Thermodynamical statistical mechanics

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物理科3回 尾尻礼菜 ブラウン運動 ブラウン運動のシミュレーション。黒色の媒質粒子の衝 突により、黄色の微粒子が不規則に運動している。
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熱流体力学 第4章 番外編 熱力学的系 状態方程式 熱力学で扱う偏微分公式 熱力学の第一法則(工学系と物理系)
1 運動方程式の例2:重力. 2 x 軸、 y 軸、 z 軸方向の単位ベクトル(長さ1)。 x y z O 基本ベクトルの復習 もし軸が動かない場合は、座標で書くと、 参考:動く電車の中で基本ベクトルを考える場合は、 基本ベクトルは時間の関数になるので、 時間で微分して0にならない場合がある。
1 今後の予定 8 日目 11 月 17 日(金) 1 回目口頭報告課題答あわせ, 第 5 章 9 日目 12 月 1 日(金) 第 5 章の続き,第 6 章 10 日目 12 月 8 日(金) 第 6 章の続き 11 日目 12 月 15 日(金), 16 日(土) 2 回目口頭報告 12 日目 12.
●母集団と標本 母集団 標本 母数 母平均、母分散 無作為抽出 標本データの分析(記述統計学) 母集団における状態の推測(推測統計学)
気体の熱的挙動 KANO 気体の挙動.
今後の予定 7日目 11月 4日 口頭報告レポート押印 前回押印したレポートの回収 口頭報告の進め方についての説明 講義(4章),班で討論
熱と仕事.
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
1.ボイルの法則・シャルルの法則 2.ボイル・シャルルの法則 3.気体の状態方程式・実在気体
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
環境表面科学講義 村松淳司 村松淳司.
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学年 名列 名前 福井工業大学 工学部 環境生命化学科 原 道寛 名列____ 氏名________
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◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
原子核物理学 第4講 原子核の液滴模型.
黒体輻射とプランクの輻射式 1. プランクの輻射式  2. エネルギー量子 プランクの定数(作用量子)h 3. 光量子 4. 固体の比熱.
前期量子論 1.電子の理解 電子の電荷、比電荷の測定 2.原子模型 長岡モデルとラザフォードの実験 3.ボーアの理論 量子化条件と対応原理
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電力 P ( Power ) 単位 ワット W = J / sec
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黒体輻射 1. 黒体輻射 2. StefanのT4法則、 Wienの変位測 3. Rayleigh-Jeansの式
今後の予定 4日目 10月22日(木) 班編成の確認 講義(2章の続き,3章) 5日目 10月29日(木) 小テスト 4日目までの内容
前回の講義で水素原子からのスペクトルは飛び飛びの「線スペクトル」
電磁気学C Electromagnetics C 7/17講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
22章以降 化学反応の速度 本章 ◎ 反応速度の定義とその測定方法の概観 ◎ 測定結果 ⇒ 反応速度は速度式という微分方程式で表現
量子力学の復習(水素原子の波動関数) 光の吸収と放出(ラビ振動)
光電効果と光量子仮説  泊口万里子.
(昨年度のオープンコースウェア) 10/17 組み合わせと確率 10/24 確率変数と確率分布 10/31 代表的な確率分布
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化学工学基礎 −後半の後半− 第1回目講義 (2009年7月10日) 1 担当 二又裕之 物質工学1号館別館253ー3号室
電子物性第1 第9回 ー粒子の統計ー 電子物性第1スライド9-1 目次 2 はじめに 3 圧力 4 温度はエネルギー 5 分子の速度
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
2.4 Continuum transitions Inelastic processes
FUT 原 道寛 学籍番号__ 氏名_______
FUT 原 道寛 学籍番号__ 氏名_______
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 8/11講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 5/29講義分 電磁場の運動量 山田 博仁.
(d) ギブズ - デュエムの式 2成分混合物の全ギブスエネルギー: 化学ポテンシャルは組成に依存
2009年7月2日 熱流体力学 第12回 担当教員: 北川輝彦.
低温物体が得た熱 高温物体が失った熱 = 得熱量=失熱量 これもエネルギー保存の法則.
4. システムの安定性.
◎ 本章  化学ポテンシャルの概念の拡張           ⇒ 化学反応の平衡組成の説明に応用   ・平衡組成       ギブズエネルギーを反応進行度に対してプロットしたときの極小に対応      この極小の位置の確定         ⇒ 平衡定数と標準反応ギブズエネルギーとの関係   ・熱力学的な式による記述.
今後の予定 (日程変更あり!) 5日目 10月21日(木) 小テスト 4日目までの内容 小テスト答え合わせ 質問への回答・前回の復習
1:Weak lensing 2:shear 3:高次展開 4:利点 5:問題点
これらの原稿は、原子物理学の講義を受講している
今後の予定 8日目 11月13日 口頭報告答あわせ,講義(5章) 9日目 11月27日 3・4章についての小テスト,講義(5章続き)
今後の予定 7日目 11月12日 レポート押印 1回目口頭報告についての説明 講義(4章~5章),班で討論
宿題を提出し,宿題用解答用紙を 1人2枚まで必要に応じてとってください 配布物:ノート 2枚 (p.85~89), 小テスト用解答用紙 1枚
熱量 Q:熱量 [ cal ] or [J] m:質量 [g] or [kg] c:比熱 [cal/(g・K)] or [J/(kg・K)]
ここでは、歪エネルギーを考察することにより、エネルギー原理を理解する。
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
電磁気学C Electromagnetics C 7/10講義分 電気双極子による電磁波の放射 山田 博仁.
FUT 原 道寛 学籍番号__ 氏名_______
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Thermodynamical statistical mechanics 電気電子工学科 3年次 鮫島俊之

