第5章 データ集計を行う.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
計量的手法入門 人材開発コース・ワークショップ (IV) 2000 年 6 月 29 日、 7 月 6 ・ 13 日 奥西 好夫
Advertisements

1 市場調査の手順 1. 問題の設定 2. 調査方法の決定 3. データ収集方法の決定 4. データ収集の実行 5. データ分析と解釈 – データ入力 – データ分析 6. 報告書の作成.
土木計画学 第3回:10月19日 調査データの統計処理と分析2 担当:榊原 弘之. 標本調査において,母集団の平均や分散などを直接知ることは できない. 母集団の平均値(母平均) 母集団の分散(母分散) 母集団中のある値の比率(母比率) p Sample 標本平均 標本分散(不偏分散) 標本中の比率.
社会福祉調査論 第 8 講 統計の基本的整理 12 月7日. 【目標】 量的調査の集計方法、結果の示し方につ いて、基礎的な手法を習得する。 統計値を捉えるための諸指標を理解する。
QC七つ道具 工業高校におけるキャリア教育 高等学校(工 業) パレート図パレート図 特性要因図 ヒストグラム チェックシート 散布図 グラフ 管理図 層別特性要因図ヒストグラムチェックシート散布図グラフ管理図層別.
元帳上手 for 商蔵奉行 ご説明資料 株式会社エイブルコンピュータ技研. 商・蔵奉行21では、1会社データで管理可能な明細の伝票日付が2年間に限られる ため、日付の不明な売上(仕入)伝票を探すためには、会社選択を何度もしなおして検 索する必要がありました。 元帳上手は主にこの問題を解決する目的で開発されました。
社会調査データの分析 社会調査・実習. 分析の手順(1) 1 1 入力データの点検 (全部の調査票 に目を通す) 2 2 通し番号の入力。必要ならば回答の コード化。 3 3 入力フォーマットの決定 4 4 データ入力( Excel, エディターなど)
コーディングとデータ入力 1. データ入力の手順 2. データ・クリーニングの方法 3. データの送付 1.
統計学入門2 関係を探る方法 講義のまとめ. 今日の話 変数間の関係を探る クロス集計表の検定:独立性の検定 散布図、相関係数 講義のまとめ と キーワード 「統計学入門」後の関連講義・実習 社会調査士.
コンピュータプラクティ スⅠ アンケート 水野嘉明 1. 本日の予定 「アンケート」  人間的な要因を評価するための 一手段として、アンケートの方 法について学ぶ  実験では、アンケートの集計を 行う 2.
A-2資料⑤ 職業レディネス・テスト 第3版 実施手順.
本日のスケジュール 14:45~15:30 テキストの講義 15:30~16:15 設計レビュー 16:15~16:30 休憩
第11章 プレゼンテーションの基本スキル 1 プレゼンテーションとは 2 プレゼンテーションの種類と特徴 3 プレゼンテーションツール
よいパワーポイントファイルの見本 ・小さい字が並ぶ、長い文章、スライドに番号がない、などは避けた方がよい
実地棚卸/棚卸検数 & 在庫調整 SAP Best Practices.
【セッション予約日時、価格等の新規登録】
患者満足度調査結果報告書(外来患者調査)
QC 7つ道具 【①グラフ:可視化】 データを集め、可視化することによって、状況が把握しやすくなる。
QC 7つ道具 【①グラフ:可視化】 データを集め、可視化することによって、状況が把握しやすくなる。
Excelによる統計分析のための ワークシート開発
レポートの作成 効果的な発表の仕方.
仮説の立て方、RQの絞り方 論文を考える根本的思考 担当・柴田真吾
市場調査の手順 問題の設定 調査方法の決定 データ収集方法の決定 データ収集の実行 データ分析と解釈 データ入力 データ分析 報告書の作成.
 授業を設計する(その4) 情報科教育法 後期5回 2004/11/6 太田 剛.
生物統計学・第3回 全体を眺める(2) 主成分分析
