2009/01/27 がん患者を家族に持つ子ども達のケア 聖隷三方原病院 ホスピス科 天野功二
「がんの社会学」に関する合同研究班(班長:山口建) がんと向き合った7885人の声 「がんの社会学」に関する合同研究班(班長:山口建) がんと向き合った7885人の声 子どもに対する気がかり(51件) 子ども達がかわいそうと思いながら 不安で子ども達に八つ当たりした。 子どもへの告知(16件) 子どもに不安を与えないように病気について説明すること。 娘と父親にがんであることを気づかせないようにすることが一番だった。
がんターミナル期の親を看取る 思春期の子どものニーズ がんターミナル期の親を看取る 思春期の子どものニーズ 対象:死別時の年令 11〜19才 男子3名、女子9名 親を苦しませないでほしい。 親の状況の本当のことが知りたい。 不安な自分をわかってほしい。置き去りにしないで。 親の病気のことにはふれられたくない。 普通になんでもなく過ごしたい。 親の役に立ちたい。頼りにされたい。 ごめんねと謝りたい。(大人に)甘えたい。 家族が一つになりたい。 (新潟青陵大学 柳原清子)
家族と話さなくなった中学生の女児 兄(肝細胞がん)が終末期のため、自宅で訪問看護を受けながら最後の時を過ごした 母親は兄の介護に専念(夜も兄にずっと付き添っていた) もともととても仲の良い兄弟 兄の病気が「がん」であることだけ伝えられていた 家に帰ってきても、自分の部屋に閉じこもり家族とは話さなくなった。食事も全くとらなくなった
子どもを対象としたグリーフ・ケアの現状 欧 米 日 本 家庭 地域 病院 子どもに「死」を伝えること、グリーフ・ケアに積極的 欧 米 日 本 家庭 子どもに「死」を伝えること、グリーフ・ケアに積極的 子どもに「死」を伝えることに消極的 地域 Dougy Center(北米) Dougy Centerに相当する施設の絶対的な不足 周囲の認知不足 病院 病院毎のプログラム 充実したサポートスタッフ 極めて限られた施設における試み
ダギーセンター (The Dougy Center for Grieving Children & Families) 家族または友だちを病気、事故、自殺、殺人等で亡くした子ども達のpeerサポートグループを支える非営利団体 各地にセンターがあり、死別を経験した子どもとその家族にはすぐに情報提供される サポートスタッフ:教員、看護師、カウンセラー、各種セラピスト、チャイルド・ライフ・スペシャリスト
お伝えしたいこと 子ども達は決して親の付属物ではなく、独立した心を持った 一人の人です。大人が悲しむように、子ども達も同じ悲しみ を感じています。 子ども達は大人が考えているよりも多くを察していて、自分 なりの判断をしています。時には大人の想像もつかないこと を考えていることすらあります。 子ども達は大人の助けを必要としています。信頼できる大人 との対話こそが子ども達を救うのであって、沈黙は決して子 ども達を守ることにはなりません。
チャイルド・ライフ・スペシャリストとは? 国際資格(アメリカ・カナダ・香港・・・) アメリカでは、小児科における遊びのプログラム (チャイルド・ライフ・プログラム)として1950年代 から発展 現在北米においては小児専門病院・総合病院小児科・ ホスピスなど400の病院で活動をしている 日本の現状 1997年に日本で最初のCLSが活動を開始 2008年9月時点で日本では21人のCLSが活動している