Introduction 1.講義ノートはホームページからダウンロードする  1)http://www.tuat.ac.jp/~sameken/  2)講義ノートのメニューバーをクリック  3)2015年熱統計力学 (3年次後期)のコーナーの熱統計力学(ppt) をクリック

エレクトロニクス、メカニクス、バイオ、ケミカル、果ては経済論等あらゆる分野に適用可能であり、物理学の基本の一つである熱統計力学を系統的に学ぶ Introduction エレクトロニクス、メカニクス、バイオ、ケミカル、果ては経済論等あらゆる分野に適用可能であり、物理学の基本の一つである熱統計力学を系統的に学ぶ

Introduction 3.授業内容:講義・演習・レポート 4.成績評価:試験

Introduction 1.エネルギー等分配則 law of equipartition of energy 2.気体の分子運動と状態方程式および比熱 Motion of gas molecules, equation of states And specific heat 3.気体分子の速度および密度の分布 Distributions of velocity and density of gas molecules 4.エントロピーと確率 Entropy and probability 5.輸送現象・分子運動・ゆらぎ Transport phenomena/motion of melecules/ fluctuation

Introduction 6.温度 7.熱力学の第一法則 8.理想気体の性質 9.カルノーの熱機関 10.熱力学の第二法則 Temperature 7.熱力学の第一法則 First law of thermodynamics 8.理想気体の性質 Properties of ideal gas 9.カルノーの熱機関 Carnot’s heat engine 10.熱力学の第二法則 Second law of thermodynamics 11.熱機関の効率-カルノーの定理 Efficiency of heat engine and Carnot’s principal

Introduction 12.ヘルムホルツの自由エネルギー,キブスの自由エネルギー,エンタルピー(熱関数),化学ポテンシャル Helmholtz’s free energy, Gibbs’ free energy, entalpy, and chemical potential 13.熱平衡条件 Thermally equilibrium conditions

law of equipartition of energy エネルギー等分配則という凄いルールがある。 (これを身に付ければ本講義の目的の三分の一は達成される) 温度Tにある一つの(運動の)自由度には平均して、                             (1-1) のエネルギーが分配される。 自由度の種類によらない。 20世紀はじめに登場した量子力学による修正が なされたが、未だに最強のルールの一つである。

law of equipartition of energy エネルギー等分配則                              (1-1) T は絶対温度 T=θ(oC)+273.15°K k はボルツマン定数 1.38x10-23 J・K-1   である。 問1 温度20℃のとき、(1-1)は何Jか、何eVか。 問2 温度20℃のとき、He等単原子気体1個が持つ 平均的運動エネルギーの式を(1-1)に倣って書け。 2.02x10-21 J 1.26x10-2 eV

law of equipartition of energy エネルギー等分配則                              (1-1) T は絶対温度 T=θ(oC)+273.15°K k はボルツマン定数 1.38x10-23 J・K-1   である。 問3 温度20℃のとき、単原子気体1個が持つ平均運動 エネルギーは何eVか。 問4 温度20℃のとき、1モル(6.02x1023 mol-1個)の 単原子気体が持つ全平均運動エネルギーは何Jか。 3.79x10-2 eV 3.65x103 J

気体の分子運動と状態方程式および比熱 一定量の気体の圧力pは体積V及び温度θ(℃)の関数として (1-2)                              (1-2) と与えられる。これを気体の状態方程式という。 低圧の気体の場合                                (1-3) が成立する。 nmはモル数である。

R Rは気体定数である。 (1-4) (1-5) である。 NAはアボガドロ数 6.02x1023 mol-1                                   (1-4)                                    (1-5) である。 NAはアボガドロ数 6.02x1023 mol-1 kはボルツマン定数 1.38x10-23 J・K-1   である。

気体の分子運動と状態方程式および比熱 pは単位面積当たりの圧力(N/m2)である。 X n(v)・vx Δt・ ΔSである。                                (1-6) となる。(1-6)を理想気体状態式(ideal gas law)と呼ぶ。 ボイルシャルル・アボガドロの実験的状態式の理想形である。 (1-6)が常に成り立つ気体を理想気体とよぶ。 pは単位面積当たりの圧力(N/m2)である。 だからpVはエネルギーである。 理想気体分子の運動を論じよう。 速度vをもつ気体分子の密度をn(v)とする。 壁面の小面積ΔS垂直に短い時間 Δtの間に衝突する分子数は n(v)・vx Δt・ ΔSである。 X  

気体の分子運動と状態方程式および比熱 弾性衝突を仮定すると、質量mの分子1個が 壁に及ぼす力積は2mvxだから、Δtの間に   弾性衝突を仮定すると、質量mの分子1個が 壁に及ぼす力積は2mvxだから、Δtの間に 衝突する速度vの分子が単位面積の壁に及 ぼす力積は2mvx ・ n(v)・vx ・ Δtである。 あらゆる速度の分子の力積の総和が圧力である。                                (1-7) 外力が無いとき、気体の分子運動には特別の方向はないので、                                   (1-8)

気体の分子運動と状態方程式および比熱 (1-8) < >は平均値。同様に、 (1-9) (1-10) 気体分子の総運動エネルギーは                                   (1-8) < >は平均値。同様に、                                   (1-9)                                   (1-10) 気体分子の総運動エネルギーは                                   (1-11)

気体の分子運動と状態方程式および比熱 問5 (1-8)~(1-11)を用いて、                                  (1-12) を導け。

気体の分子運動と状態方程式および比熱 さらに、(1-6)を使えば、 (1-13) となる。Eを理想気体の内部エネルギーという。 そして                                  (1-13) となる。Eを理想気体の内部エネルギーという。 そして                                  (1-14) を得る。

気体の分子運動と状態方程式および比熱 (1-15) 理想気体の場合、温度Tにおいて一分子当たりのおのおのの 運動の自由度に                                  (1-15) 理想気体の場合、温度Tにおいて一分子当たりのおのおのの 運動の自由度に          (1-1)が分配される。          エネルギー等分配の法則 気体の状態方程式はエネルギー等分配の支える式である。 

気体の分子運動と状態方程式および比熱 問6 温度T, 内部エネルギーEの気体に外部から熱量ΔQを 与えた。体積は変化しない。 比熱はいくらか。

気体の分子運動と状態方程式および比熱 体積を一定に保って温度をΔT上昇させるときの内部エネルギー の上昇ΔEの係数Cvを定積比熱という。                                  (1-16) いろいろな材料のCvを調べてみた。 表1

気体の分子運動と状態方程式および比熱 単原子気体は                      (1-17) 二原子分子気体は                   (1-18) だった。 不思議? なぜだろう?

