鳴門教育大学大学院専門職学位課程 鳴門教育大学 特別支援教育専攻 井上とも子

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メンタルフレンドについて 福島大学総合教育研究センター   中野 明德.
学級崩壊を考える 学級の様子は変わったのか.
・特別支援教育について ・発達障害等の特性 ・教育環境等の整備
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鳴門教育大学大学院専門職学位課程 鳴門教育大学 特別支援教育専攻 井上とも子 2009/08/17 発達障害とは 徳島県発達障がい児支援専門員養成研修                        2015.9.4. 鳴門教育大学 特別支援教育専攻     井上とも子      特別支援教育    井上とも子

解釈の違い 発達障害・・・医学,心理学と教育の違い 教育:文部科学省の『発達障害』 医学・心理学:知的障害も含む 原仁医師は 知的発達障害 脳性麻痺などの運動発達障害 広汎性発達障害(自閉症・アスペルガー症候群) 注意欠陥多動性障害 学習障害 発達性協調運動障害 発達性言語障害 てんかん                 

学習障害LD 高機能自閉症 自閉症 知的障害 『発達障害とは』 アスペルガー障害 注意欠陥多動性障害ADHD IQ70 軽度 知 能 中度 知 能 知的障害 中度 重度 弱い 強い 行動の偏り 「特別支援教育における教育実践の方法」ナカニシヤ出版2006(一部改変)

発達障害児の目立つ特徴と支援の方向性 個の特性・・・経験・体験・・・自己主張(含む方法) 対人関係の問題・・・マナー・対人対応技能 自己の精神保健の問題・・・自己認識と資源活用 不安・神経症的な症状(強迫神経症・チック) 学業不振→進路の問題・・・社会と自身の関係把握 社会自立の問題・・・折り合いのつけ方 ジョブマッチング 対人対応・自立生活技能・自己管理能力

特別な支援は将来の自立への 大きな鍵を握っている 激しい 重い 緩やか 軽い 症状 教育・養育・対応・関係の在り方 ※治すのではなく、適切な環境の中で育てましょう

LD ADHD ASD 発達障害児は学校・社会の中で不安がいっぱい 自己有能感の喪失 対人関係の維持困難 不登校・引きこもり・自暴自棄 不安

学習障害 Learning Disabilities 特定の能力の習得と使用に著しい困難を示す様々な障害を指す 聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する 学齢期に顕在化することが多い 環境的な要因が直接原因とはならない 行動の自己調整、対人関係等における問題が伴った形で現れることもある がんばってもがんばってもできないことがある

学校の中のLD児・・・不器用 ○○ができるのに△△ができない 「漢字が書けない」のは?・・・千差万別 学習面:書字障害・読字障害・計算障害 運動のぎこちなさ・計画性の問題・空間把握の問題・・・・ △が、形にならないと幼稚園から引き継ぎがあったら・・・ 「漢字が書けない」のは?・・・千差万別 記憶容量・企画や計画、位置の把握や方向性・手指の巧緻性・視知覚(形のとらえ・線の差・・・)・・・ 強みを活用して(例:意味を付加させる) 遊びや対人対応にも影響する 周囲との比較ができる→自尊感情が損なわれる

注意欠如多動性障害 Attention Deficit Hyperactivity Disorder 注意集中困難,不注意 多動性 衝動性 量 ・7歳以前の発症 ・同年齢児と比べて3つの症状が,顕著に強い場合 ・2カ所以上の場面で見られる どうにも調整できない

学校の中のADHD児・・・突然・・・ 注意散漫・不注意 多動 衝動性 キレル! 周囲の物音などですぐ,簡単に注意が逸れる 注意を持続したり切り替えたりすることが困難 片付けられず,忘れ物や物をなくすことが多い 多動 落ちつかずよく動く,体のどかが常に動いている 突き動かされるように動く・話を聞いていられない 衝動性       キレル! 待てない,思ったらすぐ行動する 聞きかじって判断する

自閉症スペクトラム障害ASD 障害の3つ組み 質 社会的相互交渉の障害 コミュニケーションの障害 想像力の障害(こだわり,常同的な行動) ・知能指数70以上=高機能自閉症 ・話し言葉の発達が良好=アスペルガー症候群 見えないものが理解しにくい

