教育訓練と能力開発 2014 年 12 月 16 日 人事労務管理論 B (第 11 回) LT1011 教室 LT1012 教室.

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定年制とは 1.定年制 ①定義: 従業員が一定年齢に到達した時に自動的かつ無差別的に雇用関係を終了させる仕組みのことである。
4.定年制 *戦後⇒50歳や55歳が一般的。 定年制・・・従業員が一定年齢に到達した時に自動的かつ 「終身雇用」の用語が当てはまる。
非正規雇用労働者の処遇改善のための支援を拡充
非正規雇用労働者の処遇改善のための支援を拡充 より利用しやすいように支給要件を緩和(平成28年8月5日~)
総合大学校の指導員研修について 平成16年11月16日(火) 雇用・能力開発機構 職業能力開発総合大学校 研修課.
2014年6月男女平等月間 学習会資料 連合総合男女平等局
社会保険ワンポイント情報 15号 パートタイマーへの社会保険適用拡大 社会保険加入対象者の新しい要件 適用拡大の対象となる事業所は?
定年制 企業 従業員 定年までの雇用機会の提供を 企業に期待できる 定年で雇用関係を終了できる 職業生活の設計ができる 【定年制】
経営参画意識を育てる学校運営 ~校内組織と組織マネジメントの工夫~
社会保険ワンポイント情報 16号 キャリアアップ助成金 <助成金のコース(6コース)> 助成金の活用
短時間労働者の就業促進のための支援を拡充 ② 短時間労働者の労働時間延長(処遇改善コース) ② 短時間労働者の労働時間延長(処遇改善コース)
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク
若者の早期離職を防ぐために c 日野美里.
日本的経営企業と外資系企業 日本的経営の特徴と将来
キャリアアップ助成金(人材育成コース)の活用事例
人事労務管理論A 人事労務管理論A LT1022教室 第3回目講義
・メンタルヘルス対策・現状調査 ・モチベーションマネジメント支援 ・企業理念検証・策定支援 人事システム システム活用
    1.採用管理   ○採用計画    短期→欠員が発生してから立案(欠員補充型採用)    中長期→中長期の事業計画に基づく将来の必要要員数の予想
14人事労務管理論B 「働き方」と「働かせ方」の今とこれから LT1011教室 LT1012教室
2.非正規従業員の活用 非正規従業員の雇用量と構成 非正規雇用・・・雇用期間に定めのある(有期契約)労働者
AO選考とともにポートフォリオ型一般入試へ進化 ~脱個別学力試験/学力検査の工夫策~
能力を高める意義と方法 D班 島田・西田・安部・日高・高島
人事労務管理論A 人事労務管理論A(第7回目) LT1011教室 LT1012教室
残業代ゼロ法案(ホワイトカラー・イグゼンプション)の阻止と労働時間規制強化を求める取り組み
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14人事労務管理論B 人事労務管理論B (第2回) LT1011教室 LT1012教室
14人事労務管理論B 人事労務管理論B (第12回) LT1011教室 LT1012教室
3.労働時間の弾力化と課題 ◇新しい労働時間制度の導入◇ ◇弾力的な労働時間制度とは◇ 1987年、93年、98年
第 1 章 企業経営と人事労務管理 C班 大木・藤野・山口・今西・鈴木・出山.
人事労務管理論A 人事労務管理論A(第7回目) LT1022教室
労働法 労務管理の発展史(1) ---テイラー・システム 2016年5月31日
現代の人事労務管理 --人的資源管理-- 2014年7月15日
2007年度後期 労働法政策 第7講 労働時間制度 ホワイト・エグゼンプション.
非正規雇用労働者の処遇改善のための支援を拡充 より利用しやすいように支給要件を緩和(平成28年8月5日~)
学科組織・学科教育カリキュラム・ 化学実験教育・入学前教育、等
フランスの年金調整会議 年金調整会議は、2000年に創設された。常設の団体であり、メンバーは国会議員、経営者・労働組合の代表、専門家、国の代表である。その主たる目的は、フランスの年金制度を監視すること、年金に関連する公的政策への勧告をすることであり、専門的知識と全ての参加者による協議に基づいている。
これからの司書養成カリキュラム 帝塚山大学  柴田正美.
非正規雇用労働者の処遇改善のための支援を拡充 より利用しやすいように支給要件を緩和(平成28年8月5日~)
3.派遣労働者の活用 ・派遣システム 派遣先 派遣元 派遣業 派遣労働者
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「働き方」と「働かせ方」の理論と歴史 火曜4限(14:40~16:10) LT1022教室
2018/11/9 第7章  非正規従業員と派遣労働者 E班 岩橋・片山・高倉・水上・森下.
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制度経済学Ⅰ⑦ DVD質問 Q1 多重派遣とは? Q2 なぜ違法派遣が増えている? Q3 社会保険に未加入の派遣は違法か?
新しい賃金制度 --- アメリカと日本 2014年11月25日
~労働サービスの供給量とタイミングの管理~ B班・木村・田中・西山・小川・大平
日本は外国人労働者を 受け入れるべきか 前提共有.
労働時間相談・支援コーナー を設置しました。 「働き方改革」 への取り組みを支えるため 宮城労働局・労働基準監督署
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旅館業における人材育成上の課題に対応した支援策
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 C班 関本・河辺・根岸・田中・藤野 第2章 雇用管理 ~従業員の採用から退職まで~.
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5章 労働時間管理 B班 大下内・平野・兵藤・すまだ・渡辺.
人事制度の変遷 (1)電産型賃金 (2)学歴別年次別管理 ①身分制を採用せず、全員が一つの制度に統合された ②月単位で計算された
人事制度の変遷 電産型賃金 ①身分制ではなく全員が1つの制度のもとに統合された →電力産業への導入 ②月当たりの生産にした
労働と教育・発達 教育は労働とどう関わるか.
ワークライフバランス ~働く女性がキャリアアップのしやすい社会を目指す~
職能資格制度 1970年代以降普及 ⇒ 職務遂行能を力によって従業員を職能資格に分類し、職能資格を基準に 〈利点〉 〈問題点〉
働き方改革をめぐる動きについて 3月28日 「働き方改革実行計画」策定 6月5日 労働政策審議会建議
第5章 昇進管理 D班 今西・日高・石井・川辺・天野・大谷.
第1章 企業経営と人事労務管理 人事労務管理の機能と担い手
7章 能力開発 1、能力とは何か ~仕事に必要とされる能力~ ▼能力開発の必要性
第8回北海道産業人材育成企業知事表彰募集 1 目的
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教育訓練と能力開発 2014 年 12 月 16 日 人事労務管理論 B (第 11 回) LT1011 教室 LT1012 教室

