ミクロ経済学 (7) 企業と資金調達 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2015 年 6 月 29 日
2015/6/29 ミクロ経済学 7 2 企業とは何か 企業は利益を目的とする組織 株式会社がもっとも重要 会社を運営するには資金が必要 株主は会社に出資する 株主は出資金まで責任を持つ ( 有限責任 ) 株主は会社の株の所有者 株主は会社経営を取締役会に委任する ( 所有と 経営の分離 )
2015/6/29 ミクロ経済学 7 3 会社の規模 企業の大半は中小企業 (99%) 従業員数の大半も中小企業に勤めている (69%) しかし,大企業の前身は中小企業 ユニクロ,ソフトバンク,ニトリ 柳井正,孫正義.彼らは日本一の金持ち イノベーションを起こす企業は中小企業に多い 大企業も研究者を雇い研究開発投資 R&D 世界最古の企業である金剛組 ( 寺社建築 )
2015/6/29 ミクロ経済学 7 4 資金調達 企業が必要な資金を外部から集める 借り手から貸し手に資金を移す仕組みを金融シ ステム 間接金融~銀行預金 直接金融~株式市場,有価証券の売買 債券~何時までにいくら返済,元本,満期 株式~会社の所有権,配当,キャピタルゲイン 資金の借り貸しと利子率
貯蓄 ある期間の貯蓄とは現在の所得のうち消費されな かった残りの金額 ゆうちょ銀行や普通の銀行の口座 預けたお金は元々のお金,元本 ( がんぽん ) という 元本に対して銀行は利子あるいは利息を支払う 最初に預けたお金は保障されるので元本と利子の 合計 ( 元利合計 ) は増える 万円預けて利子が 100 円 →1,000, 万円預けて利子が 2 万円 →1,020,000 有利さをどう測る?元本一円当たりの利子で測る ミクロ経済学 /6/295
利子率 貯蓄の有利さは利子率 ( % ) で測る 利子 利子率= × 100 元本 /1,000,000 × 100=0.01 (%) 2. 20,000/1,000,000 × 100=2 (%) 預金者は利子率 ( 金利 ) が高い方が有利 金利は変動する 現在 (2015 年 ) は低金利で 0.03% 1990 年頃は 7% だった ミクロ経済学 /6/296
複利 複利~前の期の元利合計に利子が付く 例: 1 万を年利 3 %の複利で預けた 1 年目:元本 10,000 利子 10,000×0.03=300 元利合計 10, =10,300 2 年目:元本 10,000 利子 10,300×0.03=309 元利合計 10, =10,609 複利は利子が利子を生みだすお得な預金法 ミクロ経済学 /6/297
単利 単利~最初に預けた元本に毎期利子が付く 例:単利で年利 3% で 1 万円を預けた 1 年目:元本 10,000 利子 10,000×0.03=300 元利合計 10, =10,300 2 年目:元本 10,000 利子 10,000×0.03=300 元利合計 10, =10,600 ミクロ経済学 7 一年目は 複利と同じ 2015/6/298 複利の 10,609 より 低い
複利 /2 利子率を英語で interest rate という 利子率を r と略す 元本 10,000 利子 10,000×0.03=300 元利合計 10, =10,300 元利合計を r で表現してみよう 10,300=10, =10,000+10,000×0.03 =10,000 × (1+0.03)= 10,000 × (1+r) 便利な公式 元利合計=元本 × (1+r) ミクロ経済学 /6/299
今年の所得 100 万円で利子率 r 今年の所得 100 万円 しかし,来年の所得 0 円 利子率 r で貯蓄する. r は小数点表示 3% ならば r=0.03. パーセント表示は r × 100 % 今年所得をすべて貯蓄すれば来年は 100 × (1+r)万円 の所得を得る ミクロ経済学 /6/2910
貯金と借入 真央が貯金をした際に銀行は真央が将来貯金を 引き出すときにお金を与えなければならない 今銀行に金が入り,後で出て行く お金を借りる人は今お金が手に入り,そして後 で返済する.つまり後でお金が出ていく 貯蓄を受け入れる側はお金を借りている 将来の返済義務が生じることは借入を意味 ミクロ経済学 /6/2911
ミクロ経済学 7 レンタル DVD を借りると最初にレンタル料金 を支払う.見終わったら返却する レンタル料金が借金の利子 ( 利息 ) 来年所得を得るが今年は無一文.しかし,利 息 5 万円でお金が借りられる.今年 100 万円借 りたら返済額は? 105 万円 =105 ( 万円 ) 返済額 = 借入金 + 利子 ( 利息 ) 今年 100 万円使うには来年 105 万円支払う必要 借入 2015/6/2912
ミクロ経済学 7 借入の有利さをどう測る?利子率即ち利息です 借入金額 100 万円で利息 5 万円の借入利子率は 5/100 × 100 = 5 ( % ) 利息=借入金額 × 借入利子率 ( 小数点表示 ) 100万円を利子率 15% で借り入れたときの利 息はいくら? 100×0.15=15 ( 万円 ) 今年の所得 0 で来年 100 万円の所得 利子 借入利子率= × 100 借入金額 2015/6/2913
ミクロ経済学 7 利率 r で 100 万円借りたときの返済額 返済額 = 借入金 + 利子 ( 利息 ) = ×r = 100(1+r) 今年全く無所得で来年 100 万円の所得を得る.借 り入れ利子率は預け入れ利子率と同じ r とする 今年消費をするには借り入れをする 借入金額と利息の合計を来年支払う必要がある 来年全く消費しなければ今年いくら借りられる つまり,来年の所得を全て借金の返済に充てる 今年の所得 0 で来年 100 万円の所得 / /6/2914
ミクロ経済学 7 今年は 100/(1+r) 万円借り入れた 来年の返済額は となる. 100 万円は来年の所得に等しい 来年 100 万円の所得で最大限借りられる金 額 100 万円 1+r 100 ×(1+r) =100 万円 1+r 2015/6/2915