気体の分子運動と状態方程式および比熱 実は、 単原子気体の自由度は並進運動の3つである。 しかし、二原子分子気体は7つの自由度がある。 回転の自由度が2つ。 振動の自由度が2つ。(位置エネルギーと運動)

気体の分子運動と状態方程式および比熱 振動の自由度は2つ。 振動のエネルギー= 運動のエネルギー+位置エネルギー であり、運動のエネルギーと位置エネルギー の平均値は等しい。                                 (1-19)

気体の分子運動と状態方程式および比熱 だから二原子分子気体の内部エネルギーは (1-18) となる。 実は エネルギー分配の法則                                  (1-18) となる。 実は          エネルギー分配の法則  は正しくない。あらゆる温度で全ての自由度に必ず          が与えられることはない。

気体の分子運動と状態方程式および比熱 振動には振動エネルギーがあり回転には回転エネルギーがある。 これらのエネルギーを与えるに十分な温度になって初めて         が与えられる。 図は水素分子の定積比熱 の実験結果である。比熱は 10Kでは3/2R、常温付近では 5/2R、非常に高温になると 7/2Rになる. T [K] CV (T) 1 10 102 103 104 3R R 2R 4R 水素分子の定積比熱の温度変化

気体の分子運動と状態方程式および比熱 図のような比熱の温度による変化は長い間古典的熱力学にとって 大きな謎だった。 量子力学によって励起可能な自由度にのみ1/2kTが与えられるこ が示された。 比熱は身近な量だがマクロ的量子化効果を示す量である。

輻射とエネルギー等分配則 19世紀産業革命で鉄鋼業が盛んになった。 鉄道や自動車をつくるための良質の鉄が必要になった。 溶鉱炉が盛んに作られた。 炉の温度制御と管理が重要になった。 多くの人が高温の鉄が発する光を使って溶鉱炉の制御を考えた。 しかしなぜ高温の鉄が光を発するか良くわかっていなかった。 多くの科学者が光と熱の問題に取り組んだ。 アイデア:エネルギー等分配則を活用して、光を波と考えて各波長λで振動する波にエネルギーkTを割り当てる。単位体積当たりの波の数は波長が短いほど多くなる。だから波長が短いほどエネルギーが沢山分配されるだろう。

輻射とエネルギー等分配則 一辺の長さがLの立方体(体積V)の物体の中の光の波の状態の取りうる数Nはいくらか考えよう。 3次元の場合の波数がゼロからkまでの波の数を数えよう。 波数kがそれなりに大きい場合を考えよう。                 k>> π/L 波数kの波の波長は立方体の長さLより十分小さいから、波の状態は直方体の形には関係ない。よって波数kは3次元方向に等方的に球状に分布していると考えよう。 L

輻射とエネルギー等分配則 半径kの球の体積は: 最小波数π/Lの体積は: 波数がゼロからkまでの波の状態の数はおおむね、       の中に       がいくつあるかで計算できる。 (1-19)

輻射とエネルギー等分配則 光の偏向の自由度2を加えて 単位体積の場合の波数の数は (1-20) 波長で表すと、 単位体積、単位波長辺りの光の波の状態密度は、 (1-20) (1-21) (1-22)

輻射とエネルギー等分配則 光を波と考えて各波長λで振動する波にエネルギーkTを割り当てる。単位体積当たりの波の数は波長が短いほど多くなる。だから波長が短いほどエネルギーが沢山分配される。 計算すると、単位体積単位波長λ当たりのの輻射エネルギーU(λ)は                              (1-23) となる。Rayleigh-Jeansの輻射の式という。 熱力学エネルギー等分配則から導かれる式である。 しかし実際の高温発光体のスペクトルとは全く合わなかった。 太陽光のスペクトルを見てみよう。

太陽光スペクトル 太陽中心部:熱核融合によって水素がヘリウムに変わる。1秒間に430万トンの水素質量が3.8 ×1026 Jのエネルギー に変換されている。

太陽光スペクトル 太陽中心部:熱核融合によって水素がヘリウムに変わる。1秒間に430万トンの水素質量が3.8 ×1026 Jのエネルギー に変換されている。

輻射とエネルギー等分配則 レーリージーンズの式は太陽光スペクトルとは全く合わない。僅かに長波長の部分が近いだけであった。 みんな大変困った。 ドイツの科学者プランクは以下の輻射エネルギーの式が実際をよく説明することを示した。                               (1-24) Plankの輻射の式という。熱力学的エネルギー分配は光のエネルギーの大きさに依存する。長波長の光はエネルギーが小さいのでkTを受け取る。レーリージーンズの式にあう。しかし短波長の光は波のエネルギーは大きい。だからエネルギーが分配されにくい。だから短波長成分は小さくなる。

輻射とエネルギー等分配則 レーリージーンズ プランク 0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

輻射とエネルギー等分配則 問7 Tが非常に大きいか、λが非常に大きいとき、(1-24)は(1-23)に一致することを示せ。

輻射とエネルギー等分配則 5575 K 3000 K 1000 K 309 Kのあなた 0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

