正負の数の加減 生徒の発想を見習った 代数和計算法を基本に 計算順序を見直す提案 コロンブスの卵的発想で実に単純な話です 中学校 数と式分科会 レポート 生徒の発想を見習った 正負の数の加減 代数和計算法を基本に 計算順序を見直す提案 コロンブスの卵的発想で実に単純な話です 8時間教材が4時間で完了する 単元構成の提案 教科書の書き変えを願って! 奈良市退職教員 福 尾 忠 彦
教科書への疑問の原点 ・ トランプゲームにおいて、黒札はプラス 赤札はマイナスなどの簡単な 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート 教科書への疑問の原点 ・ トランプゲームにおいて、黒札はプラス 赤札はマイナスなどの簡単な ルールの提示のみで 生徒はゲームを楽しく行います。 つまり、正負の加減計算の基本を生徒は理解しているのではないだろうか? ・ それが、教科書での説明になると何故 不審顔になるのだろうか。 ・ 生徒の計算方法は、大人一般も行っている 黒字の合計から赤字の合計を引くというシンプルな方法である。 ・ 教科書の方法は、生徒がシンプルに理解しているにもかかわらず、 複雑な面倒な方法を押し付けていると考えられます。
・ これからの 筆者の提案には疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。 中学校 数と式分科会 レポート ・ これからの 筆者の提案には疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。 ・ 学習経験の無い全く不慣れな事を 新しく説明するのならば 面倒な説明であっても勿論しなければなりません。 ・ しかし、生徒が かなり慣れている事なら、その生徒の思考方法を 活かす方法が追及されてしかるべきではないでしょうか。 ・ 数学授業の理論からすれば、現行教科書の方法が正統なのかも 分かりませんが、、、? ・ 算数に苦手意識があって 教科名が数学に変わり、再チャレンジ をしようとしている生徒に「やっぱり難しい説明やなぁ~。」と 期待はずれな授業はしたくありません。 ・ 新しく習うマイナスの数だけど「算数苦手やった自分でも、 けっこう楽に出来るやん、、。」と感じさせてやりたいものです。 ・ 従来の説明法をとるか 生徒の出来る喜びをとるかの選択です。
よくご存じの代数和の求め方です。 (-3)+(+2)+(-1)+(+5) =(+2)+(+5)+(-3)+(-1) 中学校 数と式分科会 レポート よくご存じの代数和の求め方です。 (-3)+(+2)+(-1)+(+5) ↓ 交換法則で並べ替え =(+2)+(+5)+(-3)+(-1) ↓ 正項 負項それぞれを合計して引き算 =( 2 + 5 ) - ( 3 + 1 ) = 7 - 4 = 3 この算出方法は、項の数 項の正負 各項の絶対値に関係なく成立します。
生徒の発想 中学校 数と式分科会 レポート ・ 生徒は ゲームの途中で引き算は 多分行っていないであろう。 中学校 数と式分科会 レポート 生徒の発想 ・ 生徒は ゲームの途中で引き算は 多分行っていないであろう。 ・ 手持ちの4枚カードで、黒札の合計 から 赤札の合計を引き算している。 ・ これを いわゆる 代数和 で計算しています。 (-4)+(+1)+(-3)+(+5) ・ そして 無意識に交換法則を使って 頭の中で並べ変え (+1)+(+5)+(-4)+(-3) として、正負の合計どうしを引き算しているであろう。 ・ それならば、加減計算の最初の段階で この形に持ち込めば、全ての加減を 同一手順で処理出来るであろう。 そして トランプゲームを使わない授業ででも 使えるように一般化したのが このレポートの趣旨であります。 ・ さらに この代数和的方法は、カードの枚数や赤黒の絶対値にも関係なく処理出来ます。
