血圧上昇もなく安 全な数値で経過しCT上出血所見はない。しかし、血栓溶解療法により、投与 後24時間~36時間以内は出血性合併症が起こりやすい状態にある。また、 脳梗塞発症直後であるため、脳浮腫による圧迫から頭蓋内圧亢進、及び周辺 組織の障害、梗塞の拡大、出血性梗塞をきたす恐れがある。 脳循環自動調節能の破綻により血圧が変動しやすいため、血圧低下時は脳 血流量低下による虚血から再梗塞、また血圧上昇による出血性梗塞を起こす 恐れがある。意識レベル・神経症状悪化の有無の観察、血圧管理をおこない、 異常の早期発見と血圧上昇因子の除去、皮膚粘膜の観察を行う必要がある。
脳梗塞 急性期看護のポイント ①経時的に漏れなく観察:呼吸・意識・麻痺・瞳孔・循環(血圧・脈拍)⇒総合的に臨床判断 脳梗塞 急性期看護のポイント ①病巣を拡大あるいは再発させないための重篤化回避のモニタリング ②脳卒中の合併症を起こさないための管理 ③廃用症候群を起こさないための管理 ①経時的に漏れなく観察:呼吸・意識・麻痺・瞳孔・循環(血圧・脈拍)⇒総合的に臨床判断 脳卒中発症1週間以内に起こしやすい病態として、脳浮腫による頭蓋内圧亢進症状、再出血や再梗塞などがある。 これらの徴候を見逃さないよう、モニタリングを行うことが大切。
脳梗塞 急性期看護のポイント ①病巣を拡大あるいは再発させないための重篤化回避のモニタリング ②脳卒中の合併症を起こさないための管理 脳梗塞 急性期看護のポイント ①病巣を拡大あるいは再発させないための重篤化回避のモニタリング ②脳卒中の合併症を起こさないための管理 ③廃用症候群を起こさないための管理 ②脳卒中急性期では、脳浮腫は通常発症3日~5日ごろが最も強く2週間程度続く。こ の脳浮腫による頭蓋内圧亢進は、意識レベル・神経症状の悪化を急激にきたす。発 症後3~5日目においても、意識レベルや神経症状の観察は頻回に行う必要がある。 脳浮腫が非常に強い場合には、脳ヘルニアをきたすことがある。発症1週間の急性 期は頻回の観察を心掛け、異常の早期発見に努め、脳ヘルニアを起こさないように することが重要。 【主な合併症】 ◎頭蓋内圧亢進・脳ヘルニアの予防 ◎呼吸器障害(誤嚥性肺炎・窒息) ◎循環障害(血圧管理) ◎DVTの予防 ◎栄養、水分出納管理
頭蓋内圧亢進について 頭蓋内圧亢進症状 三徴候:頭痛、嘔気、嘔吐、うっ血乳頭 嘔吐は早朝空腹時に起こる 嘔吐は早朝空腹時に起こる 急激な頭蓋内圧亢進では、意識障害やクッシング現象(血圧上昇・徐脈)、呼吸異常などのバイタルサインの変化、瞳孔異常が出現する。
脳ヘルニアについて 頭蓋内の容積が、腫瘍や血腫などの占拠性病変や部分的な浮腫により増加し、圧迫により、脳組織が移動して起こる。 脳ヘルニアが起こると、逸脱した組織の循環障害や脳幹の圧迫などによって生命維持が困難になる危険がある。 例えば・・・
血圧について 脳循環自動調節能(自動調節能) 脳には、血圧の変動に対して、脳血流を一定に保つ働きがある 脳循環自動調節能
脳循環自動調節能 脳卒中急性期の患者は、自動調節能が障害され脳血流は血圧に依存している。 自動調節能が障害された場合、血圧の低下に伴って、脳血流量は低下する。 脳梗塞急性期 脳組織は虚血に弱く、血流の低下により容易に損傷される。 ちなみに~ (平均血圧=拡張期+脈圧/3)
①病巣を拡大あるいは再発させないための重篤化回避のモニタリング ②脳卒中の合併症を起こさないための管理 ③廃用症候群を起こさないための管理 ③脳卒中発症後、早期からリハビリテ―ションを開始することは、脳卒中そのものが原 因でおこる障害ではなく、二次合併症である不必要な安静のために起こる廃用症群 を大幅に減らすことができる。特に高齢患者では、片麻痺そのものは軽症であって もいったん廃用性の筋力低下や関節拘縮などを合併してしまうと、むしろ二次合併症 が原因で歩行できなくなる患者も少なくない。 『脳卒中ガイドライン2015』では、廃用症候群を予防し、早期の日常生活動作の向上 と社会復帰を図るため、超急性期から十分なリスク管理のもとに積極的なリハビり テーションを行うことが強く推奨されている。
①病巣を拡大あるいは再発させないための重篤化回避のモニタリング ②脳卒中の合併症を起こさないための管理 ③廃用症候群を起こさないための管理 ③廃用症候群の定義とその種類 廃用症候群とは、廃用(使わないこと)すなわち不活発な生活や安静に よって起こってくる、全身のあらゆる器官・機能に生じる心身機能の低下 である。 【廃用性症候群の症状】 身体の一部におこるもの:骨粗鬆症、関節拘縮、筋力低下、筋委縮、褥瘡、DVT 全身に影響するもの:心肺機能低下、消化機能の低下、起立性低血圧 精神・神経の働きに起こるもの:知的活動の低下、うつ傾向、周囲への無関心
では、Nさんの2日目~ 情報を整理して考えてみましょう
Nさん、二日目のアセスメントは?
