器械運動(マット運動)における技の系統性の整理と 教師の指導力の向上 ~誰もができる喜びを味わえるために~

Slides:



Advertisements
Similar presentations
日常生活にはあまりない動きを 集まった仲間とともに、きれいに出来るよ うに 頑張って取り組んでいきましょう!
Advertisements

1 このプレゼン資料について ● 校内(園内)研修での使用を目的に作成しました。 ● 「個別の教育支援計画」を理解し、作成する上で大切 な事柄を整理し、図やテキストで示しました。 ● 各スライドでは、ポイントとなる事柄を吹き出しや枠 囲みで示し、強調しています。 ● 各スライドのノートには、スライドの内容とポイント.
教科のねらいに迫る ICT 機器の活用 柏市立柏第二小学校 西田 光昭
研修のめあて 授業記録、授業評価等に役立てるためのICT活用について理解し、ディジタルカメラ又はビデオカメラのデータ整理の方法について研修します。 福岡県教育センター 教員のICT授業活用力向上研修システム.
平成19年度 「長崎県国語力向上プラン」 地区別研修会
平成19年度長崎県国語力向上プラン地区別研修会
教育の情報化に関する手引のポイント 平成21年6月 平成21年度情報教育担当者研修
日本の英語教育 c 奥田波奈.
徹底活用するための校内研修パッケージ これから、「子どもの学びを支えるヒント集2」を活用した校内研修を始めます。
緊急時の初期対応について ~ポジションペーパーの作成を通して~
 テーマ別解説 中学校における 情報モラル指導の実際 千葉県八千代市立八千代中学校 校長 坂本 仁.
学力調査の結果概要 A区分問題(知識) B区分問題(活用) 小学校国語 小学校算数 中学校国語 中学校数学
いじめ防止全体指導計画 【対応1】 未然防止・早期発見 【対応2】 緊急対応・早期対応 いじめ発生 基本姿勢 雲仙市立千々石第一小学校
子どもが主役となる明るく元気な学級づくり
子どもたちが夢と希望を持ち、地域と密着した学校
地域ぐるみで子どもを育み 子どもも地域(大人)も高まり合おう 平成27年度 はまだっ子共育シンポジウム
子ども達への科学実験教室の運営方法論 -環境NGO「サイエンスEネット」の活動事例をとおして- 川村 康文
マイクロティーチング 演習 指導案作成 模擬授業発表
マット運動における教師の指導力向上 ~デジタル指導書の活用を通して~
教職院 ナッキョン 奈良市高畑町 得意: 授業での「つかみ」
柏市立中原小学校 西田 光昭 教育におけるタブレット活用の             課題と展望 柏市立中原小学校 西田  光昭
PT、OT、ST等の外部専門家を活用した指導方法等の改善に関する実践研究事業(新規) 平成20年度予算額(案) 42,790千円              
情報は人の行為に どのような影響を与えるか
平成26年度 鶴ヶ島市立新町小学校グランドデザイン めざす学校像 一人ひとりが輝き、確かな学力が獲得できる学校
さかえ小卒業までに、子どもたちに、身につけさせたいこと
総合学科における インターンシップの取り組み
プレゼン資料(進行者用・研修者用) 校内研修会 学級の人間関係づくり② ~ SSTとアサーショントレーニング ~
保健学習の進め方・指導案の書き方 さいたま市立三橋小学校   豊島  登.
認知カウンセリング 学習意欲改善に対する可能性.
ICT(情報通信技術)を 活用した体育教材の開発
教育研修センター通信 ☆情報教育夏季研修☆(7/23,24 8/22実施) ☆人権教育研修☆(7月25日実施)
<研修資料>研修後の具体的な取組の事例紹介 <クラスの実態に合わせて個々の学級担任が取り組んだ例>
薩摩川内市小中一貫教育特区 (連携型) 平成18年4月~平成20年3月
知・徳・体・地域連携 伏見中学校 教育目標 心豊かに共に生きよう 生き生きした生徒が集う学校 特に今年度取り組んだ点は 知の部分
