代表世話人 竹末芳生先生 兵庫医科大学 感染制御学 教授 世話人 織田成人先生 千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学 教授 北川雄光先生 慶應義塾大学医学部 外科学(一般・消化器外科) 教授 三鴨廣繁先生 愛知医科大学 感染制御学 教授 高倉俊二先生 京都大学医学部附属病院 検査部・感染制御部.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
米国の外来呼吸器感染症での抗菌薬投与状況 抗菌薬投与率 普通感冒 5 1% 急性上気道炎 52% 気管支炎 6 6% 年間抗菌薬総消費量 21% 【 Gonzales R et al : JAMA 278 : ,1997 】
Advertisements

Journal Club 東京ベイ浦安市川医療センター 後期研修医 吉野かえで BMJ 2014;348:g2197 Selective digestive or oropharyngeal decontamination and topical oropharyngeal chlorhexidine.
学童の呼気中一酸化窒素濃度測定に 影響を与える諸因子の検討 高見暁 (1) 、望月博之 (2) 、荒川浩一 (3) 、坂井貴胤 (1) (1) 新潟県厚生連新潟医療センター (2) 東海大学医学部専門診療系小児科学 (3) 群馬大学大学院医学系研究科小児科学分野.
扁桃腺炎・咽頭炎.
障害基礎年金・障害厚生年金の診断書作成の留意事項
深在性真菌症の病理 近畿大学医学部病理学教室 木村雅友.
つちだ小児科  土田晋也
エンテロウイルス EV-D 年11月17日.
輸血の適応/適正使用 血小板製剤 福井大学輸血部 浦崎芳正.
市中肺炎.
Yokohama City Save Hospital ☆Emergency and Critical Care Medicine☆
開会の挨拶 聖隷浜松病院 消化器内科 佐藤嘉彦 先生 閉会の挨拶 浜松南病院 消化器病・IBDセンター センター長 花井洋行 先生
第12回京都のがん薬物療法を熱く語る会 日 時 :平成27年10月1日(木) 19:00~ 会 場 :メルパルク京都 6階 会議室C
背景 著しい肥満者ではほかの因子が認められなくても、しばしば腎障害をきたすことが知られている。これまで、肥満と腎機能障害の発症との関連性については、きわめて限られたデータしかなく、関連性が示唆されているにもかかわらず信頼度の高い裏づけデータが乏しかった。
マイコプラズマ感染による豚の 慢性呼吸器疾病
胸部の画像診断のポイント 単純撮影が基本、CTは確定要素 画像が典型的な問題 画像は非特異的で臨床経過が重要な問題
トラネキサム酸の効果 出血を伴う外傷患者の死亡リスクを低下 科学的根拠をここに示します.
I gA腎症と診断された患者さんおよびご家族の皆様へ
1~3ヶ月齢子馬の難治性化膿性肺炎潰瘍性腸炎および付属リンパ節炎
Journal Club 前向きコホート b-Glucan Antigenemia Anticipates Diagnosis of
ICU退室後のPTSDと家族の精神状況 おもしろいとおもいます。 しかし、統計学的手法が難しい研究ですね。
聖マリアンナ医科大学救命救急医学教室 今西 博治
地域医療学の研究者養成 自 治 医 科 大 学 学長 高久 史麿.
透析患者に対する 大動脈弁置換術後遠隔期の出血性合併症
Surviving Sepsis Campaign: International Guidelines for Management of Severe Sepsis and Septic Shock, 2012 岩村あさみ.
SSCG2012.
大腸ステント Palliative therapy についてのアンケート報告
Targeted Temperature Management at 33℃ versus 36℃ after Cardiac Arrest
トピック9 感染の予防と管理 1 1.
SSCG 2012.
7大学連携先端的がん教育基盤創造プラン主催
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 後記研修医 三上翔平
第2回栄養セミナー 川崎医科大学 糖尿病内分泌内科 衛藤 雅昭 生活習慣病(肥満,糖尿病,高脂血症)の 食事療法
第23回千葉癌化学療法研究会 『がん化学療法と緩和ケアのウソ・ホント』 日 時
顔の湿疹様病変 を  治すに あたって 鳴海クリニック院長 鳴 海 淳 郎.