Nさんの看護問題 #1:再梗塞、出血性梗塞を起こす恐れがある #2:rt-PAの副作用による出血傾向、出血の 危険性がある 危険性がある #3.右不全麻痺に関連したセルフケアの不足 #4.右不全麻痺及び麻痺側の失認などに関連した 転倒、転落の危険性 #5.突然の発症に伴う患者・家族の心理的動揺
Nさんのその後・・・・ #1:3日目から、降圧剤内服にて血圧は130~150/60~80㎜Hgでけ 経過した。IOバランスは3日目まで行い不均衡はなし。便秘傾向だっ たため、緩下剤を投与で反応便あり、以後2日に1回の排便コント ロールをしている。入院中再梗塞・再出血なく経過にて目標達成。 #2:rt-PA後、バイタルサインに大きな変動はなく、神経症状の悪化な く経過。全身の出血傾向は見られなかった。rt-PA治療に伴う合併症 はなく経過したため目標達成。
Nさんのその後・・・・ #3:ADL拡大と、援助を受けることによって、日常生活の基本的ニードが充足 されることを目標とし、治療の継続と合併症の予防、再梗塞などに注意しなが らADLを拡大していくことを計画 2日目 3日目 4日目 14日目 ・車椅子へ乗車 ・立位保持可能 ・座位バランス良好 ・膀胱留置カテーテル抜去 ・車椅子でトイレ排泄可能 ・食事開始 シャワー浴 (主治医認) FIM74/126 まで改善 血圧110~140/60~70、脈拍60~80回/分で安定 自ら健側で麻痺側の他動運動を行うようになった。
Nさんのその後・・・・ #4:転倒・転落が起きないことを目標に点滴ルート抜去防止など、安全 に注意し、環境を整えていくことを計画 #4:転倒・転落が起きないことを目標に点滴ルート抜去防止など、安全 に注意し、環境を整えていくことを計画 ADLの改善に伴い、ナースコールを押さず一人で車いすへ移動しようとする動作がみられたため「段階を経て拡大していくことが効果的で身体負担も少ないこと」、「転倒することで骨折などによりADL拡大が逆行してしまうリスクがあること」等説明し、理解を得るようにした。 結果ナースコールで知らせてくれるようになり、転倒・転落なく経過した。しかし、車いすのブレーキのかけ忘れ、フットレストの上げ下ろしを忘れることがあり、転倒の危険性は継続している。
Nさんのその後・・・・ #5:患者及び家族が気持ちが表出できることを目標とし治療や訓練 の取り組みや今後の生活の立て直しが順調に進められるように、患 者、家族の心理的状況を理解し、寄り添って支えていくことを計画した カンファレンスにて、突然の発症による今後への漠然とした不安・現状の受入れが困難な状況があると判断。 ⇒Nさんの疑問・不安が表出できるよう働きかけることとした。 治療:医師と話しをする場を設けた 妻に対してNさんの様子を伝える、リハビリを見学してもらうよう関わった
Nさんのその後・・・・ Nさんの場合、障害の程度や回復状況から社会復帰も可能と考え、 カンファレンスにおいて医師・PT・OTと検討し、回復リハビリ病院への 転院が決まった。 医師から、Nさん、家族へ説明してもらったところ、今後の生活につい て具体的に質問してくるようになった。 今後の機能回復に合わせた生活再構築のための支援を継続するために、転院先の病院へ情報を準備する。 転院について・・・連携室又は相談室が介入 転院先病院の選定 書類の準備 ・紹介状、連携パスなど ・看護サマリーなど準備
急性期:脳血管患者の看護のまとめ 脳血管疾患患者は、急で重篤な意識障害・神経症状を生じて救急搬送されるか、急な頭痛・軽微な神経症状を生じて救急外来を受診する。来院してから再出血、再梗塞を起こすことがないよう、診断・治療が円滑に進むよう迅速かつ適切に対応する。 超急性期や急性期の病態は通常意識障害やなんらかの高次脳機能障害を伴い、さらに全身状態は不安定であって、必要な場合には緊急で手術が行われる時期である。 ①病巣を拡大あるいは再発させないための重篤化回避のモニタリング ②脳卒中の合併症を起こさないための管理 ③廃用症候群を起こさないための管理 急性期における脳卒中患者の特徴として、意識障害や高次脳機能障害を伴うため、患者の意思を正しく聞くことが困難な状況が多くあることを理解する。 ①患者の意識レベルが低下していることが多い。 ②失語や高次脳機能障害でコミュニケーションが図れないことが多い ③症状の発現が急激で、治療選択を短時間のうちの迫られることが多い。
おつかれさまでした 次は、回復期・・・・・
