2009/01/27 がん患者を家族に持つ子ども達のケア 聖隷三方原病院 ホスピス科 天野功二.

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学童期のこころの健康 *実際のテーマは、 学年に合わせて 考えましょ う 日本精神科看護技術協会 ○○ 県支部 (所属施設) ○○○○○○○○○ (氏名) ○○ ○○ 資料レベル:子ども対象 配布・映写として使用の際は削除してください。 こころの健康出前講座プロジェクト提供資料 1.
第 2 章 子どもの成長・発達と看護 3. 幼児期の子どもの成長・発達と看護( 2 ) 学習目標 1 .幼児の睡眠と規則正しい生活の必要性を理解する. 2 .幼児の健康維持に対する取り組みとしての清潔行動確 立に向けた援助を理解する. 3 .幼児にとっての遊びの意義と発達を促すために必要な 遊びへの援助を理解する.
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先輩インタビュー 看護補助者 櫻岡 愛莉さん A3病棟(消化器内科・外科) 浜松東高等学校 2015年卒 看護補助者 水野 萌子さん
     【症例2:91歳女性】  認知症、胆管がん 20XX年 1月(90歳): ・アルツハイマー型認知症の疑い、骨粗鬆症、変形性膝関節症で近医にて加療 ・黄疸のため近隣の病院にて入院加療。胆管ステント留置し退院 ⇒加療が奏功し、全身状態は比較的安定 ・サービス付き高齢者向け住宅に入所し療養 ・廃用により体幹・下肢筋力低下。ほぼベッド上での生活。移動はストレッチャ型車いす.
2.介護に必要な「時間」に置き換えて「要介護度」を判定します。 聞き取った「心身の状況(5項目の得点)」から直接、「要介護度」を求めることはできません。病気の重さと必要な介護量は必ずしも一致しないからです。 そこで、調査結果をコンピュータに入力し、その人の介助にどのくらいの「時間」が必要なのかを推計することで、介護の必要量の目安としています。この「要介護認定基準時間」を用いて要介護度を判定します。
SWOT分析 看護師 転職例 強み (Strengths) 弱み (Weaknesses) 機会 (Opportunities)
緩和ケアチームの立ち上げ (精神科医として)
妊産婦と子どもを タバコの害から守るために ー青森県看護協会 助産師職能委員会の取り組みからー
各施設の悩みなど 西関東グループ.
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2015/11/08 俊和会 さつき訪問看護ステーション 玉井真由美
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東日本大震災後の子どもの津波体験と原発体験の特徴 ―小中高校生の作文のテキストマイニングより―
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メンタルフレンドについて 福島大学総合教育研究センター   中野 明德.
くいなく学び,最後までやりぬく,かしこい子ども ふれあいを大切にするやさしい子ども しっかりと寝て,食べて,のびていく子ども げん気
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2009/01/27 がん患者を家族に持つ子ども達のケア 聖隷三方原病院 ホスピス科 天野功二

「がんの社会学」に関する合同研究班(班長:山口建) がんと向き合った7885人の声 「がんの社会学」に関する合同研究班(班長:山口建)   がんと向き合った7885人の声 子どもに対する気がかり(51件) 子ども達がかわいそうと思いながら  不安で子ども達に八つ当たりした。 子どもへの告知(16件) 子どもに不安を与えないように病気について説明すること。 娘と父親にがんであることを気づかせないようにすることが一番だった。

がんターミナル期の親を看取る 思春期の子どものニーズ がんターミナル期の親を看取る      思春期の子どものニーズ 対象:死別時の年令 11〜19才 男子3名、女子9名 親を苦しませないでほしい。 親の状況の本当のことが知りたい。 不安な自分をわかってほしい。置き去りにしないで。 親の病気のことにはふれられたくない。 普通になんでもなく過ごしたい。 親の役に立ちたい。頼りにされたい。 ごめんねと謝りたい。(大人に)甘えたい。 家族が一つになりたい。 (新潟青陵大学 柳原清子)

家族と話さなくなった中学生の女児 兄(肝細胞がん)が終末期のため、自宅で訪問看護を受けながら最後の時を過ごした 母親は兄の介護に専念(夜も兄にずっと付き添っていた) もともととても仲の良い兄弟 兄の病気が「がん」であることだけ伝えられていた 家に帰ってきても、自分の部屋に閉じこもり家族とは話さなくなった。食事も全くとらなくなった

子どもを対象としたグリーフ・ケアの現状 欧 米 日 本 家庭 地域 病院 子どもに「死」を伝えること、グリーフ・ケアに積極的 欧 米 日 本 家庭 子どもに「死」を伝えること、グリーフ・ケアに積極的 子どもに「死」を伝えることに消極的 地域 Dougy Center(北米) Dougy Centerに相当する施設の絶対的な不足 周囲の認知不足 病院 病院毎のプログラム 充実したサポートスタッフ 極めて限られた施設における試み

ダギーセンター (The Dougy Center for Grieving Children & Families) 家族または友だちを病気、事故、自殺、殺人等で亡くした子ども達のpeerサポートグループを支える非営利団体 各地にセンターがあり、死別を経験した子どもとその家族にはすぐに情報提供される サポートスタッフ:教員、看護師、カウンセラー、各種セラピスト、チャイルド・ライフ・スペシャリスト

お伝えしたいこと 子ども達は決して親の付属物ではなく、独立した心を持った 一人の人です。大人が悲しむように、子ども達も同じ悲しみ を感じています。 子ども達は大人が考えているよりも多くを察していて、自分 なりの判断をしています。時には大人の想像もつかないこと を考えていることすらあります。 子ども達は大人の助けを必要としています。信頼できる大人 との対話こそが子ども達を救うのであって、沈黙は決して子 ども達を守ることにはなりません。

チャイルド・ライフ・スペシャリストとは? 国際資格(アメリカ・カナダ・香港・・・) アメリカでは、小児科における遊びのプログラム (チャイルド・ライフ・プログラム)として1950年代 から発展 現在北米においては小児専門病院・総合病院小児科・ ホスピスなど400の病院で活動をしている 日本の現状 1997年に日本で最初のCLSが活動を開始 2008年9月時点で日本では21人のCLSが活動している