4.「血液透析看護共通転院サマリーVer.2」 の説明
消費税増税後による 節約意識の変化 100円ショップは本当に安いのか❕❔ 名古屋学院大学 16E0126 古賀翔平         16E0702 川島涼.
「ICT社会におけるコミュニケーション力の育成」 研修モジュール C-1:パネルディスカッション
Webページを制作しよう! 応用編 高校1年⑩「社会と情報」.
調査の企画2: 質問項目の選定と質問紙の作成
市場調査のプロセス 企画段階.
リサーチ・パートナー・シート 2015年11月版.
<研修資料>研修後の具体的な取組の事例紹介 <クラスの実態に合わせて個々の学級担任が取り組んだ例>
リサイクルショップ向け 委託販売管理システム
K-POPCD販売に効果的な広告の作成.
事業の全体概要図イメージ例 事業区分:①新たなヘルスケアサービス創出支援事業 コンソーシアム等名称; 1-① 事業の背景・目的
~スマートフォン利用~ 店舗管理システムのご提案 サイボウズ中国.
メディア学部 2011年9月29日(木) 担当教員:亀田弘之
イメージポスターを作ろう! 高校2年 情報選択②.
 パワーポイントによる教材作成    校内研修提示資料.
本日の目的 目的 ご判断いただきたいポイント ご相談したいポイント あああああ 目的は、必ず記述しましょう。
調査結果の集計 集計と尺度 調査企画→調査票の作成・サンプリング→フィールドワーク→集計→分析→調査票の作成
情報処理基礎A・B 第6回 続・ワープロソフト入門 構造を持つ文書作成と その支援機能の活用
基本姿勢と態度 専門職のビジネススキル レポート作成の基本 ③図表の使い方.
第13回 QC7つ道具(データの可視化・活用) 経営情報論A
市場調査の手順 問題の設定 調査方法の決定 データ収集方法の決定 データ収集の実行 データ分析と解釈 報告書の作成.
看護研究における 統計の活用法 Part 1 京都府立医科大学 浅野 弘明 2012年11月10日.
データ解析 静岡大学工学部 安藤和敏
○○×× 御中 アンケート分析結果のご報告 - 新製品を開発するために- 20YY/MM/DD.
イメージポスターを作ろう! 情報C 課題.
調査の企画(1):質問紙の作成プロセス 1.質問紙の構成 2.質問紙の作成手順 3.質問紙を作成する際に注意する点 4.課題
数量分析 第2回 データ解析技法とソフトウェア
探究科スライド 教材No.10(K2).
一人暮らしの男性のための料理検索システムの設計
藤田保健衛生大学医学部 公衆衛生学 柿崎 真沙子
技術名 会社名.
課題研究ルーブリック評価の 活用マニュアル 平成30年1月10日 愛媛大学高大接続推進委員会 「課題研究」評価ワーキンググループ
探究科スライド 教材No.12(K2).
シリーズ:著者の回答  質問 (韓国 K社、L.Y氏 開発・設計 )
マンション購入者アンケート 社会福祉学科  1回生 D組 .
データの型 量的データ 質的データ 数字で表現されるデータ 身長、年収、得点 カテゴリで表現されるデータ 性別、職種、学歴
クロス表とχ2検定.
情報の集約 記述統計 記述統計とは、収集したデータの分布を明らかにする事により、データの示す傾向や性質を要約することです。データを収集してもそこから情報を読み取らなければ意味はありません。特に膨大な量のデータになれば読みやすい形にまとめて要約する必要があります。
業務分析に基づくレジ業務の トラブル対処方法を学ぶ教材の開発
課題演習の説明 ビジュアル技法を使い、聞き手の目を引き付ける資料デザインを表現します。
藤田保健衛生大学医学部 公衆衛生学 柿崎 真沙子
調査結果の集計 集計と尺度 調査企画→調査票の作成・サンプリング→フィールドワーク→集計→分析→調査票の作成
回帰分析入門 経済データ解析 2011年度.
情報スキル入門 第13週 Excel-3.
アルゴリズム ~すべてのプログラムの基礎~.
Presentation transcript:

第5章 データ集計を行う

41 集計作業の手順 1)回収票の最終点検と整理(通称、エディティング) 2)自由回答のカテゴリー分類(通称、コーディング) 41  集計作業の手順 ①集計作業の流れ 1)回収票の最終点検と整理(通称、エディティング) 2)自由回答のカテゴリー分類(通称、コーディング) 3)データ入力(データパンチともいいます) 4)質問の流れの論理チェックなどデータクリーニング) 5)単純集計(質問の回答カテゴリーごとの度数と構成比) 6)クロス集計(複数項目間の回答カテゴリーの度数と構 成比)

②マニュアル類の作成 ・エディティングマニュアル:回収したアンケート票を最終点検するためのマ ニュアル ・コーディングマニュアル:自由回答を分類して頻数で集計するために、回答 のカテゴリー分類とコード番号を示すマニュアル ・データ入力指示書:データ入力を委託する場合は、指示書または協議事項 の確認書が必要。内部作業にも指示書が必要。 ・データチェック(クリーニング)指示書:エディティングマニュアルをプログラ マー用に作成したもので、パソコンで、質問の流れやありえない回答コードを チェックするための指示書です。 ・集計、検定、多変量解析などの指示:どんな集計や統計解析を行うかを指 示

42  データの最終チェック ①基本的点検のポイント ・調査対象の確認:スクリーニング質問の回答や、性・年齢などが対象者 の条件に合致しているか、最終点検します。 ・標本番号の確認:重複番号や記入ミスを点検します。 ・有効回収票の確認:回答もれや無回答が多すぎる場合、無効票としま す。 ・回答チェックマークの点検:入力ミス防止のため、○印や✓印などの チェック位置を確認します。 ・回答方法の点検:求めた数より多すぎる回答、順位の重複など、回答ミ スを点検し、一定の法則を決めて修正します。 ・自由回答の文字や数字の点検:乱筆で読めない字を判読します。 ・自由回答の意味内容の点検:意味不明の回答を判別、処理します。 ・その他具体的内容の点検:「その他」の内容が、選択肢と同じ場合、該 当する選択肢に訂正します。

②論理的点検のポイント ・質問のとび方の点検:回答すべき質問をとばしてないか、回答しなくてよい 枝分かれ質問などに回答していないか、点検 ・回答内容の整合性の点検:女性なのに男性への質問に回答、正反対の複 数意見に賛成など、質問間の矛盾を点検 ・回答のくせの点検:同じ選択肢ばかりに○、賛否などの回答パターンが全て 同じなどの問題票は、無効票とするか判断 ③データ入力後の点検 ・パンチミスによる重複データ、回答カテゴリー番号外の数字、回答間の論理 矛盾の有無などがないかチェックする

43  自由回答をカテゴリー化する 自由回答を集計するにはカテゴリーに分けて番号化するコーティング作業 が必要 ①回答内容を分類・領域別にまとめる 例:商品についての不満 コード 内容 回答例 1 価格 ・高い ・店によって価格差が大 2 デザイン ・ほしい色がない ・小型化してほしい 3 使いやすさ ・ふたが開けにくい ・ノズルが詰まりやすい 4 機能 ・すぐ壊れる ・何度も故障した 5 アフターサービス ・すぐに修理に来ない ・修理代が高い 6 販売方法 ・取扱店が少ない ・通販でもうってほしい

②類似した回答をまとめる 同じ意味の回答は、ひとつのカテゴリーにまとめる 例:販売店についての要望 コード 内容 回答例 1 値引きサービスの充実 ・特売日を増やして ・購入金額のポイント制を ・タイムサービスの実施 ・特売スケジュールの広告を 2 品揃えの充実 ・定番品は欠品がないように ・鮮魚の種類を増やして ・季節感のある商品を 3 レジの効率化 ・夕方の行列を解消して ・レジをスピードアップして 4 レイアウトの改善 ・何がどこにあるかわかりにくい ・店内がごちゃごちゃしている 5 従業員強化教育 ・商品は丁寧に扱うように ・商品の知識を持ってほしい 6 品質管理をしっかり ・賞味期限切れは置かないで ・産地表示は必ず付けて 7 付帯サービスの充実 ・配達サービスをしてほしい ・駐車場をもっと増やして 8 価格表示 ・表示価格とレジ価格の相違がないように

③評価してまとまる 回答内容をみて、好意的、非好意的、中立的評価に分類する 評価結果の頻数や構成比を集計した結果と、それぞれの具体的な回答内 容を例示すると説得力が増す。 例:A社の広告についての印象 コード 内容 回答例 1 好意的 ・画像がきれい ・テーマ音楽がよい ・俳優に好感がもてる 2 非好意的 ・訴えたいことがピンとこない ・商品と広告のイメージが合わない 3 中間的 ・あまり興味がない ・よく覚えていない