輻射とエネルギー等分配則 プランク輻射スペクトルは高温では強度が強くかつ短波長にピークを持つ。低温になるに従って強度は弱くなり且つピークは長波長になる。即ち物体は温度によって固有の色の光を発することになる。あなただって弱いけれど赤外線を出して光っている。 色温度という。 エネルギー等分配則の修正形であるプランク輻射分布が温度と色の関係を見事に表した。 プランク分布に光速をかけて全ての波長で積分すると、単位面積当たりの輻射出力が以下の式のように得られる。                        (1-25) シュテファンボルツマン則という。 シュテファンボルツマン定数 σ:5.67x10-8 W/m2K4

輻射とエネルギー等分配則 問8 309 Kの体温のあなたの表面積が1 m2とする。まわりの気温は293 Kである。あなたは1秒当たりσ3094 Wの熱量を放射し、まわりの気体からσ2934の熱量を受け取る。あなたは1日あたり何Jの熱エネルギーを失うか?そのエネルギーを補うために何Kcalの食物を摂取しなければならないか?

輻射とエネルギー等分配則 P N 0.5 1 1.5 2 2.5 -100 -50 50 100 ポテンシャルエネルギー(eV) 距離(nm) C V 電子 ホール 太陽光を半導体に吸収させて電力を取り出す素子がソーラーセルである。半導体にはバンドギャップがある。バンドギャップ以上エネルギーの光を当てると光は吸収されて電子とホールができる。PN接合があると半導体内部に電界が生じる。PN接合部に光励起によって電子とホールができたとき電子とホールはお互いのエネルギーの小さい方向きに移動する。即ちお互いに反対向きに移動する。よって電流が流れる。ソーラーセルに使われる代表的な半導体材料はシリコンとGaAsである。太陽光輻射とバンドギャップの関係を見てみよう。

輻射とエネルギー等分配則 GaAs シリコン 0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

輻射とエネルギー等分配則 P N 0.5 1 1.5 2 2.5 -100 -50 50 100 ポテンシャルエネルギー(eV) 距離(nm) C V 電子 ホール GaAsよりシリコンのほうがバンドギャップが小さいのでより広範囲の波長の太陽光を吸収して多くのホールエレクトロンキャリヤを生成できる。よってシリコンソーラーセルは電流が大きい。しかしバンドギャップが小さい分起電力が小さい。起電力が小さいと取り出せる電力は小さくなる。実際にはGaAsとシリコンは同程度の発電効率である。

輻射とエネルギー等分配則 問9 太陽は半径約7.0x108 mの火の玉であり表面温度は5575 Kである。地球から約1.5x1011 mの距離にある。太陽光は半径6.35x106 mの地球に降り注ぎ、その70%が地表で吸収されて地球を温める。温められた地球は地表から光を出して熱エネルギーを放出する。46億年もの長い間このエネルギーの出し入れが続いている。太陽から貰う単位時間当たりのエネルギーと地球が放出するエネルギーが釣合っているとしたとき、地表の温度は何Kか? σ:5.67x10-8 W/m2K4

固体の比熱 結晶固体は原子が三次元空間格子の上に規則正しく並んでいる。 原子は静止しているわけではなく、その平衡位置のまわりに小さな振幅の振動をしている。各原子の振動が独立である場合、1モルNA個の原子振動の力学的エネルギーの総和は (1-26) 十分高温では、                              (1-27) 比熱はC=3Rとなる。これは多くの固体について室温~高温で成り立つ事実であり、ヂュロン・プティの法則と呼ばれる。

固体の比熱 しかし慎重な測定の結果低温では成り立たないことが分かった。        C   Al Pb Ag CaF2 1 2 1R 2R 3R

固体の比熱 アインシュタインとデバイは比熱の量子論を展開して量子力学的固体比熱の式を表した。                デバイ温度  (1-28)

固体の比熱 は有名なデバイ温度である。 即ち、(振動の)自由度が励起される目安の温度である。 材料に依存する。 デバイ温度以上の高温では 振動は十分励起され、 比熱は、ヂュロン・プティの法則に 近づく。 表2  物質 Al 398 Pb 88 Ag 215 CaF2 474

再び気体の分子運動 興味深いことに、分子の並進運動平均速度は音速の上限を与える。 (2-1) だから、 (2-2)                                  (2-1) だから、                            (2-2) Mは1モルの気体分子質量である。 表2に0℃の音速の実測値uと速度 の平均値の比較を示した。 音速は分子並進速度の平均値に 近い。 軽い分子ほど音速は大きい。 表3 u (m/s) H2 1839 1262 N2 493 338 O2 461 315

再び気体の分子運動 気体分子が壁に衝突することなく、一つの分子に衝突してから さらに次の分子に衝突するまでに移動する距離「平均自由行程 Mean free path」を求めよう。 1.半径がrの分子を考える。 静止している分子BとCの間を 移動する分子Aが平均自由行 程 l を持ってBとCに衝突する 条件は右図の肌色部分の体積が の場合である。 単位体積中の分子の密度をN/Vとすると                               (2-3) であり、  

再び気体の分子運動 (2-4) となる。<l>は圧力に逆比例する。                (2-4) となる。<l>は圧力に逆比例する。 平均自由行程時間<τ>はどうなるだろうか? (2-2)から                           (2-5) <τ>も圧力に逆比例する。

再び気体の分子運動 考察:分子が距離 l を衝突せずに進む確率をψ(l)としよう。                               (2-6) となる。 ψ(0)=1, ψ(∞)=0だから、                  である。<l>をψ(l)を使って解析しよう。                               (2-7)

再び気体の分子運動 分子が距離 l を衝突せずに進む確率は (2-8) と指数減衰関数的に与えられる。                   (2-8) と指数減衰関数的に与えられる。 平均自由工程<l>は確率がe-1に減衰する距離に相当する。 これは確率論的考察であって平均自由工程の意義を理解する上で重要である。しかし、分子固有の情報を考慮したものではない。 (2-3)~(2-5)の議論は分子情報が含まれている意味で重要である。               (2-4)