[ 要点1、代数和の求め方 ] [ 要点2、代数和形式への変換 ] [ 要点3、負数を足す事 引く事の意味 ] 中学校 数と式分科会 レポート 以後提案する説明の基本です。 この基本のことを仮に「要点」と呼ぶことにします。 [ 要点1、代数和の求め方 ] 代数和は 項の多少にかかわらず、正項の絶対値の合計から負項絶対値の合計を 引き算して求める。 現行教科書も 加減の全てを最終的にはこの方法で求めることを目標としている らし いが、目標への道順が かえって複雑・面倒な手順になっている。 [ 要点2、代数和形式への変換 ] 一般の加減の式は -5-(-6)+(-9)+2 のように、加減が入り混じり ( )のある項と無い項が混じっている。代数和形式にするために、その前段である ( )の無い式に変換する手順を練習する。 [ 要点3、負数を足す事 引く事の意味 ] 計算手順に慣れる事以前に、負数を足す事 引く事の意味理解が重要である。 [ 要点4、( )はずしの結果をまとめる] 要点3の結果として、( )はずしの手順を重要事項としたまとめをする。
正負の加減法で 新しい方法を提案する理由 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート 正負の加減法で 新しい方法を提案する理由 1、 生徒は 代数和の計算を 小学校算数の知識で理解しうる習熟度がある。 2、 負数を足す事 引く事の意味を十分に理解させた後は 計算操作の説明でよい。 3、 代数和の形に持ち込めば、全ての加減の計算をただ一通りの同一手順で 処理出来る。 4、 負数の加減の意味とともに ( )はずしを「まとめ」として提示する。 → ( )のある式も全て -5+2+4-3 の型に変形して これを (-5)+(+2)+(+4)+(-3) と同等であると認識させる。 5、 生徒が暗算で行っている計算法を 紙の上での計算式に定式化する。 6、 ① ( )をはずす ② 正項を左に 負項を右に合計 ③ 合計どうしを引き算 の3ステップにまとめる。
3(スリー)ステップ 詳しい説明の前に 先ずは、 先生方 どのように計算されますか? -5-(-6)+(-9)+2 =-5+6-9+2 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート 詳しい説明の前に 先ずは、 先生方 どのように計算されますか? -5-(-6)+(-9)+2 ↓① ( )をはずす =-5+6-9+2 ↓② 正の項を左に 負の項を右に合計する =(6+2)-(5+9) ↓③ 合計どうし引き算 = 8-14 =-6 3(スリー)ステップ 教科書も含め ほぼ全ての参考書も、表現は多少違っていても 加減の最後の説明として この方法を示しています。 日常の黒字・赤字の計算もこの感覚で行われています。 これから行う提案は 新しい要素は特になく 説明の順番を組み替えて、先に一般化した この方法で 全ての加減計算を 同一手順で処理しようという発想です。
現行教科書の単元構成(正負の加減) 教科書の 加減についての指示 2項計算で全てを完結する説明になっている。 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート 現行教科書の単元構成(正負の加減) 教科書の 加減についての指示 2項計算で全てを完結する説明になっている。 加法について 減法について 別の型として6~8種の例題が示されている。 どちらも 東書教科書より 果たして この指示は先の計算に役立つでしょうか? 型分け認定は 初心者にとって不得手で 混乱の原因。
発想の転換 ▷ 3項以上の多項式を簡単に処理出来る生徒たちには、 負数の加減の意味理解を十分させた後の計算の習熟 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート 発想の転換 ▷ 3項以上の多項式を簡単に処理出来る生徒たちには、 負数の加減の意味理解を十分させた後の計算の習熟 には、必ずしも2項計算から始めなくとも良いであろう。 ▷ 2項計算で負数の加減説明を 完結しようとすれば、 どうしても場合による型分けが必要になる。 ⇨ 説明が煩雑になる。 ⇨ 型分けの認定は 初心者には苦手 ⇨ 混乱の原因 ▷ それなら 負数の加減の意味を2項計算で理解させた後は、 同一手順で全て処理出来る4項計算で一般化してから 2項計算へ移行すればよいであろう。