44 集計計画の立て方 企画・設計段階で立てた集計計画を、回収・整理の段階で再検討し、集計計画 を確定する。 44  集計計画の立て方 企画・設計段階で立てた集計計画を、回収・整理の段階で再検討し、集計計画 を確定する。 集計作業に入る前に、集計計画表を作成する ・集計計画表に含める主な項目 ①質問№と質問名所 ②回答の種類 ③複数回答の表示方法 ④回答コード ⑤無回答/不明コード ⑥度数分布のパーセントの母数 ⑦平均値・標準偏差 ⑧平均値母数 ⑨得点換算 ⑩その他 ⑪クロス集計のキー

45  クロス集計とクロス分析のポイント ♢クロス集計の手順 単純集計 集計結果のチェック 集計キーの 検討 クロス項目の クロス集計

①クロス集計キー作成のチェックポイント ②クロス分析のチェックポイント ・表側カテゴリーの標本数は、25人以上、できれば50人以上必要。  標本数が少ない場合、回答カテゴリーをまとめる。 ・性、年齢などの対象者の特性を、調査目的に応じて分類。 ・調査目的からみて重要な質問を集計キーとする。  自社商品購入意向が課題なら、購入頻度や満足度などをキーにする。 ・意識と行動の関係など、質問項目間の因果関係を調べるには、  原因と思われる質問をキー項目にする。 ②クロス分析のチェックポイント ・特定の特性を持つ人々だけを対象とした調査だけでは、他の特性の人々 との差異は証明できない。 例えば、調査結果から、非行少年は親と食事を一緒にしていないという結論 を検証するには、一般の少年についても調査することが必要。

46 グラフ作成のポイント グラフ化により結果の概要やキーポイントを視覚化する ・構成比を示す→円グラフ、帯グラフ 46  グラフ作成のポイント グラフ化により結果の概要やキーポイントを視覚化する ・構成比を示す→円グラフ、帯グラフ ・推移を示す→折れ線グラフ ・2種類の数値の関係を示す→散布図 ・3つ以上の数値のバランスを示す→レーダーチャート ・値を横並び比較する→棒グラフ ・表現目的に応じてグラフの種類選択を適切に・・・ ・何を表すグラフかを明確に ・数値軸の値の設定を適切に ・推移を示すグラフは原点に注意 ・原則として数値を併記する ・凡例区分を明確に

47  調査報告書の作成ポイント 調査報告書には、調査目的、調査設計の概要、調査目的に合致する調査 結果のグラフとコメントを記述し、必要があれば調査結果から導かれる結論 を記述する。 チェックポイント ・第三者にもわかるように、やさしく記述 ・調査の目的を、簡潔・明確に ・調査対象、調査方法、実査期間、回収率などの調査設計の概要を記述 ・調査結果をグラフ化し、グラフの意味することをわかりやすくコメント ・調査結果の説明は、調査対象者の特性から始める。次に調査で判明した意識や購入・使用 などの行動に関する質問項目と対象者特性との関連性のコメントをする。 ・必要があれば、対象者の意識や行動を把握したことによって導かれる結論を記述 ・結論部分は、論理的に説得力を持たせるように工夫。 ・レポートの最後には、調査の問題点あるいは今後の課題を記述

♢調査報告書の基本構成 記載内容 用途 概要編 報告会用 発表資料用 本編 調査担当者 用内部資料 資料編 調査概要 調査結果 (調査目的、調査対象、調査方法、実査期間、回収率など) 調査結果 (対象者属性、調査結果のまとめ、結論、今後の課題等) 報告会用 発表資料用 本編 (対象者属性、全質問の調査結果を質問順に示す) 調査担当者 用内部資料 資料編 数表、アンケート票、企画・分析用いた参考資料など

♢概要編の作成ポイント 読者は誰かに応じた表現、内容にする 全体のボリュームは報告時間等を考慮する 調査課題に応じ、重要部分を優先的に記述 結果はグラフ+簡潔なコメントで表示 結論をフローチャート等で論理的に示す 今後の検討課題も示す

♢本編の作成ポイント 調査の背景、調査設計の詳細も記述 質問ごとの結果を、質問タイトル、コメント、グラフあるいは 数表で、質問順に示す 多変量解析などを行った場合は、多変量解析の結果、解 析手法の概要も示す 年月の経過、担当者の変更などがあっても資料として活 用できるよう、標本数、%の母数、各種数値の算出方法等 を明記する

♢資料編の作成ポイント 全質問のクロス集計表 多変量解析を行った場合は、最終的に採用した解析結果 のアウトプット 2次データなどの参考資料などで構成する