大阪の子どもたちの体力づくり 資料4 課 題 〈参 考〉主な取組み 今 後 の 取 組 み(例)
丹波市立西小学校 教諭 細見 隆昭 2007年2月25日(日) 神戸市ハーバーランドダイヤニッセイビル
茨城県つくば市立茎崎第一小学校 校長 大塚 隆幸
基礎・基本と活用する力を確かに育む学校の組織的な取組
「情報活用の実践力」の育成と評価を中心とした校内体制のあり方
現代学生の運動生活と スポーツ意識について
国内外のスポーツ振興キャンペーン D  丹波 麻斗.
アスッペンくん 奈良市立飛鳥中学校.
●校内研修(自立型研修)での活用 自立型研修での活用について紹介します。 研修の中でも最も身近なものとして、校内研修があげられます。
5.目的意識(疑問や予想など)を持つことと子どもなりの問題解決
小中連携を進めるために! 外国語教育における 三つのステップと大切にしたいこと 岐阜県教育委員会 学校支援課
ICT活用指導力向上のための ICT教育研修と校内研修
第70回全国連合小学校長会 研究協議会北海道大会 第61回北海道小学校長会 教育研究函館大会
ポジティブな行動支援実践の流れ 個人 小集団 クラスワイド スクールワイド 指導すること(目標)を決める 指導の仕方を決める
今年度の取り組みについて 情報共有システムの評価に関するアンケート結果
メンターチームによる初期研修について 1 現在の課題 国の方向性
不登校対策担当者の役割 キーパーソン? 学校の 組織的な対応 不登校対策担当者ナビー1 宮城県総合教育センター ②校外研修に参加
茨城県つくば市立茎崎第一小学校 校長 大塚 隆幸
中学校保健体育科 1 改訂の趣旨及び要点 新学習指導要領の趣旨を踏まえた授業づくり 改訂の基本的な考え方 目標の構成の改善 内容の構成の改善
平成15・16・17年度 田辺市教育委員会指定研究校 『情報化社会を生きる児童の育成』
平成31(2019)年度 ○○○立○○小学校 学力向上プラン(例)
計 画 支 援 要 請 支 援 平成21年度の研修支援 「『大阪の教育力』向上プラン」に基づく府内全公立小中学校への訪問
福岡県教育センター ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 研修担当の先生へ ※ ※ ※ ※ ※ ※
伊 丹 市 子どもサポーター 募集中! 教員をめざすあなた 学生の今だからできる 子どもたちへのサポート! 子どもサポーターの声
IT活用のメリットと活用例 校内研修提示資料.
教育情報共有化促進モデル事業報告 中学校数学 平成16年1月31日 岐阜県 学習システム研究会「楽しく学ぶ数学部会」
小学校では今, 情報モラル教育への取り組みは
6年間の学びを保障する授業設計支援 システムの開発と評価方法の研究開発 ~活動ユニットを活用した総合的な学習の時間の構想~
小中連携・一貫教育による確かな学力の育成
豊後大野市立百枝小学校 情報推進化リーダー 日浦 賢一
宇佐支援学校 学校評価実施計画 改善 教職員自己評価 自分らしく 生活する 子ども 保護者・ 地域から 愛される 学校 のびのびと 過ごせる
自分の思いや考えをもち、 進んで取り組む子
スライド資料 D4-2 授業での教員によるICT活用 ②児童生徒一人一人に課題を明確につかませるための教員によるICT活用
基礎情報の収集・・・前年度の出欠席状況、配慮の必要性、長期欠席経験者への対応
小学校プログラミング教育の 展開のポイント
平成20・21年度 国立教育政策研究所・教育課程研究センター指定
Presentation transcript:

器械運動(マット運動)における技の系統性の整理と 教師の指導力の向上 ~誰もができる喜びを味わえるために~ 丹波市立 東小学校   大槻 武志 丹波市立 北小学校   藤原 義行 氷上情報教育研究会