再び気体の分子運動 問10 大気圧は101325Paである。温度300 KのときのMean free pathを求めよ。大気主成分の窒素の半径を1x10-10 mとする。 鮫島研究室には容器内の圧力を1x10-4 Paにできる凄い真空排気装置がある。装置内のMean free pathを求めよ。どんな目的で使うのだろうか。

中間試験しましょう 1.日時: 12月16日(水) 9時から 2.場所: 1111 3.試験範囲:学んだ範囲 4.試験時間:60分 期末1月22日 1.日時: 12月16日(水) 9時から  2.場所: 1111 3.試験範囲:学んだ範囲 4.試験時間:60分 5.注意:   ・集合時刻厳守のこと   ・途中退出は認めない   ・全員受験必須   ・資料持込不可

気体分子の速度および密度の分布 気体分子の速度は2乗平均値の平方根 のみならず、図に示すようにいろいろな値を持つ。 気体分子の速度は2乗平均値の平方根     のみならず、図に示すようにいろいろな値を持つ。 関数φ(v)を速さの分布関数という。 単位体積を考えよう。 図の色つきの部分はΔvが十分小さいとき、 ほぼφ(v) Δvに等しい。 分子の速度はベクトルであるから、 vx+Δvx, vy+Δvy, vz+Δvzの間に 入るような分子の数が f(v)ΔvxΔvzΔvzであるとしたとき 関数f(v)を速度の分布関数という。 マックスウェルが速度の分布関数 を導出した議論を解説しよう。  

気体分子の速度および密度の分布 気体分子の速度vのx成分がvxと vx+Δvxにある確率をg(vx)Δvxとする。 同様にy、z成分の速度の確率もg(vy)Δvy、g(vz)Δvzとする。 ここで速度vの各成分がある値を持つ確率は互いに独立であると仮定する。 この仮定により、単位体積当たりの分子数nを用いて、                                     (2-9) と書くことができる。 平衡状態における分子の速度分布には方向性がない。 従って分布関数fはvの方向によらず、その大きさvのみの関数となる。               (2-10)

気体分子の速度および密度の分布 平衡状態における分子の速度分布には方向性がないのだから、 g(vx) =g(-vx) である。よって                                  (2-11) と書くことができる。自然対数をとれば、                                  (2-12) vx2, vy2, vz2で偏微分すると、   (2-13)

気体分子の速度および密度の分布 (2-14) vx2, vy2, vz2によらない一定量になる。-αと置く。gとfの一つの解は これをガウスの分布関数という。   vx

気体分子の速度および密度の分布 右図に示すように等方的モデルを用いて fを積分する。Aとαを求めよう。                           (2-15)  

気体分子の速度および密度の分布 (2-15)から (2-16) つぎに、                    (2-17) 上式と併せて、

気体分子の速度および密度の分布 f(v) よって、 (2-18) 有名なマクスウェルの速度分布の式である。 右図のようになる。                                    (2-18) 有名なマクスウェルの速度分布の式である。 右図のようになる。 なんと速度ゼロの成分が一番多い。 そして速度が大きくなるにつれて確率は 小さくなっていく。 v f(v) 0

気体分子の速度および密度の分布 速さの分布関数φ(v)は φ(v) Δv=f(v)4πv2 Δv とかける。(2-18)から (2-19)                                    (2-19) となる。グラフのようになる。 上記議論の正しさは実験的に 確かめられている。  

気体分子の速度および密度の分布 偉大なマックスウェルの分布関数を学ぶために練習しよう。 問:φのピークを与えるvmaxはいくらか。 vmaxとT,mの関係を議論せよ。  

気体分子の速度および密度の分布 偉大なマックスウェルの分布関数を学ぶために練習しよう。 問:φのピークの半値を与えるvを v1とv2とする。v2>v1 v2-v1の値を議論せよ。  

気体分子の速度および密度の分布 偉大なマックスウェルの分布関数を学ぶために練習しよう。 問: である。 を計算せよ。 問:           である。                を計算せよ。 エネルギー等分配で学んだ と比較せよ。

気体分子の速度および密度の分布 偉大なマックスウェルの分布関数を学ぶために練習しよう。 問:体積Vの大きな容器に圧力p、数密度Nで希薄な気体がつめられている。温度はTとする。気体分子の速度分布はマックスウェルの分布に従う。容器の壁に面積Aの小さな穴を開けたとき、単位時間に気体がもれる分子数 pを用いて表せ。容器の外は真空とする。

気体分子の速度および密度の分布 分布関数が速度vのみでなく位置rにも依存する場合がある。 位置と速度の成分が xと x+Δx、 yと y+Δy、 zと z+Δz vxと vx+Δvx、 vyと vy+Δvy、 vzと vz+Δvz にある分子の数を単位堆積当たり とする。 Z方向に位置エネルギーU(z)による保存力の外力が働くとしよう。                                    (2-20) と書く。

気体分子の速度および密度の分布 外力の作用により、時刻tでrにあった速度vの気体分子が、 Δt後に r+Δrと v+Δvになったとすると、                                    (2-21) となり、                                    (2-22) 外力はあるものの、マクスウェルの速度分布は実現していると仮定しよう。                                    (2-23)

気体分子の速度および密度の分布 エネルギー保存則                                (2-24) が成り立つ。(2-22)を応用しよう。 (2-25)

気体分子の速度および密度の分布 (2-26) を得る。そして、 (2-27) となる。                                (2-26) を得る。そして、                                    (2-27) となる。 分子の位置rがxと x+Δx、 yと y+Δy、 zと z+Δzとの間にある単位体積当たりの分子の数を n(r)ΔxΔyΔzとすれば、n(r)は                                    (2-28)3)