以上が このレポートの要点の全てで 既に 結論を推察されていると思いますが、 私が実際に進めていた授業の流れを基に 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート 以上が このレポートの要点の全てで 既に 結論を推察されていると思いますが、 私が実際に進めていた授業の流れを基に 新たな単元構成を提案させてもらいます。 トランプゲームの流れから発想した方法ですが、 ゲームを利用しない授業にも使える展開に 一般化しました。
授業展開の具体例 1、 負数の導入 これは各先生方 お好きな方法でよいですが 私の例です。 1、負数の導入 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート 授業展開の具体例 1、 負数の導入 1、負数の導入 これは各先生方 お好きな方法でよいですが 私の例です。 ( 配布資料参照で省略します。 ) 買い物で お釣りの計算を見ていきましょう。 例えば 所持金4万円での買い物で 買う金額を増やしていきます。 4-1=3 4-5=? 4-2=2 4-6=? 4-3=1 ・ 4-4=0 ・ ・ ⇨ -1 ⇨ -2 これは 教え込まなくても、発問に対して生徒は自然に解答します。 これをマイナスの数と定義し、全ての引き算が完結することを理解させます。
小学校算数で扱っていないのは、 ・ 3-5= 2-13= などの (小さい数)-(大きい数) のみです。 中学校 数と式分科会 レポート 小学校算数で扱っていないのは、 ・ 3-5= 2-13= などの (小さい数)-(大きい数) のみです。 ・ これこそが 中学校入学生には初めて見る式なので、 このパターンに特化した練習が必要です。 教科書は 集中的には扱っていません。 ・ 筆者のホームページからダウンロード出来る練習プリント にはこの種の問題を挿入しています。
2、 負数の必要性 使用例 2、負数の必要性 と 使用例 ① 全ての引き算に答えを用意する。 (先ほどの説明) 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート 2、負数の必要性 と 使用例 2、 負数の必要性 使用例 ( 配布資料参照で省略します。 ) ① 全ての引き算に答えを用意する。 (先ほどの説明) ② 正反対のものの 片方をプラス 他方をマイナスとする。 電気 現金と借金 など 電気 現金と借金 など ③ 標準からのズレで 片方をプラス 他方をマナスとする。 温度 標高 位置表示 など ①は あまり意識的に説明されていない。 ②と③が 混同して列挙されている教科書がある。 各項の例は生徒に発問して引き出しますが、 現金と借金については意外と出てこないので その場合は、 授業者から提案して付け加えます。
( )はずしの練習 3、負数を加減する意味の理解 単元の核心 ( )はずしの練習 3、負数を加減する意味と 5+(-2)=5-2 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート 3、負数を加減する意味と ( )はずしの練習 単元の核心 3、負数を加減する意味の理解 ( )はずしの練習 5+(-2)=5-2 5-(-2)=5+2 などの説明は ① 数直線での 右へ進む 左へ進むの方法。 (教科書の説明) ② トランプカードでの説明。 筆者ホームページの「生徒自学用」ページを参照。 ③ 現金や借金のやりとり。 など 大切な事項なので 3つとも 実物を示し じっくり説明します。 本提案は時間の余裕がありますので 繰り返しこれらを説明します。
⇨ この( )はずしの結果を 計算の最初に適用します。 さらにまとめて 中学校 数と式分科会 レポート 結果のまとめ 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート 結果のまとめ さらにまとめて 5+(+2)= 5+2 = 7 5+(-2)= 5-2 = 3 5-(+2)= 5-2 = 3 5-(-2)= 5+2 = 7 ( )のはずし方 同符号 → + 異符号 → - ⇨ 教科書にも この記述はありますが、まとめ として 重要事項には指定していません。 この( )はずしの結果を 計算の最初に適用します。 註、厳密には、( )の中の+-は符号であり ( )の左の+-は演算記号です。 正確には「同記号」「異記号」などと言うべきか?