Intensive Care Med (2014) 40:320–331
Hironori Kitaoka.
ジカウイルス更新情報  2016年04月27日.
「小児急性中耳炎診療指針」 利用上の注意点
生理食塩水(生食)で十分に血液をフラッシュ**後、カテーテルプラグを交換
埼玉医科大学腎臓内科/総合診療内科 岡田浩一
ベーチェット病と診断された患者さまへ 当院では治験に参加して いただける方を募集しております
疫学概論 患者対照研究 Lesson 13. 患者対照研究 §A. 患者対照研究 S.Harano,MD,PhD,MPH.
Outcomes Among Patients Discharged From Busy Intensive Care Units
喫煙者は非喫煙者の2.42倍インフルエンザに罹患する 症状が重くなる確率は、非喫煙者30%、ヘビースモーカー54%
VAP(人工呼吸器関連肺炎) の予防 JSEPTIC_Nursing.
チュートリアルシリーズ 検索事例編② 静脈血栓塞栓症(VTE) 予防 ガイドラインの参照について
疫学概論 患者対照研究 Lesson 13. 患者対照研究 §A. 患者対照研究 S.Harano,MD,PhD,MPH.
表1.百日咳診断(届出)基準の改訂案 (1)1歳未満
平成28年度 全国がんプロ教育合同フォーラム 教育研究成果発表 全国がんプロ協議会会長 大阪大学 松浦 成昭
Evidence-based Practice とは何か
「特定行為に係る看護師の研修制度」における特定行為(案)
東京ベイ浦安市川医療センター 菅原 誠太郎.
申請資料概要 -新医薬品の承認申請書に添付すべき資料-
Usefulness of β-Glucan Assay
副鼻腔炎.
福島県立医科大学 医学部4年 実習●班 〇〇、〇〇、〇〇、〇〇、〇〇、〇〇
Interventions to Improve the Physical Function of ICU Survivors            (CHEST 2013;144(5): ) 聖マリアンナ医科大学 救急医学 田北 無門.
血栓性血小板減少性紫斑病 TTP 溶血性尿毒素症候群 HUS
肺炎診断の最新知見と ガイドラインに基づく治療戦略 ~カルバペネム系抗菌薬を中心に~
経過のまとめ 家族歴、基礎疾患のない14歳女性 筋力低下、嚥下障害を主訴としてDM発症 DMは、皮膚症状と筋生検にて確定診断
12 REPORT ON IMPLEMENTATION OF THE AGENCY’S FOODBORNE DISEASE STRATEGY. MHPF PAPER 02/02/ 患者数(万人) ,148 51,166 1, ,
異所性妊娠卵管破裂に対する緊急手術中の輸血により輸血関連急性肺障害(TRALI)を発症した1例
患者さんへの説明補助イラスト -脳せきずい液中のオステオポンチン に関する疾患比較研究- 版
肺の構造. 肺の構造 肺の間質とは? IPF(特発性肺線維症)とは? IPF患者さんの肺の画像(胸部X線)
合成抗菌薬 (サルファ剤、ピリドンカルボン酸系)
第3回和歌山抗菌薬適正使用研究会 日時 2008年11月22日(土) 14:00~17:00 会場 ホテルアバローム紀の国 3F 孔雀の間
1. 糖尿病による網膜の病気 =糖尿病網膜症 2. 自覚症状が現れないまま 進行します 3. 糖尿病網膜症の 予防法・治療法 4.
疫学概論 §C. スクリーニングのバイアスと 要件
三重大学医学部附属病院 総合診療部 竹村 洋典
Presentation transcript:

代表世話人 竹末芳生先生 兵庫医科大学 感染制御学 教授 世話人 織田成人先生 千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学 教授 北川雄光先生 慶應義塾大学医学部 外科学(一般・消化器外科) 教授 三鴨廣繁先生 愛知医科大学 感染制御学 教授 高倉俊二先生 京都大学医学部附属病院 検査部・感染制御部 助教 ACTION s Project メンバー

ACTIONs Project Appropriate candidal treatment, implementation of non-neutropenic strategies  Purpose Avoid inappropriate or excessive use of antifungals Improve Candida infection outcome  Contents Antifungals Blood stream infection Colonization & β-D-glucan