気体分子の速度および密度の分布 n0はU(r)=0の値である。 Uが重力U=mgzの場合は、 (2-29)                     (2-29) となる。Zが大きいほどnは小さい。 右図のようになるだろう。 なるほど、高い山に登れば空気が薄い 感じがする。重力ポテンシャル化のマク スウェルの議論の結論は我々の常識に 適っている。 さらにmが大きいほどnは小さい。重い気体は上空には少ないことになる。  

気体分子の速度および密度の分布 気圧を考察しよう。 さらに                      だから                    (2-30)  となる。気圧計の公式という。

エントロピーと確率 位置と運動量を伴う量子状態を持つ物体がx,y,z,px,py,pzを座標とする6次元空間の体積ωi=ΔxΔyΔzΔpxΔpyΔpzのセルにあるとしよう。さらにセルの体積ωiがプランク常数の3乗h3の整数gi倍であるとする。 giをセルiの統計的重みと呼ぶ。 そして分子一つがセルωiに入る確率 は統計的重みgiに比例するものとする。 図はgi=8の箱にNi=3個の球を配ったときの配り方を示している。 球の配り方はgiN通りある。球が互いに区別できないときNi!=3!=6の配り方は互いに同等となる。従って球が互いに区別できないときNiの配り方は 83/3!~85通りとなる。        3

エントロピーと確率 一つの量子状態に一つの箱を対応させて考えよう。 一つの分子に一つの球を対応させる。 セルωiはgi個の箱に対応する。 gi個の箱にNi個の球を配るとき配り方 はgiNiである。 量子力学的には同種の球は区別でき ない。Ni!個の配り方が重複する。 従って、Ni個の分子がセルωiに 入る確率は                   (3-1) である。もしgi>>Niならば、量子箱の中にはせいぜい1個しか分子は入らない。   3

エントロピーと確率 こうして、セルω1, ω2, ω3・・にN1, N2, N3・・・の分子が入る確率は (3-2)に比例する。Wをボルツマン統計上の熱力学的確率という。 厳密には粒子(分子)の性質によってフェルミディラック統計とボーズアインシュタイン統計の2種類がある。 但し、gi>>Niならば両者のWは(3-2)に一致する。                               (3-3) スターリングの公式がある。Nが十分大きいとき なぜなら、

エントロピーと確率 スターリングの公式を利用して、 (3-4) に比例する。Wをボルツマン統計上の熱力学的確率という。 スターリングの公式を利用して、                                         (3-4) に比例する。Wをボルツマン統計上の熱力学的確率という。 外力が働かない単原子分子気体において関数S(t)を以下のように導入する。                      (3-5) kはボルツマン定数 Sをエントロピーという。エントロピーは               (3-6) ボルツマンのH定理 の性質を持つ。即ち、気体分子が最初どんな分布をしていたとしても、Sは常に増大し、熱的平衡状態のときに最大値をとる。

エントロピーと確率 Sが時間と共に大きくなることはWが大きくなることと等価である。 大きなWを持つことは大きな実現の確率を持つことである。熱的変化の進行に伴って気体は実現確率の小さい状態から大きい確率の状態へ移っていく。 熱平衡は実現の確率が最大の状態である。 エントロピーは相加性を持つ。熱のやりとりのない気体AとBがあったとき、 合成系A+Bのエントロピーは 熱力学的確率は となる。

エントロピーと確率 単分子気体のエントロピーを計算してみよう。 (3-4)から、 外力が働かない場合分子位置に特徴はないので、セルωiは であり、                      だから、                             (3-7)である。

エントロピーと確率 であり、                 を使うと、 (3-8)となる。

エントロピーと確率 例1)隔壁を隔て同じ容積Vの箱の左側にのみ 理想気体が数密度nで入っている。隔壁の穴を を開き気体が右の部屋に拡散して一様の数密 度n/2になり平衡状態に達したとしよう。箱の外 からの熱の出入りがなければ、気体の内部エネ ルギーには変化がない。温度は変わらない。 最初の状態のエントロピーS1は となる。隔壁の穴を開けて平衡状態に達したときのエントロピーS2は                           エントロピーの差は V 2V

エントロピーと確率 例2)熱的に絶縁された体積Vの二つの容器に それぞれ温度T1(低温)とT2(高温)の気体が 入っている。各容器内の分子の数はいず れもNである。 次に二つの容器を接触させて熱ΔQを高温側 から低温側に移す。 ΔQ=νCvΔT=3/2NkΔTとする。 高温側の温度はT2-ΔT、低温側はT1+ΔT になる。

エントロピーと確率 問 を示せ。 ΔTが小さいとき、エントロピーの変化は

エントロピーと確率 ΔSとΔQの間には実に簡単な関係がある。 もし、T2>>T1なら

エントロピーと確率 例3)例1)の問題で分子数が1この場合を考えよ う。隔壁の穴を閉じた時分子は左側にあるとする。 右側は空である。「左側に分子がある」情報が書き 込まれた状態と考える。隔壁を開くと分子は拡散 し右の部屋も移動できる。右と左にいる確率は同じ である。どちらに分子が居るかは決定できない。 隔壁を開くことは先の情報が消去ることと等価で ある。情報消去するとエントロピーは だけ増大する。情報を消去するとエントロピーは必ず増大する。 人間の脳の情報も、半導体メモリーもこのルールから免れることはできない。 V 2V

エントロピーと確率 1ビットの情報消去によるkln2のエントロピー の増大は、1961年にIBMのロルフ・ランダウアー によって提唱された。 エントロピー増大が熱放出を伴うとき、環境に 放出される熱は を下回ることはできない。       ランダウアー限界という。 エントロピーが変化しない、エネルギーを消費しないメモリーを作ることはできない。 V 2V