先週の復習 労働時間関連法の規制緩和の経過 年 月 内 容 1985 年 6 月労働者派遣法の成立 1987 年 9 月労基法改正(変形労働時間制拡大、フレックスタイム制、専門 業務型裁量労働制) 1993 年 6 月労基法改正( 1 年単位の変形労働時間制、週 40 時間労働制) 1996 年 6 月労働者派遣法改正(対象業務 16 から 26 業務に拡大) 1997 年 6 月労基法改正(女子保護規定の撤廃、専門裁量制の対象業務拡 大) 1998 年 9 月労基法改正(企画業務型裁量制、 1 年単位の変形労働時間制要件 緩和、有期雇用期間の上限を 3 年へ) 1999 年 6 月労働者派遣法改正(原則自由化ネガティブリスト方式へ) 2003 年 6 月労基法改正(企画業務型裁量制の要件緩和) 派遣法改正(製造業派遣解禁、 3 年ルールへ) 2006 年 12 月労働政策審議会、ホワイトカラー・エグゼンプション制度導入 を答申 2

労働時間制度の規制緩和 効率性の追求 仕事にあわせて働く → 時間ではなく、仕 事で管理! 労働時間規制制度の緩和 時間規制のない層の拡大 → 労基法 41 条の利 用 名 ばかり管理職・店長 仕事にあわせた働かせ方 → フレックスタイ ム制 変 形労働時間制 み なし労働時間制 3

労働時間の柔軟化(規制緩和) フレックスタイム制 コアタイム、総労働時間内の勤務時の自由化 変形労働時間制 合法的残業手当不払い策 1週単位: 1ヶ月単位:変形労働時間制の最も平均的な形 1年単位 みなし労働時間 実際の労働時間にかかわりなく決められた時間働いたと みなす制度 ・事業場外労働:事業場外で労働している場合で労働 時間 が算定しがたい ・裁量労働 : 4

裁量労働制 裁量労働制 みなし労働時間制の一種 種類 専門業務型:業務の性質から労働者の裁量に委 ね る必要があると思われる19 業種 企画業務型 : 事業場の事業の運営に関する業務 企画、立案、調査及び分析の 業務 研究者、デザイナー、プログラマー、新聞記者、ディ レクター、弁護士、大学教員、中小企業診断士、公認 会計士 適用に当たっては本人の書面などの同意が必要! 5