収縮期血圧110~140mmHg.、拡張期血圧60~70mmHg、脈拍60~70回/分(不整あり)点滴を持続しモニタリングしている。 情 報 アセスメント 心身機能と身体構造 当日rt-PA投与後、右半身麻痺はBRS:Ⅳ-Ⅲ-Ⅳ、意識レベルはGCS:15点まで改善、皮下出血や粘膜からの出血はなし。CT上脳出血の所見なし。 収縮期血圧110~140mmHg.、拡張期血圧60~70mmHg、脈拍60~70回/分(不整あり)点滴を持続しモニタリングしている。 2日目、体動時に、麻痺側の手が体の下になっていたり、ベッド柵から足を落としてしまうことに気付かない。 右利き BRS:Ⅴ-Ⅲ-Ⅴ FIM評価項目:運動項目32点、認知項目31点、合計63点、 2日目、血栓溶解療法により、投与後24時間~36時間以内は出血性合併症が起こりやすい状態にある。また、脳梗塞発症直後であるため、脳浮腫による圧迫から頭蓋内圧亢進、及び周辺組織の障害、梗塞の拡大、出血性梗塞をきたす恐れがある。 t-PA投与後再開通により麻痺の改善がみられ、神経学的所見もなし、CT上出血所見はなし、血圧上昇もなく安全な数値で経過している。ADL拡大に向けた機能訓練開始は可能と思われる。しかし、血圧自動調節能の破綻により血圧が変動しやすいため、血圧低下時は脳血流量低下による虚血からの再梗塞と、血圧上昇による出血性梗塞を起こす恐れがある。意識レベル・神経症状悪化の有無の観察、血圧管理など、十分なリスク管理のもと、モニタリングしながら段階的に離床を進めていく。血圧が不安定な場合は、拘縮予防のための良肢位の保持、関節可動訓練から実施し、二次合併症(再梗塞・出血・廃用症候群)を予防していく。 FIMによる運動項目から、利き手である右手の麻痺により、日常生活動作が困難な状態である。認知項目は31/35点である。説明による理解は得られそうだが、麻痺側に対する注意・認識が低下している為、麻痺側に意識が持てるよう関わりをもつ必要がある。また、今後離床に伴う転倒・転落などのリスクを考え、スタッフ間、OT・PTと情報を共有する。 活動と参加 FIM評価項目:運動項目32点、認知項目31点、合計63点、入院二日目からOT,PTによる訓練を開始した。 起き上がりは自力でできるが、自力歩行は困難である。 FIMによる運動項目から、利き手である右手の麻痺により、日常生活動作が困難な状態である。セルフケア不足により他者の助けが必要であるが、セルフケアレベルを確認しながらできることを少しずつ進めていく。認知項目は31/35点である。説明による理解は得られそうだが、麻痺側に対する注意・認識が低下している為、麻痺側に意識が持てるよう関わりをもつ必要がある。また、今後離床に伴う転倒・転落などのリスクを考え、スタッフ間、OT・PTと情報を共有する。 運動機能回復の程度によるが、今後の介護負担について妻だけでなく、娘さんも一緒に関わっていけるよう早期から支援していく。 背景因子 Nさん、59歳、(男性)会社員、 妻54歳(専業主婦)、娘27歳(会社員)、の3人暮らし 高血圧(約10年前から指摘を受け、5年前からブロプレス服用中)検診において、心房細動を指摘されたがことがあるが、特に治療していなかった。 ・仕事中の突然の発症による入院。 ・入院直後から「会社に連絡したい」「会議がある」と仕事を気に している。 妻は入院時から、夫の身体が動かないことや、今後の生活について「お父さんが入院しちゃったから、生活できない」と、不安を訴えている。娘は会社員で仕事をしているが、一家の主な生計はNさんが支えている。自宅の住宅ローンの返済が残っている。 突然の発症により、妻もショックを受けている。大変な状態になったと認識しても、現状の受け入れが困難な状態。一家の主な生計はNさんが支えていた為、今後の生活に漠然とした不安がある。 麻痺の出現により、Nさんは自分自身がもっている自分に対するイメージや価値観が崩れてくることが予想される。患者の心理状態を十分に観察・把握しながら、Nさんが常に前向きに希望をもち、生活が送れるよう支援する必要がある。またNさんが時間の経過とともに自らの障害とその程度を受け入れ、障害を持ちながら発症前とは異なる新たな生活が再構築できるよう支援する。 運動機能回復の程度によるが、今後の介護負担について妻だけでなく、娘さんも一緒に関われっていけるように支援する。 入院が長期化することで、経済的負担を考慮し、状況によりMSWの介入を依頼していく。