~「3C」戦略でハイエンド市場を攻め、脱下請けを狙う~ 中小企業のアジア新興国戦略 ~「3C」戦略でハイエンド市場を攻め、脱下請けを狙う~ 21211319 豆生田泰樹
本日の目次 問題意識 仮説 アジア新興国の市場成長性 大企業との住み分け アジア新興国戦略の「3C」 結論
問題意識 アジア市場の拡大 産業の流出 高度技術を活かした 中小企業の生き残り戦略とは 産業を下支えしてきた 国内中小モノづくり企業の 日本社会 人口減少、超高齢化 (市場規模の縮小) アジア市場の拡大 産業の流出 産業を下支えしてきた 国内中小モノづくり企業の 高度技術を維持、発展 させるべき アジア進出が成長、生き残りに不可欠 中小企業は大企業に引きずられる形で進出 高度技術を活かした 中小企業の生き残り戦略とは
日本の人口減少 人口推計の出発点である平成22(2010)年の日本の総人口は同年の国勢調査によれば1億2,806万人であった。出生中位推計の結果に基づけば、この総人口は、以後長期の人口減少過程に入る。平成42(2030)年の1億1,662万人を経て、平成60(2048)年には1億人を割って9,913万人となり、平成72(2060)年には8,674万人になるものと推計される。 出典:国立社会保障・人口問題研究所~日本の将来推計人口(平成24年)~ http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/con2h.html
日本社会の超高齢化 総人口が減少するなかで高齢者が増加することにより高齢化率は上昇を続け、平成25(2013)年には高齢化率が25.1%で4人に1人となり、47(2035)年に33.4%で3人に1人となる。54(2042)年以降は高齢者人口が減少に転じても高齢化率は上昇を続け、72(2060)年には39.9%に達して、国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来すると推計されている。 出典:内閣府HP~平成24年版 高齢社会白書~ http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2012/zenbun/s1_1_1_02.html
仮説 国内中小企業は高度技術を活用し、アジアを中心に新興国のハイエンド市場をターゲットとする独自製品の開発に注力すべきである。 それにより、国内外大手メーカーの下請けに甘んじず、独自の発展が遂げられるのではないだろうか。
増加するアジア新興国人口 国連資料「2012年版 世界人口展望」より 著者作成
新興国の所得層別人口推移 出所:経済産業省 『通商白書2011』より 第3-1-1-1図 1)世帯年間可処分所得が35,000ドル以上を富裕層、15,000ドル以上~35,000ドル未満を上位中間層、5,000ドル以上~15,000ドル未満を下位中間層、5,000ドル未満を低所得層とする。 2)ここでは、新興国のデータについて、経済規模、データ制約を考慮し、以下27の国・地域を対象としている。中国、香港、韓国、台湾、インド、インドネシア、タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシア、フィリピン、パキスタン、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、南アフリカ、エジプト、ナイジェリア、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、ロシア、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア。 内、アジアは3.5億人 出所:経済産業省 『通商白書2011』より 第3-1-1-1図
大企業と中小企業の住み分け 株式会社コスモテック 1989年設立。 粘着シート開発、加工業。 社員44名。同業の大手企業と比較して、特異な技術は持たないと言うが、近年の業績の伸びは好調。コスモテックには十分で、大手企業にとっては収益の小さい市場を開拓し続けている。 市場開拓は取引先に対するソリューション提案による。 コスモテックHPより
アジア新興国進出の「3C」 中小モノづくり企業がアジア新興国に進出する際に求められる、3つの「C」。 Character = 特質 Collaboration = 協同 Channel = 販売ルート
Character = 特質 ・岡野工業株式会社 ・1972年、現社長の岡野雅行が父親から会社を引き継ぎ設立。 ・社員10名に満たない企業だが、糖尿病治療に必要なインスリン注射器に使用される「痛くない注射針」では、世界シェア100% 痛くない注射針(ナノパス33) ・他に、携帯電話の小型化に大きく貢献した、リチウムイオン電池ケース(1枚のアルミニウム板から非常に精密な絞り技術で薄いケースを作る)の開発に成功するなど、不可能を可能にする「世界一の職人」。
Collaboration = 協同 ・株式会社浜野製作所 ・1978年、墨田区にて金属金型加工、プレス加工企業として設立。 ・下町の町工場の技術を集結し、8,000メートルの深海探査装置を開発。2013年に世界初7,800深海での生物撮影に成功している。 墨田区、早稲田大学、他の墨田区の中小企業との連携により、観光型都市の環境に配慮した 次世代モビリティ「HOKUSAI」を開発。 ・他に、産官学連携による製品開発、社会貢献活動など、多数のプロジェクトを実施。
Channel = 販売ルート ・三鷹光器株式会社 ・1966年、天体望遠鏡メーカーとして創業。 ・従業員数は50人程度だが、生粋の技術開発型企業で、次々と各種の賞を獲得してきた。 三鷹光器を天皇陛下がご視察 宮内庁HPより ・脳神経外科手術用顕微鏡で米国内シェア50~60%を保持。 ・世界的販売網を持つ「ライカマイクロシステムズ」と提携し、自社の特許商品を世界市場で展開している。 ・太陽熱集光装置でアジア市場開拓を狙う。
結論 中小企業の独立的な発展、生き残りのためにはアジア新興国のハイエンド市場の開拓が有効と考えられる。 市場開拓の際に軸として捉えるべきは「3C」である。 市場、技術の変化に敏感であり、「作ったものを売る」経営ではなく「売れるものを作る」経営を心がけ、技術を維持、発展させるべきである。 半世紀後の市場を中南米、アフリカに求めるのではなく、足元のアジアに根差した生き残りの姿勢を貫くべきである。
参考文献 ・HP 世界に必要とされる中小モノづくり企業(株式会社アイリンク) http://ilink-corp.co.jp/small_business_management/manufacturing_small_business.html GlobalStudy ASIA 縮む日本、膨らむアジア http://www.globalstudyasia.com/career/ 世界の統計2014(統計局ホームページ) 第2章 人口 2-1 世界人口の推移(1950~2050年) http://www.stat.go.jp/data/sekai/0116.htm DIAMOND online 強い中堅企業はここが違う! 第9回 2009年11月4日 http://diamond.jp/articles/-/3146 DIAMOND online 強い中堅企業はここが違う! 第10回 2009年11月25日 http://diamond.jp/articles/-/819 ・書籍 加藤秀雄『日本産業と中小企業』新評論、2011 新宅純二郎、天野倫文『ものづくりの国際経営戦略』有斐閣、2009 加護野忠男『日本型経営の復権』PHP研究所、1997 日本中小企業学会『アジア新時代の中小企業』同友館、2004 湯之上隆『電機・半導体 大崩壊の教訓』日本文芸社、2012 ・調査報告書 大阪産業経済リサーチセンター『国内中小製造業とアジアの日系製造業との関係構築に向けて』大阪府、2012 『通商白書2011』経済産業省、2011 先行研究文献増やす、読み込む←序章と結論を