エントロピーと確率 例4)マクスウェルの悪魔: マクスウェルは1867年に気体のエントロピー を減少させる空想上の動物「マクスウェルの 悪魔」を考えた。 熱力学では体積一定の断熱壁を持つ容器 内の物体において温度と圧力がどこでも同 じ値を持つとき、即ち熱力学的平衡状態に ある孤立系では外からの仕事の消費なしに は圧力や温度に値に分布をつけることはできない。即ちエントロピーを減少させることはできない。 しかし、マクスウェルの悪魔は箱の中に居て容器の中を飛行する各分子を目で追うことができる。隔壁の穴のふたを閉じたりして穴に 衝突する分子のうち速度の大きいものだけをAからBに通し、速度の小さいものだけをBからAに通す。こうすれば仕事を消費することなくBの温度を上げ、Aの温度を下げて温度差を生じることができる。 本当に可能だろうか?100年以上解き明かせなかった難問

ブラウン運動 1826年植物学者ブラウンが発見した水の中の花粉の不規則な運動は、1906年にアインシュタインによって解明された。ブラウン運動は花粉粒子に空気または水分子が衝突し不規則な力を加えることにより起こされる運動であった。ブラウン運動の測定からアボガドロ数NAを求めることができることもわかった。こうしてブラウン運動は分子の実在の証明を与えたものとして科学史上有名な現象となった。 花粉粒子の質量をm、水の分子との衝突により与えられる不規則な力をKx, 粘性抵抗係数をcとする。粒子の運動の座標のx成分は、                     (3-9) であり                              (3-10)となる。

ブラウン運動 式の両辺を各粒子について平均する。 Kxは不規則に変化する力の成分だから、 であり、エネルギー等分配法則から である。           とおくと、                 (3-11)の非斉次微分式を得る。

ブラウン運動 (3-11)の解は、 (3-12) c/m>>1なので十分時間が経ったときは よって、 (3-13)を得る。                       (3-12) c/m>>1なので十分時間が経ったときは よって、                    (3-13)を得る。 t秒間にブラウン運動によって起こされた粒子の変位をLとすると、                               (3-14) Lは時間の0.5乗に比例する。

ブラウン運動 (3-14) (3-14)はランダムな運動に普遍的に生じる統計力学的量であり                               (3-14) (3-14)はランダムな運動に普遍的に生じる統計力学的量であり 重要である。時間の進行と共に変位が大きくなる。拡散という。 Lを拡散長と呼ぶこともある。 空気分子の拡散、 熱の拡散、 電子キャリヤの拡散、 拡散現象が身の回りに見られる。 t=T t=0

ブラウン運動 (3-13においてもし粘性係数がわかっていればt秒間に ブラウン運動によって起こされた粒子の変位L を調べればアボガドロ数がわかる。 ぺラン(1870-1942)は2次元系における実験 を行った。即ち に基づき粒子変位をxy面に投影したものの 二乗平均値を調べ、 NA=6.5x1023 を得た。 現在の最も確からしい値は、 NA=6.02252x1023 である。

中間試験 1.単原子理想気体の定積モル比熱をRを用いて書け。 答え 1.5R 期末1月22日 1.単原子理想気体の定積モル比熱をRを用いて書け。 答え    1.5R                    2.温度が十分高いとき、窒素分子気体の定積モル比熱をRを用いて書け。またその理由を50字以内で書け。 答え 3.5R 理由 一分子の並進3、回転2、振動2の自由度に0.5kTが与えられるので定積モル比熱は3.5R 3.太陽輻射スペクトル強度は量子力学的修正を施したエネルギー等分配則(プランク輻射則)によって説明される。そのポイントを150字以内で書け。 ポイント 波長が長いときは輻射振動自由度2にkTが100%分配されるが、波長が短くなると輻射エネルギーが大きくなり分配率が小さくなる。対して輻射振動自由度数は波長が短いほうが大きい。よって輻射スペクトルは温度に応じた最大値ピーク波長を持つ。 

中間試験 期末1月22日 4.平熱309Kのあなたが、インフルエンザにかかって312Kになったとき、あなたの体から発せられる総輻射強度は平熱時より何%増大するか。 答え   4%                                    5.ヂュロン・プティの法則によるとアルミニウムのモル比熱はいくらになるか。数値で答えよ。単位も書くこと。 答え    24.9 JK-1mol-1                    6.マックスウェルの速さ分布関数は で与えられることを学んだ。300 Kの温度下で質量4.7x10-26 kgの窒素分子が分布関数のピークを与える速さはいくらか。有効桁2桁の整数値で答えよ。 答え   420 m/s                

中間試験 期末1月22日 7.図のように体積Vの箱を2個用意する。それぞれにN個の1原子理想気体を入れて、温度を200 K、と300 Kする(図(a))。次に箱を密着させて穴を開け、分子が2つの箱の間を自由に運動できるようにした(図(b))。図(a)のときの2個の箱のエントロピーの合計は以下の式で表される。 図(b)のときエントロピーSは増加する。 増加分ΔSを答えよ。 答え             

熱力学第一法則 力学で学んだ力学的エネルギー保存則は少なくとも地球上の現実に起こる物体の運動に対しては成立しない。摩擦による力学的エネルギーの減少とそれに伴う熱の発生があるからである。また熱を消費してそれを力学的エネルギーに変えることもできる(熱機関)。力学的エネルギーの消滅と熱の発生には一定の換算割合が存在する。そこで 熱はエネルギーの一つの形態でありエネルギー保存則は力学的エネルギーと熱エネルギーを含めて成立する という主張をする。熱力学第一法則という。昔の人の努力によって、消費した仕事W(ジュール)によって発生した熱量Q(カロリー)、あるいは消費した熱量Q’によって得られた仕事W’の間には が成り立つ。Jを仕事当量と定められた。