学校の中のASD児 ・社会的相互交渉の質的障害 ・コミュニケーションの質的障害 ・想像力の障害(こだわり,常同的な行動) ▶大人とも対等、反面だれにもいやに敬語を使う ▶大人とは関われるけれど、同年齢の子とうまくつきあえない ▶周囲の動きを気にしない、合わせられない行動 ・コミュニケーションの質的障害 ▶思ったことをしゃべらずにはいられない ▶相手の立場に立って話ができない ▶一方的に質問をするが、応えは少ない ・想像力の障害(こだわり,常同的な行動) ▶変化や切り替えを嫌う、新しいことへの拒否、見通せない ▶数字やある事態に執着する・・・こだわり ▶相手の痛みがわからない・・・共感できない

症状論としての発達障害だから・・・ADHDからアスペルガー症候群へ 小学校中学年・・・青年期 幼児期

+ 不適切な行動 障害特性 ・学習環境 ・周囲の人との関係 ・学習状況 ・過去の経験 ・生活リズム ・家庭環境 問題行動は一人では大きくならない 不適切な行動 不適切な行動 障害特性 + ・学習環境 ・周囲の人との関係 ・学習状況 ・過去の経験 ・生活リズム ・家庭環境

たいてい コミュニケーション行動の代替 要求の言葉の代わり だから、うまく交渉できれば、その交渉内容が受け止められる環境なら、起こらない 発達障害の理解と対応 2010/10/24 たいてい コミュニケーション行動の代替 要求の言葉の代わり 「いやなんだ」と言えたら起こらない 「したいことがある」 だから、うまく交渉できれば、その交渉内容が受け止められる環境なら、起こらない 指導の始まりは、受け止め、要求がかなうように協力すること 「だめ」とその場のルールや先生の思いに沿わせることを優先させると決裂する 鳴門教育大学 井上とも子

保護者との話は顔を合わせて! わたしばっかり この子のせいで 私が守ってやらなければ

特別支援教育の在り方の変遷 個の課題と障害特性に着目 個の改善をめざした支援 個別の対応を重視した取り組み 大人との関係(安定した関係を保ちやすい) 集団 個の課題を環境との関わりでとらえる 個を含めた集団の課題(関係)改善をめざす 学校ぐるみ・学級ぐるみの取り組み 日常への広がりが期待できる・子ども同士の学び合い(思い通りには行かない体験もできるから)

特別支援教育のトピックス 学校ぐるみ・学級ぐるみの支援 子ども同士の関わりを重視 行動問題の改善も周囲の者との関係から 他児と共に指導する 子どもの成長は学校・学級経営の在り方しだい 自分を認め、他者を認められる学級づくり 全員が主体的に自立的に行動し、学習参加する学級作り

落ち着いた学級に 学習環境を整えましょう 雑然→整然(余裕教室等の利用) 静かに学習するマナーを身につける 落ち着いた学級に         学習環境を整えましょう 雑然→整然(余裕教室等の利用) 整理した状態を見せることが指導の第一歩 整理された状態→刺激の統制、遮断 静かに学習するマナーを身につける メリハリのある流れ(合図を決める) 中心の人に注目する習慣をつけるetc. 心のゆとりが大事(周りの子も同じ) 認められる→自信→人の良さに気づく余裕 指導してこそ持てるポジティブな視点

指導のめあて 自己管理の力・解決力 ポジティブな自己評価,課題解決ができるように 人や事態を受け止められるように 自己修正できるように 共感と受容(他者を許せる余裕)→他者理解 自己修正できるように 手助けが頼める→やり直しが気軽にできる 後始末ができる→気持ちのゆとり 自己決定できるように→責任感,自主性,自発性 選択できる(折り合いが付けられる)       自己管理の力・解決力

小さい時から社会自立をめざして 主体性・自己管理能力の向上 小さい時から社会自立をめざして       主体性・自己管理能力の向上 VS 指示の強要 選択・自己決定 従属 主体・独立 指示待ち・判断力の低下 判断力・自己責任の向上 ストレス増幅 ストレス低減

自立した社会生活 他者との関係 (役に立つ) 自分のこと 支援(教育) ・生活技能 ・家族のために ・学業 ・友達のために ・趣味 ・職業技能 他者との関係 (役に立つ) ・家族のために ・友達のために ・社会のために 支援(教育) 連 動 社会に出るためには 社会から必要とされること 他者から認められ求められること 自立した社会生活

主体的な集団参加の力を育てる 特別支援教育知的障害部門では 子ども自ら「分かって動ける」(藤原,2012)授業作りが主流に 分かる動ける環境作り 構造化・課題や進め方のルーティン化 子ども同士の協働・・・常に仲間を意識させる役割と活動 役割と確認のための自己評価・他者評価 「嫌です」が言える環境 困ったときの切り抜け方 つまずいたときの立ち直り方(回復力を引き出す) 間違ったときの責任の取り方

先生 二人の世界 要支援児 教 卓