上海市精華外語専修学院 特別講座(全十回) 第8回 日本文会計 日商簿記検定3級を中心に 上海市精華外語専修学院 特別講座(全十回) 講師:謝 少敏 2007年1月12日から毎週金曜日於吴泾总部
第八章 決算整理(3) 収益の見越しと繰延べ (1)費用の見越し (2)収益の見越し (3)費用の繰延べ (4)収益の繰延べ 訂正仕訳 第八章 決算整理(3) 収益の見越しと繰延べ (1)費用の見越し (2)収益の見越し (3)費用の繰延べ (4)収益の繰延べ 訂正仕訳 練習問題
見越し 見越しとは、当期の費用のなのにまだ支払っていない場合や当期の収益なのにまだ受取っていない場合に調整する作業のことである。
繰延べ 繰延べとは、その年度に属さない費用を先に支払ったり、その年度に属さない収益をすでに受取ったと記録した場合、それら属さない費用・収益を取り除いて調整することである。
費用の見越し まだ支払っていないが当期に発生した費用を見越しとして調整する作業のことである。
例示
説明 当期の家賃(8ヶ月分)40,000円は4/30の契約終了時にまとめて支払うため、当期には費用として計上されていない。 正しい損益を計算するために、決算では、それを見越しとして調整しなければならない。
仕訳 (借)支払家賃 40,000 (貸)未払費用 40,000
次期4月30日の仕訳 (借)未払費用 40,000 支払家賃 20,000 (貸)現 金 60,000
収益の見越し まだ受取っていないが当期に発生した収益を見越しとして調整する作業のことである。
例示
説明 当期の利息(4ヶ月分)12,000円は、8/31の貸し付け回収時にまとめて受取るため、当期の収益として計上されていない。 正しい損益を計算するために、決算では、それを見越しとして調整しなければならない。
仕訳 (借)未収収益 12,000 (貸)受取利息 12,000
次期8月31日の仕訳 (借)現 金 36,000 (貸)未収収益 12,000 受取利息 24,000
費用の繰延べ 当期の費用に次期の費用が含まれている場合、正しい損益を計算するため、次期の費用を取り除く作業のことである。
例示
11月1日の仕訳 (借)支払保険料 24,000 (貸)現 金 24,000
説明 当期支払った保険料24,000のなかで、当期分の保険料が4,000円で次期分の保険料が20,000円になる。 正しい損益を計算するために、決算では、次期分の保険料20,000円を前払費用に振り替えなければならない。
仕訳 (借)前払費用 20,000 (貸)支払保険料 20,000
収益の繰延べ 当期分の収益に次期分の収益が含まれている場合に次期分の収益を取り除く作業のことである。
例示
9月1日の仕訳 (借)現 金 36,000 (貸)受取手数料 36,000
説明 当期受け取っている手数料36,000円のなかで、次期分の手数料24,000円が含まれている。 正しい損益を計算するために、決算では、それを前受収益に振り替えなければならない。
仕訳 (借)受取手数料 24,000 (貸)前受収益 24,000
訂正仕訳 訂正仕訳とは、間違った仕訳はそのまま残しておいて、結果を正しくするために新たに仕訳を追加することである。 以前、行った仕訳が間違っていたことに気づいた時は、訂正仕訳を行う。
履歴を残す 帳簿は、「事実をありのままに」記録しなければならない。 訂正を行った際は、訂正したという履歴を残さなければいけない。
訂正仕訳のポイント(1) ポイント1 正しい仕訳を想像する。(A) ポイント2 誤った仕訳を想像する。 ポイント1 正しい仕訳を想像する。(A) ポイント2 誤った仕訳を想像する。 ポイント3 誤った仕訳の逆仕訳を想像する。(B)
訂正仕訳のポイント(2) ポイント4 (A)と(B)の仕訳を比較して、同じ勘定科目が、借方同士、貸方同士にあったら足して、貸借逆に存在していたら相殺を行う。
例示 尾張商店から、売掛金100,000円を現金で回収した際に、誤って貸方を売上と仕訳していたので、これを訂正しなさい。
ポイント1 正しい仕訳: (借)現 金100,000 (貸)売掛金100,000
ポイント2 誤った仕訳: (借)現 金100,000 (貸)売 上100,000
ポイント3 誤った仕訳の逆仕訳: (借)売 上100,000 (貸)現 金100,000
ポイント4 (A) + (B) :
完成 訂正仕訳: (借)売 上100,000 (貸)売掛金100,000
練習問題(1-1) 次の決算整理事項について、決算整理仕訳を示しなさい。 (1) 保険料勘定に計上されている12,000円は、4月1日に契約した契約期間1ヵ年の火災保険に対するものである。前払い保険料の計算は月割によること (2) 支払利息勘定に計上されている8,000円は、8ヵ月分のもので、3ヵ月分は未払いである。
練習問題(1-2) (3)借入金の利息は年利3%で、元金100,000円の返済時に支払うこととなっているが、借入期間3か月のうち決算日までにすでに2ヵ月を経過している。未払分を計上する。 (4)貸付金の利息は年利6%で、元金200,000円の返済時に支払いを受けることとなっている。貸付期間3か月のうち決算日までにすでに2ヵ月を経過している。未収分を計上する。
練習問題(3) 決算に際して次の誤りを発見した。これを訂正するための仕訳を示しなさい。 商品60,000円を掛売りした際、誤って、貸借を反対に仕訳していた。