研究の動機と目的 器械運動(マット運動) 子ども:できない原因がわからないまま練習 基本的な力が身についていないままの高学年  子ども:できない原因がわからないまま練習      基本的な力が身についていないままの高学年      できるできない二極化 苦手意識 体育嫌い      (技ができる喜びをもっと感じたい) マット運動における教師の指導力向上 教 師:技を達成させる 視点(技のポイント) 不明確     身につける力・力のつながり  意識しない授業     マット運動の指導方法         抽象的 (技ができる達成感・成就感を味わわせたい)

研究の進め方 コンテンツ開発 コンテンツ利用評価 検証 マット運動 : 技の系統性を整理(前転系) 《技を達成させる 視点(技のポイント)》  《身につける力・力のつながり》   《マット運動の指導方法》          来年度  教師の指導力向上・子どもに器械運動の楽しさ コンテンツ利用評価 検証

研究の実際 《マット運動における技の系統性の整理》 ○丹波市の各小学校体育担当者 子どもの実態に応じた 《マット運動における技の系統性の整理》   ○丹波市の各小学校体育担当者   子どもの実態に応じた ○民間の器械運動専門機関との連携・講習会への参加 現場の現状、専門家、双方の視点からまとめた系統性の整理

デジタルコンテンツ マット運動〔前転系〕の指導の系統性 学年 3年 4年 5年 6年 項目 前転 達成すべき技のレベル 跳び前転 回転感覚 大きな前転 開脚前転 達成すべき技のレベル 前転 膝伸前転 倒立前転 跳び前転 身につける力 ( 技 能 ) 回転感覚 踏み切り感覚 腕支持感覚 回転する力 低い位置からなめらかに回転する力 高低差を回転エネルギーに変換する力 回転力を得る力 より大きな高低差を大きな回転のエネルギーに変換する力 より大きな回転力を得る力 変換した大きな回転エネルギーを利用する力 回転力を利用する力 技のつながり 前転系の技 大きな前転 跳び前転 膝伸前転 倒立前転

デジタルコンテンツ マット運動〔前転系〕の指導の系統性 学年 3年 4年 5年 6年 項目 前転 達成すべき技のレベル 跳び前転 大きな前転 開脚前転 達成すべき技のレベル 前転 膝伸前転 倒立前転 跳び前転 身につける力 ( 技 能 ) 均等に割り振る 支持力 突き放しに生かす 支持力 勢いを吸収する 支持力 利用する 支持力 回転感覚 両腕へ均等に力を加えられる力 両腕でマットを突き放す力 跳びこんだ勢いを吸収する力 より強く突き放す力や支持を保持する力 腕支持感覚 踏み切り感覚 技のつながり 前転系の技 大きな前転 跳び前転 膝伸前転 倒立前転

デジタルコンテンツ マット運動〔前転系〕の指導の系統性 学年 3年 4年 5年 6年 項目 前転 達成すべき技のレベル 跳び前転 大きな前転 開脚前転 達成すべき技のレベル 前転 膝伸前転 倒立前転 跳び前転 身につける力 ( 技 能 ) 両足そろえて 踏み切る力 力強く 踏み切る力 より力強く 踏み切る力 利用する 踏み切る力 回転感覚 両腕と両足へ均等に力を加えられる力 遠くへ手をつくことへつながる力強く踏み切る力 両手と両足が地面から離れている瞬間をつくる踏み切る力 技に合わせて踏み切る力を加減できる力 腕支持感覚 踏み切り感覚 技のつながり 前転系の技 大きな前転 跳び前転 膝伸前転 倒立前転

『孫の手』デジタルコンテンツ マット運動〔前転系〕の指導の系統性 学年 3年 4年 5年 6年 項目 前転 達成すべき技のレベル 跳び前転 大きな前転 達成すべき技のレベル 前転 膝伸前転 跳び前転 開脚前転 倒立前転 技のポイント 技のポイント(前)(開) 技のポイント 技のポイント(膝)(倒) 身につける力 ( 技 能 ) 回転する力 回転力を得る力 より大きな回転力を得る力 回転力を利用する力 回転感覚 低い位置からなめらかに回転する力 高低差を回転エネルギーに変換する力 より大きな高低差を大きな回転のエネルギーに変換する力 変換した大きな回転エネルギーを利用する力 腕支持感覚 踏み切り感覚 前転系の技 大きな前転 跳び前転 膝伸前転 倒立前転 技のつながり

