Pervasive Developmental Disorder (自閉症スペクトラム) 広汎性発達障害 Pervasive Developmental Disorder (自閉症スペクトラム) http://www.mirai.com/ http://www2k.biglobe.ne.jp/~motoi/ 森林資源の保護のため,紙の資料は配布しません.資料が必要な場合は上記URLへ
PDD診断のtriad 対人関係の障害 こだわり (DSM-IV/ICD-10) イマジネーションの障害 (Wing) コミュニケーションの障害 こだわり (DSM-IV/ICD-10) イマジネーションの障害 (Wing) 生来性の発達障害 おそらくは胎生期早期の障害 数個の遺伝子の関与が示唆されている
強 自閉症の症状 弱 自閉性障害 PDD-NOS アスペルガー障害 普通人 低い 知的機能 高い 自閉症スペクトラム
歴 史 1943 Kanner 早期乳幼児自閉症 1944 Asperger 小児期の自閉的精神病質 歴 史 1943 Kanner 早期乳幼児自閉症 1944 Asperger 小児期の自閉的精神病質 1972 Schopler TEACCHプログラムの成立 1981 Wing アスペルガ-の再評価 (自閉症スペクトラム) 1996 Honda 操作診断による発生率 PDDではないかと言われている著名人 アインシュタイン,サティ,ビル・ゲイツ… ひょっとしてあなたの周りにも… PDDのお陰で世界は豊かになっている?
臨床上の重要性 1.以前考えられていたよりもPDDはずっと多い 2.特に知的障害を伴わない高機能群はとても多い ~最近は0.5%以上と推計されている 3.正しく診断されないと,性格の問題と間違われる ~問題がこじれるもととなる 4.分裂病型人格障害などと誤診されやすい ~統合失調症と誤診されることもある 5.不安性障害や気分障害を合併しやすい ~合併症を主訴として受診する場合も多い 6.PDDについて多くの人が理解することが必要
発達障害の頻度 -軽度も含むと発達障害はこんなに多い- (注意欠陥-)多動性障害 (ADHD) 3% 多くは精神遅滞をともなわない 精神遅滞 1~2% (境界知能 約10%) 広汎性発達障害 0.5~1% 半数は精神遅滞を伴わない (0.2~0.7%) 典型的な例が自閉症 その他にアスペルガー障害、非定型自閉症 学習障害(読み書き,算数の障害) コミュニケーション障害 運動機能障害 見逃されて怠学と見なされることが多い 赤字・・ ・・いわゆる軽度発達障害 約10%
障害別新患割合 (精神医療センター2001年度) 新患の1/3が広汎性発達障害 PDD:広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorder) ADHD:注意欠陥多動性障害(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)MR:精神遅滞(Mental Retardation) 障害別新患割合 (精神医療センター2001年度)
半数が高機能群 PDDNOS: 他に分類されない広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorder Not Otherwise Specified) PDDの知的機能の分布
広汎性発達障害の診断(DSM-Ⅳ,ICD-10改変) (1)対人的相互性の障害 a.非言語的調節機能の障害(視線・表情・身振り) b.仲間関係形成の失敗 c.興味の共有の障害 d.情緒的相互性の欠如 (2)コミュニケーションの障害 a.話し言葉の遅れ b.会話を開始・継続する能力の障害 c.常同的などの特有の言語 d.社会性をもった遊びの欠如 (3)こだわり a.限定した興味 b.機能的でない習慣へのこだわり c.常同運動 d.物の細部へのこだわり 3歳以前に発現し、(1)2項目(2)1項目(3)1項目、合計6項目以上→自閉症 (1)2項目(3)1項目以上で粗大なことばの遅れがない→アスペルガー障害 (1)項目,合計3項目(試案)→非定型自閉症/PDD-NOS
広汎性発達障害の分類
自閉症児の特徴(CARSから) 7-9.知覚障害 1.対人関係 視覚・聴覚・近受容器 2.模倣 10.不安反応 3.感情 視覚・聴覚・近受容器 10.不安反応 11.言語的コミュニケーション 12.非言語コミュニケーション 13.多動・寡動 14.知的機能のばらつき 15.全体的印象 1.対人関係 2.模倣 3.感情 4.身体の使い方 5.物の扱い方 6.変化への適応 それぞれの項目を 1点(正常)、2点(軽度異常)、3点(中度異常)、4点(重度異常) と評価し、総点で判定 30<総点<37点 → 軽度/中度自閉症 総点≧37点 → 重度自閉症 発達年齢18ヶ月以下では若干の過剰診断の傾向 しかし、低年齢でも評価可能
発達障害の状態像診断と病因診断 病因診断が確定しないケースが大多数⇒遺伝子・発生学的要因の未解決 病因診断と状態像診断は1対1対応しない 状態像診断→教育的アプローチの指針 病因診断→医学的管理の指針 病因診断が確定しないケースが大多数⇒遺伝子・発生学的要因の未解決
機能のばらつき PDD LD MR 機能 a b c d ・ ・ ・ x y z
行動のレパートリー 適切な行動をさせるには 新たな行動獲得が必要 自閉症の子供 不適切な行動 禁止 自閉症でない子供