7-5+3-1 =(7+3)-(5+1) = 10-6 = 4 4、 小学校算数の復習 項の多い計算 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート 4、 小学校算数の復習 項の多い計算 小学校算数の授業では 集中的に取り上てはいませんが、 次のような方法は簡単に理解します。 現に トランプゲームの4枚分の合計は 無意識にこの方法を使っている。 無意識に暗算で出来ていることを 意識化させます。 7-5+3-1 ↓① 足し算を左に 引き算を右にまとめる =(7+3)-(5+1) ↓② 合計どうしを引き算 = 10-6 = 4
3(スリー)ステップ 5、 4項式での正負の加減 最初に 示した式です -5-(-6)+(-9)+2 =-5+6-9+2 中学校 数と式分科会 レポート 負数を足す事引く事の意味を充分理解したうえで、 5、 4項式での正負の加減 最初に 示した式です -5-(-6)+(-9)+2 算数復習の2ステップの先に、 ( )はずしの結果を最初のステップとする。 ↓① ( )をはずす =-5+6-9+2 ↓② 正の項を左に 負の項を右に合計する =(6+2)-(5+9) ↓③ 合計どうしを引き算 =8-14= -6 3(スリー)ステップ
数学的に ていねいには、 -5-(-6)+(-9)+2 =-5+6-9+2 =(6+2)-(5+9) = 8 - 14 = -6 中学校 数と式分科会 レポート 数学的に ていねいには、 -5-(-6)+(-9)+2 ↓① ( )をはずす =-5+6-9+2 ↓(ア) 代数和に変換 =(-5)+(+6)+(-9)+(+2) ↓(イ) 交換法則で並べ替え =(+6)+(+2)+(-5)+(-9) ↓(ウ) 正負それぞれ合計して引き算 =(6+2)-(5+9) ↓③ 合計どうし引き算 = 8 - 14 = -6 と すべしですが 中学生に分かり易いように、数式の2行は省略する。 変形指示の (ア)(イ)(ウ)3行は 算数の「足し算引き算の工夫」を応用して 「 ↓ ② 正の項を左に 負の項を右に合計する 」と簡略化します。
イメージの統合 トランプの得点計算や式の計算をする 場合 左記のようなイメージや式を 提示します。 この4種の表示 見た目は違いますが、 中学校 数と式分科会 レポート イメージの統合 トランプの得点計算や式の計算をする 場合 左記のようなイメージや式を 提示します。 この4種の表示 見た目は違いますが、 数としての計算に注目すれば 全て 同じ意味のものであることを 生徒に納得してもらいましょう。 生徒が合点していないようなら改めて 解説を加える必要があります。
いろいろな問題での例題 教科書のように 型分けをしての説明ではありません。 中学校 数と式分科会 レポート いろいろな問題での例題 教科書のように 型分けをしての説明ではありません。 どのような形の加減であっても全て同じ方法で計算が出来るのを実感するのと、その練習です。
中学校 数と式分科会 レポート ① (+5)+(-3)+(+4)+(-2) ↓①( )をはずす =5-3+4-2 ↓②正負それぞれの合計 「正の項を左に 負の項を右に合計する」を簡略表現する。 =(5+4)-(3+2) ↓③合計どうしを引き算 正の合計左 負の合計右に書く 3ステップ = 9 - 5 = 4