さらなる規制緩和 アベノミクスの第 3 の矢 ( 成長戦 略 ) 「日本再興戦略」 (2014 ) 時間ではなく成果で評価することができるよう な新たな労働時間制度の創設! その条件として 「例えば少なくとも年収 1000 万円以上」という けど その新たな労働時間制とは 労働時間の長さと賃金のリンクを切り離す =ホワイトカラー・エグゼンプショ ン制度! 6 労働政策審議会で結論を出し、次期国会で成立をめざすとしていたが・・・

ホワイトカラー・エグゼンプショ ン制度とは何か 2005 年 6 月、経団連「 WCE 制度に関する提 言」 ・みなし労働時間制度は時間規制を外してない ・ WC の仕事は時間管理になじまない 労働時間規制の撤廃 エグゼンプション exemption とは 残業手当を払う義務を免除するという意味 仕事を完遂することだけを義務づけ ・ 時間管理から外す ・ つまり残業手当は支給しない 7

WCE批判(1) 導入の根拠がない:意図は長時間労働隠し、も しくは労働者への責任転嫁 仕事の質と量を不問のままでは、長時間労働誘 発システム 現行でもエグゼンプション制度がある(労基法 41 条 2 号の管理監督者) → 適用労働者の割合 12 %! 全国の管理職の57%が「自分は名ばかり管理職」と 回答 アメリカと日本の法体系、労働市場、労働慣行 の相違を無視している: 日本は 1 日の労働時間の適用除外 アメリカは割増賃金支給義務の適 用除外 8

WCE批判(2) 賃金管理と時間管理の意図的な結合 「賃金がどう決まるか」という問題と「一日何 時間働くか」とを同一レベルで論じてはならな い 賃金水準と労働時間は労働条件の重要課題 労働CSRという視点 CSRとは、企業の行動について、社会がそれ を評価し、責任を果たすように監視すること 国連のグローバルコン パクト OECD多国籍企業行 動指針 人間らしい働かせ方させる責任:労働CSR 9

人と仕事の結びつき 人 仕事 10

職業教育と教育訓練 (アメリカの場 合) 仕事ができる人を採用 学校での職業教育が重視される: 義務教育最後の高校での職業教育 大学生の場合も同様 → 職業能力向上は自己責任で 大学進学、大学院進学 企業内教育は重視されなかった → → 11

一つの事例:ある高校の場合 (1) 歴然な収入格差 学歴社会 社会を意識した 学校教育 12

設置科目:ある高校の場合 (2) 8分野 経営とコンピュータ関連、生命科学関連、英語、 技術、外国語、数学、社会、科学 学習は教室の中だけではない 実用性を重んじるためか実習や体験学習が多い Work Experience, Professional Internship Community Services, Marketing & Management (School Store) 学力別のクラス Advanced Placement 13

大学は? 各大学の独自の入学試験はない GPA の点数と ACT/SAT という試験結果で決まる 地元の大学には行かない 学年制というよりは学期制 (semester) 一定の成績を取っていないと退学 学期のはじめに勧告 単位取得だけでなく GPA の点数も卒業要件 入学は資格 ( 学士 bachelor) 取得のため 日本は入学することが目的(?) 14

職業教育と教育訓練 (日本の場合) 採用したあと仕事ができるように訓練す る 新入社員教育、企業内教育の重視 長期間にわたる教育: → 企業特殊的能力 その企業でしか通用しない能力: 学校教育の意味 普通高校の偏重、職業高校の軽視 教育と職業が結びついてない: 15

職務遂行能力と賃金の関係 賃金カーブ 働き(成果)カーブ + - + 40歳 ?歳 16

人事制度と能力開発 職能資格制度 賃金、昇格・昇進だけでなく、能力開発へのモ チベーションも組み込まれた管理システム → Career Development Program : CDP ・ 従業員の処遇(配置、異動、昇進、退職)を 長期的・計画的に管理していく制度 ・育成面接、自己申告制、自己評価 17

教育訓練・能力開発の新傾向 個性重視と自己責任:選択型研修、自己 啓発 一律型(企業丸抱え型)から多面的・個性重視 型 (自己責任型)へ → エンプロイヤビリティ: 職業能力育成と開発は社会的課題 未整備なままの状況下では企業の雇用責任の放 棄 コンピテンシー:即戦力重視 → 18

Employability エンプロイヤビリ ティ A CB A BC 企業による支援・仕事を 通して身につけた能力 自助努力で 身につけた能力 企業による支援・仕事を 通して身につけた能力 自助努力で 身につけた能力 19

課題 職業能力開発の社会的システム ・学校教育の課題 ・地域の課題 企業の課題 ・雇用責任 ・人材育成は人事労務管理の課題 ・安易な成果主義の放棄 20