病因論 (心因論から認知行動障害へ) 脳の器質的な障害 ↓ 適応行動,コミュニケーションの障害 対人関係の困難 不快な体験のくり返し ↓ もともとの 障害によるもの ↓ 不快な体験のくり返し ↓ 自閉,パニック 環境によって 起きてくるもの ∥ 予防できるもの
治療教育の原則と自閉症の理解 1.親は共同治療者 2.行動変容と特殊教育 3.個別プログラム 4.発達領域ごとの評価 5.ジェネラリスト・モデル 6.相互作用の概念 ショプラー:東京講演,1983から引用
自閉症児者の治療教育はなぜ困難か? 適切な状況判断 順序だった行動 環境の明確化 行動の習慣化・課題分析 どんな時に ・・ ・・ どう行動するか ⇒ 学習 適切な状況判断 順序だった行動 環境の明確化 行動の習慣化・課題分析 得意な視覚を活用する・みんな同じやりかたで
構造化とは? なぜ構造化か? コミュニケーションの障害(言語的・非言語的) 注意が散乱しやすい 視覚認知は比較的良好 ↓ 構造化とは? なぜ構造化か? コミュニケーションの障害(言語的・非言語的) 注意が散乱しやすい 視覚認知は比較的良好 ↓ 目で見てわかるように伝える やるべきことの手順を明確にして習慣化 small step!! 刺激を整理して、注意が散乱しないようにする 見通しを持たせる(いやなことがいつ終るかなど) TEACCH=Treatment and Education for Autism and related Communication handicapped CHildren
構造化 物理的構造化… 明確なエリア ルーチン… 課題の手順を一定にする,L→R, U→D,スケジュールのチェック 物理的構造化… 明確なエリア ルーチン… 課題の手順を一定にする,L→R, U→D,スケジュールのチェック スケジュール… 視覚的,next~part day~daily, 実物~写真~線画~文字 ワークシステム… ワークの量,視覚的な内容の提示, 終わりの明確化 視覚的構造化… 視覚的明確化,視覚的組織化, 視覚的指示
棚やビニールシートなどを活用すると意外と安上がりに実現できる 構造化された教室の例 棚やビニールシートなどを活用すると意外と安上がりに実現できる
構造化の写真付きの実例の掲載された書籍 自閉症の人たちを支援するということ -TEACCHプログラム新世紀へ- 佐々木正美他監修 朝日新聞厚生文化事業団,2001年,800円 講座・自閉症療育ハンドブック: TEACCHプログラムに学ぶ 佐々木正美著 学研,1993,2400円
軽度の発達障害によくみられる問題 学習のおくれ 集中力がない/落ち着きがない 対人関係の問題 場面に合わない言動 ルールが理解できない こだわりの問題 予定や習慣のこだわる 関心・興味が偏っている 境界知能・学習障害 ADHD 広汎性 発達障害
軽度発達障害をめぐる諸問題 学習上の問題 ・能力のアンバランスへの評価と対応 ・特殊学級の枠には入らない通常級での個別対応 対人関係の障害 ・一見マイペースでわがままにみえる ・対人関係の問題にも個別の配慮の対象 二次障害の防止 ・わがままと捉えられることによる問題 ・こどもの成長にはほめられることが必要 障害受容の問題(思春期より前に!!) 周りのこどもがどうとらえるか 軽度であるがゆえの問題
軽度の広汎性発達障害にみられる問題 対人関係やコミュニケーションの問題 ルールが理解できない 常識を理解できない ルールが理解できない 常識を理解できない 他人の感情を理解できない 感情を適切に表現できない こだわりや特有の興味の問題 同年代のこどもとかけ離れた興味 予定の変更に対して不安になる おまじない的な行動が多く,まわりに合わせられない 知覚の異常に基づく問題 特定の音や騒音に対する過敏性 学習上の問題 イマジネーションの障害に基づくものなど 作文・かさのイメージ・創造的な課題での困難
SPELLの原則 ★Structure 構造化 ★Positive ほめる ★Empathy 共感 ★Low arousal 低刺激 ★Links 地域とのつながり イギリスの自閉症協会が教育の原則としてあげている
適切にプログラムを作成・実行するために 1.自閉症かどうかの診断・評価 自閉症なら能力のアンバランスに配慮した評価と 構造化・ていねいな課題分析が不可欠 2.個別評価(PEP-Rなど) 適切な課題設定のためにスキルの多面的な評価・ emerging skillの評価が必要 3.個別の課題設定 集中力・課題の好き嫌い・中期~短期ゴールの 適切な設定・動機づけのための工夫 4.将来を見越したゴール設定 認知課題に偏らない・余暇のスキル・意思表示 5.本人の自立的な活動の援助 そのための構造化 個別とはマンツーマンではない!!
危険な関わりかた 1.刺激が多すぎる環境 混乱・パニック・学習困難 2.不適切な課題 その子の将来に役立たない・嫌悪感 不眠やイライラなどの問題発生 3.不適切なゴール設定 偏食指導によって作られたより重篤な偏食 乱暴な統合による混乱・問題行動 4.禁止や強制が多すぎる指導 替わる行動を身につけていないのに禁止される ことで、さらなる不適応行動が発生 5.個別評価なしのプログラム設定 全ての問題発生の温床!!
参考になるインターネット上のページ 日本自閉症協会東京都支部 http://www.autism.jp/ 新潟市自閉症親の会 http://www.hopstepclub.jp/ アスペ・エルデの会 http://www.as-japan.jp/j/ 高機能自閉症である作家・森口奈緒美さんのホームページ http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Cassiopeia/8331/