侵襲性カンジダ症 の本体は? Antifungals Blood stream infection Colonization & β-D-glucan

De Paw B, et al. Clin Infect Dis 2005; 41: S377–80 カンジダにおける培養結果の評価  侵襲性カンジダ症の確定診断(=治療) 血液、尿(新生児、カテーテルなし)、 腹腔内膿 瘍  培養陽性だけでは治療対象とならない ( colonization ) 喀痰、穿孔性腹膜炎術中採取液、尿(カテーテルあ り)、便など

 腸管からの Translocation による内因性感染 明らかな感染の Focus はないが、 β-D-glucan は高 値など  中心静脈カテーテルなどへの外因性感染 ( C. parapsilosis など) 日常、非好中球減少患者において遭遇する カンジダ感染

Pathogen BSI/10,000 admissions % BSI% Mortality 1.CNS S. aureus Enterococcus Candida E. coli Wisplinghoff H, et al. Clin Infect Dis. 2004;39: Nosocomial Bloodstream Infections , ICU (n=10,515)

真菌性眼内炎  報告され始めて約 20 年経過  当時は硝子体切除や視力を失う症例も 稀でなかった。  その後早期治療により進行した眼内炎は減 少  診断の遅れによる視覚障害などの後遺症は 許されない時代になった!

Donahue 1994 Krishna 2000 Feman 2002 Rodriguez-Adrian 2003 眼病変 34/118 (29%) 8/31 (26%) 14/82 (17%) 27/180 (15%) 硝子体浸潤 脈絡網膜炎 非特異的病変 0 9% 20% 0 26% - (2%) * 2% 15% 1% 3% 11% * 脈絡網膜炎から進行 Rodriguez-Adrian LJ,et al. Medicine 2003;82: 真菌性眼内炎

侵襲性カンジダ症 の治療開始基準は? Antifungals Blood stream infection Colonization & β-D-glucan

 抗菌薬(数、期間)  ステロイド  年齢  化学療法  悪性腫瘍  過去の colonization  H 2 ブロッカー  中心静脈カテーテル Pfaller MA: Clin Microbiol Rev. 2007;20:  TPN  手術(消化器)  人工呼吸器装着  腎不全/透析  低栄養  長期 ICU 在室  重症度  カンジダ colonization (複数ヶ所) 非好中球減少患者における カンジダ血症リスク因子

抗真菌薬治療の定義  Proven infection, Probable infection = Targeted therapy  Suspected infection = Empiric therapy  At risk for infection Risk factors= Prophylaxis therapy Risk factors + Colonization = Pre-emptive therapy Lipsett PA: 真菌症フォーラム講演 2007 、神戸

Piarroux R: Crit Care Med 2004;32: *; 100 CFU (直腸、口咽頭ぬぐい液)、 10 5 CFU/ml ( 胃、気管吸引、尿)  Corrected colonization index (濃厚 colonization * 数/培養検体数) >0.4, カンジダ症発症予測因子 Pittet D: Ann Surg 1994  CCI>0.4: pre-emptive therapy  Candidiasis: 2-yr study 3.8% vs. 2-yr historical control 7%, p=.03 Preemptive therapy

Leon C: Crit Care Med 2006; 34:  対象;カンジダ colonization 患者  Candida score = 1× (複数ヶ所 colonization ) + 1× (手術)+ 2× ( severe sepsis )+ 1× ( TPN )  Cut off 値 2.5: 感度 81% 、特異度 74% Preemptive therapy; Bedside scoring

 Should be limited to patients with  ① Candida colonization (multiple sites)  ② Multiple other risk factors  ③ Absence of any other causes of fever Rex JH, et al.: Practice guidelines for the treatment of candidiasis (IDSA). Clin Infect Dis 2000;30: 非好中球減少発熱患者における Empiric 治療( IDSA ガイドライン 2004 )

