環境税の概念と日本における 環境税の現状 学籍番号 08FF905 発表者    趙成喆.

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環境税の概念と日本における 環境税の現状 学籍番号 08FF905 発表者    趙成喆

デポジット・リファンド・システムは容疑など再利用可能な商品や電池などの有害廃棄物の回収・処理を目的として、販売時点で預託金を徴収し、回収時点で返金するものである

環境税の意味 ▪狭義の意味  環境保全を目的として課する税であり、一般的にはCO₂の排出量又は化石燃料の消費量に応じて課税するものを指す。Ex) CO₂税 ▪広義の意味  排出量に直接課税されるのではなく、汚染量との間にある種の依存関係があると考えられる課税ベースに課税される。 Ex) 低公害車に対する自動車税軽減措置、公害防止施設に対する割り増償却 環境税は環境に対する損害を低減する方向で、行動のバターンを変化させることを言うことを意図している

使途の特定有無による分類 普通税 財源使途は環境に限らない 経済的手法としての環境税 Ex)欧州の炭素税 目的税 税収に使途が特定されている  財源使途は環境に限らない  経済的手法としての環境税  Ex)欧州の炭素税 目的税  税収に使途が特定されている  環境財源としての環境税  Ex)山林環境税、産業廃棄物税、水原環境保全税

国家目的実現の手続法 規制 ➾市場における経済主体の行動の自由を基本的に奪う 規制 ➾市場における経済主体の行動の自由を基本的に奪う 経済的手法としての課税 ➾市場における経済主体の行動の自由は基本的に奪われることなく、ただ、一定の行動がしにくくなる。すなわち、直接な規制よりmarket friedlyである

環境が課税対象になった理由 環境問題という外部不経済が発生するのは、環境という財に対して財産権が設定されておらず、したがって、経済主体が無償で環境を利用することができるからである。 そこで、環境に対して財産権を設定すれば、市場メカニズムが機能しはじめ、環境問題が解決されるという考え方が生じた。

環境税の効果 財源効果 価格インセンティブ効果 アナウンスメント効果 しかし、環境税方の税金と相違しているのは、そもそも財源を確保することが目的ではないということである。環境税が課税されれば、税収が上がり、環境の保全の目的を達することと、税収が得られるということいわゆる二重の配当があるのはもちろんであるが、税収像が直接の目的ではない。

環境税の理論

環境税の利点 幅広い部門・事業者に対して公平に課税することができ、あらゆる主体の経済合理性に沿った排出抑制等の行動を誘発する仕組み 排出量の小さな部門・者にも適用が可能であり、我々の日常の生活様式を少しずつ変えていくために非常に適した手段 環境保全上の便益に加え、他の税が与えるかもしれない労働力供給や投資や消費における歪みを減少させる

環境税の難点 負担水準設定の難点:租税負担の水準を環境汚染の社会的コストの水準に見合うように設定することは、実際に極めて困難 中立性を損ねる:インセンティブによる税制を政策的に活用することは、現行の税制に歪みを生じさせることになる 汚染企業が独占的な力を持っている場合→生産低下に伴う厚生の損失が生じる

環境税の実行上の問題点 分配上の問題(逆進性) →企業の税負担は最終的帰着は家計であり、国内エネルギーへの税の追加は多くの国において、逆進的な分配効果を生む・。 税収の問題  →税が課税財に生産や使用をより効果的に制御すればするほど、税収が少なくなる 。このためエネルギー需要の価格弾力性が低いため、所得が上昇する場合には、単にエネルギー需要を同一に保つために、継続的にエネルギー税の引き上げが必要である 。

環境税の国際的側面 多くの環境問題は越境的なものであり、国境を越えて環境的な外部的な外部効果を有している 環境税は環境以外の効果を有しており、そこには国際経済や世界の貿易システムに影響を及ぼすような重要な経済的な効果も含まれる→税は地球的な環境問題についての国際協定の実行を明確化し監視する点からも、規制よりも魅力的なほうである

日本の環境関連税 環境関連措置 税の名称 ①自動車燃料関係その他物品税 揮発油税(ガソリン) 地方道路税(ガソリン) 軽油取引税 石油ガス税 揮発油税(ガソリン) 地方道路税(ガソリン) 軽油取引税 石油ガス税 ②その他のエネルギー製品その他物品税 原料等関税 石油石炭税 航空機燃料税 電源開発促進税 ③その他エネルギー製品硫黄含有量 公害健康被害補償のための汚染負荷量賦課金 ④自動車関連税 販売/物品/登録税 車種による差別化 自動車重量税 自動車取得税 自動車税 軽自動車税 ⑤直接税規定 環境投資/促進償却 様々な環境関連の租税特別措置 ⑥航空運送騒音 空港特別着陸料

日本のエネルギー税の使途 石油開発     原油等関税、石油石炭税          揮発油税、地方道路税、軽油取引税     道路整備 空港整備 航空機燃料税    

日本のエネルギー税は環境税か? これらのエネルギー税はOECDによって環境関連税に分類されている。その理由はエネルギーの利用量を削減し、環境悪化を抑制する効果が予想されるからである。 しかし、これらの税は環境負荷の低減を目的として課税されるものではなく、エネルギー対策、道路整備、空港整備等の財源確保である。すなわち、現在日本におけるエネルギー関連税が環境保全に直接に貢献しているかは疑問である