=5-2-3+4 =(5+4)-(2+3) (正は左 負は右) = 9-5= 4 中学校 数と式分科会 レポート ② 中学校 数と式分科会 レポート ② (+5)-(+2)+(-3)-(-4) ↓①( )をはずす =5-2-3+4 ↓②正負それぞれの合計 =(5+4)-(2+3) (正は左 負は右) ↓③合計どうしを引き算 = 9-5= 4
=-2+6-3+1 =(6+1)-(2+3)(正は左 負は右) = 7-5 = 2 中学校 数と式分科会 レポート ③ 中学校 数と式分科会 レポート ③ (-2)-(-6)-(+3)+(+1) ↓①( )をはずす =-2+6-3+1 ↓②正負それぞれの合計 =(6+1)-(2+3)(正は左 負は右) ↓③合計どうしを引き算 = 7-5 = 2
=-2-6+3-4 =( 3 )-(2+6+4)(正は左 負は右) = 3-12 = -9 中学校 数と式分科会 レポート ④ 中学校 数と式分科会 レポート ④ (-2)-(+6)+3-(+4) ↓①( )をはずす =-2-6+3-4 ↓②正負それぞれの合計 =( 3 )-(2+6+4)(正は左 負は右) ↓③合計どうしを引き算 = 3-12 = -9
=-3-2-4-5 =(0)-(3+2+4+5)(正は左 負は右) = 0-14 = -14 中学校 数と式分科会 レポート ⑤ 中学校 数と式分科会 レポート ⑤ (-3)-2-4+(-5) ↓①( )をはずす =-3-2-4-5 ↓②正負それぞれの合計 =(0)-(3+2+4+5)(正は左 負は右) ↓③合計どうしを引き算 正の合計は 0(ゼロ)と書く = 0-14 = -14
・板書では各段階の式をていねいに書きますが、 暗算出来る者は途中の式の省略を促します。 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート 6、 2項式での正負の加減 -12+(-5) ↓①( )をはずす =-12-5 ↓②正負それぞれの合計 =( 0 )-(12+5 ) (正は左 負は右) ↓③合計どうしを引き算 = 0-17= -17 ・板書では各段階の式をていねいに書きますが、 暗算出来る者は途中の式の省略を促します。 ・このようにして、教科書の各セクションの問題を 説明抜きでどんどん進めて行きます。
まとめです。 さて 先生方、 どちらの方法を採用しますか? ・授業のやり方では、生徒への適切な発問と 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート まとめです。 ・授業のやり方では、生徒への適切な発問と それを受けての 生徒の発想や考えを引き出すことが重視されます。 ・この3ステップ法は、 生徒の考え・発想をヒントに 単元の説明順序を教科書に準拠せず 生徒たちの計算方法を基に組み直したものです。 黒札の合計から 赤札の合計を差し引くという簡単明瞭な方法です。 ・生徒の理解・定着がよく、 しかも授業時数が8時間から4時間に 短縮出来ます。 ・知的支援学級生も この方法で正負の加減が習得出来ました。 ・更に、数学教科書の執筆をされている ある大学の先生、ご自分の中学1年生の 子供さんにこの3ステップを試されたところ、 計算で 戸惑っていたのが 迷いなく通過出来たとのことでした。 さて 先生方、 どちらの方法を採用しますか?