熱力学第一法則 即ち熱量にカロリーを使っていた時代のことである。現在では全てジュールであらわすので、仕事当量=1が用いられる。 状態Aと状態Bを考える。それぞれに内部エネルギーU(A)とU(B)の状態量を定義する。内部エネルギーの変化はAからBに移る際の仕方によらない。即ち、                          (4-1) 熱力学の第一法則の数式表現である。

準静的過程 B 平衡を保った系が殆ど平衡とみなされる状態を保ちながら他の平衡状態に移るような過程がある。このような過程を準静的過程 という。 断面積AのピストンBをもつ容器に気体が入っている。 ピストンは内部の気体から力Fを受けて外部に移動しよう とする。この力と全く同じ力を逆向きにピストンに作用さ せるとピストンは移動しない。このとき容器内の気体は 平衡状態を保っている。 いま外部からの力を内側からの力に対して少し小さくす ると、ピストンは外に向かってゆっくり動き始める。ピストンの動きによって内部の状態は変化するが、動きの瞬間瞬間では気体内は平衡状態を保っているように見える。                           B

準静的過程 ピストンが移動した微小距離を⊿lとし、気体がした仕事を⊿Wとすると、 断面積Aを用いて、 (4-2) ピストンが移動した微小距離を⊿lとし、気体がした仕事を⊿Wとすると、                    断面積Aを用いて、                                       (4-2) pは圧力である。一様な気体の入った容器は単位面積当たりどこでも圧力pを受けている。  ピストン内部の温度が一定の場合を考える。気体が外部に対して仕事をするにもかかわらず温度が一定に保たれるためには仕事をした力学的エネルギー分に等しい熱を系外から加えなければならない。                         

準静的過程 B 温度T 容器を非常に大きな熱容量のある熱源に接触さ せて準静的に外部に対して仕事をさせると、無限 小の圧力差に対応して無限小の温度差が容器と 熱源との間に生じる。そして熱の移動が準静的な 過程において行われることになる。 今、図のような系を考える。状態A(pA, VA)から 経路C1を通って状態B(pB,VB)に準静的変化を したとする。系が受けた仕事W1は となり、次に別の経路を通ってもとの状態 に戻る過程を考えると、仕事W2は

準静的過程 AからBを経てAに戻った場合の仕事は (4-3) となる。これは図のA,C1,B,C2で囲まれ                          (4-3) となる。これは図のA,C1,B,C2で囲まれ た部分の面積に等しくなる。このような過程 を循環過程あるいはサイクルという。 AからBを経てAに至る循環過程でもとの 状態に戻るのだから系の内部エネルギーは変化しない。 しかし、外部にWの仕事をしたのだからそれに等しい熱Qが移動して 来たことになる。内訳はC1経路に対してはQ1の熱がピストンに与えられ、C2経路に対してはQ2がピストンから外に出て行く。 一つの循環過程では内部エネルギーの差はゼロであるが、仕事及び熱量の差は別々にはゼロにはならない。即ち仕事と熱は独立の状態量ではない。

理想気体の性質 1.ジュールは、閉じた系で気体を自由膨張させたとき、その前後において温度の変化がないことを確かめた。最初の気体の内部エネルギーをU1、自由膨張後の内部エネルギーをU2とすると、熱力学第一法則から、                                (4-4) となる。外界との交渉がない閉じた系だからQ=0,W=0 よって、                           (4-5) ジュール・トムソンの法則:理想気体の内部エネルギーは体積変化には無関係であり、温度のみの関数である。

理想気体の性質 2.ところが、ジュールとトムソンはいろいろな気体を小さな穴から静かに噴出させる実験を慎重に行った。その結果、 気体の温度が変化する現象が見つかった。           ジュール・トムソン効果 という。酸素、窒素、炭酸ガスは温度が下がる。 しかし水素、ヘリウムでは温度が上がる。 一般の気体は完全にはジュールトムソンの法則には従わない。

気体の比熱 1gの均質な物体に熱量ΔQが与えられたとき、その温度がΔTだけ上昇したとすると、物体の比熱Cは (4-6)                           (4-6) で定義される。体積Vが一定の場合を定積比熱Cvという。また1モルの物質の場合を定積モル比熱という。 内部エネルギーの変化ΔUは、 であり、Cvは微分式で表すと、                             (4-7) となる。

気体の比熱 これに対し、定圧比熱は                           (4-8) であり、p=constなら、

気体の比熱 よって定圧比熱は                            (4-9) となる。物質の体積膨張率をαとすると、 であり、                            (4-10) となる。

気体の比熱 一般の物資には の関係が知られている。また、 の関係があり、   等温圧縮率 を導入すれば、                      (4-11) となる。

気体の比熱 結局、一定積比熱と定圧比熱の間の関係式                           (4-12) を得る。

理想気体の比熱 理想気体では、                     (4-13) であり、1モルの場合はpV=RTから、 となり、                (4-14) が得られる。

理想気体の比熱 実験的にCpは温度に無関係であることが知られている。 よって理想気体のCv,Cpは共に状態変数p、V、Tに無関係である。 となり、                   (4-15) が得られる。多くの気体で成り立つ関係式である。

理想気体の準静的断熱変化 変化の過程において系と系外との間に熱の授受がない場合を 断熱変化という。熱力学第一法則から、 (4-15)                       (4-15) 一般に、 理想気体に近似できる場合、                 だから

理想気体の準静的断熱変化 RT=pVで割る。 Cp-Cv=Rだから

理想気体の準静的断熱変化 よって、 (4-16) (4-17)                       (4-16)                       (4-17) ポアソン法則という。理想気体が準静的に断熱的に変化するときのpとVの関係を表す。 1原子理想気体の場合、γ=5/3

面接試験しましょう 期末1月22日 1.日時: 1月20日(水)  2.場所: 1111 3.注意:   ・資料持込可   ・電卓可   ・話し合い可

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