情報科教育法後期第6回 授業を設計する(2) 情報B

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情報科教育法後期第6回 授業を設計する(2) 情報B 加藤 尚吾・太田 剛 (東京理科大学 清水克彦 先生のPPを使用しています。)

自己紹介 加藤尚吾 東京理科大学理工学部経営工学科 卒業 東京工業大学大学院社会理工学研究科 卒業 現在 興味分野 経営工学 教育工学 情報処理基礎、情報メディア関係、情報科教育法、などの授業を担当 興味分野 コンピュータを介在したコミュニケーションにおける心理面に関すること。

情報Bの目標 情報についてよりコンピュータや情報科学に近寄った教育が行われる科目 コンピュータにおける情報の表し方や、処理の仕組み、情報社会を支える情報技術の役割や影響を理解させ、問題解決においてコンピュータを効果的に活用するための科学的な考え方や方法を習得させる。 情報についてよりコンピュータや情報科学に近寄った教育が行われる科目

情報Bの基本的な目標 問題解決にコンピュータを活用する際に必要な考え方や方法を理解させ、実際に問題解決に当てはめて考え方や方法の習得を図ること。(知識・理解、技能、考え方) 情報社会を発展させるためには社会のニーズに対応した様々な情報技術の開発や改善が必要であることを理解させ、情報社会に参画する態度を育成する(理解、意欲・態度)

情報Bの指導の基本的考え方 現在のコンピュータに焦点を当てて技術や知識の指導をするのではなく、技術の進展に左右されない基本的な考え方や方法を科学的に理解させることを重視する プロセスやアイデア、メソッドの指導の重視をする

問題解決とコンピュータの利用 ア.問題解決とコンピュータの活用:問題解決においては解決の手順と用いる手段の違いが結果に影響を与えること及びコンピュータの適切な活用が有効であることを理解させる。 イ.コンピュータによる情報処理の特徴:コンピュータを適切に活用する上で知っておくべきコンピュータによる情報処理の長所と短所を理解する

情報Bにおける授業モデル 問題解決型の授業を展開するケース 情報機器の操作が行われるケース 情報収集が行われるケース コンピュータを使ったり 話し合ったり

問題とは 問題とは、ある人において解決する必要がある問題で、既知の解決の方法がないものを通常指す。 ある学年やある人にとっての問題が、違う学年や違う人にとって問題とならないこともある(例:計算の仕方を考える)

問題解決の4つの相(Phase) 問題の理解 解法の計画 解決の実行 解決の評価・振り返り

問題解決空間としての問題 初期状態 問題 制約条件とオペレーター 解決状態

コンピュータによる情報処理の特徴 コンピュータの良いところと悪いところ:図書館カードの作成と検索とデータベースの作成と検索の違いを考える 体験的に人間とコンピュータによる情報処理の違いを考えさせたい コンピュータなどでは、処理の誤差(正確さ)と費用の問題がトレードオフの関係になっている

コンピュータの仕組みと働き コンピュータにおける情報の表し方(例:数値、8桁×8桁を電卓に計算させるには) コンピュータにおける情報の処理(IPOモデル、コンピュータ=ハードウエア+ソフトウエア、などの捉え方) 情報の表し方と処理手順の工夫(データ構造によって処理の方法が違う:プログラム=アルゴリズム+データ構造など)

モデル化とシミュレーション ア.モデル化とシミュレーション:身のまわりの現象や社会現象などを通じて、モデル化とシミュレーションの考え方や方法を理解させ、実際の問題解決に活用できるようにする イ.情報の蓄積・管理とデータベースの活用:情報を蓄積・管理するためのデータベースの概念を理解させ、簡単なデータベースの設計・活用ができるようにする

モデルとは モデルとは、模型(物理的模型と概念的模型がある)のことで現実物の代わりをするものであり、それを作ることをモデル化という。 プラモデル、ファッションモデル、モデルカー、モデルハウスなどもこのような働きをしている

モデルの作成:物理的、数学的、現実的など様々 モデル化のプロセス 現実の場面・問題 モデルの作成:物理的、数学的、現実的など様々 モデルにおける解決 現実場面での解決