Empiric 治療開始基準  米国:監視培養によるカンジダの colonization の 程度を重視  日本:血清診断

Takesue Y: World J Surg 2004; 28:  対象:術後、 Candida colonization 、 > 7 日抗生剤不応性発熱 → FLCZ 治療  β-D glucan 、スクリーニング≧ 3 ヶ所  治療有効例(結果的にカンジダ感染だったと推察)  Candida colonization 部位数 1 site 11.5%, 2 sites 33.3%, ≧ 3 sites 45%  血清 β-D-glucan Negative 9.4% Positive 46.9% Empiric 治療開始の指標 ; β-D glucan & Colonization

深在性真菌症診断治療ガイドライン 2007 カンジダ: Empiric 治療の開始基準 > 7 日抗菌薬不応性発熱+リスク因子  β-D-glucan (+) (カンジテックは使わない!)  監視培養(尿、喀痰、便、胃液、ドレーンなど ); カンジダ Colonization 複数ヶ所

Wood GC: Intensive Care Med 2006; 32: 599  経気道感染は口咽頭カンジダの嚥下によるが、極めて稀  肺病変は、血行性の播種が多い  気管支肺胞洗浄液( BAL )から検出: 92 %はコンタミ で治療の必要なし  喀痰からカンジダ検出 ; 肺炎ではなく、監視培養の1ヶ 所として扱う もう1ヶ所カンジダ colonization を証明 or β-D-glucan 陽性 なら治療開始 肺カンジダ症?

適切な抗真菌薬の選択は? Antifungals Blood stream infection Colonization & β-D-glucan

Pfaller MA, et al: J Clin Microbiol 2002; 40: % Other 2% C. krusei 15% C. parapsilosis 54% C. albicans 16% C. glabrata 10% C. tropicalis SENTRY n=2,047 FLCZ; 用量依存性 感受性~ 耐性 FLCZ 耐性 カテーテル感染に高率 FLCZ; 感受性 FLCZ; 感受性 カンジダの菌種とフルコナゾール感受性

, 2,656 strains from 60 centers MIC 50 ( μg/mL ) MIC 90 ( μg/mL ) C. albicans C. glabrata0.015 C. tropicalis C. krusei C. parapsilosis12 Pfaller MA: J Clin Microbiol 2006; 44: ミカファンギンに対するカンジダの感受性

真菌症疑い例 臨床診断例 確定診断例 経験的治療 FLCZ 点滴( A- Ⅲ) mg/ 日( loading 2 日間) MCFG 点滴( A- Ⅲ) 100mg/ 日 FLCZ 点滴( A- Ⅲ) mg/ 日( loading 2 日間) MCFG 点滴( A- Ⅲ) 100mg/ 日 標的治療 ■ カンジダ属: FLCZ 点滴( A- Ⅰ) 400mg/ 日( loading2 日間) MCFG ( A- Ⅰ): mg/ 日 ■C. glabrata 、 C. krusei : MCFG ( B- Ⅲ)、 VRCZ ( B- Ⅲ) ■ C. p arapsilosis : FLCZ ■ 難治、血圧低下: VRCZ 点滴静注、 L-AMB 点滴静注、 ITCZ 点滴静注 ■ カンジダ属: FLCZ 点滴( A- Ⅰ) 400mg/ 日( loading2 日間) MCFG ( A- Ⅰ): mg/ 日 ■C. glabrata 、 C. krusei : MCFG ( B- Ⅲ)、 VRCZ ( B- Ⅲ) ■ C. p arapsilosis : FLCZ ■ 難治、血圧低下: VRCZ 点滴静注、 L-AMB 点滴静注、 ITCZ 点滴静注 β-D- グルカン陽性 ( A- Ⅲ) or カンジダ colonization 複数箇所 ( A- Ⅲ) β-D- グルカン陽性 ( A- Ⅲ) or カンジダ colonization 複数箇所 ( A- Ⅲ) 真菌性眼内炎、 中心静脈カテーテル培養陽性で 抜去後も 72 時間発熱継続、 新生児におけるカンジダ尿 真菌性眼内炎、 中心静脈カテーテル培養陽性で 抜去後も 72 時間発熱継続、 新生児におけるカンジダ尿 血培陽性又は膿瘍穿刺液、生検 組織から Candida 属が証明 深在性真菌症の診断・治療ガイドライン 2007 カンジダ診断・治療フローチャート

ACTIONs Project  Antifungals  Blood stream infection  Colonization &β-D-glucan 病態 治療開始基 準 治療