日本の自動車関連税 自動車関連税の意味⇒ 自動車燃料への税ではなく、自動車の取得や所有に対する税を指すものである。すなわち、自動車の車種による環境負荷の程度に応じて、その取得や保有に対し課される税の税率を変えること 種類: 軽課措置 又は 重課措置 問題点 ①環境負荷の低い車でも古ければ重課される、また、環境負荷が高くても新しい車は重課されない ②軽課と重課の税率差が小さいから、その効果が環境保全に及ぶ影響は小さ ③自動車取得税の使途は道路整備に特定されており、かえって、環境負荷を増大させる側面

年齢年11年超のディーゼル車,年齢13年超のガソリン車・LPG車 日本の自動車のグリーン化 電気自動車 圧縮天然ガス自動車 メタノール車 ハイブリッド車 年齢年11年超のディーゼル車,年齢13年超のガソリン車・LPG車

環境関連租税特別措置 租税特別措置:担税力その他の点で同様の状況にあるにもかかわらず、何らかの政策目的の実現のために、特定の要件に該当する場合に、税負担を軽減し(租税優遇措置)あるいは加重すること 環境関連の租税特別措置:本来、環境保全を目的としない既存の税を、環境配慮の観点から減免・優遇するもので、環境負荷の低減を目的として新規に課税する環境税とは異なる 問題点  ①あくまで時限的な措置であるため、その役割は限定的  ②税制を複雑にし、課税の公平性を損なう。また、その効果の検証も十分とはいえない

各国の環境税の導入年と概要 国名 導入年 施策 フィンランド 1990 「炭素税」最初導入 スウェーデン 1991 「炭素税」導入 「炭素税」最初導入  スウェーデン 1991 「炭素税」導入  ノルウェー デンマーク 1992 オランダ 1996 「一般燃料税」導入 「エネルギー規制税」導入 ドイツ 1999 既存の「鉱油税」に税率上乗せ 「電気税」新設 イタリア 「エネルギー税」改正 イギリス 2001 「気候変動税」導入 スイス 2005

京都議定書と環境税 京都議定書 ①1997年、深刻化する地峡温暖化に対処するために京都で開かれた国際会議 ②欧州各国の環境税の導入を進める機陰 ③日本の場合、京都議定書削減約束期間の2008年から2012年の平均でマイナス6%まで削減しなければならない  

環境税の必要性 増大し続けるCO₂の排出:産業革命以降30%以上増加 それに伴う地球温暖化:島々や沿岸地域の水没が予想 先進国のCO₂排出量は世界人口の3/4を占めている途上国を上回っている。しかし、今後経済発展が進められば人類のCO₂排出量は相当高くなる したがって、日本を含む先進国は京都議定書の達成という短期的な観点だけではなく、甚大な被害を防ぐという長期的な観点に立ち、率先してCO₂低排出型の経済社会に履行することを範を示していることが必要

【出展】米国国立オークリッジ研究所データより 一人当たりCO₂排出量の国際比較 【出展】米国国立オークリッジ研究所データより

環境税が急務である理由 あらゆる人・企業のCO₂排出削減を促進 継続的に、環境保全の効果を発揮 環境税の導入は他の環境政策を促進  環境税の課税はその効果が限定的である「排出量取引や「協定」に比べ、CO₂排出を削減する経済的インセンティブをあらゆる人・企業に与え、その行動を促すため、CO₂排出削減に最も効果的である 継続的に、環境保全の効果を発揮 環境税の導入は他の環境政策を促進  ○環境税の税収をさらに環境保全に活用可能  ○環境税議論が、温暖化防止のための包括的な税財改革を促進  ○環境税が、協定・排出量取引の議論を活性化 また、炭素税などの環境税が技術革新を促し、省エネルギー関連産業への投資や省エネルギー商品への需要を喚起するなら、経済成長率を押し上げ、長期的に見て経済発展に寄与する。

環境税の目的と実行に当たって 税収増が直接の目的ではない:環境税方の税金と相違しているのは、そもそも財源を確保することが目的ではないということである。税収が余っても、課税される必要がある。 環境税の実行に当たって: そのまま適用すると混乱を引き起こすため、税収中立による減税、既存の環境税である自動車・燃料関連諸税の見直し、現在エネルギー関連税の炭素税への統合が必要

終わりに  日本の社会経済の持続可能性(サステナビリティ)の問題、さらに、全世界の環境問題を主導的にリードすることを考える場合、これからは、税制においても、その在り方として、経済成長、社会保障といった種々の課題への対応に併せて、環境の視点を組み込んでいくことが不可欠である。20年後の世界の税制を見通せば、環境関連税制は何らかの形で、税体系全体の中で存在感のあるものになっていることは間違いなかろう。こうした展望に立って環境税を含め、税制全体のグリーン化について、検討の上、積極的な具体化を図っていくべきである。