データベースとは 項目のそろった情報の集まりのことを指す場合がある 情報の検索(IR)の方法や蓄積・変更などの機能(プログラム)を指す場合もある 実際はその両方で、データ構造や検索、蓄積の方法から、階層構造型、ネットワーク型、リレーショナル型などがある

データベースの要素 データ構造の定義 データを検索、挿入、変更、削除する機能(特に検索と変更が大切) データを維持する機能 データの安全性を確保する機能

データベースの活用 Webなどのデータベースを利用してみる 自分たちでどのようなものがあったら便利かを考える 実際に設計する(ソフトを活用する) データを集め、実際に作成する 利用してみる

情報化社会を支える技術 実際には通信と計測・制御があらゆるところで役立っている 上記の二つには誤差やノイズの問題がつきまとっている 情報技術は人間にやさしい必要がある(ユーザーフレンドリー、バリアフリーな) 情報技術の進展は様々な面で社会に影響を与えている(調べ学習中心)

社会における様々な情報システム1 ・交通管制システム ・住民票データベースシステム ・電話網システム ・電子決済システム ・特許情報システム ・無人交通システム ・気象予報システム

社会における様々な情報システム2 銀行オンラインシステム 証券取引システム 社会保険システム POSシステム 物流管理システム 在庫管理システム 自動制御システム

交通制御コンピュータ 交通制御コンピュータ 信号機の制御コンピュータ センサー

インターネットバンキング インターネット 銀行 会社 デジタルキャッシュ 個人 商品

情報の入手方法 プッシュ型の情報 プル型の情報 相手から(勝手に)情報が送られてくる 自分で情報を探してくる メイル通信 WWW ちらし テレビ プル型の情報 自分で情報を探してくる WWW 検索システム オンデマンド系のメディア

企業におけるコンピュータの利用 コンビニのコンピュータシステム POSシステム 製造業におけるCAD・CAMのリンク 社内LANなどのペーパーレスカンパニー 企業のWWW Siteの利用

CAD・CAMシステム 本社などでの開発(CAD)(実験も) 工場などでの生産(CAM)

それではこれらの内容を取り込んだ授業をどのように開発したらよいのだろうか

(状況の整理、コンピュータの活用、データ化) 問題解決とコンピュータ 問題の発見 (把握、抽出、観察と情報収集) 問題の分析 (状況の整理、コンピュータの活用、データ化) (問題のモデル化とアルゴリズム作成)

(目標の設定、モデルの作成、問題解決の環境設定) 問題解決とコンピュータ2 問題の抽出 (目標の設定、モデルの作成、問題解決の環境設定) 問題解決 (確率モデルとシミュレーション) (数値モデルとアルゴリズム) (表などの計算)

問題解決型の授業の開発 よい問題の開発 問題解決プロセスを想定する 使用される情報機器、情報源を考える 実際の協同のマネージの仕方を考える 解決過程での支援を考える プレゼンテーションを企画する など

コンピュータの仕組みの理解や技能習得を行う授業 演繹的ではなく、帰納的に習得させる そのためにはよいテーマが必要になってくる(ペイントツールならば年賀状を作ろうなど) ソフトウエアやハードウエアのすべてのスキルを習得させるわけではないので、どこまでを生徒に行わせるかを考えなくてはならない スキルが身についているかどうか、評価しなければいけない など

情報機器の操作に当たって注意すべき点 ドライアイや視力低下などの点に配慮すること(長時間の操作への注意) ソフトウエアやハードウエアのトラブルに生徒がどのように対応するか 不正な操作や不正なアクセスに対する対応

情報の収集を中心とする授業の開発 よいテーマの設定(課題として生徒に取り組む意欲を持たせるもの、情報源が存在する・アクセスできるもの) 生徒なりの考察をどのように進めさせるかを計画する 発表会とその成果の評価方法、特に評価が難しい

情報Bは、コンピュータを教える、コンピュータで教える、の両方の側面がある。面白いプロジェクトで、きちんとしたプロセスの教育が必要です。