力動フォーミュレーション.

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力動フォーミュレーション

読解は、間主観的である テキストは最終的に、患者と出会っている治療者 が、一貫性を持って物語化する。そのため、患者の 主観とは遠い場合がある。 基本的には困っている内容は、そのまま主観的に表 現されていないことのほうが多い。主訴は、あくま で意識的な表現。全体は無意識のなかにあるので、 テキストの矛盾、空白から謎を導く必要がある。 患者が分からないところを導くように謎を構成す る。 PDMが基本軸なので、その全体像を描くようにテキ スト分析をする。

臨床像は治療関係を反映している 臨床像は、その人の特徴を描くが、その特徴はセラピス トの好き嫌いが反映されやすい。つまり 転移と逆転移のなかで、臨床像と印象は決まるので、治 療関係を反映しやすい。問題は、どう見えるかが一貫し ていない場合で、それは矛盾であって、防衛や転移を予 測するのに役立つので、経緯や生育歴と対比させてみる と、転移の性質が発見されることがある。 現病歴や生育歴に特定の防衛が働いていると読み込むた めに臨床像を使う⇒どう見れるかに戻って考える。 測るのはその発生論、病像、臨床像(転移)である。

経緯は転移を予測するのに役立つ ⇒基本的にはマランの三角形を応用していく 経緯は、医療や治療者との関係を作ってきた歴史なの で、心理療法のなかで転移を予測するために使う。転 移は、これまでの病気で使われている防衛とパーソナ リティの反復が持ち込まれている長期的な側面との対 比で、治療者とどのような転移関係が生み出されやす いのかを考えるための素材になる。 経緯の矛盾や一貫性のなさは、最初から抵抗が描かれ ているので、転移は関係を作ることの困難として予測 される。その場合は、自助努力、援助、医療歴、現病 歴を参照して、病気になるまでの長い歴史を予測す る。 ⇒基本的にはマランの三角形を応用していく

主訴はその人の主観的な症状である 本人の動機が作られているような訴えになっている かどうかがまず動機付けとして重要だが、問題は現 病歴と連動しているかどうかで、本人が内省をして りうかどうかの基準になる。 自分の問題をしっかりと捉えるようになっているか どうかは、経緯と現病歴との連続性の中で判断す る。 そうでないなら、治療関係を作る前に、主訴を探す ことが、治療の構造化につながるという発想。 病歴のなかに、医療歴がかつてあるかどうかで、左 右される。

現病歴は病理から転移(反復強迫)を読む 反復強迫は転移の原理なので、病理を自我の側と 対象関係の側と対比させながら、つまり強迫とヒ ステリーとの両面から症状を組みたてて、パーソ ナリティを探索するように病歴を組み立てる。 ここで経緯に病理が組み込まれている場合にはわ かりやすいが、病歴と経緯と主訴が一貫性がある かどうかが重要になる。そして心理療法の経験 は、病歴のなかで経緯として読み込むかどうか が、主訴と共に反復として読めるかどうか考え る。しばしば生育歴に病歴が反転していることが ある。

 問題を文脈化する 対象関係 治療選択 経緯 現病歴 心理療法の選択 生育歴 症状

三点から三角測定する 経緯と主訴と現病歴  この三つが、一致して問題を順番に悪化している 場合は、この三角測定はわかりやすい。つまり、  現病歴のなかに病気の歴史があり、精神科にいた り、  経過のなかには心理療法に至る経緯が書いてあ り、現在の主訴をもっていることがわかるように なっているのが、標準形。だが、経緯のなかに病歴 が入っていたり、生育歴が病歴に入っている場合が あるので、それを主訴と対比させる。

精神病的な要素の発見 対象が精神病的な混乱を持っているかどうか は、これまでのエピソードの中でサイレント だが、奇妙な対象を持っているかどうかで考 えて、生育歴の中に早期の外傷や混乱、そし て家族歴にそうした要素があるかどうかを探 す。 テキストの一貫性があるかどうかが、精神病 的な要素の発見の手助けになる。 あるいは空白が多く、論理的なつながりがな い場合など。

家族像で対象関係をチェックして確認する 現病歴、主訴、経過で転移関係を三角測定して、現病 歴、生育歴、主訴で反復を三角測定して、主訴、生育 歴、経過で自我発達を三角測定して、臨床像、生育歴、 家族歴で対象関係を三角測定する。これで対象関係に矛 盾がなければ、基本的には現病歴を再構成して、経過に まとめて、主訴で動機を確認する。 結婚している、いないが重要な発達の要素だが、してい ないなら、父母像で説明できるところを探す。 その場合、説明できないなら、コンプレックスを探すの で、その点で家族歴はチェックの役割を果たすだろう。 ⇒そこで生育歴と養育者を探して、それを再構成する。

メタファーを探す 身体とこころ、こころと家族などのメタ ファーが発見できると、読解の手助けにな る。 根幹となるメタファーが発見できると、反復 が意味を持つようになる。 メタファーに転移の解読の力があるかどうか で、治療関係が決まるので、それをどこでも 連続性を獲得できるようにまとめて、考え る。

経緯と病歴と主訴が連続している 心理療法に来ることは、こころの発達、 成熟に向かう努力として読み直す。真実 は、心理療法に向かう、前進の物語形式 で語れる。 模索に失敗が含まれている部分は病理と して、模索に発達に関わる部分は生育歴 の発達として読めることが多い。

養育と発達を対比させてみる 生育するときの愛着対象と自律に向かう自我 とを対比させて、そのなかで病歴と生育歴を 読み直す。 誰が誰を育てて、誰が発達阻害的だったかが わかると、自立の努力がどこで行われて失敗 したのかがわかるようになっている。だがこ れがパーソナリティまでつながると、ほぼ読 み方が病理と連続させて理解できるので、あ とは仮説としてのパーソナリティを組み立て る。

三角測定と精神病理学 三角測定を使う。 精神病理学は基本的に神経症論が中心であり、謎で 防衛されている部分を探して、その穴を中心にし て、構成する。 できる限り、反復を読み込んで、治療関係に持ちか れている部分を発見して、それを基盤にして、精神 病理を構成してみる。 最終的にパーソナリティを仮定する。 そして精神病的な要素は最後に残して、その部分で 説明できないものを組み込む。

 精神分析の基本的スキーム

感情に触れるには防衛と不安信号に触れる 愛着に基盤を持つ中核の情動を環境が程良く抱えることで、情動を表現できるようになる。

 葛藤と自他の感情の三角形の関係

 自己と他者の感情的三角形