技のポイント 【跳び前転ポイント】 指導すべきポイントが明確 【評価基準】 ①回転開始 【練習例・動画】 【跳び前転ポイント】  ①回転開始 【練習例・動画】   ・両腕と両足が地面から離れている状態で遠くへ着手するようにとびこむ。 ②回転中  【練習例・動画】   ・両腕でしっかり着手し、勢いを吸収させる。 ③回転中~終了 【練習例・動画】   ・首、背中の順につき、なめらかにまわる。 指導すべきポイントが明確 【評価基準】 A評価:上記の3つのポイントを達成し、滞空時間の長い、大きな跳びこみで技を      完成させている。 B評価:上記の3つのポイントを達成して技を完成させている。 C評価:上記の3つのポイントを達成できない。

デジタルコンテンツ 『孫の手』 マット運動〔前転系〕の指導の系統性 学年 3年 4年 5年 6年 項目 前転 達成すべき技のレベル 跳び前転         デジタルコンテンツ マット運動〔前転系〕の指導の系統性 学年 3年 4年 5年 6年 項目 大きな前転 達成すべき技のレベル 前転 膝伸前転 跳び前転 開脚前転 倒立前転 技のポイント 技のポイント(前)(開) 技のポイント 技のポイント(膝)(倒) 身につける力 ( 技 能 ) 回転する力 回転力を得る力 より大きな回転力を得る力 回転力を利用する力 回転感覚 低い位置からなめらかに回転する力 高低差を回転エネルギーに変換する力 より大きな高低差を大きな回転のエネルギーに変換する力 変換した大きな回転エネルギーを利用する力 腕支持感覚 踏み切り感覚 前転系の技 大きな前転 跳び前転 膝伸前転 倒立前転 技のつながり

各学年ごとの積み重ねが次学年でいかされる 研究の成果 マット運動の系統性:整理したコンテンツ 専門家との連携 各学年の技、つける力のつながりが明確=全学年を見通したマット運動の指導 指導の視点 教師の授業への意識・指導力向上へ 指導方法 各学年ごとの積み重ねが次学年でいかされる (全学年を通してつながりのある指導) 誰もができる喜びを感じられる 各学年で身につけた力を生かして次学年で新たな技に挑戦

今後に向けて ○コンテンツ自体の活用評価を検証。 ○基本の運動とのつながりを明確化。 ○中学校との連携 ○中学校との連携     小学校と中学校まで見通しを持ったデジタルコンテンツへ ○コンテンツ自体の活用評価を検証。

コンテンツ利用評価 《校内研修による紹介》 ○作成した意図、使い方を説明 身につける技・力のつながりを理解 技の各ポイントを理解 《校内研修による紹介》   ○作成した意図、使い方を説明 身につける技・力のつながりを理解 技の各ポイントを理解 ○実際の授業における展開例 1.子どもたちの現状を知る。→身についていない力は補助運動で 2.各ポイントの説明、達成させるための練習 教師の利用評価 子どもの単元前・後の技の達成度・意識の変容

研究の実際 《達成すべき技のポイント整理》 《各ポイントにおける練習方法のデータ収集》 ←専門機関と連携 《達成すべき技のポイント整理》   ←専門機関と連携   ○各技のポイント説明、評価基準のまとめ。 ○技の構成・特性   3ポイントにしぼる。 指導すべきポイントが明確 具体的・効率的な指導 《各ポイントにおける練習方法のデータ収集》   ○各ポイントを達成させるための具体的な指導方法 動画紹介 ○技のポイントとリンクさせる。 子どもたちの達成段階が明確  段階ごとの指導が可能 ⇒個に応じた技の完成