中学校 数と式分科会 レポート 春の 東大寺 大仏池 ご静聴ありがとう御座いました。
発表会場での質問によっては、 以下の話題も追加説明します。
3ステップ法の正統性 1、今までは 教科書流の説明とあまりに違うし、私自身 正統な方法ではないと考えていました。 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート 3ステップ法の正統性 1、今までは 教科書流の説明とあまりに違うし、私自身 正統な方法ではないと考えていました。 2、現在は 小中の連携・接続を重視するならば、小学校算数の延長で説明するこの3ステップ法こそが正統ではないかと思っています。 つまり、教科書の書き変えを願っています。
符号 と 演算記号 代数和について 代数和に関する考察です。 例えば 5-3+4-1=(+5)+(-3)+(+4)+(-1) 中学校 数と式分科会 レポート 符号 と 演算記号 代数和について この項は授業で取り上げる内容ではなく、授業者の知識として考える材料にしてもらえば幸いです。 代数和に関する考察です。 例えば 5-3+4-1=(+5)+(-3)+(+4)+(-1) などと、いろんな加減を全て正数と負数の合計で表したうえで考えを次に進める方法があります。 そして式をこのような形にしたものを代数和と呼んでいます。 これらの式の中に出てくる + や- の記号の名称というか働きは同じものに対して別の名称や働きが与えられています。 つまり、同じ + であっても ( )の中の + は符号、( )の外の + は加法を示す演算記号と呼ばれている。
しかし、数学のテキストでそのような区別をしているものはありません。 演算記号としての +,- はそのままで、符号の方には ⊕⊖などと別の記号を用意すべしと考えていました。 しかし、数学のテキストでそのような区別をしているものはありません。 最近になり、数学の記述方法は 長年の経験で よく出来ているものだなぁと 思いあたりました。 符号と演算記号、別のものと言えば別のものですが、 考えようによっては同じものと解釈出来なくはないと思えます。 例えば -3、のマイナスはどちらかと言えば符号であろう。 しかし、こうとも考えられます。 -3=0-3 のことである。 加法・減法では‘0’は省略します。 こう考えると 符号と計算記号は同じものと いう事になります。
負数(マイナスの数)の足し算・引き算 黒札(プラス)どうしの足し算・引き算 筆者HPの中学生対象のページでの説明文です。 この事は この単元の一番大切な部分です。 教科書では この事を数直線で説明しているのが多いです。 ここでは トランプで説明します。 授業でトランプゲームをしなかった人のために 簡単に説明しておきます。 学級の中の班のメンバーでします。 メンバー全員に4枚ずつ配れる枚数のトランプを用意します。 ばば抜きの要領で札を順番に交換して、自分の得点が高くなった人がストップをかけます。 各人の持ち札の合計点で順位をつけます。 得点の計算方法は、黒カードをプラス点 赤カードをマイナス点として合計します。 黒札(プラス)どうしの足し算・引き算 ・カードの枚数を増やすことを 足し算とします。 ・黒札3のことを (+3) と表します。 (+3) + (+2)= 3+2=5 不要な( )を省略しますと、
・カードの枚数を減らすことを 引き算とします ・(+2)を取りさる。 残りは(+3) 。 合計で(+5) ・カードの枚数を減らすことを 引き算とします ・(+2)を取りさる。 残りは(+3) 。 (+5)-(+2)=5-2=3
② 黒札(プラス)と 赤札(マイナス) の足し算引き算 ② 黒札(プラス)と 赤札(マイナス) の足し算引き算 [ 足し算 ] ・赤札3のことを (-3)と表します。 (+7)+(-3) この合計は(+4)になります、 =7-3=4 (-3)を足すことは (+3)を引く結果と同じになります。
「マイナス3を足すこと」と「プラス3を引くこと」とは 同じことである。 以上のことを 次のように文章で表します。 「マイナス3を足すこと」と「プラス3を引くこと」とは 同じことである。 言い換えて 「マイナスの数を足すこと」と「プラスの数を引くこと」とは 同じ。(Aの言い方) 式で表しますと、 7+(-3)=7-(+3)=7-3=4 と書きます。
[ 引き算 ] 上の(Aの言い方) と (Bの言い方)をまとめますと、 「 数の符号を入れ替えると 足し算と引き算が入れ替わる 」と言います。 ③の 赤札どうしの引き算は省略します。
授業内容に合わせ その都度 配布演習させる プリントです。 ノートに貼らせます。 このようなプリントを No0~No7まで用意します。 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート 授業内容に合わせ その都度 配布演習させる プリントです。 ノートに貼らせます。 このようなプリントを No0~No7まで用意します。 授業に沿って 練習・演習させます。 筆者のホームページから ダウンロード出来ます。
厳密には、( )の中の+-は符号で ( )の左の+-は演算記号です。 正確には、同符号ではなく、 例えば 同記号などと言うべきでしょうか?
