人の活動・交通行動分析における 空間解析研究の将来展望 東京大学 新領域創成科学研究科環境学専攻 大森 宣暁 CSIS Workshop on Research Agenda for Spatial Analysis 2003 年 2 月 22 日 於 機山館.

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人の活動・交通行動分析における 空間解析研究の将来展望 東京大学 新領域創成科学研究科環境学専攻 大森 宣暁 CSIS Workshop on Research Agenda for Spatial Analysis 2003 年 2 月 22 日 於 機山館

研究内容の紹介 「交通は活動の派生需要である」こと を強調し、生活活動の一環として交通 行動を理解する、 activity-based approach に基づいた活動・交通行動の調査・分 析・評価 – 生活活動を考慮した交通行動分析手法の開 発と適用 – 情報通信技術を用いた交通行動調査手法の 開発と適用

時空間プリズムと時空間パス 空間 活動スケジュール – 活動の時空間制約 制約条件 交通ネットワーク – 道路ネットワーク – 公共交通ネットワーク 活動機会 – 立地 – 営業時間 時間 活動機会 での最大 活動時間 時空間 パスの例

交通ネットワークと活動機会移動軌跡 活動スケジュール

時間 都市平面 都市空間における一日の交通行 動 時間 GIS による 交通ネットワー ク 活動機会 GPS 、 PHS によ る 行動軌跡 都市平面 ダイアリーによ る 活動パターン

Simulation Model for Activity Planning SMAP

最大活動実行可能時間別プリズム内の駅 SMAP for Education SMAP-E

SMAP for Leasure SMAP-L

活動スケジュールと情報通信を 考慮した時空間パス 活動① 活動② 活動③ 活動④ 通信 移動 空間 リアルスペースサイバースペース 時間 電話 電子メール ★ 活動 実施 開始 時刻 継続 時間 場所 活動① ×××× 活動② × ○○ × 活動③ × ○○○ 活動④ ○○○○ 活動分類別、活動の各要素の 選択の自由度

PHS データを用いた通信利用調査

PHS データを用いた情報利用調査

人の活動・交通分析における 空間解析 交通計画・政策の評価のために、人の 活動・交通パターンの実態と意思決定プロセ スの理解が必要 交通行動は時空間上での人の動きであ り空間解析は必須 詳細な都市空間データと人の活動・交通 行動データを適切に組み合わせて有効に 活用する手法の検討

都市交通計画・交通政策の立 案・評価に必要な空間データ 交通主体のデータ – 人・車の動き いつ、どこへ、何の目的で、どんな手段で、ど の経路で、誰と – 社会経済属性 都市空間データ – 交通ネットワーク – 活動機会(土地利用、施設)

交通調査内容・手法・分析の変 遷 交通調査内容分析手法 交通調査手法 SP 調査 SP 分析、動的分 析 応答型調査 断面交通量調査観測調査 パーソントリップ調査 集計モデル 電話 インタビュー調査 非集計モデル アクティビティ分析 アクティビティ ダイアリー調査 マイクロシミュレーション OD 調査 調査票記入 形式調査 インターネット 調査 追跡調査 行動軌 跡調査 ?

パーソントリップ調査

アクティビティ・ダイアリー調査

活動スケジューリングデータの収集 ~ CHASE ~

従来のトリップ調査の課題 トリップの記入漏れ – 非定常目的トリップ、短距離トリップ、徒歩・自転車トリッ プ、ノン・ホームベースト・トリップの抜け落ち 時刻の精度 –0 、 15 、 30 、 45 分にまるめて報告 出発・到着地の精度 – 住所、建物名の記入漏れ 調査費用 – 回答者の負担、調査・分析のコスト その他 – 経路、速度の把握は困難

ポジショニング技術により得られる データの特徴 詳細で高精度の移動軌跡データ – 出発・到着時刻、出発・到着地、経路、速度 調査負担軽減による縦断調査の可能性 – 日変動、週変動、季節変動 リアルタイムでのデータ取得 – 需要応答型都市交通システム きめ細かな交通政策評価に貢献

調査手法の違いによる 把握可能な行動データの違い Space TripTrip Chain A1A1 A2A2 A1A1 A1A1 A3A3 A1A1 Travel Diary A4A4 A6A6 A7A7 A4A4 A5A5 Activity Diary Time Tracking Data

今後の社会の変化と 交通計画・交通政策 ライフスタイル・価値観の変化 – 少子・高齢社会、女性の社会進出 –IT の普及、効率化、 24 時間化、自由時間の 増加 – 環境にやさしい交通行動 TDM 、 ITS – 時間軸の考慮が重要 – 情報に対する反応

詳細な空間データ 交通主体 – ゾーンからポイント –GPS 、 PHS などによる経路、速度データ – スケジューリングに関するデータ 交通ネットワーク – 歩行者、自転車、車椅子、視覚障害者など – 線から面へ 活動機会 – 建物の形状、出入り口 – 建物内部(各階の各部屋)

静的分析から動的分析へ 都市空間要素の時間変動 – 路上駐車・駐輪、工事、ごみなど リアルタイム・モニタリングと情報提供 – プローブ情報の活用 – 施設の混雑状況・画像 – 需要応答型都市交通システム 双方向通信とリスケジューリング – 自動車・歩行者ナビゲーション – 活動を含めたナビゲーション

2 次元から 3 次元へ 移動空間の評価 – 高層・大規模建築物内の縦方向の移動 – ネットワークにおける高低差の考慮 – バリアフリーの評価 – エネルギー消費 環境負荷量、環境曝露量の推計 – 大気汚染物質の拡散、騒音の伝播 – 曝露量、健康被害の推計

実空間+仮想空間 サイバースペースでの活動機会 – 移動を伴わない活動の増加 移動中の活動 – 移動の負効用の減少

その他 音・匂いに関する空間データベース