2017. 5. 11 有機バイオ材料化学 3. アルコールの反応
アルコールとは アルコール 炭化水素の水素原子をヒドロキシ基(OH)に置き換えた基質の総称 アルコールの種類と酸化 フェノール類とは区別する 1級アルコール 2級アルコール 3級アルコール フェノール類とは区別する 芳香族の水素原子を置換した基質 ホルミル基(アルデヒド) カルボニル基(ケトン) カルボキシル基(カルボン酸)
アルコールの求核置換反応 反応機構(SN2) n-PrOH + HCl → ✖ → n-PrCl+ H2O n-PrOH + HX → 加熱 → n-Pr-X+ H2O ( X: I or Br) 反応性:1級>2級>3級 I > Br > Cl Walden 反転 反応機構(SN1) i-PrOH + HX → 加熱 → i-PrX+ H2O (X: I, Br) t-BuOH + HX → t-BuX+ H2O (X: I, Br, Cl) 反応性:3級>2級>1級 I > Br > Cl
アルコールの求核置換反応 その2 1級OHではルイス酸(塩化亜鉛)による酸素の活性化が無ければ反応は進行しない アルコールの求核置換反応 その2 SN2 (Walden 反転) 1級OHではルイス酸(塩化亜鉛)による酸素の活性化が無ければ反応は進行しない 反応機構(SNi) i = intramolecular(分子内) n-PrOH + SOCl2 (or PCl3) → n-Pr-Cl + SO2 + HCl 協奏的付加・脱離 立体保持 ※ ピリジン(塩基)存在下では立体反転 ( SN2型)を起こす
アルコールの求核置換反応 その3 よく使われるブロモ化 SN2 (Walden 反転) 脱離能が高い よく使われるヨード化 アルコールの求核置換反応 その3 よく使われるブロモ化 SN2 (Walden 反転) 脱離能が高い よく使われるヨード化 脱離のしやすさ 立体保持 立体反転 SN2 (Walden 反転) 副生成物 (ピリジン塩酸塩)
アルコールの脱離反応 主生成物 副生成物 ザイツェフ則(安定な多置換アルケンを優先して与える)に従う
アルコールのエーテル化 Williamson エーテル合成 例1) 立体障害が小さい →エーテル結合優先 例2) 立体障害が大きい →脱離反応の優先
反応すれば悪臭(ジメチルスルフィド)が発生する*目安 アルコールのスワン酸化 スワン(Swern)酸化 ・ 1級OHをホルミル基(CHO)、2級OHをケトン(C=O)に酸化する ・ 3級は酸化できない ・ 低温(-78℃)、無水条件で行う 第1段階(試薬の調整) クロロスルホニウム塩 (酸化活性種) 第2段階(アルコールの酸化) 反応すれば悪臭(ジメチルスルフィド)が発生する*目安
アルコールの光延反転(反応) 光延反転(反応): アルコールの立体反転法 2級OHをアゾジカルボン酸エステル(DEAD 等)、トリフェニルホスフィン(PPh3)、カルボン酸を用いて立体反転を伴い、エステル誘導後、アルカリ加水分解により立体反転した2級OHを再生する 反応機構 SN2(立体反転)