2017. 5. 11 有機バイオ材料化学 3. アルコールの反応.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1 先修科目 42 化学Ⅱ 高校で化学Ⅰ、Ⅱを履修した人が対象。 指定学科は医学部医学科。 定員 100 名を越えた場合は、指定学科 以外の学生は登録できない。 例外は 4 年次学生。 化学Ⅱは、月曜日の 2 限目、木曜日の 4 限目にも開講している。
Advertisements

π電子自由自在 -C≡C- ポリジアセチレン ナノワイヤー FET素子 結晶工学 ナノ複合体 結晶内反応 イナミン化合物 環状化合物
第5章 無機化学 5・1 単体の構造と物性 5・1・1 典型元素
元素の周期表 教科書 p 元素を 原子番号 順に並べる 性質の良く似た元素がある周期で現れる 元素の周期律 周期表
光化学 6章 6.1.2 Ver. 1.0 FUT 原 道寛.
6 SBO:活性酸素の名称,構造,性質を列挙できる.活性酸素の構造に基づく生体内反応を化学的に説明できる.活性酸素による障害を防ぐための生体防御因子について説明できる. 活性酸素に関する問題 テキストp.183~ 7.2.1,7.2.2, 7.2.3,7.2.4, p
化学反応式 化学反応:ある物質が別の物質に変化 反応物 → 生成物 例:酸素と水素が反応して水ができる 反応物:酸素と水素 生成物:水
嫌気性生物ろ床における排水からの窒素除去機構
土壌の酸性化: 「強度因子である土壌pHの低下、あるいは容量因子である酸中和量(Acid Neutralization Capacity)あるいは緩衝能の減少」として定義される.
山口大学大学院理工学研究科 物質工学系学域精密化学分野 山本豪紀
うめの躾はどのような時に使うの? オイルが汚れたら → オイル交換 油汚れには 質が良いオイルの補給 オーバーヒートの時は→ 冷却
アルドースの立体配置 C3 トリオース キラル中心1個 21= 2種類の光学異性体 D,L-グリセルアルデヒド
アルギン酸 アルギン酸とは‥ 化学構造 ・昆布、わかめに代表される褐藻類の細胞間物質の主成分
水の話 水分子の特徴 小さい分子なのに常温で液体 水(液体)から氷(固体)になると 体積が大きくなる。 電気陰性度が大きい原子は 分極
第6章 無機化学 6・1 単体の構造と物性 6・1・1 典型元素 [1族] どうしてHは分子性結晶で、Li、Na、・・・は金属結晶なの か?
有機化合物と無機化合物の特徴 無機化合物との見分け方: 加熱してみる。 有機化合物: 生物だけが作れるもの → 炭素原子を含んだ化合物
薬品分析学3.
活性化エネルギー.
HPLCにおける分離と特徴 ~逆相・順相について~ (主に逆相です)
1)解糖系はほとんどすべての生物に共通に存在する糖の代謝経路である。 2)反応は細胞質で行われる。
CIP則(Cahn-Ingold-Prelog)
好気呼吸 解糖系 クエン酸回路 水素伝達系.
アンモニア(アミン類) 配位結合:結合を形成する2つの原子の一方からのみ結合電子が分子軌道に提供される化学結合。
代謝経路の有機化学 細胞内で行われている反応→代謝 大きな分子を小さな分子に分解→異化作用 第一段階 消化→加水分解
緩衝作用.
塩を溶かした水溶液の液性.
塩化銅(Ⅱ)CuCl2水溶液の電気分解 (1)陰極で銅が析出 陰極:還元反応 Cu2+ + 2e- → Cu (2)陽極で塩素が発生 陽極:酸化反応 2Cl- → Cl2 + 2e-
サフラニンとメチレンブルーの 酸化還元反応を利用
光化学 6章 6.1.4 Ver. 1.0 FUT 原 道寛.
3)たんぱく質中に存在するアミノ酸のほとんどが(L-α-アミノ酸)である。
生体構成物質化学 早稲田大学理工学部化学科 担当 林 利彦.
コアB-1 個体の構成と機能(5)生体物質の代謝
3.いろいろな気体.
22・5 反応速度の温度依存性 ◎ たいていの反応 温度が上がると速度が増加 # 多くの溶液内反応
F)無節操的飛躍と基礎科学(20世紀~) 1.原子の成り立ち:レントゲン、ベックレル、キューリ(1911) 、ラザォード、モーズリー、ユーリー(重水素、 1934)、キューリ(1935)、チャドウィック(中性子1935)、ハーン、シーボーグ 2.量子力学 :プランク(1918), アインシュタイン(1921)、ボーア(1922)、ドブローイ(1929)、ハイゼンベルグ(1932)、ゾンマーフェルト、シュレーディンガー(1933)、ディラック(1933)、ハイトラー、ロンドン、パウリ(1945)、ボルン(1
平成18年度 構造有機化学 講義スライド テーマ:炭素陰イオン&二価炭素 奥野 恒久.
光化学 6章 6.1.5 FUT 原 道寛 名列__ 氏名_______.
生物機能工学基礎実験 2.ナイロン66の合成・糖の性質 から 木村 悟隆
モノカルボン酸の中和 【化学班】 大澤 祐介  多田 直弘  西村 有史.
基礎無機化学 期末試験の説明と重要点リスト
酸性・アルカリ性を示すものの正体を調べよう。
物理化学III F 原道寛.
●電極での化学変化 電子が移動するから 電子が移動するから 電流が流れる! 電流が流れる! 水素原子が 2個結びつく
酸化と還元.
緩衝液-buffer solution-.
有機バイオ材料化学 5. カルボニルの反応 5-1 アルデヒド・ケトンのその他の反応 5-2 カルボン酸やその誘導体の反応
有機バイオ材料化学 2. 様々なアルケンおよびアルキンの反応.
光化学 6章 6.1.4 FUT 原 道寛 名列__ 氏名_______.
支援課題名 フッ素化合物の合成(課題番号:S-13-NI-21)
有機バイオ材料化学 6. ニトリルの反応 7. まとめ~多段階合成~.
平成18年度 構造有機化学 講義スライド テーマ:芳香族性 奥野 恒久.
IR スペクトルとは 分子に波数 4000 – 400 cm-1 の赤外線をあて,その吸収の様子を調べる分析法
常に強酸・強塩基から弱酸・弱塩基ができる方向。( )内はpKa
平成18年度 構造有機化学 講義スライド テーマ:炭素陽イオン 奥野 恒久.
アリールケトンからアルキルベンゼンへの変換 p.1033 アルキルベンゼンからの変換 p.1035
Introduction to Organic Compounds
従来の感染症法では、感染症患者の治療及び感染症の予防を行うための法律内容であった。
P. 1 有機化合物を構成する元素とその振舞い 2019/2/23 基礎化学B.
カルビンーベンソン回路 CO23分子が回路を一回りすると 1分子のC3ができ、9分子のATPと 6分子の(NADH+H+)消費される.
中和反応 /16.
有機バイオ材料化学 5. カルボニルの反応 5-1 アルデヒド・ケトン.
環境表面科学講義 村松淳司 村松淳司.
実験21.カルボン酸とエステル 実験方法.
タンパク質.
化学1 第12回講義        玉置信之 反応速度、酸・塩基、酸化還元.
物質とエネルギーの変換 代謝 生物体を中心とした物質の変化      物質の合成、物質の分解 同化  複雑な物質を合成する反応 異化  物質を分解する反応 
好気呼吸 解糖系 クエン酸回路 電子伝達系.
中 和 反 応.
好気呼吸 解糖系 クエン酸回路 電子伝達系.
ジフルオロアルケンの分子内ラジカル環化による 含フッ素環状化合物の合成
Presentation transcript:

2017. 5. 11 有機バイオ材料化学 3. アルコールの反応

アルコールとは アルコール 炭化水素の水素原子をヒドロキシ基(OH)に置き換えた基質の総称 アルコールの種類と酸化 フェノール類とは区別する 1級アルコール 2級アルコール 3級アルコール フェノール類とは区別する 芳香族の水素原子を置換した基質 ホルミル基(アルデヒド) カルボニル基(ケトン) カルボキシル基(カルボン酸)

アルコールの求核置換反応 反応機構(SN2) n-PrOH + HCl → ✖ → n-PrCl+ H2O n-PrOH + HX → 加熱 → n-Pr-X+ H2O ( X: I or Br) 反応性:1級>2級>3級       I > Br > Cl Walden 反転 反応機構(SN1) i-PrOH + HX  → 加熱 → i-PrX+ H2O (X: I, Br) t-BuOH + HX →  t-BuX+ H2O (X: I, Br, Cl) 反応性:3級>2級>1級       I > Br > Cl

アルコールの求核置換反応 その2 1級OHではルイス酸(塩化亜鉛)による酸素の活性化が無ければ反応は進行しない アルコールの求核置換反応 その2 SN2 (Walden 反転) 1級OHではルイス酸(塩化亜鉛)による酸素の活性化が無ければ反応は進行しない 反応機構(SNi) i = intramolecular(分子内) n-PrOH + SOCl2 (or PCl3) → n-Pr-Cl + SO2 + HCl 協奏的付加・脱離 立体保持 ※ ピリジン(塩基)存在下では立体反転  ( SN2型)を起こす

アルコールの求核置換反応 その3 よく使われるブロモ化 SN2 (Walden 反転) 脱離能が高い よく使われるヨード化 アルコールの求核置換反応 その3 よく使われるブロモ化 SN2 (Walden 反転) 脱離能が高い よく使われるヨード化 脱離のしやすさ 立体保持 立体反転 SN2 (Walden 反転) 副生成物 (ピリジン塩酸塩)

アルコールの脱離反応 主生成物 副生成物 ザイツェフ則(安定な多置換アルケンを優先して与える)に従う

アルコールのエーテル化 Williamson エーテル合成 例1) 立体障害が小さい →エーテル結合優先 例2) 立体障害が大きい →脱離反応の優先

反応すれば悪臭(ジメチルスルフィド)が発生する*目安 アルコールのスワン酸化 スワン(Swern)酸化 ・ 1級OHをホルミル基(CHO)、2級OHをケトン(C=O)に酸化する ・ 3級は酸化できない ・ 低温(-78℃)、無水条件で行う 第1段階(試薬の調整) クロロスルホニウム塩 (酸化活性種) 第2段階(アルコールの酸化) 反応すれば悪臭(ジメチルスルフィド)が発生する*目安

アルコールの光延反転(反応) 光延反転(反応): アルコールの立体反転法 2級OHをアゾジカルボン酸エステル(DEAD 等)、トリフェニルホスフィン(PPh3)、カルボン酸を用いて立体反転を伴い、エステル誘導後、アルカリ加水分解により立体反転した2級OHを再生する 反応機構 SN2(立体反転)