3ステップ法の 「 こつ、 要点」 1、正負各項を合計しますが、その項が1つだけの場合は ( )の中に 1つだけ書きます。 中学校 数と式分科会 レポート 3ステップ法の 「 こつ、 要点」 単純シンプルな方法ですが、生徒が変に解釈しそうな問題の練習をします。 1、正負各項を合計しますが、その項が1つだけの場合は ( )の中に 1つだけ書きます。 2、合計しようにも、正負片方の項が無い場合は ( )の中に 0(ゼロ)と書きます。 いろんな場合の具体例は配布プリントなり、 筆者のホームページに詳しく説明していますので 参考にして下さい。
この会場にはプリントは用意していません。 後述のホームページから ダウンロード出来ます。 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート この会場にはプリントは用意していません。 後述のホームページから ダウンロード出来ます。
反復練習 教科書によっては 左のように 正負の数を並べたものが掲載されている。 2項計算の練習が終わった後は、 中学校 数と式分科会 レポート 反復練習 教科書によっては 左のように 正負の数を並べたものが掲載されている。 2項計算の練習が終わった後は、 2数の足し算や 左から右の引き算の 練習を、座ったまま順々に暗算で 答えさす練習をします。 その後の授業でも 何回か繰り返します。 かけ算の暗算練習にも使えます。
計算に習熟する 2つの要素 1、負数を足したり引いたりすることの意味の基本説明。 2、基本説明の後 計算の操作・処理説明に進みます。 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート 計算に習熟する 2つの要素 1、負数を足したり引いたりすることの意味の基本説明。 例えば 5+(+2) 5+(-2) 5-(+2) 5-(-2) などの 2項での計算の意味を、 教科書流に数直線で、他に トランプで 現金借金での説明など重複して 充分に実感として 理解させます。 2、基本説明の後 計算の操作・処理説明に進みます。 操作・処理説明は 教科書のように、2項計算の説明の後に多項式に移る必要は ありません。 先の例題のように 4項の式で一般化して 2項の練習へ進んでも 何ら理論的数学的に問題は生じません。 つまり 本報告の方法は、基本説明 と 操作・処理説明を分離した方法です。 教科書流の説明は この2つが混在・繰り返す説明で、生徒の理解定着への 弊害になっていると考えられます。 そもそも 数学の良さのひとつは、数式の意味を理解した後 機械的な処理で 正しい結果にたどり着くことであります。
教科書の方法と本稿の方法の比較 教科書の方法 本稿の方法 教科書の方法は 型ごとの説明が煩雑、そもそも型分け認定に戸惑う。 中学校 数と式分科会 レポート 教科書の方法と本稿の方法の比較 教科書の方法 本稿の方法 負数の導入 負数の意味 数の大小 など 負数の導入 負数の意味 数の大小 算数での加減の復習 など 加減計算を2項式で型分け 負数を足す事 引く事の 一括説明 型ごとに意味と操作を説明 4項式にて一般型での 3ステップを説明 同じような例題を 6~8問繰り返す 基本の2項式も含めて 全ての加減を一般型の 個別例として説明 つまり、中学生には 分かりづらく 以後の計算にあまり役立たない。 3項以上加減混合算をまとめ 教科書の方法は 型ごとの説明が煩雑、そもそも型分け認定に戸惑う。
3(スリー)ステップ法 ① ( )をはずす ② 正負それぞれを合計 ③ 合計どうしを引き算 もう お気づきでしょう、 中学校 数と式分科会 レポート 中学校 数と式分科会 レポート 3(スリー)ステップ法 ① ( )をはずす ② 正負それぞれを合計 ③ 合計どうしを引き算 もう お気づきでしょう、 足し算引き算、項の数、各項の正負 正負の絶対値の大小など一切関係なく全ての式を 同一手順で処理できます。 そもそも、絶対値という用語なしで処理できます。 授業者の説明の手間が大巾に少なくなり、 その分 生徒も理解しやすいです。
完